ゲストとゆるくおしゃべりする『ザッソウラジオ』を始めた背景

倉貫義人氏(以下、倉貫):倉貫です。

仲山進也氏(以下、仲山):仲山です。

倉貫:『ザッソウラジオ』は倉貫と、「がくちょ」こと仲山さんで、僕たちの知り合いをゲストにお呼びして、雑談と相談の「ザッソウ」をしながらゆるくおしゃべりしていくポッドキャストです。

第1回のゲストはエールの篠田真貴子さんです。僕らは「シノマキさん」とお呼びしているんですが、シノマキさんといえば監訳された『LISTEN』がものすごくヒットしていて、羨ましいなという感じです。

仲山:ただ、『LISTEN』とはぜんぜん関係ない話をしていただくというのが、ザッソウラジオの縛りですよね。

倉貫:そうです。鉄板ネタは封印してもらって、最近考えていることなどを雑に相談しながらおしゃべりできたらなと思ってます。では第1回のザッソウラジオ、スタートです。

まだ始めてもない企画にシノマキさんを誘ってしまって、本当にふわふわの状態で来てもらいました(笑)。

篠田真貴子氏(以下、篠田):そういうの大好きです(笑)。

倉貫:僕の友人の上場企業の社長が、個人でポッドキャストしてると言うので「え、そんなの大丈夫なんですか?」と聞いたら、「これは個人の活動なので大丈夫ですよ」と言っていて。聞いたら、友だちと本当になんでもない話を淡々と毎週やっていて、ただただ仲良しな様子を聞いてるだけなんですが、すごくいいなと思って。

『COTEN RADIO』もよく聞くんですが、あんなふうに役に立つ話もいいんだけど、あの3人のノリがすごく楽しそうで、仲良しな様子を聞いてるだけでけっこう楽しいなと思って。

鉄板ネタ以外が聞ける、イベント裏の“楽屋トーク”の良さ

倉貫:ふだん僕はリモートワークやティール組織の話を聞かれてしゃべるんですが、(その友人の)ポッドキャストに出させてもらったらぜんぜん関係ない話させてもらえて。そういうのって、めちゃくちゃ良いんじゃないか? というところがあって。

遅ればせながらポッドキャストを始めてみたら楽しいかなと思って、誰に伝えるでもなく、自分のためにやるとおもしろいんじゃないかということからスタートしました。でも、1人だと絶対にやれないなと思って、がくちょと2人でおしゃべりする。ただ、2人だけならいつもしゃべってるので、ゲストの方に来てもらっておしゃべりする。

「イベントでよくある、楽屋で(再会した知人と)しゃべる感じがポッドキャストっぽくて良いかな」みたいな。定番のネタや鉄板のネタは本番でしゃべるので、封印してもらう。

篠田:なるほど(笑)。

倉貫:楽屋で話すのって鉄板ネタではない話じゃないですか。なので、そういう気軽なやつをお話しできたらおもしろいんじゃないかな、というところからスタートした企画ですね。

篠田:なるほど。じゃあ今の建付けだと、倉貫さんとがくちょが仲良く楽しくしゃべってるところに毎回誰かが来て、さらに話が広がるみたいな。

倉貫:毎回そんな感じ。

篠田:積み重なると楽しいなっていう感じですよね。

倉貫:本当に。なので、ぜんぜんリスナーのことを考えてないところからのスタート(笑)。

篠田:でも、それいいなぁ。今、ぜんぜん時間がとれないというか、自分の時間をどう配分したらいいかすごく困ってるんです(笑)。

仲山:昨日、ちょうどマネジメントしてくれるアシスタントを募集してましたよね。

篠田:そうそう(笑)。セルフプロデュースってできないから。

倉貫:わかる。

篠田:絶対にできないから、誰かにしてほしいんです。

「リスナーじゃなくて自分のためにやる」というスタンス

篠田:プロデュースとまでは言わなくても、よくわかってる客観的な視点の人が、私の時間の使い方をある程度良きようにしてくれたり、私がやらなくていいものを拾ってくださったりしないと、もう立ち行かなくなってきていて(笑)。

