「チョコレートはただのお菓子ではない」最も純度の高いチョコに込められたメッセージとは

Patricia Tsai - TEDxSeeds 2011 #1/2

メキシコへ食の旅に行った際に出会ったチョコレート。昔は聖なる飲み物だったのにも関わらず、現代はチョコレートのあり方がどうしてこんなにも変わってしまったのか疑問をもったパトリシア・サイ氏。彼女は5年間かけてカカオ豆の契約農家との関係を築き、昔ながらの純粋なチョコレートを作り出しました。カカオの製造にどれほどの子どもたちが犠牲になっているのか、どのように販売されているのか。我々に身近なチョコレートについて今一度考えなおす機会となるスピーチです。(TEDxSeeds2011より)

チョコレートとは何だろう

パトリシア・サイ氏:このステージで普通じゃないことを話したいと思います。私の生活がずっと普通ではなかったので、その話をしたいと思います。私は、「あなたは何の仕事をしているの?」と聞かれると「チョコレートを作っています」と答えます。大抵の人には「へー、チョコレート職人なんだ」というトーンで返されます。弁護士とかお医者さんではないので、悲しいことにちょっと見下されたような気がすることがあるんです。

私は会計士としての仕事を辞めてメキシコへ食の旅に出ました。メキシコの旅は、人生とチョコレートに対する見方を変えることになったんです。この発見を世界に伝えることが私の使命なのだと思いました。そして、チョコレートの伝統的な作り方を見た時、疑問を持ち始めました。

「なぜこのような作り方をするんだろう?」

「なぜ市販のチョコレートにはいっぱい不純物が混ざっているんだろう?」

「なぜラテン・アメリカの外では伝統的な作り方が知られていなんだろう?」

そして私は知っていたと思っていたシンプルな質問を自分自身に投げかけました。

「チョコレートとは何だろうか?」

私がこれからするのはチョコレートの歴史の話です。昔チョコレートはみなさんが知っているようなチョコレートバーではなく、聖なる飲み物でした。何百年も前に、マヤ族やアステカ族が飲んでいた苦味のある飲み物でした。

アステカやマヤの人たちはみんなチョコレートのよさを知っていて、何マイルも行軍しなくてはいけない時に飲んでいました。戦争に行く前にも飲まれていたそうです。カカオというのはみなさんに知られているのとは違いますけれども、チョコレートのオフィシャルな名前です。昔カカオは貨幣として役割を果たしていたんです。カカオがどれだけ貴重だったのかを見ていきましょう。

1粒のカカオ豆は、1つのトマトを買うことができました。

25粒のカカオ豆は、なんと1匹のうさぎを買うことができたんです!

100粒のカカオ豆はターキーを買うことができました。500粒のカカオ豆は、驚くことに1人の女性をひと晩購入することができたんです。

チョコレート業界の現実と彼女が作るチョコレート

私が作るチョコレートは、みなさんが食べているチョコレートとどれくらい違うのかをご説明します。違いは3つ。まず、直接契約を結んでいる点。次に、伝統的な作り方をしている点。そしてチョコレートの純度です。

チョコレート業界には3つの大企業があります。カカオ豆は赤道の南北20度以内の場所でしか生産できません。ですから、全世界の70~80%のカカオの豆は、児童労働が問題になっているアフリカから来ているんです。子どもたちは奴隷のように売られ、15キロもカカオの豆が入ったとても重い袋を背負い、血が出るまで運ばなければなりません。

私たちのようなチョコレートのスペシャリストが大事にしていることが3つあります。カカオ豆の仕入れ方、製造方法、どのようにみなさんに提供するかです。私たちのような個人でやっているチョコレート職人というのは、細部まで気を使ってチョコレートを作れることが強みです。それがもっとも影響力があり、またソーシャルビジネスとして成り立つ理由です。大企業にはこのような柔軟さはありません。なぜならば大きい会社というのは、販売割り当て、販売高、売り上げ目標という3つの制限があるからです。

私は5年かけてカカオ豆の契約農家との関係を築きました。生産加工のプロセスの理解を深めるのにすごく時間がかかりました。

私たちにとって、豆がどのように育てられ、加工処理と発酵がどのように行われているかというのを理解するのはとても重要なことなんです。

もし豆を提供してくれる人と直接契約ができなかったり、加工処理の過程の透明性がなければ、私は今このビジネスをやっていなかったと思います。

私は、みなさんが食べている食べ物が何からできていて、どのような製造業者から提供されているのかを知ることがとても重要なことだと思います。

私が作っているチョコレートが他のものと違う2つめの特徴は、伝統的な作り方をしている点です。私のチョコレートはすべて石臼で潰して作っています。2000年以上前にマヤやアステカの人たちが作っていたやり方と全く同じなんです。私たちチョコレート職人はワイン醸造家にとても近い伝統的な手法を使っています。収穫した豆を発酵させることなどです。

