「遊び場」があれば子どもは育つ--建築家・手塚氏が作った“壁のない”幼稚園

Building towards the future | Takaharu Tezuka | TEDxKyoto

子どもたちが社会のルールを自主的に身につける為には何が必要か? 建築家の手塚貴晴氏は、2007年に設計した東京都立川市の「ふじようちえん」をモデルに、子どもたち自身が傷つき、学び、助け合う原体験をもつことの大切さについて、豊富なスライドを用いて語ります。(TEDxKyotoより)

自由に遊べる円形の幼稚園

これは、2007年に私たちが設計した幼稚園です。

私たちはこの幼稚園を円形にしました。屋根の上に循環している感じです。あなたに子どもがいたら、子どもたちが円を描くのが大好きだということを知っていると思うんです。わかりますよね? 私たちの子どももいつもやってます。これが屋上の感じです。

私たちがこれを設計してるときに、この幼稚園の園長さんが、「だめです。手すりはいりません」と言ってきたので、私は「それは無理です」と言ったんですが、彼は「どうしても」と言うんです。

「屋根の端から網を突き出したらどうですか? そしたら子どもが落ちるのを防げるのでは?」と言うので(笑)。

私は「無理です」と言いました。予想通り、政府には「もちろん、手すりはなければならない」と言われました。でも私たちは、そのアイディアを利用することができました。木の周りから、3本の枝が突き出ていました。私たちはこのロープを手すりと呼んでもいいことになりました。

しかし、ロープは子どもたちにはなんの関係もありません。彼らは網の中へ落ちます。こんな感じで。

さらに……。

もっといます(笑)。

ときには、40人の子どもたちが木の周りにいます。

枝のところにいる男の子は、木が好き過ぎて食べちゃってますね(笑)。

行事のとき、彼らは屋根の端っこに座ります。

下から見ると、とてもいい眺めです。動物園の子猿みたいで(笑)。

えさの時間ですよ~!(笑)。

私たちはできるだけ屋根を低くしました。なぜなら、私たちは屋根の上にいる子どもたちを見たかったからです。屋根の下だけではなく。

もし屋根がすごく高ければ、天井しか見えません。これは手洗い場です。いろんな種類の蛇口があります。自由に動かせる蛇口が見えますが、これで友達に水をかけられます。シャワーもあります。前にあるのはごく普通の蛇口ですが、見てみると、男の子は長靴を洗っているのではなく、中に水を入れています(笑)。

外との隔たりをなくす意味

この幼稚園は、1年のほとんどの間、解放されています。

中と外との隔たりがありません。この建物は基本的に、ただの屋根だということです。教室と教室の間も境界線がありません。だから、音の境界も全くありません。この幼稚園は、自閉症の子どもがほぼゼロであることで知られています。

いや、たぶん問題のある子たちもいますが、彼らにはそういった症状が見られません。たくさんの子どもたちを静かなところに置くと、とても緊張する子たちがいます。でもこの幼稚園では、彼らが緊張することは全然ありません。境界線がないからです。

園長さんは「もし、端っこのあたりにいる男の子が部屋にいたくなければ、放っておけばいい」と言いました。彼は最終的には戻ってきます。円になってますから。戻ってきちゃうんです(笑)。

(会場笑)

要するにそんなとき、このような子どもたちはどこかに隠れようとします。でもここでは彼らはどこかに行って、また帰ってきます。自然の流れなんですね。

次に、私たちは「音」をとても重要だと考えました。子どもたちは、雑音があったほうがよく眠りますよね。静かなところでは寝ません。この幼稚園では、子どもたちは授業で素晴らしい集中力を見せてくれます。

私たちは雑音があるジャングルの中で育った、ということをご存じだと思います。彼らは音が必要なんです。うるさい居酒屋でも友達と話ができますよね?静かなところにいちゃいけないんです。最近は、なんでも支配しようとしていますが、(この幼稚園は)完全に解放されています。

冬にはマイナス20度の中でも、スキーに行けますよね? 夏には50度の日差しの中、泳ぎに行く。私たちはそういうことができるんです。水がかかってもへっちゃらですよね? 雨で溶けることは絶対ないから。子どもたちは外にいるべきなんです。そうやって彼らを扱うべきです。

いろいろなデザインと子どもたち

教室はこうやって分かれています。

彼らは先生を手伝わないといけないのですが、手伝いません(笑)。

私が彼を入れたのではありませんよ(笑)。

教室と、

洗面台です。

周りで話しながら手を洗っています。

教室からはいつも木が見えます。

上から子猿が、他の子猿を釣ろうとしています(笑)。

子猿です(笑)。

(会場笑)

各教室には最低でもひとつ、天窓がついています。これは、サンタクロースがクリスマスのときに降りてくるところです。

子供たちは自ら学び、助け合う

次の建物はこちらです。

この幼稚園のちょうど隣にあります。この建物は、高さたった5mで、床は幼稚園と同じ素材です。天井はとても低くなっていますので、私たちは安全を考慮しなければなりませんでした。私たちは、自分の子どもたちを遊ばせてみました。

私の娘と息子です。

這ってみようとしたらしいのですが、息子は頭を打ってしまいました(笑)。

でも大丈夫。彼は冷静で、とっても強い子です。打たれ強いんです。私の息子ですから(笑)。

息子は下へ飛び降りても大丈夫かどうか、覗き込んで見ていました。

そして、他の子どもたちも遊ばせてみました。

東京で渋滞はよくあることです。ご存知のとおり。でも、先頭の彼女は、運転を練習しなければなりませんね(笑)。

近頃の子どもたちは、危険な目にあうことなどほとんどありません。こんな時、彼らはお互いを助けることを学びます。

これが社会です。私たちは最近、このようなチャンスを失っています。

子供たちに自由な空間を

この図は、ある男の子の動線を表しています。

9:10から9:30の間です。この建物の円周は、183mです。決して小さくはありません。この男の子は午前中、6000mも動いていました。

(会場笑)

でもまだ驚いてはいけません。この幼稚園の子どもたちは、平均4000mも動いているのです。この子どもたちは、数ある幼稚園の中でも、1番運動能力が高いのです。

園長さんは「子どもたちに特別なしつけはしていません。屋根の上に放っておいているだけです」と言っています。

羊みたいに(笑)。

彼らは走り続けています。

建築で人々の人生を変える

私が言いたいのは、彼らをコントロールしないで、過保護にしないということです。転んでしまうこともあるでしょう。

傷つくことも必要なのです。

それで彼らはどうやって生きていくかを、学ぶのです。私は建築で世界を、人々の人生を変えることができると思います。これは子どもたちの人生を変える試みなのです。ご清聴、どうもありがとうございました。

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