ホームレス芸人・小谷に救われた人

絵本作家のぶみ氏(以下、のぶみ):この前、『のぶみ学』に(ホームレス芸人の)小谷さんが来てくれたんですよ。

西野亮廣氏(以下、西野):はいはい。

のぶみ:ほんで、小谷さんが(参加者に)「ネガティブな質問とかされたらどうするんですか?」って言われて、「僕、明日からもう仕事辞めて……なんかちょっと、本当にうまくいかないんですよ」って言ったときに、(小谷さんが)「ええやん」って言ってて。

西野:あー。

のぶみ:「だって、明日から仕事休みになるんでしょ? ええやん」って言われて、「すごい救われた」って。

山口トンボ氏(以下、トンボ):すごいですよね、小谷のあの感じって。

のぶみ:俺、本当にちょっと、「あ、いいな」って思ったんですよね。

西野:いや、小谷はすごいっすよ。

のぶみ:あの人、やっぱちょっとすごい……徳高いですよね。

西野:小谷はすごいですよ。

のぶみ:うん。

世間に伝わりづらい小谷のすごさ

西野:たぶん「小谷すげぇ」っていう話は3年ぐらい前から言ってると思うんですけど。

のぶみ:すごいですよね。

西野:3年ぐらい前も、「いや、小谷おもしろいっすよ」っていう話したら、「炎上商法ですか?」とか。

(一同笑)

西野:「奇をてらってるんですか?」とか……俺、奇なんかてらってないの!

トンボ:まあ確かに、「奇をてらってるんですか?」ってなってた感じしますね。

西野:「ホームレスをおもしろいって言って、目立とうとしてるんですか?」みたいな。いや、そうじゃなくて、フラットに見てお前らよりおもしろいよっていう。

のぶみ:いや、おもしろい。僕、あの人大好きだもん。本当に神様に近いなと思ってて。

西野:はいはいはい。

のぶみ:お金の基準で生きてないから、神様に近いなと思って。

トンボ:そうなんすよね。

のぶみ:僕と西野さんは、やっぱり、それなりに評価が出るところでがんばってやってるじゃないですか。

西野:はいはいはい。

のぶみ:あの人って、毎日、「勝ちやん」とか、「やった」って言って生きてるから、「もしかしたら、あいつのほうが幸せなんじゃ?」っていうのは圧倒的に思いますよね。

トンボ:本当に思いますよ。

のぶみ:レースに参加してないから。あの人は本当にすごい人になると思う。

お金と電気の呪縛から逃れるのは難しい

西野:なんか、2つあるんですよ。人が生きてるのって、お金の近くにいるか、あとは電線の下にいるか。

トンボ:うんうんうん。

西野:我々は、ここからなかなか離れていけないじゃないですか。やっぱり電線の下にいてないと、生活できないから。

トンボ:あー、そうか。なるほどなるほど。

西野:だから、「ここから出ていこう」と思ったら、もう本当に、安くて持ち運びができるすげー高性能のソーラーバッテリーを……今はこれ、あんまりちゃんと開発できてないんですよね。

のぶみ:うん。

西野:それをやる人か、このお金の呪縛から抜け出せた人というのは、人としてすっげーおもしろいですよね。

トンボ:いや、すごい。

西野:そんなことって、ここ何百年間できてないから。

のぶみ:うん。

西野:それができたら、本当にその……。要は、そういうことをわざとやって、マネタイズしてる人とかはいますよ。「俺はお金と関係のないところで生きてるから」みたいなことで本を出したりして。

トンボ:というビジネスをやってるっていうことですよね?

西野:ビジネスをやってる人はいるけど、リアルに、本当にそこ(お金・電気)と関係ない生活をしてる人って。

トンボ:本当っすよねー。

のぶみ:パフォーマンスじゃないってことですよね?