伝統的な製造法

どのように作られるのかを見てみましょう。この石臼は初めてチョコレートを作る際に使ったものです。この中には2つの石がありまして、それがチョコレートを作っているんです。

先ほど見ていた石の中に豆を入れ、中には丸いスパイラル型の棒があります。2つの石のうち上の石は固定されていて、下の石が回転します。

そして、2つの石で挽くことで摩擦熱が起きます。この間にカカオ豆が入ると、摩擦熱でカカオ豆に含まれるバターが溶けて、だんだんチョコレートになっていきます。カカオ豆に含まれるバターの割合は40~50%です。この工程をビデオで見てみましょう。

一番最初にカカオの豆をオーブンに入れてローストします。

ローストされたカカオは「カカオニブ」と言ってカカオ豆の外側を取り除いたものです。

これを機械にいれて潰すと、とても純度の高いチョコレートが出来上がります。まさに美しくみずみずしいチョコレートの滝です。

これは混ぜ物や調味料が一切ない、純粋なチョコレートです。3つめの特徴はその純度です。純度は伝統的な製法というだけでなく、チョコレートに含まれる原材料もそうです。カカオは「カカオソリッド」と「カカオバター」という2つのものだけからできています。大量生産の際には混ぜ物が増えるので、チョコレート純度が薄まります。

それでは、みなさんに私が作ったチョコレートを食べていただきたいと思います。今、みなさんに袋に入れられたチョコレートが配られていると思いますが、それを食べてみてください。そのチョコレートには4つの原料しか使っていません。それが何か考えてみてください。

4つの材料が何かわかりますか? でも「チョコレート」という答えはなしにしてください(笑)。わかった方は、大きな声で教えて下さい。そこの方、なんとおっしゃいましたか? (会場からの答えを通訳を通じて受け取る)黒ゴマ、正解です。私のチョコレート工場へご招待します!

(会場笑)

召し上がったときに木の実の風味がしたと思いますが、それは「黒ゴマ」とクコ科の「ゴジベリー(クコの実)」によるものです。今食べていただいたチョコレートの4つの原料は「カカオニブ」と「精製されていない砂糖」と「黒ゴマ」と「ゴジベリー」だけです。乳製品も、大豆も入っていません。一番純度の高いチョコレートなんです。

チョコレートの今後

それでは、チョコレートのこれからについてお話していきましょう。私はチョコレートがこれからとても大切な薬になっていくのではないかと思っています。昔のマヤやアステカの人がしていたように、とても大事にして欲しいのです。

もし、情熱を持って何かを始めたりすれば。スティーブ・ジョブズは「死」というのは重大な発明だと言いました。あなたが今まで恐れていてできなかったことに挑戦させる力があるからです。お配りしたもう1つの袋の中には、カカオの種が入っています。これがチョコレートの始まりです。

次に市販のチョコレートを食べる機会があったら思い出してください。チョコレートの歴史について、豆の栽培者について、私たちのようなチョコレート職人について。チョコレートには多くの関わりがあり、たくさんの熱意が入っていることを忘れないで欲しいんです。

私が伝えたいことは、チョコレートはただのお菓子ではなく、あなたたちにとってとても大事な食べ物だということです。私はただのメッセンジャーに過ぎず、物事を変えるのはあなたたちです。チョコレートに対する見方と方向性を変えるときなのです。

今後、労働者がいくら受け取るのか、貧しい国の子どもたちがどのように扱われるようになるのか、カカオがどのように栽培されるのかを、あなたたちに考えて欲しいのです。これは彼らの利益になるだけではなく、あなたたちの利益にもなるんです。みなさん一人ひとりが私たちを助けられるのです。

あなたたちの助けが、次世代にチョコレートを繋げていくことを可能にするのです。私のモットーは「シンプル イズ オールウェイズ ベター」です。ありがとうございました。

<続きは近日公開>

Published at

このログの連載記事

1 「チョコレートはただのお菓子ではない」最も純度の高いチョコに込められたメッセージとは
2 近日公開予定

スピーカーをフォロー

関連タグ

人気ログ

人気スピーカー

人気コミュニティ

ピックアップ

編集部のオススメ

ログミーBizをフォローして最新情報をチェックしよう!

人気ログ

人気スピーカー

人気コミュニティ

ピックアップ

編集部のオススメ

そのイベント、ログしないなんて
もったいない!
苦労して企画や集客したイベント「その場限り」になっていませんか?