子供は嫌いな人からは学ばない
ベテラン教師が語る

Every kid needs a champion #1/2

両親が教育者であり、自身も40年間教育に携わってきたリタ・ピアソンが、TEDのステージに登壇。教師としての自らの経験を交えながら、子供たちのことを心から信じ、本質的な人間関係を築くこと、それこそが良い教師、すなわち、子供たちの一生に影響を及ぼし続けるような教育者になるために欠かせないことだと、力強く語りました。ピアソン氏は、例えばテストの点数が悪かった生徒の答案にも正解の分だけスマイルマークを加え、「あなたがよくやったからよ。2つ正解したでしょ。全部が不正解ではない」などと励ましたり、子供たちを生徒としてみるのではなく、一人の人間として接することが大切だと言います。教師だけでなく、教育に携わる人すべての人に向けたスピーチをご覧ください。(TED Talks Educationより)

子供たちと、本質的な人間関係を築いていくことの大切さ

リタ・ピアソン氏:私は全人生を、校舎や校舎へ向かう道、学校でなにがあったかを話すことに費やしてきました。

(会場笑)

両親は教育者、母方の祖母も教育者でした。

私も同様に、40年間教育に携わってきたので、言うまでもなく、教育改革に対してはいろいろな視点で考える機会がありました。良い教育改革もあれば、あまり良くないものもありました。

私たちは、なぜ生徒たちがドロップアウトするのか、なぜ学習しないのか知っています。それは、貧困、不登校、他の生徒からの悪影響のせいだったりします。理由は解っています。しかし、私たちが、決して話し合わないこと、あるいは、ほとんど話題にしないことのひとつに、人と人の繋がり、人間関係があります。

意義のある人間関係なしに、意義のある学習はない、とジェームス・コマー(児童心理学者)が言いました。ジョージ・ワシントン・カーヴァー(植物学者。アメリカの奴隷制度下、ミズーリ州で生まれたアフリカ系アメリカ人)は、学習とは関係を学ぶことであると言いました。会場のみなさんは、教師や大人から影響を受けてきましたね。私は、何年も教師を観察してきました。最高の教師も、数人の最悪の者も含めて。

子供を好きになり、信じ、真摯に向き合う重要性

ある時、同僚が言いました。

「子供たちを好きになるために給料を貰っているのではないのよ。子供たちに教え込むのが仕事。子供たちは、それを学習する。私が教えたことを、生徒たちは学習すべき。それだけのこと」

そこで、私は言いました。

「子供たちは嫌いな人からは何も学ばないでしょう」

(会場笑・拍手)

彼女が「そんなこと、くだらないわ」と言うので、私は彼女に「あなたの将来は、長くてきびしい道のりになるでしょうね」と言いました。

確かにくだらないことでしょう。人間関係を築いていくかどうか、それには個人差があると考えている人もいます。スティーブン・コヴィ(作家、経営コンサルタント。『7つの習慣』の著者)が良いことを言いました。相手に理解してもらおうとするのではなく、理解するためのちょっとしたことをしてみたらどうか、と彼は言いました。ちょっとしたこと、例えば、謝罪することです。考えたことがありますか? 謝ると、子供たちはショックを受けますよ。

(会場笑)

「割合」について教えたときのことです。算数は苦手なのですが、努力はしました。

(会場笑)

教師用のガイドブックを見直したら、私が授業で教えたことが全部間違っていました。

(会場笑)

そこで、翌日の授業で言いました。

「みなさんに謝らなくてはいけません。授業で教えたことは全部間違えていました。ごめんなさい」

生徒たちが言いました。

「ピアソン先生、気にしないで。先生がすごくエキサイトしていたから、まあいいかって思っていたの」

子供たちに自尊心を抱かせる大切さ

泣きたいほど成績が悪いクラスを受け持ったことがあります。私は、悩みました。

「9か月間で、今の状況から満足な成績を取れるようにするにはどうしよう。とても難しいというより、ほとんど不可能なことだわ。成績と子供たちのセルフエスティームを同時に引き上げるにはどうすればいい?」

