”眠っている特許”を使ってイノベーションを起こす!
特許取引によって生まれるビジネスチャンスとは?

サンディープ・カシ at TEDxTokyo 2014 #1/2

眠っている特許を活用し、動画内の重要シーンを再生前から教えてくれる新テクノロジーを開発した、シネマクラフト代表 サンディープ・カシ氏が、いわゆる"休眠特許"を活かしたイノベーションの活性化と、"特許のエコシムテム"の構築を訴えました。(TEDxTokyo2014より)

特許にも様々な一生がある

サンディープ・カシ氏(以下、カシ):今日は特許ということについてお話ししようと思いますが……その前に自分のバックグラウンドについて、少しお話させていただきます。

私はオンラインビデオのビジネスに、15年ぐらいたずさわってきました。最初は、例えば『タイタニック』ですとか『ジュラシック・パーク』ですとか、ジョージルーカス関連の仕事をしていました。その後に富士ゼロックスに移って、シリコンバレーでいろいろなオンラインビデオのリサーチの仕事をしていました。

そんなバックグラウンドからきて、今日は忘れ去られた特許の一生というものについてと、それを私がどのように"養子"としてもらったのか、ということをお話ししようと思います。

ある方が「特許は監獄に入ることがある」なんて言いましたが、その説明をしたいと思います。まず特許を一生になぞらえますと、生まれたときに三つのカテゴリーに分類されます。

最初のカテゴリーは、「Core Business」というカテゴリーです。このカテゴリーはその会社にとって、ライフラインになるような中核的な事業に関連するものです。例えばGoogleの検索エンジンなどが、それに当たります。同じことがFacebookのニュースフィードの機能にも言えます。こうした特許は、非常に脚光を浴びる人生を送ります。いろいろなことが追加されたり、大切に育てられて、どんどんと進化していきます。そして更に良いテクノロジーが入ってくるまで活躍します。

二番目のカテゴリーですが、少し違いまして、「bartering(物々交換)」に使われる特許です。これは企業がお互いに訴訟し合わないように、抑止力を持つものです。一つ例を使ってお話しますと、AppleがGoogleに対して、iOSの特許侵害で訴訟を行いました。その時にGoogleがMotorola社を買収して、その訴訟を防御することによって、結果的には和解ということになりました。これは大企業間ではいつでも行われています。こうした特許は、実際にビジネスにおいてというよりも、マネジメントにおいて使われます。

特許が侵害されるのを待つ"特許搾取者"

カシ:次は三つ目……今日はこの三つ目のエリアについて特にお話したいのです。このエリアは、その会社にとって中核的な事業との関連性もなく、「bartering」にも使われないような特許です。こうした特許というのは、保留特許として会社の中でしばらく眠らされる、つまり倉庫で保管されます。

あるいはひどい場合には、「Patent Troll(特許搾取者)」に売られてしまいます。Patent Trollというのは、それぞれの企業において使われていない特許というものを調べて、その特許を買っていきます。企業に対して「この特許は使ってないですよね? これから使う予定もないでしょう? だから私に買わせてください」と言って買うのです。

大企業はそう言われますと、「確かにこの特許は売り上げには何も影響しない。ただ置いてあるだけなので、売りましょう」と言ってPatent Trollに売ってしまいます。

またPatent Trollは、別のやり方でも特許を取得するのですが、例えば倒産しそうな企業を見つけて、その企業から特許を安く買います。こうした倒産しそうな企業というのは、さまざまな債務者がいますので、資金繰りの一つとしてPatent Trollに特許を売って、債務の返済に当てていきます。

では、Patent Trollが何をするかというと、その特許を持ってスタートアップ企業(起業したばかりの企業)を狙います。スタートアップ企業が業務を拡大する時などを狙って、Patent Trollが特許侵害でスタートアップ企業を訴えます。その結果、大きな資金を得るのです。

特許を取引する場があれば、起業家も研究者もWin-Winでは

カシ:そうしてお金を得ていくんですけど……ここで私が提案したいことは、特許の取引所のようなものを設立するということです。会社の中で全く使われていない特許を、私のような起業家に解放していただきたいと思います。

一方で起業家はそういった特許を見て、その特許を中心に市場化するアイディアというのを考え、提案を持って帰り、例えばベンチャーキャピタル等から資金を集めて、そのビジョンをビジネス化をしていく。こうすることによって市場の中のイノベーションを招くことが出来ますし、また研究者にとっては自分の発明した特許がマーケットで正当に評価される、非常に喜ばしいことだと思います。またPatent Trollにも攻撃されない。素晴らしいことだと思います。