そういう状態なんだけど、ほかにやりたいことは常にあるわけですよ。そのうちの1個がこういう音声系というか、おしゃべり系に憧れがあって。でも、自分がやるとしたらどういうのがいいのかまでは考えきれてないので、今の「リスナーじゃなくて自分のためにやる」というスタンスは、メモメモっていう感じです(笑)。

倉貫:まさしく僕がゲストで出た時にそれを感じたんです。いい年になると、仕事をする時にちゃんと目的や結果を考えがちというか。若い人にもそう言うから、「ノリだけでやっちゃっていいのかな?」って、まだちょっとドキドキしながらやってます(笑)。

篠田:(笑)。

仲山:なので、生煮えの話をみんなで持ち寄るみたいな。

篠田:まさにザッソウな感じですね。

倉貫:本当にそうなんです。こんな雑な状態で相談できる相手は、社外だとがくちょぐらいなんですよ。

(一同笑)

篠田:それを聞いて、がくちょはどういう反応だったんですか?

仲山:そんなの「おもしろそう」としか思わないですよね。

(一同笑)

仲山:あと、自分たちで定期的にやってるものがあると、人に遊びに来てもらえますよね。

篠田:そうですよね。

仲山:「じゃあそのうち」と言って、「そのうち」がいつまでもこないことってよくあるし。だから、こういうのがあると来てもらえる。

忙しい日々の中での“ゆるい雑談”の必要性

仲山:長く知り合いだけど、1時間や1時間半とか、1対1や3人ぐらいで話したことがない人って、意外といっぱいいませんか?

篠田:私、それはジョブレス期間がかなり良かったんですよ。

仲山:そうですね。

篠田:なかなかないですよね。

仲山:僕は講座の懇親会はよくあるけど、大人数のことが多いので、「2人でこんなしゃべったこと初めてですよね」みたいなことがよくあります。

篠田:確かに。

仲山:楽天の出店者さん向けの紙媒体で、月イチで対談コンテンツをやってたんです。もう何年も前から知り合いの人だけど、1時間、2時間も話をしたのが初めてというのが毎月あるって、すごくいいなと思っていて。最近そういう機会がなかったので、「ぜひやってみたいです」という感じでした。

倉貫:(笑)。

仲山:そこにシノマキさんがちょうど、「ふわっとしてる、まとまってない話をゆるくしたい」と。

(一同笑)

篠田:そう。Facebookに「ちゃんと自分の日々の中に取り戻さないとヤバい」みたいなことを書いたら、がくちょが反応してくれたんです。

そもそも2人とも、まあまあ自分の意のままに時間を使いやすい立ち位置にいると思うんですが、どうやって時間配分決めてるのかは聞きたいところです。

仲山:自分を何に使うのか。

篠田:ザッソウ的に私の相談したいことは、時間の使い方。もうちょっとどうにかしたいんですよね。

倉貫:時間の使い方ね。

カレンダーの空きをどれだけ作れるか

倉貫:でも、がくちょのほうが自由でしょ(笑)?

仲山:僕は対応できないほど声がかからないです。

篠田:なんかうまく断ってる気がするんだよな。

倉貫:(笑)。

仲山:あんまり断ることはなくて。逆に言うと、たぶん声をかけるハードルが高く見えるんじゃないかと思うんです。

篠田:なるほど。

倉貫:見える見える。たぶん3人とも、それはあるんだと思う。

仲山:(笑)。シノマキさんは会ったこともない人から登壇依頼とかがいっぱいくるのではないかと思います。

篠田:そうねぇ。

仲山:僕は知ってる人ぐらいからしか頼まれないので。「この人から頼まれたら2秒で『はい』か『イエス』だな」みたいな人からしか(依頼が)来ないように振る舞えてる気がします。

篠田:ふむふむ。なるほどな。

倉貫:カレンダー、なるべく埋めないほうがいいでしょ?

