経験学習モデルを元にした心理的安全なチームとは?

斉藤知明氏(以下、斉藤):みなさん、おはようございます。Unipos株式会社の斉藤です。本日は「チームの自律性を高め、学習する組織を作る方法―経験学習モデルを元にした心理的安全なチームとは?―」と題して、Uniposウェビナーをお送りします。

プログラムはこちら。まず、自律型組織・学習する組織について、参加者のみなさまと考えていきます。その後に「チームの自律性を高め、学習する組織を作る方法とは?」という今回のテーマについてご講演いただき、それを受けたディスカッションに入り、最後にQ&Aのパートという流れです。

ここで自己紹介をさせてください。Unipos株式会社 執行役員 CPO、プロダクトの責任者をしている斉藤です。

在学時に単語アプリで起業。その後、今の会社の前身であるFringe81に入社し、社内で「Unipos」を立ち上げました。いろんな組織のみなさまをUniposを通してご支援させていただいたり、Unipos社・旧Fringe81社の役員を務めたりして、自社の組織作りにも携わっています。

それらの経験から、組織作りのモットーとして「『自律的な意思決定を促す権限委譲』ってどうすれば進めていけるんだろうか?」と考えるのがとても大事だなと捉えていますので、今日のテーマは個人的にもすごく楽しみなテーマです。よろしくお願いします。

では、株式会社IWNC マスターファシリテーター/株式会社インスパイアマン 代表の生田洋介さんです。よろしくお願いします。

生田洋介氏(以下、生田):よろしくお願いします。生田洋介と申します。IWNCという会社で25年ぐらいかな? いろんな組織風土改革や人材育成のお手伝いをしてきていました。「IWNC」という社名は「I Will Not Complain.」。つまり「文句を言いません」っていう名前なんですね。

これは「自分が決めた目標だから、達成するまでつまんない文句を言うのをやめようよ」というメッセージになってまして。僕はその信念の基に、組織開発や組織人材の支援をしています。今日は僕が携わっている“ある自動車メーカー”の組織風土改革事例をご紹介したいと思っています。短い時間ですけど、どうぞよろしくお願いいたします。

あえて「心理的安全性や自律性が低い組織」を作るとしたら?

斉藤:では、我々から2つの問い掛けを用意しています。まずはクエスチョン1。今回のテーマの対極ですが、あえて「心理的安全性や自律性が低い組織」を作るとしたら、どんなことをするといいでしょう? 「どんなことをすると、それらが低い組織って出来上がっちゃうんですか?」について、ぜひみなさんのご意見をおうかがいしたいです。

ぜひぜひご意見をいただければと思いますが、(チャットを指して)続々とコメントが来てますね。

生田:反応が早いですね。みなさん、すごいな。

斉藤:「ワンマン経営」「すべてをネガティブに捉える」「コミュニケーションをしない」「権限委譲を一切与えない」「ワクワクを感じる設定がない状態で進めてしまう」。

「ミーティングでつるし上げる」っていうのがあって、なかなかおもしろいですね(笑)。なるほど。

「細かな指示を毎日送って、その出来栄え・行動の成果をチェックする」「工夫の余地がない設計、計画に従わせる」「徹底的に個人の意見を否定するといいんじゃないか?」「叱責、怒る、責め」「完全なトップダウン組織」「ガチガチに管理する指示待ち組織」。

生田:もしかすると、身近なことを全部挙げてくれてるのかもしれませんね。

斉藤:そうですね(笑)。「(あえて)作るとしたら」ですから、自分の身近な事例かもしれないです。想像かもしれないですけど。

「行動一つひとつをマニュアル化」「上司の承認をもって進行させる」「揚げ足を取る」「100パーセント」。生田さん、この中で特に「よくあるな」とか「無意識でやってしまってる人が多いな」っていうのはありますか?

