傷ついた皮膚はなぜ治る?
修復の4つのステップを解説

How a wound heals itself - Sarthak Sinha

怪我をすると、切り傷から血が出て、かさぶたができて、しばらくしたら怪我が治るという流れをたどると思います。傷ができてから治るまでの間、体内では何が起きているのでしょうか。まず、傷ができた際、体は血液の喪失と表皮の物理的な保護が損なわれるのを防ぐために、血管収縮と血餅の形成が行われます。次にファイプリンと呼ばれる特殊なタンパク質が皮膚の表面に架橋結合をつくり、出血やバクテリアや病原体の侵入を防ぎます。その後、白血球がバクテリアや損傷した組織を貪食作用と呼ばれるプロセスで食べ、治癒を促進する成長因子を生成します。このようなプロセスを経て、傷が修復されるのです。(TED-Ed2014 より)

傷ができてから治るまで、体内では何が起きているのか

サルタック・シンハ氏:あなたの体の大部分を占める臓器、それは皮膚です。肝臓でもなければ、脳でもありません。成人1人あたりの皮膚の表面積はおおよそ20平方フィート(約2平方メートル)にもなります。

皮膚は覆っている体の部位によって見た目こそ違いますが、汗をかく、熱い、冷たいなどの温度を感じる、毛を生やすなどという働きを、ほとんどの部分の皮膚が共通して担っています。

様々な機能を備えている皮膚ですが、深く皮膚を傷付けてしまった時や怪我をしてしまった時、怪我が治った後の皮膚の見た目は、怪我をしなかった皮膚と同じ見た目には戻りません。

また、しばらくの間、もしくはいつまでも怪我をした皮膚の機能が完全に元に戻らなかったりもします。

なぜこのようなことになるのでしょうか? それを理解するためには人間の皮膚構造というものから見ていかなければいけないでしょう。

皮膚表層の一番上の部分は表皮と呼ばれています。表皮のほとんどの部分を占めているのは硬化した細胞、角化細胞(ケラチノサイト)と呼ばれ、体を保護する役割を担っています。

皮膚は絶えずはがれ落ちることで再生を繰り返しています。ですので、傷ついてもすぐに修復されます。しかし、そうではない場合があります。

血管や神経、その他、体の機能に深く関わってくる神経線などが存在する真皮までぐっさりと深く傷ついた時、皮膚の修復はそう簡単にはいきません。そこで起こるのが、4つの重なり合った皮膚修復の段階です。

まずは初めに起こるのが止血する働き。皮膚に起こる2つの損失、血液と皮膚バリアの損失を防ぐために起こります。

血管収縮性と呼ばれる働きにより、血管は出血を最小限に抑えるために収縮します。このことによって血液凝固が起こり、血液と皮膚バリアの損失は防げるのです。

そして、特殊なタンパク質であるフィブリンが皮膚の表面に網状に繋がって出血を防ぎ、また、バクテリアや病原菌の侵入から皮膚を守ります。

それから3時間ほど経つと、皮膚は赤く変わってきます。炎症と呼ばれる次の段階です。

皮膚バリアも保護され、出血も押さえられると、体は体内に入り込んでしまった病原菌と戦うための特別な細胞を繰り出します。

最も活躍するのがマクロファージと呼ばれる白血球で、皮膚の治癒を促進させる因子を成長させるために、食作用と呼ばれる活動でバクテリアやダメージを受けた細胞を処理します。

血液中の小さな戦士たちが皮膚の傷のところまで血液中を大移動してたどり着かなければなければならないので、それまで収縮していた血管がこの時、大きく広がります。これが血管拡張と呼ばれる過程です。

怪我を負ってから2~3日もすると増殖と呼ばれる段階に入ります。繊維芽細胞が傷口にやってきます。

コラーゲン沈着の過程で繊維芽細胞は傷口でコラーゲンと呼ばれる繊維性タンパク質を生成します。 

フィブリンに取って代わって皮膚組織を再生する細胞です。表皮細胞は皮膚の外側を再生するために分裂します。真皮は傷口を防ごうと細胞を寄せ集めます。ついに皮膚再生の第4ステージです。

コラーゲンが再配列され、傷ついていた細胞は、新たな細胞へと生まれ変わります。これらの働きはおよそ1年もの時間を要します。傷口だった皮膚はすっかり強くなっていることに気付くでしょう。血管や他の組織も同じく、です。 

怪我の程度にもよりますが、傷口は時間が経てば元々の皮膚の状態の50~80パーセントにまで近づけるでしょう。しかし、傷口が完全に回復することはありません。傷跡をどうするか、というのは世界中の医者が抱えている大きな課題の1つなのです。

皮膚の治癒再生過程についての研究が進んでいるのにも関わらず、多くの根本的な謎は未だに残されています。

繊維芽細胞は血管からつくり出されるのか、もしくは傷ついた皮膚の近くにある皮膚組織から出されるのか。また、鹿のようなほ乳類の方が人間よりも完全に、効率的に怪我を治すことができるのは何故なのか?

これらの問いかけや他の疑問がすべて解決することができたなら、私たちは傷跡を過去の遺物にすることができるに違いありません。傷跡を残さずに怪我を治すことができるようになるでしょうから。

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