仲山:カレンダーは「空きをどれだけ作れるか」みたいな。

篠田:本当ですよね。一応平日は週いっぺん、基本的に水曜日は予定を入れない日と言って、カレンダー上もバンってブロックしてるんですが、この秋はそれがもう完全に崩れまして。

仲山:入れざるを得ない。

篠田:うん、そういう感じになって。怒涛の3ヶ月が過ぎた今振り返ると、ありがたいんですが、ぜんぜん知らない人じゃないけど、登壇のご依頼を何ヶ月か前にいただいたものがあります。『LISTEN』が発売になったら思いのほか売れ始めてしまい、こっちも「チャンス!」って思うから、なるべく断らないじゃないですか。

(一同笑)

篠田:加えてエールの仕事も全部重なるんですが、エールの業務でクライアントさんの所で社内向けにお話をするというご依頼がバババっときて。それは営業上とても大事なので、なるべく全部やる。この3つが重なった結果、「ちょっとね……」みたいな(笑)。

モデレーターの依頼が多い、篠田氏ならではの悩み

篠田:毎週3本とか、ダブルヘッダーが毎週あるという感じになっちゃって、さすがに疲弊したんですよね。

倉貫:それはプレゼンの時間が多いってことですか?

篠田:講演・プレゼンが数で言うと7割ぐらいで、3割ぐらいはモデレーターなんですよ。で、モデレーターのほうが私には大変です。講演だったら、自分の都合で自分がしゃべりたいようにしゃべればいいんですが、モデレーターは相手がいる。

当然素敵な方々だから出ておられるので、1時間で4人ぐらいいたりしますが、その素敵さを出す。でも、一貫性のテーマ設計は私が最後にやらなきゃいけないから、けっこう準備に時間かかっちゃったんですよね。慣れないし、都度違うテーマだし、当日の時間拘束というより準備にすごく時間を投入しました。

すごく良かったんですが、全部をやって「これは私がやらなくてもよかったんじゃない?」という打席はなかった、と思っちゃってる自分がいて。今後にまったく教訓が活かせない感じ(笑)。そういう現状に対して、「どうしよう」みたいな。

仲山:モデレーターの準備って大変ですよね。4人いたら、だいたいみんな本を出してたりするので目を通すとか。

倉貫:全員分、読まなきゃいけない。

篠田:「まったく見たことありません」というわけにはいかないから。

倉貫:いかないですね。

篠田:一応、見ましたし。

仲山:わかります。

経営陣ゆえの“時間管理”の難しさ

仲山:僕の場合は、「このためだけの準備」という感じにならないように、割り算というか。

篠田:加減乗除の除法。

仲山:はい。「この作業は今やっておけば、そのうちほかにも転用が可能」みたいな。

篠田:講演はわりとそうなんだけど。

倉貫:そうですね。資料を作って、継ぎ足し継ぎ足しでいけるから。

篠田:そうなんだよな……。モデレーターも、実際にそれがクライアントさんになってたりするし(笑)。

仲山:(笑)。

篠田:モデレーターもやみくもに依頼されてるわけじゃないので、私の関心分野イコール、エールの事業分野にちゃんと重なる。企画する方々やキャスティングしてくださる方もちゃんとそれなりなので。

倉貫:そうですよね。

篠田:みたいなことを言ってると、もうほら(笑)。

倉貫:(笑)。

篠田:当たり前ですが、「エールの事業戦略、どうすんじゃ」みたいなことをやってるから。

倉貫:でも、忙しいのは良いことですよ(笑)。

篠田:それは本当にそう。マジでありがたいなと思います。ありがたいし、今のところ別に自分が健康を損なうことはないので、そういう意味でも本当に恵まれてるなと思う。贅沢な悩みですが。