外国人に「お寿司食べられますか?」はもうやめよう--日本人が身につけたい正しい世界観

Opportunities born from the phrase -- that's not possible in Japan | Harry A Hill | TEDxMeieki

海外のテレビ通販番組を日本に持ち込み、深夜番組「ショップジャパン」をスタートさせたハリー・A・ヒル氏。「日本人は好まない」といった固定概念を打ち砕き、ビリーズブートキャンプをはじめとしたさまざまな商品を日本でヒットさせてきました。ヒル氏は国によって境を作らないことの重要性について語りました。(TEDxMeieki2013 より)

アメリカ人のヒル氏が日本に来た理由

ハーリー・A・ヒル氏(以下、ヒル):みなさんこんにちは。

観客:こんにちは。

ヒル:法衣で登場して驚かれたでしょうか? 私は30年前、少林寺拳法に出会いました。少林寺拳法では、こういう法衣で演舞、プレゼンテーションするのはあたりまえです。今回は当然プレゼンテーションですが、別に既成概念にとらわれません。

私がみなさんに一番見せたい演舞は何か? やはり「驚き」が大事だと思います。

30年前、私が少林寺拳法を始めた時は、すごく日本に関心を持っていました。30年前、日本の文化は海外に普及していませんでした。私が「日本に興味がある」「日本語を勉強する」と言うと、周りからすごく否定されました。

私は、中学校、高校とスペイン語を勉強していたのですが、語学は得意ではなかったので「スペイン語ができない君が日本語をしゃべるようになれるなんて絶対にありえない」と言われました。まあ、なんとかそれを乗り越えました。

これもよく言われました。「日本に行ってどうするんですか? 日本は遠い。アメリカにはいろんなものがいっぱいあるし、ヨーロッパは豊かなのに、どうして日本に行くんですか?」でも、私は日本に行ったらきっとチャンスが生まれてくるんじゃないかと(思いました)。

自分のひとつの使命は、まず日本に行って日本語を勉強する! そこでインスピレーションが(生まれて)くる! そういう風に信じていました。

私の一番大切な存在は母親です。うちの母はずっと、私のやることをいつも応援してくれました。母はいつも僕に言いました。「天井を見てはいけません。青空を見てください」と。

天井は国境、境ですよね。青空は可能性です。どっちが大切ですか? みなさんにぜひ私の青空の見方を紹介したいと思います。

さっき、私が法衣で出てきたことに違和感があったかどうか、みなさんに聞きました。もしかしたら、私が日本語をしゃべることができることに違和感を持っている人がいるかもしれないですね。

今でもまだいますよ。私が日本語でしゃべると英語で返してくる(人が)。あるいは(私が日本語でしゃべっても)“I don't speak English.” (私は)英語がしゃべれないので日本語をしゃべりましょう。

国によって境をつくることが正しい見方なのか?

この写真を見てみてどう思いますか? 違和感がありますか? あまりないですよね。盆栽だし、日本人だし、これが普通ですよね。これはどうですか?

いや、どうして外国人が盆栽? めずらしい外人だな、と思いましたか?

実は、こういう話は日本に来てからよくありました。(日本人と)話をすると聞かれます。「アメリカ人はどう考えますか?」と。(私は)すごいプレッシャーを感じます。アメリカ人の代表としてアメリカ人がどう考えるのか……。(私は)大統領なのか……。

こういう境をつくることは、日本に来てからいっぱいあるんですよ。ただ、これが正しいですか? と。私から見るとこういう風に、日本人でも、みんなが同じ考え方というわけではないんですよね。

私は少林寺拳法が好きですけど、日本人はみんな少林寺拳法が好きですか? いや、そうでもないですね。少林寺拳法が好きな人もいるし、合気道が好きな人もいるし、全くスポーツが嫌いな人もいます。こういう風に、日本人、アメリカ人、国境をつくることが正しい見方ですか?

逆にこういう風に見たらいっぱい世界観が出てくるんじゃないかと(思います)。私達の共通点はなんですか? われわれが日本人、外国人じゃなくて「趣味はなんですか?」私は日本に来て少林寺拳法の友達がすぐできて、共通の趣味ですから、そこでかなり日本語の勉強ができたんです。

こういう風に世界観を持つのが正しい見方じゃないですか?

