こんな取材・インタビューは腹が立つ

絵本作家のぶみ氏(以下、のぶみ):この前、ちょっと悪い人いましたよね?

西野亮廣氏(以下、西野):何でしたっけ?

のぶみ:(西野さんの)ブログで書いてましたよね? ちょっと取材のインタビュアーの人になんか言われてましたよね?

西野:何でしたっけ?

のぶみ:取材の人になんか言われて、それがすごく嫌だって。けっこう腹立って、ロザンの菅さんに愚痴聞いてもらったとか書いてましたよね?

西野:あーー! ありました! 実は取材に限らず、テレビでもけっこうあるんですけど。

山口トンボ氏(以下、トンボ):はい。

西野:もうスタッフさんのなかで、台本があるんですよ。

トンボ:まあ、そうですよね。

西野:「こうきたらこうイジってやろう」みたいな台本があって。

トンボ:おっしゃってましたね。

西野:僕相手にも台本を書いてこられるんですよ。

トンボ:はいはいはい。

のぶみ:うん。

西野:ただ、基本的には、やっぱり人としては最下層の人間が書いた台本だから。

(一同笑)

トンボ:西野さん……(笑)。

西野:なんの経験もない。

トンボ:最下層かなあ……?

西野:はい。偏差値も、本当に1桁の方が書かれた台本なので。

のぶみ:カースト制度!(笑)。

トンボ:そういう人が書いてるんですか?(笑)。

西野:最下層が書かれた台本なので、ちょっとムズいんすよ、やっぱりその……。

トンボ:はいはいはい。

マスコミの台本にどこまで乗るべきか

西野:Facebookで書かせていただいたのは、「なんで職業・肩書をコロコロ変えるんですか?」という質問がきたから、「それはね……」と言って。

トンボ:うん。

西野:「ここから先、すべての職業に寿命があるし、いろんな職業がすごいスピードでなくなっていくから、まず根底にある、職業をコロコロ変えることを悪としているのは、もう取っ払ったほうがいいと思ったので、僕は職業をコロコロ変えます。『こういうのもアリですよ』というプレゼンをしてます」という話をしたら、「炎上商法ですか?」って返ってきて。

トンボ:うん。

西野:「あと、こいつと何をしゃべったらいいの?」っていう。

(一同笑)

トンボ:この先に(笑)。

西野:だからそれは、決めてるんですよ。

トンボ:もうね。

西野:「西野はとにかく炎上させたいやつなんだ」と決めていて、「いや、そうじゃないんだよ」という。「そうじゃなくて」って言いたいんだけど、(相手が)決めているから会話にならない。

トンボ:そうですよね。

西野:だから会話するかしないかじゃなくて、アホが書いた台本にこっちが乗るか乗らないかになってきて。

のぶみ:その後、どうしたんですか?

西野:いや、「アホやな」「どうしよっかなー」って思って、その時はイライラしながら話聞いてたんですけど、先輩に相談したら、「そもそも西野のことを天然だと思ってる。というか、世間の9割9分は西野のことを天然だと思ってるから」と。

のぶみ:あー、そうか。

西野:「それをおもしろがってくるんだけれど、それは大間違いで。お前がやらなきゃいけないのは、その天然だと思ってる人の書いた台本に乗るか乗れへんか、演技するかしないかだ」という話をして、「なるほどな」と思って。

トンボ:うーん。

西野:それはすごいストンときて。

のぶみ:なるほどねー。

西野:でもやっぱり、乗ったほうが拡散するんですよ。

トンボ:まあそうですよね。

西野:アホの書いた台本でも、乗ったほうが拡散するんですよ。

のぶみ:わかるなー。

西野:これをどこまで乗って、どこでキレるかみたいな。もうそこでしかないと。

のぶみ:テレビでも本当にそうですもんね。

西野:はいはいはい。

のぶみ:もう決められてますもんね、「これ言ってください」みたいな。

ドキュメンタリー風の謎企画

トンボ:こないだ、のぶみさんのドキュメンタリーで、のぶみさんの違う一面を引き出すみたいな(笑)。

のぶみ:そうそうそう。あれもう、意味がわからないんですよ。「休日にこういうふうにやってることにしてください」って言われて……やりましたけどね。

トンボ:ドキュメンタリーじゃなくなってる。

西野:それ、すげーわかる。

のぶみ:ツリークライミングもやりましたし。

トンボ:(笑)。

のぶみ:「俺、休日そんなにアクティブじゃねー!」って思って。

(一同笑)

西野:いや、わかる!

のぶみ:「家に引きこもってるわ!」って思って。

トンボ:決めてるんですよね。

キンコン西野はジョブズに憧れてる?

西野:もっとつらいのは、局は言わないですけど、僕もドキュメンタリータッチのやつをやったんですよ。

トンボ:はいはい(笑)。

西野:そん時に、「同じ服ばっかり着るのはなんでですか?」とか、別に面倒くさいから同じ服着てるんですけど、「西野さん、『ジョブズもやってるから、僕もそうやってるんです』って言ってもらえないですか?」って言われたんです。

(一同笑)

西野:「マジか!」って思って。「俺、ジョブズ、そんなにやけどなー」って思ったんですけど。あまりにもしつこく言うもんですから、カメラが回ってる時に、「いやー、だってジョブズも……」ってやったんです。

のぶみ:えらい!

