セールスとセックスはとても似ている!

メイス・ホロッフ氏:ちょっと衝撃的な話をしますので、耳をふさぎたい人はふさいでくださいね。今日はセックスとセールスの話をします。皆さんの親御さんも牧師さんも話そうとしないことですよ。ちなみに私は今セールスの話をしています。

(会場笑)

もしもあなたが営業職でないのであれば、最後にセックスをしたいと思った時のことを思い出しながら聞いてください。どうしてもあの大好きな人が欲しいと思ったこと、またはそんなに良く知らないけれどセックスしたいと思ったこと、どちらを思い出してもいいですよ、私は批判しませんから。

(会場笑)

その経験がある皆さんはものを売ることができます。モノを売るセールスのスキルは人生で最も役立つスキルです。しかし「セールス」と聞くとなんだか嫌な印象を受けませんか? ポリエステルのスーツに身を包んだ男性が何かを売りつけようとして嘘を吐く様を思い浮かべませんか? もちろんセールスをする人の中には嘘をついてものを売ろうとする人もいます。そしてセックスについて嘘をつく人もいるのです。ここにいる皆さんも含めたある人々は嘘をつくのです。

私も昔は嘘をつきました。今では本当のことを言います。例えば「あなた、ベッドですごいの?」と聞かれれば「いいや、でも僕と寝ると楽しいよ」と言います。

(会場笑)

実のところ、ここにいる誰もがセールスパーソンです。皆さん一人ひとりがものを売る能力を内に秘めています。それがどう生かされるかはモチベーションの差によります。セックスや恋愛においては、物事をゆっくりと進めると上手くいきますね。セールスパーソンはものを売る時にそれと全く同じことをする必要があるのですが、中には「急いでプレゼンしてしまう症候群」から抜け出せない人もいるのです。

彼らは前戯を飛ばしてしまうのです。彼らはお客様を買う気にさせることなく契約を成立させようとしてしまいます。つまりお客様が何が起きているかわからないうちに、セールスパーソンは満足してしまう。どこかで聞いたことのあるような話じゃないですか?

(会場笑)

セールスパーソンのことを考えるとプードル犬を思い出します。大学生の頃、ハッピーという名の白いプードルを飼っている友人がいました。扉を開けるとものすごい勢いでハッピーはいつも私の足に飛びつき腰をカクカクさせました。ベロベロ舐められて、やめろ、と言ってもやめません。ハッピーは自分の欲望のままに行動していました。セールスパーソンが同じことをしているのをよく見るんですよ。つまり自分がものを売りたいものだから、そればかりを先行してお客様の興味を掻き立てようとしないのです。

しかし面白いことに仕事ではそのように先走る彼らも、素敵な女性を誘おうとする時は落ち着き払い、女性を口説くことに集中します。彼らは女性にいきなり飛びついて腰をカクカクやるなんてことはしません。

(会場笑)

グダグダセールスマンが女性を口説くために発揮した才能

例を挙げましょう。私は企業のセールスチームのコンサルタントをしています。主に医療器具業界です。ある時「ブラッドというセールスパーソンと一日外回りに出て見てほしい」と頼まれました。ブラッドの業績はあまりよくありませんでした。むしろ彼はクビになるギリギリのところまで追い込まれていました。

彼は11の営業電話を医師にかけて、4人の医師に会う約束を取り付けましたがすべての電話がまったく同じでした。

「先生! うちの商品を見てください! うちの商品は最高でどこの商品よりも長持ちしますよ! 買ってください!」

訪問することができたすべての医師は同じように答えました。

「ブラッド、今日はわざわざありがとう。でも結構です」

彼はそのように医師たちから拒否されることにも上手く対応することができていませんでした。

「要らないんですか? でもうちの商品は他社のものよりも長持ちするのに!」そういってブラッドはパンフレットを医師に渡し、「気が変わったら連絡をください」と言ってその場を立ち去りました。

このようにグダグダなセールスを終えた日にやることはひとつです。私たちはバーに立ち寄りました。

(会場笑)

皆さんだってもし同じ立場だったらそうするでしょう? 立ち寄ったバーはハッピーアワー中で、我々はバーに座りその日一日の振り返りをしていました。すると突然ブラッドはそわそわし始めました。ブラッドの隣の空いている席に座ろうとしてるとても美しい女性が現れたからです。

ブラッドは「ちょっと失礼」と私に言って、その女性のほうに向きなおりました。私は「ブラッド、何しているんだ? 君がクビにならないように今対策を話し合っているのに!」と言いましたが彼は女性に話しかけ始めます。

「こんにちは! 真剣なお付き合いに向いていて、嘘も付かない、傷つけない、浮気もしない男性に興味はありませんか?」

彼女は言いました。

「そんな人がいれば素敵だけど、そんな人はこの世には存在しないわ。それに彼氏がいるし」

私はブラッドがその日一日中してきたことをここでもすると思いました。パンフレットを渡して「そうですか、では気が変わったら連絡ください」と言うのだろうな、と。

(会場笑)

または「僕のほうが長くできるのに!」

(会場笑)

しかし彼はそうはしませんでした。彼はこう言ったのです、「正直に答えてくれてありがとうございます。真面目なお付き合いをされている方がいるというのであれば、それを尊重します。私の名前はブラッドと言いますがあなたのお名前を教えていただけませんか?」彼女も「ケリーです」と答えます。「ケリー、あなたにはお付き合いされている方がいるとのことですが、彼の名前は?」「私の彼氏? スティーブンだけど」「あなたとスティーブンが最初に出会った時、2人が惹かれ合った理由は何だったのでしょうか?」「すみませんが、私は今日友人と一杯飲みに来ただけで、あなたのことはそんなに良く知らないし、そんな個人的なことを突然聞かれても困ります」