“Can you eat SUSHI?” 日本に来た28年前からよく(聞かれます)。今日もスタッフの方から久しぶりに「お寿司が食べられるんですか」と(聞かれました)。

寿司は日本の食文化ですけれども、みなさんはなぜ、外国人は寿司が食べられないと思っているんですか? いや、われわれが……あ!

(寿司屋店員が舞台袖より登場)

寿司屋店員:へい! おまちどうさま!

ヒル:はい、ありがとうございました。

(ヒルが寿司を食べる)

(会場笑)

ヒル:おいしい。

(会場笑)

ヒル:外国人でも「食べること」をしますので、日本の食文化だから(といって)外国人が食べないということは決してないです。

深夜のテレビのスナアラシから得たヒント

さあ、みなさん! これを見てどう考えますか?

はい、これはなんですか? ノイズ、スナアラシですよね。20年前、日本の深夜のテレビはこの状況でした。何もない! 実は、30年前のアメリカの深夜のテレビの状況です。一緒! どうですか? ひょっとすると、今日の深夜、テレビをつけたら(この番組を)を観るかもしれません。

(ナレーション)ショップジャパーン!

(会場笑)

(ナレーション)みなさま、のこぎりを使っていてこんな経験ありませんか? 怖い! まっすぐ切れない! 時間ばかりかかる! そんなノコギリとはもうおさらば! 回る2枚刃! 切れ味豪快!

ヒル:こういう番組があります。非常におもしろいことなんですが、私達が20年前、スナアラシを見て「海外ではこのような通販番組が成功している。(日本でもやりませんか?)」と提案したら、(日本の)テレビ局は、「いや、こういう通販番組を日本人は好きじゃない」。(と答えました)

「どうしてですか?」「だれもやったことありません」だれもやったことがないなら、日本人が好きじゃないってどうしてわかるんですか? それともうひとつ「深夜はだれも見ていない」なぜそう思うんですか?

スナアラシしかないじゃないですか。それは当然ですよ。深夜にテレビをつけてスナアラシを見ておもしろいとはだれも言いません。

(会場笑)

それでどうなったでしょう? 私達がすごく時間をかけて説得したら……、みなさんご存知のとおり、通販番組は深夜だけじゃなく1一日、24時間放映しています。

ということは、日本人が(通販番組を)好きになった? 好きになった、じゃなくて、好きです! もうひとつ、これはおもしろいことなんですけれども、私達が説得をしたことによって、テレビ局は……。

深夜、人は見てるんです。今は普通にテレビのコンテンツ、テレビ番組を作っているんです。(私は)英語の先生として日本に来たんです。ゼロからスタートして日本を変えたんです。

どうして変えたかというと、スナアラシにチャンスがあるじゃないかと、そこからチャンスが生まれたんです。

「日本人は好きじゃない!」という固定概念を持たないほうがいい

さあ、これ、みなさんわかりますか?

この人は、30年前、1970年代のジェーン・フォンダです。ジェーン・フォンダは、アメリカでエアロビクスが始まった時、フィットネスクラブではなくて家でやったらどうですか? と、DVDではなくてビデオを販売したんですよ。

それでみんな、家でビデオを見ながらエアロビクスをやりました。私達もこれを見て「日本では(このビデオは)どうですか?」と……。(すると)固定概念で「日本人は好きじゃない! 家で運動はしない!」それでどうなったでしょう? 

(ナレーション)7日間集中プログラム! それがこのビリーズ・ブートキャンプ!  

