「何やってんの?」「アイロンに決まってんだろ」 イギリス発祥のエクストリーム・アイロンが気分爽快すぎる!

共感を衝動へ -- Extreme Ironingのススメ | MAKI | TEDxKagoshimaUniversity

断崖絶壁、海中、雪山、火山……。いかなる過酷な状況でも心の冷静さを保ちながらアイロンを掛ける国際競技「エクストリーム・アイロン掛け」。それは羞恥心を克服し、バカバカしさへの理解と強靭な肉体を持ち合わせるアイロニストが真摯に「心のシワ」を伸ばす創造的な行為です。世界各国でアイロニングにチャレンジしてきたMAKI氏は、人に動いてもらうには、まず自分が動く勇気をもつことが重要なのだと語りました。(TEDxKagoshimaUniversity2014 より)

プレゼンテーションで重要なのは「いかに人を動かすか?」

MAKI氏:なぜ、皆さんはプレゼンテーションをするのでしょうか? そして、なぜ皆さんは今日プレゼンテーションを聞きに来たんですか? なんででしょう? 簡単です。

このTEDxのテーマ「Ideas worth spreading」。そうですよね。アイデアをみんなで広めましょう。でも、どうやって、このアイデアを本当に広めるんでしょうか?

実際にこのプレゼンテーションを聞いて、素晴らしいアイデアを皆さんが得るかもしれません。これを実際に活用する。そういった、プロセスまで進んだことがありますか?

私もたくさんTEDxトーク、TEDトークを見ました。でも、実現したもの、実践したものはごく限られているんです。なんか映画のように素晴らしいものと見て、終わってることってありませんか?

そこで今日は、プレゼンテーションをその先に進める。いかに自分のものにするかっていう話を、私が大学でプレゼンテーションに関する研究をしながら得た結果を踏まえて、考察したいと思います。

アイデアを広めるのは、人々です。

プレゼンターだけでなく、オーディエンスがこのアイデアを広め、ここに来なかった人たちが、この情報を得て、理解・納得を得る。

そして共感につなげる。こういった行為につながって、初めてプレゼンテーションはパワーを持つんです。つまり「いかに人を動かすか?」ということが重要なんです。

山頂でのアイロン掛けに心動かされた

私は、つい数年前、大病を患い、生死を彷徨いました。ICUでしばらく意識が無く、やっとこの大病から生還をし、生還したけど、残念ながら「臆病」という病にかかったんです。

何かチャレンジすることに非常に引っ込み思案になってしまいました。ところが、ある友人がスキー場の頂上でプレゼンテーションをしてくれ、という依頼を頂いたんです。

行ってみて驚きました。彼らは山頂でアイロン掛けを始めたんです。

これは異様な光景でした。私はまず理解ができませんでした。ところが、彼らをよく見てみると、非常に楽しんでいるんですね。

なかにはスーツの方もいます。ネクタイにアイロンを掛けたりもしています。この周りには20人くらいの仲間がいて、心からこの行為を楽しんでいるんですね。

私は最初こうやってビデオを撮りながら、傍観者を気取っていました。ところが、私の友人が「やってみたらどうか」というふうに言ってくれたので、やってみました。

なんとも言えない爽快感! 達成感、そしてなんだかわからない征服感。こういったものを得たんです! ぜひ皆さん山の山頂でアイロン掛けをしてみてください。

つまり、私の心が動かされたっていうことなんですね。どんなプレゼンテーションよりも私の心に響いたんです。そして、自分でこれをやってみようと思い、アイロンを買いに行きました。

これまで、私はアイロンを掛けたことなかったんです。さすがに高いアイロンはいきなり買えませんでした。とりあえず、旅行用の小さいもの。

そして、どうやら外でアイロンを掛けるというものがあるらしい。その書籍も買い求め、アイロン台も購入し、まず最初。スキーを滑りながらアイロンを掛けてみました。

私は元々スキーのレーサーです。これは会津若松で、私の友人たちが福島の復興のために、もう福島は安全だよ、観光客を誘致しよう行為の一環で行っている「SMILE FOR FUKUSHIMA」という活動です。

