「締め切りをズラすのは逆効果」 マネジメントのプロが教える、究極のタスク管理術

締切はぼくらの味方だ! #1/2

ピラミッド建築に取り組んだ古代エジプト人から日々の仕事に追われる現代人まで、人間が四苦八苦してきたスケジュール管理。プロジェクトマネジメントの専門家でサイバー大学でも教鞭をとる勝眞一郎氏が、自身も十数年続けているという「脳に快感を与えるToDo管理法」を語りました。(TEDxKagoshima 2014 より)

猫に締め切りはあるか?

(以下、勝 眞一郎氏)

ミャーオ!!! 私は先日、ねこを見かけた時に「この猫には締め切りって概念があるんだろうか」とふと思いました。で、そのネコを見かけた後に街角でネコを見るたびに、「この猫には締め切りはあるかな」「いやこの子はどうかな」と言う風に、締め切りのこと考えていました。あまりみなさん、ネコが締め切りを持っているかどうかなんて考えたことないですよね。

なぜ私がこういうことを考えているかというと、私はサイバー大学というところと、東京情報大学という二つの大学でプロジェクトマネージメント、プロジェクトを管理するにはどうしたらいいかということを教えています。

それだけじゃなくて、企業に入って新商品の開発であるとか、いろんなビジネスの立ち上げ、あるいは地域でのプロジェクトをどう立ち上げて行くか、どう運営していくか、ということを一緒に考えて行く、そういう仕事をしています。

プロジェクト、というのは必ずゴールがあります。最終的なゴールがあるんですけども、そのゴールに至るまでに、例えば途中の段階までに、品質はどこまでやっていったらいいのか、あるいは技術っていうのは、どこの日までに締め切りを守ったらいいのか、そしてコストっていうのは、締め切りの日までにどこまでやればいいのか。

最終的なゴールに行く前に、途中途中で必ず締め切りがあります。ですから私は、いつも締め切りのことを考えています。なので先ほどのように、ネコを見ても「この子は締め切りがあるかな」というふうに考えてしまうわけです。

で、私の見た結果、ネコに締め切りはありませんでした。どちらかというと、動いたものを叩く。お腹が減ったら食べる。そして皆さんもご存知のように賢いので、学習効果があります。でも、「いつまでに何かをしなきゃ」ってことでToDoリストを作ってみたりとか、「できなかったねー」って後悔したりとか、そういう事はどうもないようです。

まるでExcel? 古代エジプトのタスク管理

締め切りについて今日は皆さんとお話をしたいんですけども、じゃあこの締め切りって、いつから私たちは認識できるようになったんでしょうか。私がエジプトに行った時に見たこの"プロジェクト"って、すごいんですよね。ものすごい大きな建物・建造物。で、こういったプロジェクトを成し遂げるのに、プロジェクトを管理する技能がなくては絶対できなかっただろう、というふうに専門家としては感じたわけです。

そういうことを感じて、いろんな同僚の学者の先生とか、エジプト考古学の先生とかとお話をしていると、あるエジプトの考古学の先生から、上のような資料を見せていただきました。これは「パピルス」という紙に「ヒエログリフ」という象形文字が書かれたものです。これが書かれたのが丁度先ほどご紹介した、ピラミッドができた(古代エジプト)中央国時代。紀元前2500年。

ですから、今からすると約4500年前ですね。もうずっとずっと昔。そのときに作られた文書です。アブシール文書といいます。アブシールというのは、発掘された場所の名前です。で、これ何書いてあるかわかる人、います? ……よかった。一人もいなかったですね(笑)。

ここに書かれているのは、件名ってありますけど、件名っていうのは新しい神殿、今度新しい○○って神殿作りますよーってこと。そのために供給地ってありますけど、「どこそこさんからパンを運んできてください」っていうリストです。

で、ここに5種類のパンが書いてあるんですね。○○パン、××パン、△△パン。5種類のパンがあって、縦に日付がならんでいます。1日から縦に日付が並んでいて、そして3つずつのカラム(データの種類を表す単位)で並んでいるんですけども、「予定」「実績」「差異」っていうふうに書いてあるんですね。

1日に、このパンを3つ持って来てください。で、実績3つ持って来たら差異は0。2日の日にパンを2個持って来てください。持ってこなかったら、差異は2。2個持ってこなかったから。

この表を見たときに私はびっくりしました。私たちがいつもExcelで作っている実績管理、あるいは売り上げの予(算)実績、予算をたてて実績を積み上げて行く、で、「出来なかったね」「出来たね」という話。ちょうど(画像の)右側に書いてありますようなもの、よくExcelで私たち作りますよね。こういう表を作ったことがある方(いらっしゃいますか)? ……おお、やはり結構いますね。

で、こういう、私たちがいま日常で行っている、Excel使ってる予算管理締め切り、1日までだったら1日に持って行くという方法は、もう4500年前もからやっていて、あまりこの「締め切りをどうやって守っていくか」という技術自体は語られていません。締め切りまでに必ず届ける、届けなかったら怒られる。これくらいです。

