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AI and Humanity’s Co-evolution with OpenAI’s Head of ChatGPT(全4記事)

AIをもっと活用するためのカギは、人類との「共進化」 ChatGPT責任者らが語る、生成AIの“信頼性”について

世界的なイノベーション&クリエイティブの祭典として知られる「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」。2024年も各界のクリエイターやリーダー、専門家らが多数登壇し、最先端のテクノロジーやプロダクト、トレンドについて講演を行いました。本記事では、ChatGPTの責任者であるピーター・デン氏と、ベンチャーキャピタルファンドのSignalFireのジョシュ・コンスティン氏のセッションの模様をお届けします。

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世界がChatGPTに求めていることとは

ジョシュ・コンスティン氏(以下、ジョシュ):世界がChatGPTに求めているものは何だと思いますか? 難しい質問ばかりですみません。

ピーター・デン氏(以下、ピーター):素晴らしいことです。世の中に必要なのは、自分の目標から障壁を取り除くことができる柔軟なツールだと思います。実際、この製品に携わっていて最も刺激的なことの1つは、人々が持つ使用例の幅の広さを目の当たりにすることです。

ChatGPTを使って新しい研究をまとめたり、その研究について学んだり、最新の進歩を知るために質問しているという医師に話を聞きました。また、自分の絵の写真を撮って、リアルタイムで批評を受け、より良い芸術を創造できるようになる芸術家にも話を聞きました。

このような企業でデータ分析を生業としている人たちに話を聞くと、「今までは4時間かかっていた仕事を仕事を終わらせることができた」と言います。このように、私たちが目にしているユースケースは実に幅広いのです。

私たちにとって大きな挑戦は、できるだけ多くのユーザーと話し、彼らがどのように使いたいかを学び、そして彼らのために製品をより良いものにすること。それが「共進化」の一部だと思います。私たちは広く応用できるものを世に送り出し、人々がそれをどのように使うのが好きかを見て、製品をどんどん良くしていきます。

テクノロジーが発展しても、私たちの仕事時間は減っていない?

ジョシュ:テクノロジーによる生産性の向上という点では、常に前進を続けています。昔はEメールがなかったのに、今はEメールがあるじゃないですか。ただ、電子メールを発明したからといって、仕事が減ったようには見えません。

以前は4時間でやっていたことが、今では20分でできるようになったという話がありましたが、その時間は取り戻せるのでしょうか? 雇用主は、その時間を別の場所に適用するだけなのでしょうか? 本当に私たちの生活が楽になるのでしょうか?

ピーター:興味深いのは、個人にその選択肢を与えていることだと思います。これこそが、これから出てくるいくつかの製品に本当に力を与えるものだと思います。私は基本的に、AIは人々のビジョンを実現するための促進剤になると信じています。

良い例を見てみましょう。つい2日前の晩、スタートアップ向けにGPUをレンタルするビジネスを立ち上げた人と夕食を共にしたのですが、彼はこう言っていました。

「このビジネスは実際に構築できるし、ChatGPTにサーバーのリモート起動方法を聞けばいいんだ。これらは私が学ばなければならないか、システム管理者にならなければできないことですが、このツールはそれを前進させてくれます」と。

ですから、各個人がより多くのことができるようになり、そのエネルギーを何に使うかは各個人次第だと思います。

ジョシュ:しかし、システム管理者はどうなるのでしょうか?

ピーター: いい質問ですね。システム管理者は、もっと多くのことができるようになると思います。もしかしたら、その人があまり精通していない他のスキルがあるかもしれませんが、スキルセットを補強して、各個人がより多くのことをこなせるようになります。

ChatGPTの責任者が、自身の娘に抱く“期待”

ピーター:私の個人的な意見ですが、企業は小さくなると思います。どうしてそう思うかって? 未来はわからないけど、あくまで私の推測です。

でも、人間は根本的に野心的な生き物でしょう。追いかけたいビジョンを持っていて、過去に見たようなテクノロジーのあらゆるステップが、人々がより多くのことをするための障壁を取り除いたのだと思います。

