死に至る病 アルツハイマーの6つの進行ステップとは

What is Alzheimer's disease? - Ivan Seah Yu Jun

認知症(痴呆症)を引き起こす最大の原因である、アルツハイマー症。この病の発見は1900年代にさかのぼります。ドイツの精神科医アロイス・アルツハイマー博士がある入院患者に睡眠障害、記憶障害、急激な情緒変動、思考混乱などの特異な症状があることに気付きます。その患者の死後、病理解剖によって脳の細胞組織を破壊する老人斑と呼ばれる異常に折り畳まれたタンパク質と、神経原線維変化という病変部分を発見しました。アルツハイマー症は病気の進行によって、記憶障害、情緒不安定、被害妄想や幻覚を起こした後、心臓の脈や呼吸を司る脳の中枢部分も侵されて、死に至ります。現在、この恐ろしい病気の進行を遅らせるための対症療法に力を注がれていますが、根本的な治療法はまだ見つかっていません。治療法の確立と新薬の開発のために、研究者は日夜努力を続けています。(TED-Ed2014より)

4秒に1人、アルツハイマー病と診断されている

アイヴァン・シー・ユー・ジャン氏:アルツハイマー病は、認知症を引き起こす最大の原因で、患者の数は世界中で5千万人以上に及びます。4秒に1人、アルツハイマー病と診断されているのですが、その治療法はいまだに見つかっていません。

1901年、ドイツの精神科医アロイス・アルツハイマー博士が、ある入院患者に特異な症状が見られることに初めて気づきました。睡眠障害、記憶障害、急激な情緒変動、思考混乱などがその主なものです。

アルツハイマー博士は、このような症状は脳の異常構造が原因ではないかと考えていましたが、その患者の死後、病理解剖を行って、それを確かめることができました。

顕微鏡で観察してみると、大脳皮質に老人斑と呼ばれる異常に折り畳まれたタンパク質と、神経原線維変化という病変部分が確認されたのです。脳の細胞組織を壊していくのはこれらの老人斑と神経原線維変化なのです。

神経細胞を覆う脂質膜で、ある種のタンパク質が作られていますが、それがある酵素の働きで切り取られるとアミロイドβ(ベータ)タンパク質というものになります。このタンパク質は互いに引っ付きやすく、凝集していきます。老人斑といわれるものは、この凝集体のことを指すのです。

タンパク質の凝集体は信号を妨害し、神経細胞間の情報伝達ができなくなります。また、免疫反応を引き起こし、障害を受けた神経細胞を破壊すると考えられています。

アルツハイマー病のもう1つの原因とされる神経原線維変化はタウと呼ばれるタンパク質によって引き起こされます。

脳の神経細胞には栄養の通り道となる細い管のネットワークが形成されています。タウタンパクは通常これらの管を真直ぐに保ち、栄養分子がスムーズに通れるようにしてくれます。

ところがアルツハイマー病になると、このタンパク質は線維化し、もつれた状態になってしまいます。そうなると、管が壊れ、栄養が神経細胞に届かなくなり、細胞は死んでしまいます。

老人斑と神経原線維変化という2つの病変は、記憶を司る海馬と呼ばれる脳の部分から始まります。そのため、ほとんどの場合、最初に現れる症状は記憶障害です。

アルツハイマー病が進行する過程

アルツハイマー病を引き起こす2つのタンパク質は、次第に脳の他の部分に侵入して行き、病気の諸段階に現れる特有の症状を起こします。

海馬の次に、脳の前の部分が侵されると論理的思考ができなくなります。その次に、感情を制御する部分に移って行き、情緒不安定を引き起こします。

脳の上の部分に到達すると、被害妄想や幻覚が現れます。

脳の後ろに到達すると、人間のもっとも深い記憶も失ってしまいます。

そして、ついには心臓の脈や呼吸を司る脳の中枢部分も侵されて、死に至ります。

この恐ろしい病気をなんとか治す方法はないかと、多くの研究者が取り組んでいますが、現段階では、病気の進行を遅らせることの方に力が注がれています。

現在、対症療法として、アセチルコリンの分解を抑制する薬が使われています。アセチルコリンというのは脳内の大切な神経伝達物質ですが、アルツハイマー病の患者さんの場合は、それを生成する神経細胞が死んでいるため、減少してしまっているのです。

もう1つ治療法として考えられるのはワクチンです。ワクチンを使って、体の免疫機構に働きかけ、アミロイドβ(ベータ)タンパク質が凝集する前にやっつけてしまうことができれば、病状を抑えることができます。

しかし、対症療法ではなく、なんとか根本的な治療法を見つけなくてはなりません。アルツハイマー病の存在がわかったのは1世紀以上前のことですが、いまだによくわからないことが多いのです。

でも、きっといつの日か、この恐ろしい病気の背後で、どのようなメカニズムが働いているのか解明され、治療法が確立されることでしょう。

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