西野:「ジョブズも同じ服をずっと着てるから、僕もジョブズに憧れてるんで、同じようにやってるんです」みたいなことを言ったんです。

トンボ:はい。

西野:「ジョブズに憧れてる西野」みたいなことが、おもしろおかしくイジられて、「まあそれはいいな」と思ったんですけど、この番組を見た別のドキュメンタリー番組のスタッフが、「あのジョブズの発言、もう1回いただけないですか?」って言って。

(一同爆笑)

のぶみ:ジョブズ! 流行ってるよー(笑)。

西野:ここでも……。俺、「なんか、ジョブズ、そんなやけど……」って。

トンボ:面倒くさい。

西野:面倒くさいんですよ。「あそこで言ってたじゃないですか」「いや、あそこも俺は言わされて……あそこも演技やねん!」みたいな。

トンボ:確かにね。

のぶみ氏が言わされたサブい台詞

のぶみ:もう俺は腹立ってるので番組名も……有吉さんの番組で(笑)。ディレクターの人が来て、「のぶみさん、元チーマーとか暴走族の総長だったんですよね?」「ちょっとこれだけ言ってくれませんか?」って言われて、「『もともと鉄パイプで人を殴ってたんですけど、今は色鉛筆に持ち替えて人を喜ばせてます』って言ってください」って。

西野:うわーー!

トンボ:(笑)。

西野:うわーーーー!

のぶみ:「うわーー!」って思って。

西野:サッブいわーーー!!

(一同笑)

西野:もう!!

のぶみ:腹立つでしょー?

西野:でもわかるなー! サブいですけど、そっちのほうがキャッチ―で、しかも見る人はほとんどアホやからね。

トンボ:(笑)。

西野:そんなこと言うたら。

トンボ:「アホ」って言うた(笑)。

西野:ほとんどアホやから。

トンボ:まあ、だからそっちのほうが描きやすいんですよね。

のぶみ:「腹立つー!」って思って。その人ずっと粘って、何時間もいて。

トンボ:はい(笑)。

のぶみ:「もういいわ」と思って、もう言ったんですよ。

トンボ:はいはいはい。

のぶみ:そしたら、本当にそこだけ使われて。

トンボ:編集の頭の中で決まってますからね。

のぶみ:それで有吉さんにすっごいグワーッて言われたんですよ。

西野:はい。

悪意ある放送の影響

のぶみ:そこに元19(ジューク)の中村満さんがいて。仲良かったんで、「別に悪い人じゃないですよ」ってフォローしてくれたんですよ。だから、「よかったー」って思ったんだけど、「もう二度と言わねー」って思ったもんね。

西野:わかります。

のぶみ:「それだけやる?」って思って。

西野:あれも本当にムズいとこで、じゃあ嘘ついてるかっていうとそうじゃなくて、やっぱり目の前にいるスタッフさんががんばってるところも見てるから。

のぶみ:そうなんですよ。

西野:「この人を喜ばせたい」っていうのもあるんですよね。

のぶみ:わかります。

西野:「僕がここでこれを言わないと、この人が困る」っていうのもあるから。

のぶみ:悪い人じゃないから。

トンボ:はいはいはいはい。

西野:ムズいんすよね、そのさじ加減ね。

のぶみ:うん。

西野:「サブいなー」って思いながら言う時もあるんですよね。

のぶみ:有吉さんも、それで1回、俺に対してきつく言わないと、俺のほうにまたバーッてくるのもわかってるから、間違ったことを言ってる人には強めにツッコまないといけないじゃないですか。

トンボ:それはそうですよね。

のぶみ:それもよくわかってるんだけど、まあ放送直後、僕のTwitterむちゃくちゃになりましたからね。

西野:あー。

のぶみ:なんかもう、謝らないし、やっぱりグチャグチャになるから怖いですよね。今度からもうやめようかなって思ってますけどね。

トンボ:ある種、誰も悪くないんですけどね。

西野:そうそうそうそう。

のぶみ:ほんでTwitterでビックリしたのが、「暴走族になって絵本作家になれるんだったら、暴走族になればいいじゃん」みたいなことを……。暴走族になったから絵本作家になったわけじゃないんだって。でも、そこだけガチンって(編集を)やられてるから、もうそういうふうになっちゃうんですよね。

西野:いやー、わかるなあ。

のぶみ:よくテレビに出てる人だったら、「あの人はそういう人じゃないな」ってわかるんだけど、俺はたまにしか出なくて言われるから、本当に子供とかもかわいそうじゃないですか。

トンボ:うーん。

のぶみ:「最悪だ」と思いましたけどね。

西野:ムズいっすよね、そこのさじ加減ね。

のぶみ:うん。

西野:でも僕は、どっかで「演技したほうがいいな」って思いましたね。

トンボ:なるほど。

のぶみ:だから、やってましたよね。

西野:最終的に広まったほうがいいから。やっぱり「ジョブズに憧れてます」とか言ったほうがいい。

トンボ:うん。