2024.11.25
「能動的サイバー防御」時代の幕開け 重要インフラ企業が知るべき法的課題と脅威インテリジェンス活用戦略
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世界的なイノベーション&クリエイティブの祭典として知られる「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」。2024年も各界のクリエイターやリーダー、専門家らが多数登壇し、最先端のテクノロジーやプロダクト、トレンドについて講演を行いました。本記事では、世界中の次世代のユニコーンリーダーを特定し、投資するアン・ハイアット氏が登壇。完璧主義のデメリットや、粘り強く挑戦し続けることの大切さについてお話しします。
アン・ハイアット氏:次に、あまり神経質すぎないことです。私の定義では、神経症でない人は、自分の感情をうまくコントロールでき、嵐の中でも冷静でいられる人です。ユニコーンCEOの中にはこのような振る舞いをしない人もいますが、それは組織にとって不利になると思います。
ですから、その振る舞いをやめ、組織の最大の利点を活かすリーダーシップ・スタイルに移る必要があります。ピクサーはその好例だと思います。『Creativity, Inc.: Overcoming the Unseen Forces That Stand in the Way of True Inspiration』をまだ読んでいないなら、ぜひ読んでみてください。これはすばらしい物語です。
私がバークレー校の博士課程に入学した時、カリフォルニア州バークレーとオークランドの間にある1平方マイルの町、エメリービルに引っ越しました。そこにピクサーの本社があります。彼らがどうやって『トイ・ストーリー2』を救ったのか、大きな嵐を乗り越えるまでの長い物語です。
ディズニーと合併したばかりの当時、『トイ・ストーリー2』はビデオ化するはずでした。しかし、それをするためのモデルがなかったのです。彼らはある特定の基準に慣れていたので、ビデオ化の基準を下げるよう求められたのです。そして、それは巨大な損害でした。(公開まで)残りわずか8ヶ月で、彼らはその事態を乗り越えなければなりませんでした。
従業員の30パーセントが、ストレスのせいで手根管症候群(手の親指から薬指にかけてしびれや痛みを感じる病気)などの反復性ストレス障害になりました。もう少しでチーム全体が燃え尽きてしまうところだったのです。
しかし、そこから本当に重要なことが2つ生まれました。1つはブレイントラストと呼ばれるもの(率直な意見交換を目的とした会議メソッド)です。プロジェクトの決定権を持たない5人の専門家をプロジェクトに入れ、レビューを行い、彼らの専門知識を活用します。
そしてもう1つは、ブレイントラストをデイリーと呼ばれるプロセスに活用したことです。ジェフがAmazonの会議の運営の一部で、この方法をモデル化しているのを見ていたので、私もGoogleで実際に使っていました。デイリーとは、上級幹部がチーム全体にフィードバックを与える機会です。
『トイ・ストーリー2』の災難を無駄にせず、幹部たちはチーム全体にハイレベルで質の高い批評をすることができたのです。
それによって、進行中の作品を見せるようになりました。ただ、上司に見せられるほど洗練されるまで待つ余裕はなかったので、全員がすべての作業を見直しながら進めていったのです。そして、あらゆるレベルの人からアイデアや会話が飛び交っていました。すべてがリアルタイムで行われていて、これがピクサーの成功の理由の1つだと思います。
「クルーシブル・モーメント」は、本当に重要な原則だと思います。(ユニティ・テクノロジーズ会長の)ロエロフ・ボタがすばらしいポッドキャストを持っているので、ぜひお聴きください。私のお気に入りのポッドキャストのエピソードがいくつかあります。私が知りたいのは、どうすればより粘り強くなれるかということです。
スタンフォード大学のヒューバーマン教授から学んだプロトコルですが、前中部皮質と呼ばれる脳の一部とチャンネルを合わせます。とても派手で長い言葉ですが、脳の小さな部分のことで、筋肉のように柔軟です。それは使えば使うほど大きくなり、長期間にわたって誤解されることを厭わなくなり、非常に粘り強くなります。脳のこの部分を柔軟にする方法は、「やりたくはないけれど、自分のためになるとわかっていること」をすることです。
例えば、マラソンの練習をしていて、本当は走りたくないのに、とにかく走りに行くとします。あるいは、筋肉をつけたくてタンパク質の摂取量を2倍にしようとします。今日はもう鶏の胸肉は食べたくないのに、とにかく食べてしまうのです。つまり、やめなければならないことをやめるか、やりたくないけれど自分のためになることをすると、脳の前中部皮質が成長するのです。
5つの資質の最後は「良心性」です。繰り返しになりますが、クレイジーなユニコーンCEOを思い浮かべる時、これは最初に考えつかないでしょう。私にとっての良心性とは、長期的な目標設定のことです。たとえゴールがとても遠いところにあるとしても、高い水準の品質を保つことです。
アダム・グラントはペンシルベニア大学の心理学者で、私は彼の大ファンです。彼は『Hidden Potential: The Science of Achieving Greater Things』というすばらしい本を出しています。私が今日みなさんにお伝えしたいことは、成功とは、他の人よりも間違いを犯すのをいとわないこと。そして、未遂に終わることさえいとわない精神から生まれるということです。