生田:タイムリーな話で、僕は今、中3の息子のことで悩んでるんです(笑)。

斉藤:(笑)。

生田:やっぱり指示が細かいとか。いちいち(親である自分が)言うと、本当に(子どもが自分で)考えなくなるんですよね。身につまされる思いで見ています。

斉藤:(笑)。子育てにも、ちょっと類似するところがありますよね。

生田:いろいろと言いたくなっちゃうんですよね。

斉藤:なりますね。

生田:やっぱり感情を出してしまうっていうことですね。

斉藤:うんうん。「聞く耳を持たない」「禁止事項ばかりの組織じゃないか?」「失敗を責め、トップダウンで仕事を進める」。「マイクロマネジメント」「事細かにタスクを指示して管理する」。

「不透明」。これは、上層部の意思決定の背景・理由がわからないようにするのも、ある意味で自律性が低い組織を作ってしまう一因ではないかってことですね。ありがとうございます。たくさんコメントをいただいて。

生田:うれしいですね。

斉藤:100件を超えた気がしますね。「まず怒る」「笑いがない」。ああ、笑いがない。

生田:笑いは大事ですね。

斉藤:大事ですよね。ありがとうございます。

「『夢を語れ』と言われ、語ると『夢みたいにできないことを言うな!』と言われる」。これはなかなか難しいことを言われますね。

生田:ノリツッコミみたいですね(笑)。

斉藤:(笑)。Q1にお答えいただきましてありがとうございました。

心理的安全性や自律性が高い組織を作るには?

斉藤:続いてクエスチョン2ですが、今度は逆。ポジティブなほうにいきましょう。心理的安全性や自律性が高い組織を作るには、どんな立ち居振る舞いをすべきでしょうか?

(チャットを指して)「まずは相手に感謝する」。おお。「お互いがお互いをリスペクト」「何でもチャレンジできる」「他人へのリスペクト」「多様性を認め合うことじゃないか?」「相互理解、相互の尊重ができている」。

生田:「これ(この質問の答え)を知りたいから来たんじゃないか?」っていう人もいますね(笑)。

斉藤:(笑)。このチャットは勉強になりますよね。

「権限委譲を明確にする」「ワクワクを感じられる設計をする」「傾聴する」「相手を尊重し、承認し合える組織」。

「人の意見を否定しない」。これ、難しいですよね。「人を憎まず事を憎む」って言います。意見は否定をしなけど、何に対してもイエスマンでも駄目だっていうのがあるから、難しいところですよね。

まさにこちらの参加者さんがおっしゃっていただいてますが「意見の否定はしても、相手の否定はしない」。あとは「半分の時間はバカ話をする」。

生田:半分は多いかもしれないけど(笑)。

斉藤:(笑)。

生田:やっぱり遊び心とか、そういう雑談。僕は雑談推進派で。最近だと、オフィスには本当に雑談しに行ってるみたいなものですからね。

斉藤:オフィスですれ違っている時にさっと声を掛けるとか。やっぱりオフィスのほうが、そこ(雑談)がやりやすいポイントですよね。

生田:そうですね。オンラインだと「用件だけの会話」になっちゃうことが、どうしても多いので。

斉藤:オンラインで解消できる術があったらぜひ、というところですね。「自分たちの売り物にプライドを感じられる」。これ、大事ですよね。

生田:そうですね。やっぱり仕事そのものに対しての向き方でしょうかね。

斉藤:みなさん、ありがとうございます。今回は「チームの自律性を高め、学習する組織を作る」というテーマですが、まずみなさんがどう思っているのか? についてご自身で発信いただくことで、ウェビナーを自律的な会にしていきたいと思い、このコーナーを用意しました。

では生田さん。「チームの自律性を高め、学習する組織を作る方法」についてのご講演をお願いします。

自分が持っているチームを良くしていくための「WiCS研究会」

生田:あらためまして、よろしくお願いいたします。先ほども申し上げましたけれども、僕はIWNCという会社で組織の風土改革を仕事にしていて。これはもちろん人材開発・人材育成として研修みたいなかたちでやることも多いんですが、やはり「ただ学んだだけ」だと組織は変わっていかない。