ブラッドはこう言いました、「全くその通りです。こんなこと聞くべきではありませんでした。でも僕はあなたのような女性と真剣にお付き合いしたいのです。あなたのような女性が魅力的だと思う男性はどんなタイプですか?」ケリーは言います。「そうね。私を変えてくれるような男性に惹かれるわ」

(会場笑)

今笑っているのは皆女性ですね(笑)。彼女は言いました、「ブラッド、冗談よ。良い人が好きだわ。ブラッド、あなたも良い人そうね」ブラッドは続けて質問します。「ありがとう、ケリー。あなたのことをもっと知りたいです。お仕事は? どこにお住まいなんですか?」このように、この後20分間ブラッドは彼女の話に全神経を傾けていました。出身校はどこか、どんなエクササイズが好きか、なんてことまで聞きだして。

そしてブラッドは言いました。「ケリー、あなた素晴らしい女性です。スティーブンはとても幸運な男ですね。あなたとスティーブンの関係はほとんど完璧ではありませんか?」ケリーは言います。「どうもありがとう。でも完璧な恋愛なんてありえないのよ。時々喧嘩になることももちろんあるわ」ブラッドは聞きます。「本当ですか? もしひとつだけスティーブンとの関係で変えられることがあるとすれば、それはなんでしょうか?」

私はそれを見ていて思いました。さっきまでこの男は砂漠で水を売ることもできそうにない奴だったのに!

(会場笑)

それがある美しい女性に触発され、完全なセールスマンシップを発揮していました。ケリーはブラッドの質問に答えます。「スティーブンに変わって欲しいこと。スティーブンが私にもっと興味を持ってくれたらと思うわ。彼は自分のことばかり話すのよ。ブラッド、私たちはさっき知り合ったばかりね。この20分間であなたはスティーブンが去年私に質問した数より多く私に質問したわ」「ケリー、あなただけの男が世界のどこかに存在するはずだと思ったことはありませんか? あなたにとって完璧な男が」「そうかもしれないわね。わからないわ。もしかするとね。でもこんな話してはいけないわ」とケリー。

ブラッドは話を変えます。「ケリー、こうしないかい? 今度コーヒーでも一緒にどうかな?」「そんな、困るわ。私には彼氏がいるし」「ケリー、ただコーヒーを一緒に飲むだけだよ。友人同士としてコーヒーを飲むだけ、ただそれだけさ」とブラッド。

(会場笑)

本当にそうかな、ブラッド? セールスパーソンは嘘をつきますからねぇ。

(会場笑)

「明日スターバックスに朝の7時30分でどうかな? ご馳走するよ」とブラッド。「わかったわ。じゃあ明日ね」とケリーは言い、友人たちのところへ戻って行きました。ブラッドが私のほうに向きなおります。私は言いました。「で、どうするんだい? 彼女には付き合っている彼氏がいるんだぞ」「どうするかって? 明日彼女とコーヒーを飲むんだ。そしてそこで彼女のことを完全に理解する、もっと言えばスティーブンが彼女にとって良いパートナーかどうかを見極める。もしもスティーブンが彼女にとって最高のパートナーであればそれを尊重して、彼女にはそれ以上手は出さないよ。もしそうではないのであれば、彼女を彼から奪ってみせる」

何が起きているかと言うと、ブラッドはケリーのことになると、というかセックスのことになると、とても戦略的になるのです。「今ケリーに自分を売ったセールストークは完璧だったよ。でも今日の医師へのセールストークは全然ダメだったね。今ケリーに対して行ったアプローチを顧客にも取れるようになれば、君は最高のセールスパーソンになる」と私は言いました。

「つまり顧客に対しても、女性とバーで出会って口説く時のように接しろと言っているのですか?」とブラッド。「うん、まぁそんなところかな。うん、そうだね」と私。

(会場笑)

繰り返しますが、ブラッドはケリーの足に腰をカクカク打ち付けるようなことはしませんでした。

(会場笑)

その代わりに彼が何をしたかと言うと、彼はとても戦略的になり、彼女に全神経を集中させ、彼女の彼氏を超える地位を得られるようにたくさんの質問をしていました。もしもブラッドが典型的なセールスパーソンのようにケリーにアプローチしていたらどうなっていたでしょうか? 「こんにちは! うちの商品を見てくださいよ! ひとつ買ってくれたら、もうひとつおまけしますよ!」という風に。彼女はきっと典型的な購買者のように答えたでしょう。「いいえ、結構です。見ているだけですから。家にひとつ持っているし。あぁ、そんなにこっちを見ないで、放っておいてください」

(会場笑)

素晴らしいセールスパーソンになりたいのであれば、魅力的な人を誘惑する素晴らしい恋人の気持ちでアプローチしましょう。少なくともベッドの中で相手を楽しませることができる情人の心得でいきましょう。

情熱的に、相手の欲望を駆り立てるのです。そしてその欲望が少しだけ満たされるようにじらすのです。そしてどうしたらその欲望が満たされるのかを教えれば、向こうから「お願します!」と必死に食いついてきます。「買いたい徴候」が見えてきたら、後は簡単です。契約を交わし、顧客を満足させる。これが良いセールスのやり方です。

セールススキルを持っていない人などいません。このスキルを活かせるか否かは、皆さんのモチベーションにかかっています。

制作協力:VoXT