具体的な例を挙げましょう。もし私が生まれる50年前に生まれていたら……自分のスキルにギャップがたくさんあって、どうやって埋めればいいのかがわからないんです。1つは、スペルがうまく書けないこと。2つ目は、字が下手なこと。3つ目は、基本的な算数があまりできないこと。脳の配線が(人とは)ちょっと違うんです。

だから、もし50年前に時計の針を巻き戻したら、私はどんなチャンスに恵まれるかわかりませんね。だけど今はスペルチェックもあるし、オートコンプリートも電卓もあります。自分のスキルや得意なことを活かして、テクノロジーだけでできることを増やすことができたと思います。

ジョシュ:4人のお子さんを持つ、とても気配りのできるお父さんですね。子どもに教えることと、“GPT DAD”であることに類似点はありますか?

ピーター:子どもたちがどのように学び、進化していくかを見ていると、多くのインスピレーションを得られます。

子供の話を少しさせてください。私の娘の1人は非常にクリエイティブで、何かを作るのが好きなんです。家中を回ってペットボトルのキャップを探したり、段ボール箱みたいなものを見つけては切り取ったり、スコッチテープをたくさん使ったりして、本当にクリエイティブな作品を作るんです。

彼女を見ていると、子どもの頃の私を思い出します。テープと紙と段ボールとビー玉だけで、ルーブ・ゴールドバーグ・マシンみたいなものを作りました。彼女を見ていると、なんだか私と似たような“配線”をしているような気がして。彼女が成長するにつれて、自由に使えるようになるツールを見るのが本当に楽しみなんです。

OpenAIの使命は「アメリカ中心主義」ではない

ジョシュ:ChatGPTに植え付けたい、具体的な価値観はありますか?

ピーター:子育てと同じで、子どもに植え付けたい価値観があると思います。世の中の価値観という観点から考えていますが、理想はAIを使う一人ひとりの価値観に合ったかたちになることで、杓子定規であってはいけないと思います。

世界にはたくさんの美しい文化があり、さまざまな考え方があります。最近、家族と一緒に日本へ旅行に行きましたが、飛行機に乗ると脳がリセットされるし、着陸すると小さな文化の違いに気がつくんです。

世界のさまざまな地域、さまざまな文化、さまざまな人々が異なる価値観を持っています。日本の几帳面な文化によって、本当に美しいものが作られるのです。だから、「私が何を植え付けたいか」という価値観の問題ではないんです。世界の価値観を取り入れ、それを浸透させる方法を見つけることができればと思います。

ジョシュ:OpenAIはアメリカの企業ですが、従業員は世界中から集まっています。私たちのファンドであるSignalfireは最近、調査レポートを作成したんですが、OpenAI、Stability、Midjourneyのような、AIの未来を築きつつある素晴らしい企業は新しいアイビー・リーグのようなものです。

しかし、OpenAIによって作られたAIは、本質的にアメリカ中心主義なのだろうかという疑問が生じます。例えば、私たちの価値観をデフォルトとして取り入れるのでしょうか?

ピーター:社内では、世界中の人々と仕事をしています。世界中の政府と話をするチームがあり、ユーザーを本当に理解しようとしています。OpenAIの使命は、全人類に利益をもたらすことです。アメリカ中心主義では、全人類に利益をもたらすことはできません。

ですから、インプットを取り入れ、耳を傾け、文化の断片を深く理解する。断片だけでなく、非常に深く理解することが、より良い製品とより良い未来を作る方法だと思います。それが、私たちがより良い製品を作り、より良い未来を築く方法だと思うのです。

体制変更など、再スタートを切ったOpenAI

ジョシュ:この製品(ChatGPT)がアメリカで作られたという事実が、アメリカのリベラルな理想を押し進め、民主主義や表現の自由など、私たちが大切にしている理想を輸出するチャンスだと感じないのですか?

