「社会への貢献度を数値化したい」“社会起業家=モテる”を実現しようとするリディラバの活動とは

特別対談企画「社会の価値観を変える事業の創り方」 #2/5

第5回リディラバースデー
に開催

「社会の価値観を変える事業の創り方」をテーマに、リブセンス・村上太一氏、リディラバ・安部敏樹氏、ジャーナリスト・津田大介氏が意見を交わしたトークセッション。本パートでは、「社会の無関心を打破する」をテーマに活動しているリディラバ代表の安部氏が、社会問題への取り組みが増えない理由を語ります。

「ソーシャルビジネス」という言葉はおかしい

津田大介氏(以下、津田):前に田坂広志さんとソーシャルビジネスについてトークしたことがあるんですが、そのときに田坂さんが印象的な話をされてました。企業のCSR、要するに企業活動の中でどうやって企業が社会に貢献していくかというテーマのセッションだったんですけれど、その中で「ソーシャルビジネスとはそもそもおかしい単語だ」という話をしていたんです。

ビジネスとは全てソーシャル、つまり社会的なものであって企業は利益を挙げることで社会に対して何らかの価値を返しているんだから、ことさらにソーシャルビジネスと言うのはおかしいと。その話が村上さんのこれまでの話とつながるなと。

最初から村上さんは、質と量でかなりレバレッジが効くようなところからスタートし、リブセンスの事業が上手く廻り始めてからは自分が社会にインパクトをもたらす可能性も広がったと思うんですけれど、具体的にリブセンスで社会との関わりをより強く意識されるようになったのはいつ頃からですか?

村上太一氏(以下、村上):ある程度会社が上手く廻りだして、自分のモチベーションって何だろうと考えた時からですね。お金とか必要以上にあっても幸せだと感じないなと。やっぱりインパクトとか、サービスを純粋に使ってもらって「良かった」と言われたいとかそういったものの方が興奮を覚えるようになって。

単に収益挙げるだけならもっと色んな手段や方法がある。ただ、それだけだと、私も従業員も幸せになんないよな、とすごく感じるようになりました。実際、世の中全体がそういった会社を求めるようになってきているような流れを感じてますね。

津田:最初に起業したときから根本のところにある理念はいかがですか? 揺らがず、そのまま自然に大きくなってきている実感はあります?

村上:そうですね。幼い頃からそこはずっと変わらず。けれども忙しくなりすぎるとたまにぶれてしまうときがあって、そんな時は一人合宿をしています。

安部敏樹氏(以下、安部):熱いなぁ。

津田:一人合宿で自分とひたすら会話をして会社をどうしていくんだみたいなのをしているんですね。そういえば安部さんの会社も5周年ですね。よく5年も持ちましたよね(笑)。

安部:もともとかなり労働集約型のビジネスですからね。

社会の無関心を変えたい

津田:リディラバを立ち上げようと思ったきっかけを教えてください。

安部:大きな社会的な分析からの意見と、原体験と2つあるんですけど。まず社会的な分析の話をすると、先ほど本来ビジネスは全て社会的なはずだという田坂さんの話を聞いて、僕も本来そうであると思うんです。ただ、今それが本当にそうなっているかというのは結構微妙だなって思います。

結局、資本主義が社会性を反映するためのいい仕組みになっていないと思っていて。じゃあ民主主義や資本主義という仕組みの中でどうやって社会性を反映していけるのか、もう少し社会性が反映しやすい形はどんな形かを追求することが1つの大きな目標です。

原体験の方は、僕が14歳の時に親をバットで殴ってしまったんですね。家を追い出されて、当時学校も行ってなかったので学校にも行けずに駅前のコンビニでたむろしていたらお巡りさんに声をかけられて、という子供だった。その時に感じたのは、コンビニの前でたむろしている僕らに道行く人が全く興味をもたなかったことなんですよね。

本当は僕ら子供はそこにいるはずじゃなくて、その時間は学校に行ってなきゃいけないはずだし、僕らは制服を着ているんだから誰かが声を掛けるのが普通じゃないですか。学生がタバコを吸って酒を飲んでるのもおかしい。