ヒル:みなさんご存知だと思いますが、2007年、かなりの社会現象、ブームになりました。ただ、私が一番言いたいことは、これはさっきのスナアラシと一緒ですが、そんなにびっくりすることじゃないです。

これはやはり……、世界で流行ったこと、フィットネスに関する関心(を持つの)は、アメリカ人だけじゃないはずですね。ヨーロッパ人だけでもないはずです。日本人にもいるはずじゃないですか。

こういう共通の趣味、考え方はあるでしょう。それから、ビリーズ・ブートキャンプだけじゃなく、別のいろいろなものを私達も(世に)出しました。

アメリカでのフィットネスDVD市場は1600億くらいです。日本は、2007年の前は、ほぼゼロでした。現在、大体アメリカの3分の1くらいだと思います。

われわれも進出していますが、もちろん他の会社もどんどん参入しています。われわれはチャンスのないところからチャンスを見つけ、他社もチャンスを見つけていると思います。

タイムトラベルするのに……、まあドラえもんの話じゃないですよね。タイムマシーンが必要じゃなくて、私にはインターネット、テレビ、飛行機があれば(タイムトラベルが)見えるんですね。

海外ではやっていて日本には来ていない。それが大きなチャンスだと……。お金持ちの人、頭のいい人しかしかチャンスをつかめないのではなくて、「私はこのことにすごく興味がある!」(というような)パッションを持っている人は大きなチャンスがあると思います。

ただ、海外で流行っているものを日本に持ってくるだけですから。

もう1回戻ります。外国人がお寿司を食べられるかということ。外国人が寿司を食べるのは非常にめずらしい……。

これは固定概念ですね。では、どうですか? これは私の地元のニューヨークです。

セント・マークス・ストリート、この250メートルの間に日本のレストランが9店舗あります。28年前、私が日本に来た時は、1店舗もありませんでした。アメリカだけでなく、世界中で日本食ブームですよね。寿司ブームです。

これは日本のレストランの増加(を表すグラフ)です。これはジェトロ(JETRO)の調べなんですが……。

日本人が経営しているところは非常に少ないです。なぜですか? これは、日本食を外国人は食べないという固定概念が(日本人に)あるからではないですか?

それではチャンスはつかめません。でも、(チャンスを)つかんでいる人がいっぱいいます。ほぼ、中国人と韓国人ですが……。

共通点からいいチャンスが生まれてくる

みなさん、ここはどこですか? どこだと思いますか?

秋葉原? パリです。

はい、ここにいる日本の人、手をあげてください。

(会場挙手)

おお、すごいですね。えーっと、コスプレやってる人、手をあげてください。

(誰も手を挙げない)

え? アニメ文化は日本の文化じゃないですか!

(会場笑)

なぜやってないんですか!?

こういう風にパリで(コスプレを)やっていますが、私は起業家ですから、すごいビジネスチャンスだな、と(思います)。じゃあ、だれがビジネスチャンスをつかんでいるのか? みなさんは毎日、目の前でこういうことを見ているじゃないですか。なぜつかめないんですか?

もう一度……、みなさんは何を見ているのですか?

外国人がこうやっていることに違和感を感じる、あるいはこういう風に境がある……、というのは、とっぱらってください。

日本人、外国人、ではなくて、共通点はどこにあるのか? 共通点からすごくいいチャンスが生まれてくる、それをぜひみなさんが感じてください。私は起業家ですからビジネスを見つけるんですが、別にビジネスということじゃなくて……、音楽、文化、スポーツ……、いろんなチャンスが見つかります。

国境がなくなれば世界は平和になる

みなさん、何が見えますか?

私の奥さんです。もうひとつのチャンスは恋ですね。出会いです。結婚してもう26年目です。子供も5人います。

最後に……。(さっき)私は母の話をしましたね。母は私にいつも「青空を見てください」と(言っていました)。今日はTEDxMeiekiですが、僕はここでお話しできてうれしいです。

みなさんに言いたいことは……、青空を見てください。

そして、私がもうひとつ言いたいことは……、若者が……、今は平成鎖国といって、私の長男は名古屋の高校出て(いますが)、彼の同級生で海外に行っている人はひとりもいないんです。

海外がいいということじゃない、海外から世界を見るということはすごいチャンスです。そのチャンスを、みなさん、つかんでください。僕と同じ40代、50代の人は、天井をつくらないでください。

若い人は、青空を見て、自らのチャンスを見つけたら大きな貢献ができます。ビジネスでもいいし、出会いでもいいです。世界に国境があると平和がなくなりますが、国境をなくすと平和になります。

ぜひみなさん、挑戦してください。

ありがとう!

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