ピーター:私自身はそう考えていません。前にも言ったように、AIを使う一人ひとりの価値観に合った形になるような方法を見つけたいと思っています。

ジョシュ:最近、取締役会やその周辺のすべての変更に関するニュースがたくさんありました。それは、OpenAIが大切にしている価値の追求を妨げるものだと感じますか? それとも、より良い価値観に沿うためのチャンスでしょうか?

ピーター:私たちは仕事に没頭しています。個人的には、いくつかのアップデートや役員に加わった人たちの変化を見ることができて、本当にうれしいです。個人的に知っている人もいて、本当に素晴らしい人たちなので、彼らの加入をうれしく思います。

ジョシュ:あなたたちは多くの仕事をこなさなければならないのに、それが邪魔になるようなことはありませんでしたか?

ピーター:個人的には、そんなことはありません。ただ、やはりやるべきことはたくさんありますし、私たちが実行すべきロードマップははっきりわかっています。それが、私たちのチームの焦点です。

世界最高の教師とは、必ずしも頭がいい人とは限らない

ジョシュ:私の希望する価値観をちょっと言ってもいいですか?

ピーター:どうぞ。

ジョシュ:世界最高の教師というのは、必ずしも頭がいいとは限らないんです。生徒の特異性に気づいて、それに適応する、最も共感的な教師のことです。それが、あなたがおっしゃる「使う人の価値観に合わせる」ということだと思います。

Facebookのような以前の製品では、国際的な視点を輸出したり、現地の法律に従うだけでなく、国際的な才能を活用して、コンテンツモデレーションルールなどが現地の規範に本当に合っているかを確認する必要があります。

しかし私は、OpenAIが「すみません、答えられません」という対処療法的な答えではなく、本当の答えを見つけるための決断のような価値観を持つようになることを期待しています。もちろん、実用的な情報を読むこともできますが、それが私たちにインスピレーションを与えてくれるのであれば、なおさらだと思います。

自分自身の限界について正直で、例えば「これは実際にはできない」「これは正しくないかもしれない」ということを教えてくれたり、ChatGPTの答えと並行して「Googleやperplexityの検索をしたほうがいいかもしれない」と教えてくれることで、答えの信頼区間を示してくれるようなものです。

インターネット上にあるすべての人間のデータをトレーニングに使い、ステレオタイプやバイアスを永続させないこと。そして、AIが私たち人間や私たちの社会、地球全体の面倒を見たいと思うような、スチュワードシップの意識を持つこと(を期待します)。

ピーター:真実を追求し、事実を突き止めることは本当に重要なことだと思います。そしてもう1つあるのは、「ただ役に立ちたい」ということです。テクノロジーが人々の役に立ち、私たちの目標や願望を実現することができれば、より良いテクノロジーになると思います。

裁判や医療診断など、ChatGPTに期待する活用事例

ジョシュ:AIに任せてみたいユースケースはありますか? 医療診断をしてくれますか? 裁判でAIに弁護させますか?

ピーター:では、まず裁判のほうから。法廷で自分を弁護する必要がないことを祈りますが(笑)、もし私が冤罪で訴えられたら……。

(会場笑)

ピーター:でも、もしそうなったら、絶対にAIを弁護団の一員として迎えたいですね。繰り返しますが、この仮定のシナリオでは私は冤罪です。

弁護人がいて、弁護人の助手がいて、その助手がリアルタイムで証言を聞き、事実と時系列を照合し、判例や先例をすべて調べて「これはこうですよ」「こういう質問をしたほうがいいですよ」と、人間の弁護士に提案することができるのです。

人間的な判断は絶対に必要ですが、そのレベルのスーパーパワーアシスタントは本当に強力だと思います。ですから、法廷では側にそのような人がいてくれたらと思います。

医学的なことをお聞きになりましたが、私たちはすでにそこに到達し始めていると思います。子どもが長い間慢性的な痛みに苦しんでいた親の話を聞いたんですが、3年間で17人の医者に診てもらったのに、誰も診断がつかなかったそうです。

