「生き残れるのは、変化に対応できる者」 ダーウィンから読み解く、ビジネス界の"進化論"

アマンダ・ジョイ・レイヴェンヒル at TEDxTokyo #1/2

ダーウィンの進化論が明らかにした自然淘汰の仕組みは、今やビジネス界でも同様に適用されています。プレディシオ大学院教授で環境活動家のアマンダ・ジョイ・レイヴェンヒル氏が、ビジネス界全体が目指すべき、今後の事業のあり方について語りました。(TEDxTokyo 2014 より)

ダーウィンの進化論はビジネス界にもあてはまる

アマンダ・ジョイ・レイヴェンヒル氏:皆さんは、ダーウィンが進化論において唱えた「適者生存」とは、最も強い者を指している、とお思いかもしれません。しかしながら、ダーウィンがその鋭い観察眼によって見抜いていたのは、生き残るのは最も強い種ではなく、最も生態系に適応できる種である、ということなのです。それこそが最も生き残る種である、ということです。

生物学における様々な見識を通じて、このダーウィンの言葉は的確に真意をついていたことがわかってきております。またビジネスの世界においても、同様の進化が起きています。これは社会的企業と呼ばれています。

スーザン・シマードはコロンビアブリティッシュ大学の生態学者です。彼女は植物のコミュニケーションについて研究をしています。植物が地中においてネットワークを通じコミュニケーションをしている、という研究です。お互いに、共存する菌根菌のネットワークを介してコミュニケーションをしています。

スーザンのチームは珍しい炭素の種類であるC40を、とある木に与えました。その木がC40を吸収して、それを菌根菌のネットワークを通して、他の植物にこのC40をアミノ酸の形で伝えていったのです。また同じように、水分や警告シグナルもこの地中のネットワークを通じて、他の植物と共有しているということがわかりました。

彼女はこのネットワークを「Wood Wide Web」と呼んでいます。この植物と根の共生する菌が、お互いに恩恵を受けあう共生関係を「Mutualism」と言います。

「自然淘汰」というものは、私たちが過去に考えてきたものとは変わってきています。私たちは自己の種の存続だけを考えるのではなく、生態系にいかにうまく適合できるか、そして社会の中でいかに周りに目を向けられるか、ということを求められるようになってきています。この自然界の本質にインスピレーションを受けて生まれた、この大きなうねりにこそ、私たちは従うべきです。

社会的企業が拡大するには、今がチャンス

実のところ、私は生物学者ではありません。私はビジネスウーマンです。私は、38億年にわたりイノベーションを創造し続けた、地球上のあらゆる生命に対する問題解決のソリューションを模索する、ビジネスウーマンなのです。

自然の営みにインスピレーションを受けて、ビジネスをデザインすることを生物模倣、またはバイオミメティクス (biomimetics)と呼んでいます。こうした自然界における発見というのが、私の社会起業家としての仕事を形作っています。

「Social Enterprise」(社会的企業)は、正式には「Social beneficiary Enterprise」と呼ばれていますが、2つのことにより定義されます。まず第一の条件としては、社会的、あるいは環境的ミッションを目標としていること。そして経済活動を行っていることが、2つ目です。

言い換えれば、こういったビジネスは、Make Sense(道理にかなった)を社会的ミッションの追及によって行い、Make Cents(利益を生む)を経済活動によって行っています。

「Social Enterprise」は、社会的、環境的な問題の解決にあたります。緊急性の高い問題を、ビジネスのツールや市場の効率性を活用して、解決していきます。「Social Enterprise」は、政府や一般企業、従来のNPOにはできない方法で問題を解決することができます。政府より情報源が豊富で効率的、一般のビジネスより協力的かつ寛大、NPOより財政的に安定しているイノベーティブな企業です。

「Social Enterprise」にはさまざまな形態があり、世界中のさまざまなところで起こっています。例えばケニアのザワディシャというミクロファイナンス(貧困者向けの小口金融)の団体では、現地の女性起業家を、それぞれが起業できるように支援しています。またカリフォルニアでは、ローカルの農場主をサポートするようなネットワークを作っている、「Social Enterprise」もあります。

興味深いことに、「Social Enterprise」も他の企業とパートナーシップを結んだり、価値を共用したり、生態系のようなアプローチをとるのです。こういった企業は、自社の株主に価値を届けるだけではなく、ステークホルダー(利害関係者)の顧客や仕入れ先、時には競合他社にまで情報提供を広げます。どこかで聞いたことがあると思います……。そうです、先ほどの「Mutualism」です。

