ユニコーンリーダーになるために必要な「真の知性」

アン・ハイアット氏:5つの性格特性の2つ目は知性です。これもおそらく驚かれることではないでしょう。もちろん、知性は起業家にとって特別なものです。しかし、ユニコーンのリーダーになるために必要な真の知性とは、大量の情報を処理し、独自の観察に絞り込み、他の人が見逃している機会を見出すことだと思います。

これまでになかった点と点を結びつけ、誰もやったことのない道を切り拓くこと。私がチームを雇う時、あるいはCEOのクライアントを引き受けることを検討する時、そのような知性を求めています。

さて、ゴルディロックス(三段階の選択肢があった場合、人間は無意識のうちに真ん中を選んでしまう傾向があるという心理効果)の原則に戻りますが、知性の熱すぎるバージョンは、あらゆる可能なデータを分析しようとして、結局、どうすればいいのか迷ってしまう人です。正しいデータを収集したか、行った大きな賭けがうまくいくかどうかで悩んでしまうのです。 

そして冷たすぎるバージョンでは、決してスタートしません。情報を収集せず、新しいアイデア、新興技術、人々、才能、トレンドに触れることもありません。したがって、私にとって知性とは、可能な限り多くの情報を集め、ビジネスプランを強化するために使うものです。知性の良い例の1つは、マイクロソフトのCEOであるサティア・ナデラです。

彼は実に変わった道を歩んできました。サティアは早くからテクノロジーの世界を志し、インド工科大学を受験したのですが、入学試験に落ちてしまったのです。大学は、自分が属していいかどうかを証明する知的機関です。ですから多くの人は、「自分はこの世界でやっていけるほど頭が良くないのだろう」「インド工科大学が私を不合格にしたということは、私は不適格なのだ」と受け止めたかもしれません。

しかし、彼はそのようなことをする代わりに、従来とは異なる道を歩み、技術者としてのキャリアをスタートさせたのです。マイクロソフトで22年間働いた後、3代目のCEOに選ばれました。そして、彼はマイクロソフト社内の非常に困難な文化を引き継いだのです。

マイクロソフトCEOがもたらした組織文化の転換

申し上げたように、私はワシントン州レドモンド出身で、初期のパーソナル・コンピューティング革命のエネルギーと熱気に包まれていたのですが、奇妙なことが起こりました。人々は輝きを失い、色あせ、会社は非常に重苦しく、ピボットするのが遅くなりました。サティアが受け継いだのは、このような内部対立を抱えた会社でした。

そして彼は、より多くの組織が行うべきすばらしいことを行いました。彼は、「知ったかぶり文化」から「学び合い文化」への文化的転換と呼んでいます。これはスタンフォード大学のキャロル・S・ドゥエック教授が書いた本です。私の人生を変えた本を1冊選ぶとしたら、彼女の『マインドセット「やればできる!」の研究』を挙げるでしょう。

序文を読むだけで、私にとっては、心が爆発するような本でした。学習と知性をめぐる考え方には2つある、と彼女は述べています。1つは固定的な考え方で、人は生まれつき不平等であるということ。これはインポスター症候群(仕事で成功し、評価をしっかり得られているのにもかかわらず、自分自身を過小評価してしまう心理状態)の原因です。

しかし、固定概念から成長概念に移行することはできます。成長マインドセットを持っている人は、努力と練習と苦難とピボットによって、自分の才能を伸ばすことができると信じています。努力次第で、時間をかけて自分の知性を高められるのです。これが、サティアがマイクロソフトにもたらした文化的転換なのです。

知識人文化が根強かった、90年代の開発現場

90年代の(マイクロソフトの)とてもおもしろい話があります。新しいグラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI:アイコンやボタンなどを用いて、直感的にわかりやすくコンピューターに指令を出せるようにした、ユーザーインターフェース)を開発するために人を集め、UX/UI研究を行って、人々がどのように反応するかを調べました。

そして、UI研究者は、これを構築したエンジニアの元に戻り、「10人中6人が、これをわかりにくいと感じています。それを理解できないようです」と言いました。 すると、主任エンジニアは研究者に「どこで6人のバカを見つけてきたんですか?」と言ったのです。これが知識人文化です。

私たちが本当にすべきことは、「私たちはあなたより賢いから使い方を教えてあげる」という態度を改めることです。そして、「ユーザーはプロセスの一部であり、もしわかりにくいのであれば、それはデザインの問題である」という事実を受け入れることでした。

わかりにくいとすれば、ユーザーが愚かだったわけではなく、設計上の問題でした。これは完璧な要約だと思います。

不遇な生い立ちを力に変えた、IBMの前CEO・ジニー・ロメッティ

また、IBMの前CEOであるジニー・ロメッティは、インテリジェンスという概念に関して本当に重要なことをしたと思います。彼女もまた、テクノロジーの世界に入ったのはとても意外なことでした。

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