CEOの神経質すぎる振る舞いは組織に不利になる

アン・ハイアット氏:次に、あまり神経質すぎないことです。私の定義では、神経症でない人は、自分の感情をうまくコントロールでき、嵐の中でも冷静でいられる人です。ユニコーンCEOの中にはこのような振る舞いをしない人もいますが、それは組織にとって不利になると思います。

ですから、その振る舞いをやめ、組織の最大の利点を活かすリーダーシップ・スタイルに移る必要があります。ピクサーはその好例だと思います。『Creativity, Inc.: Overcoming the Unseen Forces That Stand in the Way of True Inspiration』をまだ読んでいないなら、ぜひ読んでみてください。これはすばらしい物語です。

私がバークレー校の博士課程に入学した時、カリフォルニア州バークレーとオークランドの間にある1平方マイルの町、エメリービルに引っ越しました。そこにピクサーの本社があります。彼らがどうやって『トイ・ストーリー2』を救ったのか、大きな嵐を乗り越えるまでの長い物語です。

ディズニーと合併したばかりの当時、『トイ・ストーリー2』はビデオ化するはずでした。しかし、それをするためのモデルがなかったのです。彼らはある特定の基準に慣れていたので、ビデオ化の基準を下げるよう求められたのです。そして、それは巨大な損害でした。(公開まで)残りわずか8ヶ月で、彼らはその事態を乗り越えなければなりませんでした。

従業員の30パーセントが、ストレスのせいで手根管症候群(手の親指から薬指にかけてしびれや痛みを感じる病気)などの反復性ストレス障害になりました。もう少しでチーム全体が燃え尽きてしまうところだったのです。

『トイ・ストーリー2』の制作を乗り越え得たもの

しかし、そこから本当に重要なことが2つ生まれました。1つはブレイントラストと呼ばれるもの(率直な意見交換を目的とした会議メソッド)です。プロジェクトの決定権を持たない5人の専門家をプロジェクトに入れ、レビューを行い、彼らの専門知識を活用します。

そしてもう1つは、ブレイントラストをデイリーと呼ばれるプロセスに活用したことです。ジェフがAmazonの会議の運営の一部で、この方法をモデル化しているのを見ていたので、私もGoogleで実際に使っていました。デイリーとは、上級幹部がチーム全体にフィードバックを与える機会です。

『トイ・ストーリー2』の災難を無駄にせず、幹部たちはチーム全体にハイレベルで質の高い批評をすることができたのです。

それによって、進行中の作品を見せるようになりました。ただ、上司に見せられるほど洗練されるまで待つ余裕はなかったので、全員がすべての作業を見直しながら進めていったのです。そして、あらゆるレベルの人からアイデアや会話が飛び交っていました。すべてがリアルタイムで行われていて、これがピクサーの成功の理由の1つだと思います。

より粘り強くなるための脳の使い方

「クルーシブル・モーメント」は、本当に重要な原則だと思います。(ユニティ・テクノロジーズ会長の)ロエロフ・ボタがすばらしいポッドキャストを持っているので、ぜひお聴きください。私のお気に入りのポッドキャストのエピソードがいくつかあります。私が知りたいのは、どうすればより粘り強くなれるかということです。

スタンフォード大学のヒューバーマン教授から学んだプロトコルですが、前中部皮質と呼ばれる脳の一部とチャンネルを合わせます。とても派手で長い言葉ですが、脳の小さな部分のことで、筋肉のように柔軟です。それは使えば使うほど大きくなり、長期間にわたって誤解されることを厭わなくなり、非常に粘り強くなります。脳のこの部分を柔軟にする方法は、「やりたくはないけれど、自分のためになるとわかっていること」をすることです。

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