「締め切りを伸ばす」は逆効果

私は、「サイバー大学」というインターネットの大学で授業を持ってるんですけども、私の授業、「プロジェクトマネージメント入門」というクラスで、先学期、これは300人いるクラスです。で、授業というのは、15日間の間に受講すれば出席。でそれ以降に受けると、遅刻、あるいは受けなかったということになるんですね。

で、このグラフは1回目から12回目までをプロットしたものです。ですから12本線があります。人間の傾向って恐ろしいですよね。明らかに見て、12回とも同じような傾向線をたどる。最初のあたりに、開講してすぐ初日に受ける人。こういう人は毎回一緒です。だいたい11人から12人くらい受けて、そしてまあまあ同じような人数がずっといって。

皆さんも経験があるように、締め切りの前の日、day14ってある日、14日目が一番どーんと増えます。「明日が締め切りだから今日やんなきゃ!」っていうんで頑張る。そして最後の日に、ばたばたですね。あと何時間っていう時に提出をして終わる。でおしまいです。でこのクラスってのは300人いるクラスなんですけども、だいたい期限内に受けてくれる学生は260人くらいで平均して推移していました。

で、私は教員として、この260人以外、40人遅れているわけですから、ここをなんとかして減らしたい。もっと期限内に受ける学生を増やしたいと思いまして、先学期、秋学期ですから正月の期間、年末年始の期間は一週間伸ばしてあげたんです、締め切りを。すると、どうなったか。

皆さん。締め切りが一週間延びました。いつごろやりますか? ……そうですね。予想通り。一週間ずれただけです。

2回だけ伸ばしてあげたんですけど、見事に後ろにグラフがずれたんですね。最初から受ける人はもう受けるんですけど、後ろにずれた。これをスチューデント・シンドロームといいます。学生症候群。締め切りをずらしても、その締め切りに合わせて後ろに山がずれるだけですよ。これをもう一週間伸ばしても同じ現象がおきます。

私はプロジェクト管理の専門家ですけども、失敗したのが、恐ろしいことに260いた期限内に受けてくれる生徒が、総数250に減ったんです。増えると思ったのがモチベーションが逆に下がってしまって減った。これは大失敗なんですね。この結果を見せたときに、学生からもいろいろ言われました。

「先生、専門家なのにずらしてる。ずらしたおかけで減らしてるよね」ていうことで指摘を受けたんですけども、そういうふうに締め切りをどうするかっていうのはものすごい難しいんです。

脳に快感を与えるToDo管理法

でも私たちは、日常の生活のなかで、締め切りとつきあって行かなければ、仕事も生活もできません。

後ろに映っているのは、私がもう十数年使っている手帳です。毎回同じ手帳を使ってるんですけども、ですからもう十数冊本棚に残ってます。これで必ず実行していることがあります。

よくToDoって言いますけど、やらなければいけないことを書いて、その前に四角、「ロ」の字を書きます。で、終わったらチェックをします。チェックをしてそれを眺める。あんまり眺める人いないかもだけど、私は必ず眺めます。で、終わったあと一週間を振り返ってみて、塗りつぶし漏れがないかどうかを確認する。で、また久しぶりに見たときに先月の分はどうだっただろうとめくってみる。塗りつぶし漏れがないかどうか確認する。これで安心するわけです。

もし、ロの字が空いたままになってると不安で不安でしょうがないんです。むくっと起きあがってそれを消しにかかります。で、この事をずんずんずんずんやり続ける。これがもう習慣になっています。

これが何に良いかっていいますと、「締め切りを達成する」そうすると「達成感」を得る。「やった!」て。私のその十何年の手帳の中で、ロの字にチェックをしてない項目は一個もありません。全部つぶしてます。あまり難しい課題は小さな簡単な課題にしたり、これはどうしても無理だなって思ったら消しちゃったり。消すのも、消しゴムで消すんじゃなくて線を引くだけです。で、ずっと見返す。

そうすると自分の脳内ホルモン「ドーパミン」ってのが出てくる。そして「快感」を得る。このドーパミンのいいところは、お金をださなくても自分で発生できるんですね。自分で発生して自分で快感を得る。これを繰り返していくと自分がハッピーな気分になる。もう本当にお手軽な方法です。これをずっとずっと繰り返す。チェックして、眺めて、快感を得る。

そうすると、「締め切り」と友達になれます。この「締め切り」という友達、すごく付き合うのに厄介なのです。追っかけられると、私たちはすごいプレッシャーを感じますよね。逆にいいのは追っかける。自分から締め切りを追っかけて行くと、とてもいい友達になります。先ほど言ったみたいに快感を得ていくと。で、締め切りを追っかける。こういう風に締め切りを友達にする。締め切りを追いかけろ。ありがとうございました。

<続きは近日公開>

Published at

このログの連載記事

1 「締め切りをズラすのは逆効果」 マネジメントのプロが教える、究極のタスク管理術
2 近日公開予定

スピーカー

関連タグ

人気ログ

ピックアップ

編集部のオススメ

ログミーをフォローして最新情報をチェックしよう!

人気ログ

ピックアップ

編集部のオススメ

そのイベント、ログしないなんて
もったいない!

苦労して企画や集客したイベント「その場限り」になっていませんか?