ここで、すこしスピードを上げたりして、チャレンジするということに、私は臆病から初めて脱することができました! ここで掛けているのは会津織り、赤べこです。地元のものを掛ける。

こういったものにはルールはありません。

沖縄ではアロハシャツ。

水中でアイロン掛けをしたのは自分だけだと思っていた

海の中では何も考えません。まず、ここにシワがあるかどうかがわからない! シワが伸びているかどうかがわからない! これはまさに無の境地です。まるで禅の心得ですよね。そうすることで、私はいろんなものを得ました。

このときにはちょっとアイロンが大きくなっています。海底洞窟の中で掛けてみると、自分の心の中が透けて見えるような感覚を得ました。これは青の洞窟という宮古島の海底洞窟です。

非常に美しい景色の中で、美しいものに心を打たれながら、自分の心をもう1回覗いてみようという、新しい行為を私は得ることができました。

おそらく、こんな水中でアイロンを掛けているやつは世の中にはいないだろうと思い、私は一時期、自尊心を満たしていたんですが、驚愕の事実がわかりました。

いろいろ調べてみたところ、ギネス記録に173人、10分間、水中アイロンというのが2011年に既に記録として、あるんですねぇ!

無知っていうのは怖いです。海の中でアイロンを掛けると、上がったときに、これ絞りますよね。またシワができます。これが無限ループです。

あらゆる過酷な状況でもアイロンを掛けるアイロニストの精神

「エクストリーム・アイロン掛け」という項目がヒットしました。これは1997年、イギリス発祥の国際スポーツです。

あらゆる過酷な状況で、心の冷静さを試すんだそうです。やってみました。いろいろ調べてみたら、アイロン掛ける人、アイロニストにはこういった精神があるそうです。

羞恥心をまず克服すること。ユーモア感覚。大自然の厳しさに立ち向かう強靭な肉体。バカバカしさの理解。そして、これは当然、家事です。家事にはセンスが必要です。

北海道へ行ったり、山に登ったり。

まず、このザックにアイロン台を入れるところから勝負です(笑)。こんなの本当に持って行っていいんだろうか。この足を分解し自作をしました。そうしたらバッグに入らないんですねぇ。まるで昔のフレームバッグのようでした。

これが結構岩に当たって危険でした(笑)。山を登るときに、すれ違う人に「あれ、それ何ですか?」と。どう見てもアイロン台でしょ! 「あれ、何しているんですか?」。どう見てもアイロンでしょ! っていう当たり前の行為が当たり前じゃなくなるという、非日常の共有という新しい経験を得ることができました。

筑波山の山頂でアイロンを掛けたときには、周りにギャラリーがたくさん集まり、この喜びを笑顔として伝染させることに気づいたんです。

この笑顔は増幅します。どんどんみんなが、特に子供たちが、何も考えずにこの喜びに勤しむということが、この極限状態で得るっていったことを気づいたんです。これはつまり、心のシワを伸ばしているんですねぇ。

凍った湖の上で掛けたときには、氷に亀裂が入っているってことに気づきませんでした(笑)。

ここから私の冒険が始まります。スキーをしながらアイロンを掛ける。これ、かなりのスピードが出ているんですが、お気づきになったでしょうか? アイロン台がかなり大きくなってきてます。アイロンもかなり大きいです。

体のシワを伸ばす遠隔アイロニング

これは吾妻小富士という福島にある火山の火口です。

このようにひとりで掛けることで、自分の心を試す、そういった行為もあるんですが、100年前に、実は桜島は土砂に埋もれて、この中に昔は部落が存在したんですねぇ。試しに行ってみたいと思いました。ここで、よーく見ると、私アイロン掛けてます。