もし今回完璧でなかったとしても、ピボットできる筋肉、回復力を身につけると、多くのことが起こると思います。これはサウス・バイ・サウス・ウエストなので、テクノロジー以外の例を挙げたいと思いますが、エド・シーランはこの反復プロセスのすばらしい例だと思います。
エド・シーランの好きなところの1つは、これまで見たほとんどすべてのプレスインタビューで、彼が14歳の時の録音を再生することです。「神から与えられた才能があるから、こんなことも簡単にできるんだ」とみんなから言われるので、彼はそうでないことを証明するのが好きなんです。それは大変なことでしたが、彼は恥をかくことも厭いませんでした。
彼が完璧でなかった時、息のコントロールができなかった時、存在感がなかった時に、初心者のゾーンで演奏したこともあったのですから、彼は偉大です。『The Sum of It All』という彼のすばらしいドキュメンタリーがあるのですが、このトークのサブタイトルにぴったりだと思います。
そこでは、赤毛のカントリーボーイで、どもりがあり、ビートボックスが好きなエド・シーランが、スーパースターになったプロセスについて語られています。(スターになることは)不可能だと思われましたが、彼は繰り返し練習しました。なぜなら、彼は他の誰かになることが想像できなかったからです。心の奥底に天命を感じ、その声を消せなかったのです。自分が引き寄せられたと感じ、反復練習を続けたすばらしい例なのです。
Googleは、早期かつ頻繁にローンチすることでかなり有名でした。私たちがそうする時、物事が完璧であることはほとんどありませんでした。リード・ホフマンの「製品の最初のバージョンで恥をかかないなら、それは発売が遅すぎたのだ」という言葉が大好きです。なぜなら、多くの人は製品をとても大切に思っていて、完璧であることを望んでいるからです。
しかしこれに執着しすぎると、完璧主義になるあまり「分析麻痺」の状態に陥り、私たちが望むようなより大きな利益に貢献できません。でも、私はシリコンバレーに住んでいるわけではありません。このようなチームに囲まれているわけでもありません。
Canva CEOのメラニー・パーキンスの例を見てみましょう。私はこのパワーポイントをデザインするために、彼女の製品を使いました。彼女は最初の大きな投資を得られるまで、100人以上の投資家に断られました。彼女はお金を集めようとしていた場所(シリコンバレー)から、地球の反対側の(オーストラリアの)パースに住んでいます。
(パースには)サンドヒルロード(VC業界の象徴の場所)の投資家たちがカイトサーフィンをしに来ます。そこで彼女は、「彼らが私の庭にいる。私も彼らがやっていることを始めよう」と考え、(資金調達のプレゼンの機会をつかむために)カイトサーフィンを独学しました。これは彼女が言い訳をせず、非常に粘り強いことを示しているすばらしい例だと思います。
彼女のストーリーは豊かでエキサイティングですが、最後のプロトコルに私が伝えたいことが集約されていると思います。社会心理学者のエミリ・バルセティスは非常に興味深い実験を行い、追求モードと呼ばれるものを研究しました。
彼女は2つのグループのメンバーの足首に重りをつけ、ゴールラインまで走るように言いました。最初のグループでは、彼女は何も指示を与えませんでした。彼らはただ、足に大きな重りをつけて精一杯走りました。そして2番目のグループには、「視覚に集中し、決してゴールを見失わないように」と言いました。
ゴールを視覚化した2番目のチームは、視覚化しなかったグループよりも17パーセント少ない努力で、23パーセント速くゴールしたのです。私たちのマインドは、体に生理的な変化をもたらします。私たちの脳の力を過小評価してはいけません。
たとえ、途中で偽のゴールラインを作らなければならなくても、目標に集中し続けてください。進捗を示し、チームが祝福されるべきことを見つけてください。最後に9年前の『FORTUNE』の表紙をお見せしましょう。そして今、私たちのユニコーンが『FORTUNE』の表紙を飾っています。
私はみなさんに、美しく完全に形成されたユニコーンになってほしいと思っています。そして、今日みなさんにお伝えした原則と、払拭できた神話のいくつかが、みなさんが挑戦するきっかけになることを願っています。あなたの性別、経歴、多様な思想、経験は、私たち全員が誇りに思えるような未来を創り出すでしょう。
最後にもう1つだけ、ナイキの元CMO、グレッグ・ホフマンの言葉を紹介しましょう。「どういうわけか、偉大さとは選ばれた少数の天才のための贈り物だと、私たちは信じるようになってしまいました。残りの人々はただ傍観するだけです。その考えを忘れてください。偉大さは稀なDNAの鎖ではありません。偉大さは呼吸と同じくらい、私たちには普遍的なものです。私たち全員がそれを発揮する能力を持っています」。
だから、私はあなたの挑戦を願っています。私たちは神話を払拭しました。あなたはここにいる資格があり、世界はこれまで以上にあなたを必要としています。今こそ多様性が必要なのです。人工知能と、物事の変化の速さによって、私たちは全員の挑戦を必要としています。ありがとうございました。
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