記憶力を高める理想の睡眠とは?
脳の仕組みを理解して、勉強をもっと効率的に

The benefits of a good night's sleep - Shai Marcu

テストの前日、あなたは勉強を続けるべきでしょうか? それともキッパリ寝てしまうほうがいい? 医師のシャイ・マルク氏によると、良い睡眠は海馬の働きを助け、記憶を固定する重要な要素であり、勉強や楽器、スポーツの練習を効率的にこなすためには必要不可欠とのこと。ここではわかりやすい図解とともに、眠っているときの人間の脳内で起きていることを解説します。(TED-Ed2015 より)

睡眠は無駄な時間ではない

朝4時。8時間後には重要なテストがあり、その後にはピアノの発表会もあります。

あなたは何日も勉強と練習に精を出していますが、いまだにどちらも自信がありません。どうしたらいいのでしょうか?

もう一杯コーヒーを飲んで、あと数時間詰め込み勉強をしたり、練習をすることもできるでしょう。

でも信じられないかもしれませんが、本を閉じて楽譜を片付け、寝たほうが良いのです。

睡眠は私たちの人生の約3分の1を占めています。しかし私たちの多くは、睡眠に関してほとんど注意を払っていません。この無頓着さは大抵、大きな誤解の産物です。

睡眠は無駄な時間ではないし、大事な仕事が全部終わった時に休息をとるための方法でもありません。

そうではなく、睡眠は重大な役割を果たしているのです。睡眠の間、体は生命を保つのに必要な器官を安定させて調整し、呼吸に作用し、血液循環から成長や免疫応答までの全てを管理しているのです。

それは素晴らしいことだけど、そんなことはこの試験の後に考えればいいだろう、ですって? そう慌てないでくださいよ。

眠るのと同時に体の循環血液の5分の1が脳に運ばれるため、睡眠は脳にとっても非常に重要であるということがわかったのです。

睡眠と記憶の関係

しかも睡眠中の脳では、記憶が機能する上で大切になる再構成が非常に活発に起こっているのです。

一見、ものを覚えという能力はあんまりすごいもののようには思えません。

19世紀の心理学者、ヘルマン・エビングハウスは、私たちは通常、最初の20分で新しい情報の40%を忘れるということを明らかにしました。

これは忘却曲線として知られる現象です。

しかしこの忘失は、記憶の固定によって防ぐことができます。その過程で情報は束の間の短期記憶からより永続性のある長期記憶へと移動するのです。

これは海馬という脳の主要な部位の力を借りて起こります。長期記憶の形成における海馬の役割は、1950年代にブレンダ・ミルナーがHMという患者の研究をしたことで明らかになりました。

海馬が取り除かれた後、

HMの新たな短期記憶を形成する能力は損なわれました。

しかし彼は繰り返すことによって運動技能を覚えることが出来ました。一方、海馬を取り除いたことで、HMの長期記憶を形成する能力もまた損なわれました。

この症例が明らかにしたことはたくさんありますが、中でも、海馬はとりわけ長期的な宣言的記憶の固定に関わっているということがわかりました。

これは試験のために覚えなくてはいけない情報や概念のようなものです。発表会のために習得しなくてはいけない指使いのような手続き記憶ではありません。

ミルナ―の発見と1990年代のエリック・カンデルの研究は、記憶の固定化の方法に関する現在の仮説を作り上げました。

感覚記憶はまず、神経細胞に短期記憶として転写され、一時的に記録されます。

そこから海馬へと伝わり、大脳皮質領域の神経細胞を強化してその機能を高めます。

その後、神経可塑性により新しいシナプスが形成され、神経細胞間の新しいつながりが可能になり、情報が長期記憶として戻される神経回路網が強化されます。

良い睡眠は記憶を固定する重要な要素

それではなぜ、私たちは特定のことは覚えているのに、他のことは忘れてしまうのでしょうか。記憶の保持の程度と効果に影響を与える方法がいくつかあります。

例えば、感情が高まった時やストレスを感じた時に形成された記憶はよく記録されます。これは海馬が感情と結びついているからです。

しかし、記憶を固定する重要な要素の1つは、ご想像の通り、良い睡眠なのです。

睡眠は4つの段階で構成されています。最も深い睡眠は、徐波睡眠とレム睡眠として知られるものです。

これらの段階を測定した脳波計は、記憶形成の中継点としての役割を果たす脳幹と海馬、視床、大脳皮質の間を動く電気インパルスの存在を明らかにしました。

また、異なる睡眠の段階は異なる種類の記憶の固定を促進することもわかりました。

ノンレムの徐波睡眠の間、宣言的記憶は海馬の前方にある一時的な貯蔵庫で符号化されます。

皮質と海馬の間の継続的なやりとりにより、宣言的記憶はその後、繰り返し再活性化されます。

そうして皮質の長期記憶の保管所に除々に再分配されるのです。

一方、レム睡眠は起きている脳の状態と似ているため、手続き記憶の固定と関連しています。

研究によると、公式を覚えた3時間後、または音階を練習した1時間後に寝ることが最も理想的とされています。

おわかりいただけたでしょうか。睡眠を削ることは長期的な健康を害するだけではなく、前日の夜に得た知識や練習の成果を忘れてしまう可能性を高めるのです。

これらの全てが「一晩寝て考える」という言い回しの教えを支持しています。

眠っている間に起こる体の内部の再構成と新たな連携の形成を考えると、こう言っても過言ではありません。

しっかりとした睡眠は、毎朝あなたを新しく改良された脳の状態で起こしてくれ、困難に立ち向かうことを可能にさせるのです。

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