なので、それを組織全体としてどういう位置付けにして、どんな取り組みとして継続していくか? というのが重要になってくるんですね。風土というのは簡単には変わらないんです。例えばシステムとかなら計画して一気に変えることはできるんですけども、人間を一気に変えるのはやはり難しいので、それなりの手間と時間がかかるものだなと思っています。

その取り組みをざっくり、(持ち時間)10分なのでダイジェストでお話しして、この後のQ&Aやディスカッションで細かいところはお話しできればと思っています。

大げさに「風土改革」って言うと、実は社員のみなさんも非常に構えるんですね。なので「研究会」っていう名前で進めています。「WiCS研究会」。

(スライドを指して)この図は、たぶんみなさんもご覧になったことがあると思いますが、実はちょっとだけ違うんですね。(左下の円を指して)ここが一般的には「Must」なんです。でも「『自律的な組織』と言った時、どこが大きくあるべきだろうか?」って言うと「Will」。一人ひとりの「やりたい」とか「こうなりたい」とか、そこを強めていく。

そこを意識した時に「『Must』って、ちょっと“やらされ感”があるので、『Should』の方がいいよね」っていうことでちょっと改造しまして。それらの頭文字を取って「WiCS」って呼んでるんです。

なので、これは実は大事なコンセプトで。社員の本当に一人ひとりが「自分はどうしたいのかな」「どうなりたいのかな」「何をやりたいのかな」。そして「どんな貢献がしたいのかな」にちゃんと目を向けていく。それをどうしたらそうなっていくか? を研究していくという意味合いで(この名前)を付けています。

あと「研修」っていう名前を付けていない理由ですけど。「研修」って言うと、どうしても多くの人が「先生が出てきて何か教えてくれる」って受け身になっちゃうんです。自律的な組織を作るわけですから、そういう受け身は初めから排除していく。

たまたまこれをスタートした会社が自動車メーカーの研究開発センターで。すごくなじみのいい言葉でもあったので「研究」を使いました。目的はやっぱり、組織として飛躍的に向上していくとか、これからのリーダーを育てていくというものがあるんですけど。

あんまり「組織」って言うと、一人ひとりの意識からは遠いもの……。「組織ってすごく遠いもので、自分とは違う」って思っちゃう人もいます。ここではリーダーが対象になるので「自分が持っているチームを良くしていく」というのが、当面の目標になっています。

「何をやり、どれだけの人を巻き込み、どうなった?」のPDCA

生田:コンセプトとしてはやっぱり主体性ですね。主体性って、自律性と非常に近い言葉ですけど、何か「研修のテーマのためにやってる」とか「宿題のためにやっている」ではなくて。「自分たちの組織をどう変えてくか?」について、みんなで考えて進めていくというところ。これが他と違うところです。

一般的なリーダーシップ研修だと「リーダーが(自分1人で)学んだことを実践する」っていうアクションプランで終わってしまうんですけど。そうではなくて、本当にチームのメンバー全員を巻き込んで。しかも本当に自分たちの業務に乗っけて変えていく……というか、進め方を変えていくってことになります。

あとは関係性。これも後でお話ししますけども、このベースができてないと、うまくいかないですね。これをどう作っていくか? どんな関係性がパフォーマンスにつながっているのか? これをみんなで考えていくということです。やっぱり研修というのは本当に数ヶ月、場合によっては単発で終わってしまうことも多いので、これをいかに続けていくか? というのがテーマですね。

構造としては非常にシンプルなんです。「組織風土」って言いますけど、(組織の人間)全員を集めることはなかなか難しいし、じっくりやるのは難しい。だから「現場のリーダー」をある一定数集めてグループを作って、その中で数ヶ月活動していくんですが。

活動というのは基本的には、それぞれ「リーダーが集まる回」の1.5ヶ月間で、そのリーダーが自分の職場で一体何をやって、どれだけの人をどう巻き込んで、どんなふうになったか? というPDCAをぐるぐる回していく。

その結果を持ち寄って、またリーダー同士でディスカッションして、フィードバックし合ってまた新たなヒントを得て、職場へ持ち帰って、また実践して。というのを、けっこう細かくやります。