ある時、すごいアイデアが浮かび、クラスの全生徒にいいました。

「あなたがたは、選ばれてこのクラスに入ったの。私は最高の先生で、あなたがたは最高の生徒だからよ。どんなにすごいクラスか、他の人たちに見せてあげるために集められたの」

ひとりの生徒が言いました。

「本当かなぁ」

(会場笑)

私は、言いました。

「本当ですとも。他のクラスにお手本を見せてあげなければいけないわ。廊下を歩くと、みんな注目でしょ。だから騒いではだめ。ちょっと気取って歩きましょう」

(会場笑)

それから、標語をあげました。

「僕はすごい人なんだ。すごい人として現れ、すごい人として去って行く。力があり、強い。ここで教育を受けるべき人。僕にはやるべきことがある。喜ばせる人がいる。目指す場所がある」

生徒たちが言いました。

「イェー!」

(会場笑)

自分が本当にそうなるまで、唱えなければいけません。

(拍手)

20問の小テストをしました。ある生徒は18問不正解でした。私は、プラス2にスマイルマーク付きで返しました。

(会場笑)

「ピアソン先生、これはF(落第点)ですか?」「そうよ」

(会場笑)

「じゃ、どうしてスマイルがついているの?」「あなたがよくやったからよ。2つ正解したでしょ。全部が不正解ではない」

(会場笑)

私が「一緒に復習したら、次はもっと良い点数が取れるかな?」と言うと、生徒は「そうだね、先生。僕もっと良い点を取るよ」と言いました。

18点減点では人生を降りたくなりますが、プラス2なら、最悪ではないでしょう。

何年も、母が休暇を使って復習を行っていたことや午後に家庭訪問に出かけていったことを見てきました。母は、生徒に食事が必要なときのためにピーナッツバターとクラッカーを買ったり、臭う生徒たちが、服やからだを洗うための石鹸や櫛・ブラシなどを机の引き出しに用意していました。臭いがきつい生徒を教えるのは大変でしょう。

(会場笑)

それに、そういう子供に対しては、他の生徒がいじわるだったりもしますから。

母がリタイアして何年も経ってから、そういう生徒たちが訪ねて来て言いました。

「ウォーカー先生、あなたは僕の人生を変えてくれました。僕の人生は自分のためにあると教えてくれました。おかげで、自分が特別だと思えるようになりました。心の底では、それを否定していたときに。将来、僕がどんな人になるか、先生に見てもらいたいと思いました」

母が2年前92才で亡くなったとき、大勢の教え子だった人たちが葬式に参列してくれました。私は涙が出ました。それは、母が亡くなったからというより、母が決して消え失せることのない生徒たちとの絆を残していったことで。

教師はきつい仕事でしょうか? それはそれはきつい仕事ですよ。でも不可能な仕事ではありません。私たちには可能です。私たちは教育者です。変化をもたらすために生まれてきたのです。

ありがとうございます。

(会場拍手)

(編集協力:岸 晃)

<続きは近日公開>

Published at

TED(テッド)

TED(テッド)に関するログをまとめています。コミュニティをフォローすることで、TED(テッド)に関する新着ログが公開された際に、通知を受け取ることができます。

このログの連載記事

1 子供は嫌いな人からは学ばない ベテラン教師が語る
2 近日公開予定

スピーカーをフォロー

関連タグ

人気ログ

人気スピーカー

人気コミュニティ

ピックアップ

編集部のオススメ

ログミーBizをフォローして最新情報をチェックしよう!

人気ログ

人気スピーカー

人気コミュニティ

ピックアップ

編集部のオススメ

そのイベント、ログしないなんて
もったいない!
苦労して企画や集客したイベント「その場限り」になっていませんか?