米テクノロジー誌が選ぶ、未来の働き方を変える技術

エリザベス・ブラムソン・ボードロー氏:みなさん、こんにちは。サウス・バイ・サウスウエストでみなさんとご一緒できて本当にうれしいです。部屋は満員で、これだけの人が集まるのは素晴らしいことですね。この群衆の中にいることはいつも最高です。

今日はお話ししたいことがたくさんあります。「この先の数年間で、私たちの生活や働き方を変えるだろう」と記者チームが考えている10のテクノロジーをご紹介したいと思います。また、これらのテクノロジーが私たちの生活や働き方にとってどのような意味を持つのかも、少しお話ししたいと思います。

MITテクノロジーレビューは多くの方がご存知だと思います。私たちはMIT(マサチューセッツ工科大学)が所有するメディア企業で、みなさんのような現在、そして未来の技術リーダーのためのジャーナリズムを発行しています。

まだご存じではない方は、その名前から学術誌を想像されるかもしれませんが、私たちは学術誌ではなくジャーナリストです。テクノロジーがどのように創造され、利用され、私たちの生活すべてにどのような影響を与えるのかを伝えています。

私たちは、工学、物理科学、コンピューターサイエンス、数学、その他多くの分野で世界をリードする大学であるMITとの関係からインスピレーションを得ています。MITの卒業生と教員にはノーベル賞受賞者が101人いますが、その数は年々増えています。海軍兵学校以外では、どの大学よりも多くの宇宙飛行士を輩出しています。

ビジネス界におけるMITの影響力は、さらに注目に値するかもしれません。そこで2015年には、MITの人たちが卒業生が設立した会社を調査しました。その結果、MITの卒業生によって3万社以上が起業されていることがわかりました。

その3万社の総売上高をすべてを足すと2兆ドルになります。2015年の時点、つまり約9年前の時点で、この2兆ドルは世界第10位の経済大国のGDPを上回っていました。つまりMITの経済力は、MITを経由してもたらされるということです。

「専門家ではない人々」に向けて、テクノロジー情報を発信

MITは、ハッカー文化、遊び心、創造性でも知られています。これを学際的に組み合わせて、問題に対するクールな解決策となるような何かをここで一緒にハックできないか? と考えているのです。こうして、MITテクノロジーレビューというジャーナリズム企業が誕生したのです。

『ハーバード・ビジネス・レビュー』はハーバード・ビジネス・スクールから発行されていますが、私たちの組織形態と非常によく似ています。あるいは『スミソニアン・マガジン』のように、ある種の雑誌のようなものです。

2024年はMITテクノロジーレビューの125周年にあたります。創刊号の目的は、私たちが社会として直面している、常に新しく、複雑になっている問題について、より多くの人々に説明することでした。

創刊号の最初の記事は、研究所の機能についてのものです。私たちが125年もの間、どのような革新や進歩を遂げてきたか、想像がつくでしょう。そして今日、私たちはマルチプラットフォームのメディア企業となり、毎日デジタル版を発行しています。

最近リニューアルしたばかりの素晴らしいアプリもあります。また、特定のトピックに特化したニュースレターも多数発行しており、何十万人もの人々のEメールに常に配信しています。紙の雑誌もありますし、ポッドキャストもあります。

私たちは、世界の未来とテクノロジーがどのように形作られているかに興味がありますが、専門家ではない人々を対象としています。MITの卒業生である必要はないでしょう。私はITの卒業生ではありませんし、エンジニアや科学者でもありません。

MITテクノロジーレビューを読んでくれている非常に多くの人たちは、エンジニアでも科学者でもなく、MITを足を踏み入れる場所として考えたことすらありません。むしろ、すべてのプラットフォームで「テクノロジーは人々のために何をしているのか?」という問いに答えることに主眼を置いています。

ここ1年、ビジネス誌は人工知能の話で持ちきり

私たちが今いるこの時代の潮流として、ここ1年ほどの間でビジネス誌で話題になっているのは人工知能のことばかりです。また、ロボット工学、生物遺伝学、人体工学、量子コンピューティングなどの技術開発もあります。

私たちは、これらの技術を使用している人、技術を作っている人、技術を創造している人、あるいは「自分たちの生活や世界で、これらの技術をどのように導入・規制するかについて正しい決断をしたい」と思っている非常に多くの人々に、厳密さと洞察を提供しています。

ですから、ここにいる私たちはみな、自分たちの仕事が重要だと信じ、考えているはずです。2024年というメディアとジャーナリズムの時代について、少しだけお話ししてから本題に入りたいと思います。

「メディア業界におけるジャーナリズムの崩壊」という見出しに、みなさんの多くがあまり注意を払っていないことは承知しています。ジャーナリズムにとって絶滅レベルの出来事に向かっているのかということについて、私たちは本当に毎日のように話をしています。

『ナショナル ジオグラフィック』誌をご存じかどうかわかりませんが、私が7歳か8歳の頃にその雑誌を手にした時、初めて月の写真を見ました。

(『ナショナル ジオグラフィック』は)半年前に全スタッフを解雇し、その雑誌はゆっくりと閉鎖され、もうほとんど存在していません。『ポピュラー・サイエンス』も2023年11月に廃刊を発表しました。151年の歴史がありますが、もう出版するつもりはありません。

記者や編集者などが相次いで解雇

『Wired』も数ヶ月前に編集部の20人を解雇しました。『Wired』で科学に関する記事を書く人は、もう誰もいません。CNNも1年ほど前、技術レポーターに対して同じことをしました。では、なぜこのようなことが起きたのでしょうか? それはインターネットの出現にさかのぼります。

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