きちんとしたPDCAのシートを作って、そこに書き込んで事前に全員に共有したりとか、わりと細かくやります。僕らファシリテーターもいろんなヒントを与えたり、コーチングをしたり。そういった構造なんです。

いったん、1つのグループにおいては半年から8ヶ月かけてやるんですけど、これ(リーダー)をいろんな職場から集めてきて、横断的につながりを作っていくっていうのも仕掛けています。だから1つのグループの構造としてはシンプルなんですけど、運営側としては計画的に「どの部署からどういう人を集めてくるか?」というのをやっていきます。

そして、半年で実際にどんな変化があったのか? について確認したいし、逆に活動するにしても「何かしらの指標が欲しい」ということで、事前のサーベイと最後の効果測定を行うんですが。これはですね「リーダーがどう変わったか?」ではなくて、その職場のメンバーすべてが対象になっているので、一人ひとりに回答してもらうんですね。

一人ひとりが「組織に対して」とか「仕事に対して」どのように感じてるか? この数ヶ月でどう変わっていくか? を追っていきます。

「個人の活力」と「職場環境の望ましさ」で示すグラフ

生田:(スライドを指して)グラフになっているんですが、数値で出てくるので。1つの軸(縦軸)は「個人の活力」。もちろん、先ほど言いましたけど「リーダーだけ」じゃなくて、メンバーの一人ひとりの仕事に対しての受け止め方、特に楽しさ。「仕事を楽しいと感じてるかどうか?」。あとは「目的意識を持っているかどうか?」「可能性を感じているかどうか?」。そんなポイントの個人の活力につながってくる項目と。

横軸は「職場環境の望ましさ」です。これは流行りのキーワードですけど、心理的な安全が醸成されているか? 違いが尊重されてるか? とか、新しいアイデアが受容されるか?

項目としては、脳がポジティブになって創造性が発揮されたり、イノベーションが起こったり、主体性が向上したりっていうのにつながる項目なんですね。

要はこういった「組織で創造性を発揮したり、イノベーションを起こしたり、一人ひとりが主体的に仕事に関わったり」っていう風土を作りたいというのが、この企業の望みだったんです。自動車会社ですから、新しいものを生み出していかないといけない。

それを一人ひとりのメンバーにフォーカスして測っていく。(スライドを指して)これはですね、縦軸・横軸で数値が出るとどこかにポイントができるんですけど、それをチームで集計したもの。それが「半年でどう変わっていったか?」を調べているんです。

けっこうおもしろい実験で、いろんなことがわかってきたのでちょっとだけ紹介します。もう6年もやってて、まだ継続中でして。150以上のチーム、150以上の職場でやってきてますが、いろんな傾向が見えてきたんですね。

事細かに「リーダーがどんなことをしたか?」っていうのはログが残ってますから、それと前後の変化を比べた時に、例えばぐんと伸びているところもあれば、ちょこっとしか伸びないところもあれば、下がっちゃったところもあるんです。

「『何かやれば、必ず何か良くなる』ということはない」ってことがわかったり、実際にぐんと上がったところではどんな活動をしてたのか? について、なんとなく傾向がわかってきました。

ちょっと話しますと、まずは「メンバー同士の関係性」。要は「相互理解から相互信頼に変わっていく」こと。そして自分たちの仕事の意義。そういったことについてきちんと話し合っていたり、密なコミュニケーションを維持できている、といった傾向がありました。

(スライド右上の図を指して)こういった、もともと高いところから右側(良い傾向)に動いていく。「個人の意識は高かったけど、わりと個人商店になっていた。この活動をすることによって連携が生まれて、今度はチームに対しての意識も上がってきた」という事例もあるんです。

これはもともとの「職場の傾向」もありますね。職場の傾向によって、個人の活力のもともとのスタートがだいぶ違うんですね。デザイン系とか設計とか企画系っていうのは、もともとわりと高い。でも個人商店になりやすい。