何も無い場だからこそ、人は素に帰れるんですねぇ。こうなると、心が解放されます。

「みんなでアイロン掛けに行こうよ!」と誘ったんですが、なかなかみんなは最初ノッてくれませんでした。そこで、いかに自分が楽しいかっていうことを体で示しました。これは遠隔アイロニングです。心にシワではなく、体のシワを伸ばします。

ここで誰よりも飛距離を伸ばす。真摯に向かえば、人は真似をするんです。

真摯な態度に人って心を打たれますねぇ。こういった大きな発見を得ました。

真摯な姿に人が動くんです。これってまさにモチベーションですね。報酬や外的要素のモチベーションではなくて、内的な要素から浮かび上がるモチベーション。動機づけなんです。

心から楽しみたい。自分で、しかも工夫したい。そして、今よりもちょっと成長したい。こういった思いがあれば、人は心を動かす、というふうにいわれています。まさにこの行為は、それを身をもって体験する素晴らしい経験になりました。

これはスキーとスノーボードでタンデムでアイロンを掛けている、おそらく世界初の試みになったでしょう。ここで、まさにプレゼンテーションと同じ、共感が生まれたんです。

ドローンでアイロン掛けを空撮

ここまで来ると、みんな、じゃあおれはこういうふうにする、じゃあおれはこういうふうにしよう、と新しい創造性が浮き上がります。これはドローンというヘリコプターで、空撮をしている様子です。なかなか空撮でアイロンを撮影するとは、彼らも思わなかったでしょう。

これは滝の裏側です。こういったところに挑戦するときに、私もひとつまた気づいたことがありました。これは自分の心の壁を越えているっていうことなんです。皆さん、自分でいろんな限界を作ってませんか?

それを越えるきっかけはどうしてますか? こういったエクストリームな行為。そして自分の心に正直に向き合う。そうすると、心の壁は越えられるんです。

「なにやってんの?」「アイロンに決まってんだろ」

我々の仲間はいろんなところで、もう既にアイロン行為に勤しみ、なかには裸でガッツポイーズをしている外国人もいます(笑)。全てのシワには、そのストーリーがあるんです。

ここで、ひとつ実験をしてみました。どうやったらみんなに、このアイロンを楽しんでもらえるか。初心者の場合は、なかなかアイロンを楽しんでくれません。

これ洞窟です。こういうバカな行為をしながらですね、自分のいかに楽しめるかという心を試しています。このとき私の友人がひとりいたんですが、彼に「アイロンとは心のシワを伸ばすんだよ、こういうふうにするんだよ」って、いろいろ教えすぎたんです。

そうしたら、彼は一応笑顔なんですけど、ちょっと引きつってます。なんでもかんでも教えて、説明して、こういうふうにしろって言うと、楽しめないんですねぇ。

そこで実験2です。このときは何も教えず、ただ私が楽しみました。そして、いかにこれが楽しいかを簡単に伝え、これをすぐ真似できるような形にしたんです。これはロケットを実際に打ち上げている所ですね。そうしたところ、私の友人はノリノリでした(笑)。

これがいかに楽しいかを彼は自分で理解しているんですね。なによりも、掛けながら自分で楽しいってことに気づいてくれるんです。彼が自分の心を壁を崩し、越えた瞬間です。まさか大の大人がロケットの上に乗るとは思わなかったでしょう。

でも、こういった行為は非常にバカバカしいんですが、伝染をするんですねぇ。むしろ私よりも若い彼のほうがノリノリでした。

こういったものには答えはありません。これはシカゴの世界最大のティラノサウルスの前です。修学旅行中の高校生がたくさん集まって来て、外国人はすぐ声かけてくれます。「なにやってんの?」と。「アイロンに決まってんだろ」(笑)。

アイロンが無くても、エクストリームでなければいけない

これはグランド・キャニオンです。こういった行為は、自分が楽しむ以外にも、人を楽しませることができるんです。こうして人生のシワを伸ばしながら、人と感動を共有することができます。