大人が誰か声を掛けていれば多分その子たちは変わったはずだし、僕らは声を掛けて欲しかった。でも誰も僕らに声を掛けないんですね。そこに社会の無関心がある。同じ気持ちを他のマイノリティーや社会的弱者と言われている人達も感じているんじゃないかな、と昔から思っていて。大人になったらやっぱりそうだったのでその仕組みを変える仕事をしようと思ったんですね。

自分が得するルールじゃないと人は動かない

津田:安部さんはリディラバを通じて社会問題を解決する、もしくはその手段をみんなで考えるためのきっかけを与えることを事業にしている訳ですが、こういう活動をしていると「そんなに社会を変えたいなら、回りくどいやり方しなくて政治家になれよ」みたいなことは言われませんか?

安部:それはすごく良い質問で、僕が事業を立ち上げるときに色んな人に言われたんですね。例えば「おざーん」っていう有名な投資家がいるんですけど。

津田:小澤隆生さん?

安部:はい。彼に話をした時に、「まず個別の社会問題を解決するのに自分の全精力を注げよ」と言われました。小澤さんは優秀な奴らを抱えているならその方がいいよって言うわけですね。

でも、その優秀な奴らがいなくなったらその個別解決で終わっちゃう訳じゃないですか。ちょっと難しい話になりますが、多分それって部分最適に過ぎなくて全体最適にはならないと思っています。

社会のジレンマゲームっていうのがあるんですよ。囚人のジレンマゲームの解釈を拡大したものなんですけれど。要はゴミ捨てと同じで、自分にとって不快なゴミを捨てることは自分の利益を最大化しますよね。一方で社会としては、街が汚くなる、ゴミを掃除するコストもかかる、さらに治安が悪くなるみたいな、マイナス面があるかもしれませんってのがあるじゃないですか。

でも、「ゴミ捨てないで」ってどれだけ言っても、個人の利益の最大化が全体の利益の最大化にならない場合は、ゴミ捨て問題は絶対に解決しないんです。これが社会のジレンマのひとつの構図で、それを解決するには得点を変えるなどのルール変更をしなければいけないんです。

社会問題を可視化して、その社会問題に関わることが自分にとって得であるというルールにしないと全体の最適に向かわないと昔から思っていて、個別の解決じゃなくて社会問題の可視化からまずは入っていこうと。

社会起業家がモテる世界にしたい

村上:私、この考え方が安部さんと一致してたんですよね。社会への貢献っていうのを数値化出来ないのかっていうテーマがあって、お金に替わる新たな価値基準を作るっていうのを安部さんとの秘密会議で最近やっていて。フォーブスなどで世界資産家ランキングが出ますが、世の中に対して良い影響を与えたかどうかランキングで可視化されることで目指す世界がつくれるんじゃないかと。

津田:どれだけソーシャルグッドを重ねたか数値化したい。それは常々安部さんが言ってる「社会起業家がモテる世界にしたい」という話とつながりますね。

安部:そうです。社会起業家と言ってしまうとまるで自分がモテたいみたいになっちゃうんですけど(笑)。社会になにかアクションを起こした人がモテるっていうのはすごくいいなと思っています。

津田:リディラバは実際に個別の問題を解決するために働くのではなくて、社会問題をみんなに気付かせることをやっている。実はリディラバのやってることってメディアに近いですよね。

安部:近いです。

津田:社会問題について新聞が長文で書いたり、NHKがNスペ(『NHKスペシャル』)とかで報道すると変な話ですが「偏差値55以上」ぐらいある人じゃないと届かないんですよね。リディラバはもう少しそこより間口が広いですよね。

リディラバとは?

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リディラバは、「社会の無関心を打破する」をテーマに、社会問題をスタディツアーにして発信するプラットフォームです。

ひとりひとりがもっと気軽に社会問題の現場を訪れ、理解し、解決の方法まで考えられるようにすることを目指します。

社会をよりよいものにしたいと願う皆さんの“思い”を“カタチ”にするお手伝いをします。

・公式サイト

制作協力:VoXT

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