例えば品質保証とか、わりと自分たちとは違うところで何かクレームを受けたりとか、そういうところでやりがいを感じられなくて、もともと(個人の活力が)低いとか、そういった「職場としての傾向」もありましたけど。それを上げていく過程では、やはり同じような活動に取り組まれているっていうのが見えました。

「実践しさえすれば、何かが良くなる」わけではなかった

生田:僕はもう20年以上研修みたいな仕事をしてて、かなり目からうろこの学びがあったんです。学びっていうか気付きですね。(スライド下の図を指して)この「×」です。

一般的なリーダーシップ研修っていうのは、リーダーが何かを学んで「アクションプラン」を立てます。そして「これから職場でこれをやります」と宣言するわけですが、その学びを(研修から)持って帰らない人も多い。なので、まずは職場に帰ってきたリーダーが、それを必ず実践することが大事だと。

「実践しさえすれば、ちょっとでも何か良くなる」って信じてたんです。「やらないことが問題」だと。研修の学びを実践しない人のほうが多いので、実践しさえすれば何かプラスになると思ってたら、それは違ったんですよね。

リーダーが「そうか。こうしよう!」って決めて。「よし、役割をこういうふうに決めて、こういうシートを作って」とか「みんなで関係性を高めるイベントをやって」とか。そういったことをリーダーが勝手にバンバン決めて、アサインするわけです。「じゃあ君はこれ担当ね」「これ頼むね」「これをここでやろう」って言ってね。

要はリーダーの“独り相撲”みたいなかたちでグイグイ進めると、メンバーが引いちゃったり、あとは負担が増えたり。あるいは「反感情」みたいなものが湧いてマイナスになっちゃう、っていうことが実際にいくつかあったんです。

進めている過程でもわりとフィードバックをするんですけど「自分はちゃんとできてる」「うまく巻き込んでやってる」って(リーダーが自分で)言ってたにもかかわらず、結局は巻き込めてなかった。といった事例もあったんで、僕は「すごく奥深いな」と思いました。ここはまた別で補足できたらと思います。

結果を出したいなら、スタートは「関係の質」

生田:こういった中からいろんな原理原則というか、今まで僕らが「理論」として使ってはいたけれど、「やっぱりそうだったんだ」と思った理論を2つだけ紹介したいと思います。

(スライドを指して)これは「組織の成功循環モデル」といいまして。僕が提唱しているんじゃなくて、ダニエム・キムさんというマサチューセッツ工科大学の教授がおっしゃってるんですけど。一言で言うと「結果を出したいなら、スタートは『関係の質』ですよ」っていうところなんです。

初めから「結果」(だけに着目)ってやってしまうと、こちらの「Bad cycle」で。冒頭でもありましたけど、指示待ちの関係ができたり、ちょっとパワハラめいた関係性になったりとか、犯人探しとかね。関係性の質が悪化すると、仕事がつまらなくなっちゃうんです。思考の質が低下して、行動もしなくなります。

その逆。やはり関係性を維持することでいろんなコミュニケーションが増えて、仕事のおもしろさが増していく。そこに対して考える力が湧いてくる。すると行動したくなるんですね。これが主体性の源泉。

主体性というのは1人でがんばって作るものじゃなくて、僕はやっぱりチームで、関係性の中から作っていくものじゃないかなと思っています。これは、まさに実際に活動の中から見えてきたことです。

もう1つは(スライドを指して)こちら。よくあるのが、職場を良くしようとして「働きやすさ」をどんどん追求していく。

その会社では「困り事」っていう言い方をするんですけど。メンバーが「ここはちょっと仕事としてやりづらいな」とか、いろいろシステムの問題だったり評価の問題だったりもあるかもしれないし。あとは労務関係とか職場環境。

世の中でもわりと「職場環境を良くしていく」という、いろいろな働き方改革なんてやってますけど、実は「働きやすさ」をいくら追求しても「働きがい」が高くなるわけではない。この2軸なんですね。(「働きやすさ」と「働きがい」では)軸が違う。