これは先々週に行った、モン・サン・ミッシェルです。この干潟の上でアイロンを掛けるのが私の夢でした。なんにも無い干潟。その裏側には、モン・サン・ミッシェル。素晴らしい修道院があります。

こういったところで、なんでおれこんなことやってるんだろうと思いながら、自分の心が見えてきて、解放されているという気分になってくるんです。

外国の観光客はどんどん声をかけてくれます。「何やってんの?」と。そこで私は答えます。「エクストリーム」。自分の心の壁を越えるんです。

これはモン・サン・ミッシェルの壁の上です。実際、かなり危険です(笑)。エクストリームアイロニングにはひとつ原則があります。アイロンが無くても、エクストリームでなければいけないんです。これは実際僕もかなりビビリました。

これはパリのエッフェル塔の前です。これは掛けているとき、警備員がやって来ました。ピーポーピーポーって音が遠くで聞こえるんですけど、時にはこっそりやらなければいけないときもあります。

これは急いで逃げている様子です(笑)。観光客はたくさん声をかけてくれます。なかには、チップを投げようとする人もいます。いや、これはパフォーマンスではありません。

エッフェル塔の上にのぼったときは、非常に不思議な体験をしました。みんながカメラに向かって、笑顔をつくってくれるんですね。

ここでもいろんな国籍の方がいらっしゃいました。このように非日常を共有することで、新しい価値が生まれる。これを体感することができたんです。みんな、どんどん声をかけてくれて「こういった行為こそ、みんなでシェアするべきだ」と私は考えました。

非日常の共有。例えば、これはパラオの海底洞窟、ブルーホールです。美しい景色の中でアイロンを掛けると、本当に心が無になるんですね。自分が解放されます。プロのカメラマンが私の写真を撮ってました。魚ではなくて(笑)。

心のシワを伸ばせば、人々がどんどん笑顔になる

このアイロン。普通に家庭にあれば、なんでもないですよね。でも、ダイビングボートの上にいると、不思議なギアになります。みんな非常に興味津々です。ただのアイロンなんですけどね。

このように、どんどん心のシワを伸ばせば、人々がどんどん笑顔になってくる。それが生まれてくるっていうことを学びました。これこそがみんなで共有すべき、素晴らしいアイデアだと思います。

そしてここに、新しいシワが生まれるんです。今まで眉間に寄っていた、なんだこれってシワが目尻の笑顔のシワに変わっていくんです。

人が動くには、まず真摯に相手を思うこと。そして、自分が動く勇気を持つことが重要ということを、私はこのエクストリームアイロニングから学びました。

自分の壁を越えるためにベルリンの壁でアイロン掛けをした

そして、自分の壁を越える勇気をもち、相手が壁を越えられるような希望をもたせる。こういった行為が、エクストリームアイロニングの中にはあるというふうに私は確信をしました。

ベルリンの壁でアイロン掛けをしてみました。こういった行為に、エクストリームアイロニングジャパンという日本で代表的な組織の、代表の松澤等さんが第一人者と言われています。彼がどう思っているか、私はメールを送りました。そうしたら、素晴らしい返事を頂いております。

「ほとばしるスチームのような熱いメールをありがとうございます」と。そして、このエクストリームアイロニングジャパンに私もメンバーとして加わることができました。日本で18人目だそうです。きょうの朝も彼はメールをくれました。

彼も固定概念をもっているわけではないんです。自己責任でそれぞれが楽しむ。これがベストだと彼は言っており、まさに私はここが共感するポイントだったと思います。彼のメールの最後には必ず「KEEP THE IRON HOT」って書いてあります(笑)。

人を動かすのではないんです。人が動くんです。真摯さこそがこの壁を越える勇気なんです。

私は今日、このKagoshimaUniversityの皆さんに、こういった想いを、この鹿児島の桜島の灰の上で、気づかせてくれたことを心から感謝したいと思い、これを今日のプレゼンテーションに、まさにプレゼントとして、皆さんにお届けしたいというふうに思い、今日この場に立ちました。

ありがとうございました。

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