西野:パフォーマンスじゃなくて、商売じゃなくて、本当にできてるというのは、すげーおもしろいんですけど。

のぶみ:やっぱビックリしたもんな。

西野:人間がなかなかできてないのに、それをいくっていうのはやっぱおもしろいっすよ。

小谷も“人格者”になれないときがある

のぶみ:だから俺、その『のぶみ学』で、「小谷さんが『あ、普通の人なんだな』って思った時があった」という話をして、このニコ生が終わった後に雨が降ったんですよ。

西野:はい。

のぶみ:俺と西野さんは傘を持ってて、小谷さんは持ってなかったんですよ。そしたら、ここの山口さんが、「これ差し上げますんで、持ってってください」って言ったときに、小谷さんが遠慮したんですよ、「大丈夫です」って言って。

トンボ:はいはい。

のぶみ:俺も西野さんも、入れる気はぜんぜんあったんだけど。小谷さんが3歩ぐらい進んだ後に、「あー、俺ダメだ、ダメだ!」って言って、「俺、なに自分でかっこつけてんだ」って言って、「もらいます。すいません、ありがとうございます」って言ったんですよ。

西野:あー、はいはいはい。

のぶみ:俺、そのときに「小谷さんって、やっぱりそうやって意識して、ちゃんと戻してんだ」って。

西野:やってますやってます。だから、小谷やってるんですよ。

のぶみ:うん。

西野:徐々に天然小谷になりつつあるんですけど、でも、やっぱり微調整はしてて。

のぶみ:そうですよね。

西野:小谷をちゃんとやってるという。

のぶみ:だから、その話をしたんですよ。「小谷さんってそういうふうにしてるんだ」って話したら、小谷さん、その時だけ、顔真っ赤になって、「俺はそんな、のぶみさんの言うようなことはやってません」って言って(笑)。

トンボ:(笑)。

のぶみ:もうすごい顔真っ赤にして、「それだけは話されたくなかったー!!」って言ってましたね(笑)。

西野:わかります。

のぶみ:嫌なんでしょうね(笑)。

西野:たまーに、年に1ぺんぐらい、あいつが「あれ、クソでしょ」みたいに言うときがあって、そんときは絶対捕まえますもんね。

トンボ:おもしろいですよね(笑)。

西野:「お前今、ネガティブなこと言ったな」みたいな。

(一同笑)

西野:「お前今、ツッコんだ?」みたいな。

トンボ:「ええやん」の小谷が(笑)。

西野:あのミスター「ええやん」の人が、「クソっすね」とか言うときは、絶対首根っこ捕まえて、「お前、性根現したな?」みたいな。

トンボ:(笑)。

のぶみ:そんなこと言うときあるんですね!

西野:たまーに出す。本当に年に1ぺんぐらい。

のぶみ:マジかー。

西野:まだ、小谷になりきれてない(笑)。

のぶみ:それ、おもしろいですね(笑)。

西野:脱皮途中ですから。

のぶみ:脱皮途中、進化してるんだね。すごいなあ!

西野:進化してる途中ですから。

キンコン西野の小谷への信頼

のぶみ:小谷さんは、四六時中それやってるっていうのは本当に……なんだろうね。なんかの修行というか。

トンボ:(笑)。

のぶみ:なんか、やっぱり到達するときにすごいことになりますよね。

トンボ:でも、本当にすごいですよ。

のぶみ:完全な小谷さんね。

西野:でもあれ、いいですよ。要はまあ、仕事できますから。

のぶみ:はい。

西野:スタッフに入れてるとすごい優秀ですから。僕もう、すごい信用してますから。

のぶみ:そうなんですか?

西野:もうだいたいあいつですよ。あいつに、「これとこれとこれ、やっといて」みたいに、すごく大事なことを、けっこう小谷に任せます。

のぶみ:マジですか?

西野:はいはいはい。

のぶみ:なんか、(参加者が)「小谷さん、50円で皿洗いやらされて、途中で嫌になったりしないんですか?」って言ったら、「嫌になっちゃいますよ」って言ってて、「嫌になっちゃったら1回やめて、『俺、皿洗いの才能ないなー』って思って、それからずっと続ける」って言ってましたね。

トンボ:あー。

のぶみ:「下手くそながらずっとやって、1日だったら1日全部やります」って。

西野:へー。

のぶみ:「だけどそれは筋通ってるな」って思いましたね。

西野:はいはいはい。

のぶみ:やれないところはもうしょうがないけど、やれるところまで全部やるっていうのは素敵ですよね。

西野:うんうんうん、いや、大したもんですよね、あれね。