やっぱり主体性っていうところで自律性を考えた時に「いかに『働きがい』を高めるか?」なんですね。(「働きがい」とは)「自分からやりたくなる」っていうことなので。なのに「働きやすさ」ばっかりを追求して、こっち(「働きがい」)にぜんぜん目を向けないチームがあるんですね。そういうリーダー(の傾向)だったり。

当然「働きやすさ」がマイナスだと右側(「働きがい」)に目が向けられないんですけど、やっぱり同時並行ですね。「働きやすさ」っていうのも、ある程度は整えつつ。

これ(「働きやすさ」の改善)は「やったらやっただけ良くなるか?」って言うと、そんなことなくて。人間っていうのは欲張りなんで、さらに欲が出てくるんですね。「給与を増やしたらそれでずっとOKか?」っていうと「いや、もっと欲しい」になっちゃう。それと一緒です。だから、こっち(「働きがい」)に目を向ける。これは先ほどもサーベイの軸にあった「楽しさ」とか「目的意識」とか、そういったところですね。

とにかく繰り返すべきは「ガチの対話」

生田:こんなことをリーダーたちにも共有しながら、リーダーはまずはスタート・成長段階において、最初はチームビルディング。関係性を作る。チームビルディングって俗に言うと、何だろうな……イベントのことではない。関係性の基礎を作っていく取り組みを日常、やっぱり地道にやっていく。お互いを知るということ。

ここではいろんなツールを紹介して。お互いの行動特性を知って多様性を知ること、お互いの理解を進めることとかね。わりとプライベートについてもいろいろ話してもらったりします。

それを経て、いろんなことが話せる関係になっていって、実際「ガチの対話」というカジュアルな言葉を使ってますけれども。本当に自分たちが目指していることとかやりたいことに対して「今これはどうなんだろうか?」っていう、要は経験学習。

やってみたいろんな仕事の結果を振り返って。「ここはうまくいったね」「ここはうまくいかなかったね」「これからどうしようかね」。PDCAサイクルを常に対話の下に進めていける(かどうか)。

実際、実務とは別にいろんなテーマ。チームとか組織とかそういったこともそうだし、場合によっては自分たちの業界に関わるいろんな社会的な現象であったりとか。そういったいろんなテーマで対話を繰り返すということ。これがですね、また関係性を作っていくことにもなります。

「今まであった仕事を、今まであったやり方でうまくなっていく」だけではなくて、自分たちの仕事そのものの定義。もちろん、会社として世の中に与えている影響だけではなくて「自分の職場が、組織内のどこにどういうインパクトを与えてるのかな?」っていうのも新たに定義しながら。

自分たちの仕事の価値。それが楽しいと思えるかどうか。意味があると思えるかどうか。それをやることで将来につながっていくだろうか。そんなことを話せるようになってくると、先ほどのグラフでもかなり右上に振れていきます。

最終的にはもう、新たに自分たちで新しい価値として「こういうことをやっていこうよ」っていうのを作り出していくと、もう右に振れちゃう。

ただ、多くはなかなか、ここ(スライド右上「仕事や価値を再定義する」)に行けない。だからこことここ(スライド中央「チームビルディング」と「自律的に学習する組織になる」)を行ったり来たりしてることが多いです。この(研究会で取り組む)半年だけですとね。だけど、まず注目すべきは仕事でパフォーマンスを出すことがまた関係性にもつながってきますので、ここ(スライド中央「自律的に学習する組織になる」)を、まず重点的にやる。

そのために、自律性といった意味で「ガチの対話」をとにかく繰り返す。ガチ、ガチね。ちょっとうまい言葉が見つからなかった。「真剣」とか「マジ」とか「本気」とか「本音」とかっていうのも、なんかちょっと違って。この「ガチ」の関係を、まず目指してください。

そしてその対話を自分たちのチームに照らし合わせて「現状どうなのかな? 何に、どこに向かいたいのかな?」。こんな対話をぜひ続けてほしいので、ぜひみなさん、関係性というところからスタートしていただきたいと思います。ありがとうございました。