眠っていた特許から生み出された新技術

カシ:これは過去に事例があるのかと聞かれれば……はい、私はやったことがあります。では、ある特許「6535639」の人生を見てみましょう。

この特許は富士ゼロックス社で生まれました。皆さんご存知のように富士ゼロックスというのは、コピーの事業をやっています。ところがこの特許は、オンラインビデオに関する発明でした。富士ゼロックスがオンラインビジネスに関する事業を何もやっていなかったために、この特許は保管庫に保管されました。

そこで私は、「この特許をリリースしてくだされば、私には市場化するアイディアがある」ということを伝えました。富士ゼロックスにライセンスをしてもらいまして、同じような考えのNTTdocomoさんなどの企業と協力して、私のビジョンについて話し合いました。そしてこの特許と合うマーケット、製品を見つけてきました。これを具体的に事例を交えながら、説明していきたいと思います。

皆さんご存知だと思いますが、実際にインターネットをする犬はいませんが、ここでは例として犬を使いたいと思います。

この犬はインターネットでビデオを見ています。綺麗な女性に惹かれていますね。この犬がインターネットサーフィーをしていて、魅惑的な女性のビデオを見つけました。こうして見ると一画面だけ映っています。この一画面が正確にビデオの内容を反映していないということが多いのです。

この場合に犬は、この画面をクリックします。そうして何が起こるかというと、思っていたのとは違うビデオが映し出されます。全く関係のない男性が出てきて、インフォマーシャルを始めます。「Click Bait(広告の一種)」と呼ばれていまして、実際のインターネットの40%で行われていると言われています。

どうしてこのようなClick Baitがあるかと言いますと、こういうビデオを公開しているサイトに広告料が入るからです。これ自体は問題ないのですが、ユーザーとしては非常にフラストレーションが溜まります。ではどうやって問題を解決していくか、ということについてお話ししたいと思います。

もうサムネ画像に騙されない! 初見の動画でも内容がひと目でわかる

カシ:全てのビデオを分解しますと、実はこのように様々なクリップによって構成されています。私の使った特許の発明は、そのクリップの重要度について"重み付け"をしていくというものです。

そして重み付けをした後、漫画のようにストーリーボードに仕立て上げます。これを「VIDEOGRAM」と呼んでいます。このVIDEOGRAMは、このビデオの内容を一瞥してわかるようなストーリーボードを作ります。そうするとClick Baitということも起こりません。見たままの画像がビデオでも流れるということです。

実際の例を使ってお見せしたいと思います。こちら一般的なオンラインビデオですが、一つしか画面しかない画像の真ん中に再生ボタンがあるだけなので、実際に再生していないとどういうビデオかはわかりません。

これを「VIDEOGRAM」を適応すると、このようになります。これがビデオの画面ごとの要約になります。こうした画面で見せますと、視聴者はこのビデオがどういう内容かがわかります。これが富士ゼロックスの持っていた特許でした。

この特許の根幹に関わる所ですが、VIDEOGRAMは画面の大きさが重要度によって変わってき、重要度の高いものほど大きな画面になるので、このビデオのどこが重要かということわかります。見ている視聴者にとっては、この画面の中でも特に気に入った画面というのがあるかもしれません。「じぶんにはここのほうが興味があるな」ということでここをクリックしますと、その時点からビデオを見始めるということも出来ます。

ですから視聴者は、もちろん広告は現れますが、ビデオを自身でコントロールして見ることが出来ますし、またビデオをインターネットに公開しているサイトは広告を載せているので、広告料金を失うわけではありません。

またこれをソーシャルメディアに載せる時に、タグラインを付けることが出来ます。ですから自分の友人や家族にFacebookなどを通して、興味深いところを選んで、このビデオを共有するということが出来ます。自分の興味深いところをダイレクトに共有でき、受け取った側もその時点からビデオを見ることが出来ます。パブリッシャーにとっても運営側にとっても良いですし、視聴者もエンゲージメント(愛着心)が上がって非常に良いです。

twitterでもこのように表示されますけど、これで各ビデオの内容がわかります。広告はありますが、自分の視聴したい時に広告に邪魔されずに、ビデオを見ることが出来ます。

これはすべて眠っていた特許を生かした結果です。いろいろな企業に、使われていない特許、発明、イノベーションというものが眠っています。ですから、私から皆さんにお願いです。もし皆さんの会社に眠っている特許がありましたら、もしくは皆さんが起業家やベンチャーキャピタルでしたら、是非一緒に特許の取引を行うエコシステムを確立していきましょう。そして広めるべきイノベーションを広げていきましょう。

<続きは近日公開>

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