「Social Enterprise」は、周りの環境と相利共生の関係を築き上げるのです。ビジネスの世界においても、各企業が自社のためだけに活動する時代から、互いにつながり、相互依存し、生命やビジネスを生み出していく方向へ変わってきています。私たちは、この相互依存の力を、ちょうどいいタイミングで築き上げています。

今後50年間でサンゴ礁の95%が、白化による消滅の危険に晒されます。またさまざまな気候変動により、2億人に影響がおよぶ可能性があります。海面上昇により影響を受ける方もいます。新しい発見を、今までよりも早く届ける時なのです。

"ミッション"と"利益"をどう両立させるか

私の人間観というのは、私のミューズ(創作意欲を刺激する女性)である、バックスミン・フラーに基づいています。フラーは「人間とは、卵から顔を出した生まれたての雛のようなものである」と言っています。

石油という羊水を使い切って、生まれてきたばかりの雛のようだと。つまり生まれたての私たちにとって、成功するための材料はすべて揃っているのです。世界の終わりのように感じるかもしれませんが、今はほんの始まりにしか過ぎないのです。今こそ卵から抜け出して、自分の足で立ちあがり、飛び立つときなのです。

しかしどうやって、それをやるのでしょうか? 私は「Social Enterprise」が、その解決策の一部だと思います。「Social Enterprise」には3つのタイプがあります。

まず1つ目は「Integrated(統合した) Social Enterprise」です。先ほどの"Sense"と"Cents"のオーバーラップ(重なり合い)があります。こうしたタイプの企業は、大きなプログラムの一部として経済活動を行って、企業ミッションの達成を目指します。私が今までに行った例では、「Project Drawdown」というものがあります。気候変動問題の解決策に関する、ありとあらゆる情報をデータベース化し、そのデータを含む本を売る、というプロジェクトでした。

その他にも、キャンペーンだったり、デジタルプラットフォームだったり、カリキュラムだったりというものを通して、気候変動に関する意識改革を促そうということでやりました。この社会を傍観者という存在から、もっと危機感を持って気候変動に取り組む存在に変えようとしました。

2つ目は「External(外部の) Social Enterprise」です。こちらでは先ほどのミッションと経済活動、つまり"Sense"と"Cents"が別々に行われます。私が行った例では「Hero Hatchery」というものがあります。これは私が夫と共に設立した、気候変動問題のフェローシップ(研究奨学金)プログラムです。非常に安価なクラウドファンディングサービスで、このフェローシップの団体をサポートするということをしました。

最後は「Embedded(埋め込み)Social Enterprise」です。これにおいては、ミッション追求の活動と経済活動が同一のものです。私が行ってきた例では、「New Leaf Paper」というプロジェクトがあります。目的は、紙産業がよりリサイクル紙を使い、森林伐採を辞めるように促すためのプロジェクトです。このプロジェクトによる売り上げは、すべてミッション達成にダイレクトにつながっていまして、収益が増えれば増えるほど、このプロジェクトが与える社会的インパクトも大きい、ということになります。

「ビジネスが生きやすい環境」を育てる

今のビジネスモデルについて見ていきましょう。私の同僚のポール・ハーキンが言っていることですが、「私たちは、私たちの未来から盗んで、現代においてそれを売り、その売り上げをGDPと呼んでいる」。私たちは森林や自然資源などを使い、それを売って収入と呼んで、第6の大量絶滅の危機や世界的な気候変動、その他にも計り知れないダメージを、この完璧に設計された宇宙船地球号に与えているのです。

それよりもっと賢い方法は、現代の全人類のために資源を育て、将来的により強いビジネスを育てていくことです。

「Bio-mimicry Movement」の創始者であるジェーン・ヴェニエンスが言っています。「生命が生命にとって生きやすい環境を作るように、ビジネスもビジネスにとって生きやすい環境を作るべきではないか?」。

全ての企業が「Social Enterprise」になるべきではないでしょうか。こうやってはっきりと生命の設計図がわかった今、経済のシステムを再結成し、そして機能するとわかったものを盛り込むべきだと考えます。もしすべてのビジネスが「Social Enterprise」だったら、いかがでしょうか?

きっと今とは違った、素晴らしい世界があると思います。ありがとうございました。

<続きは近日公開>

Published at

このログの連載記事

1 「生き残れるのは、変化に対応できる者」 ダーウィンから読み解く、ビジネス界の"進化論"
2 近日公開予定

スピーカーをフォロー

関連タグ

人気ログ

人気スピーカー

人気コミュニティ

ピックアップ

編集部のオススメ

ログミーBizをフォローして最新情報をチェックしよう!

人気ログ

人気スピーカー

人気コミュニティ

ピックアップ

編集部のオススメ

そのイベント、ログしないなんて
もったいない!
苦労して企画や集客したイベント「その場限り」になっていませんか?