ある日、彼女の粘り強さと利用できるツールのおかげで、彼女はすべてのデータをChatGPTに送ることができました。そして「脊髄係留症候群」が示唆されたのです。彼女は医者に行って確認し、手術を受けました。ですから、あなたが言っているような「尖端」は、すでに起こり始めているのだと思います。

このような問題を抱えた親が、自分の能力の橋渡しができるようになり、親にとって本当に重要な問題を解決できるようになるのは本当に素晴らしいことです。

人間とAIの「共進化」

ジョシュ:確かに、ジョークが書けるようになる手前まで来ているのは間違いないと思います。また、私も健康面でも使用したことがあります。ある医療機関にメールしたり、Dr. Guptaというツールに質問したのですが、実はDr. Guptaがその中で一番良い答えをくれました。

私が入れたデータのすべてが、最高入札者に売られていることは知っています。でもね、それでもより良い答えが得られたんです。だから私たちは、より良い答えを得るためにプライバシーの一部をあきらめるか、データがそこら辺に浮遊していてもかまわないかというトレードオフを考え出す必要があると思います。

しかし、すばらしい使用例もあります。CodaMetricsは医師のための医療費請求コーディングを支援し、PayZenは医療費が家族を破産させないよう、パーソナライズされた返済プランを作っています。

Wellthは人々が薬を飲むようにしました。月の初めに60ドルが支給され、毎日薬を飲んでいる写真を撮ると、2ドルを奪われることはありません。

しかし、私たちがこれらはAIによってのみできるようになったことです。どうすればもっと快適になるのでしょうか? 人々がユースケースのためにAIを積極的に活用するためには何が必要なのでしょうか?

ピーター:この講演のタイトルにもなっている「共進化」の一部だと思います。時間をかけて繰り返し触れて、体験して、話を聞いて、話を聞くよりも直接感じることが必要です。もっともっと多くのことに触れて直接感じることで、さまざまな方法でそれを信頼することができるようになります。

共進化を遂げるために重要な要素とは

ピーター:例を挙げましょう。昔、私が初めてテスラを手に入れた時にオートパイロットという機能がありましたが、自動操縦ではありませんでした。しかし時間が経つにつれて、車線を維持し、前の車を監視するようになりました。そして、少しずつ良くなっていきました。ターンシグナルを押せば車線変更もしてくれるんです。

そして今、個人的には十分に信頼していますし、技術も十分に進化しています。道路を走ろうと思えば走れるしね。ただ、まだ完全にはそうなっていないんです。でも、そこに到達するまでの道のりと、繰り返し触れて経験することが共進化の大きな要素だと思います。

AIを開発して研究室に閉じ込めておくのではなく、私たちはAIを開発し、それを他の人々が一般的に利用できるようにしようとしています。

そして、私の子どもたちがその最前列に座ることができるのはすばらしいことだと思います。新しい機能がリリースされる前に見せることができるんですから。

友達には言わないように言っていますが、こういったツールにアクセスし、実際に遊ぶことができるので、彼らの考え方がどのように進化していくかを見ることができるんです。AIで遊べるということは、本当に重要なことの1つだと思います。

ジョシュ:幸いなことに、ChatGPTをドゥームスクロール(ネガティブな情報ばかりを追うこと)している人がいるような状況にはなっていないと思いますが、あなたが携わったいくつかの製品も含めて、世界最大のアプリの多くは健康への影響に疑問があることが示されています。

FacebookやInstagramのような場所で働いて、安全性について学んだことは何ですか?

ピーター:本当にいい質問ですね。基本的には、作っている製品が違うだけだと思います。

Instagramでの過去の経験から多くのことを学びました。工芸品やデザインの美しさについて多くを学びましたし、どの仕事でも何かを学んできました。それが今の仕事に役立っています。

でも基本的には、実用性と好奇心を満たすということだと思います。ネットで調べ物をしたり、ただ問題を解決するために考えたりするようなことであれ、直面している壁や課題を突破するための超能力を与えてくれるものです。

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