給料、やりがい、人間関係…「1つも満足できない会社は今すぐ辞めろ」 津田大介氏が勧める“転職の基準”

特別対談企画「社会の価値観を変える事業の創り方」 #3/5

第5回リディラバースデー
に開催

「社会の価値観を変える事業の創り方」をテーマに、リブセンス・村上太一氏、リディラバ・安部敏樹氏、ジャーナリスト・津田大介氏が意見を交わしたトークセッション。本パートでは、津田大介氏が転職すべきか否かの判断基準についてシンプルに解説します。

人と企業のマッチングが社会を大きく変える

津田大介氏:一方で村上さんはインフラとかサービスとかアプリといったところからアプローチして色々な社会の問題の解決を試みているのかなと。実際にリブセンスを通じて社会のこんな問題が解決できたみたいな事例はありますか?

村上太一氏(以下、村上):リブセンスは人材領域をメインで扱っています。人と企業の適切な出会いによって、世の中は大きく変わると思っています。人と企業のマッチングというのは、社会のGDPや人の喜びを含めて社会全体を大きく変えますよね。

たとえば、当社の展開する「転職会議」という転職のクチコミサイトでは従業員や元従業員の方が、働いた感想を実際に投稿していて、現在100万以上のクチコミが集まっている。

津田:昔だと「みんなの就職活動日記(以下:みん就)」に掲示板とかがあって盛り上がったりしましたね。

村上:「転職会議」は「みん就」の転職市場版ですが、新卒の方も「みん就」より見るようになってきていて。例えば、就活生同士の議論と実際働いている方の感想は違うと思っていて、「転職会議」では実際に働いた生の感想が書き込まれているので、よりリアルですよね。

実際Twitterで寄せられた声を見ていると、「内定を頂いた企業のクチコミ等を見て、企業が言っていることと自分の想像が違いそうだなと気付けたので内定辞退しました」っていうような。

津田:これクチコミは匿名で募集しているんですか?

村上:はい、匿名ですね。

悪口にならないようにポジティブな方向へ誘導する

津田:僕2つ疑問があって。昔から「みん就」もあったし、同時に2chの就職とか転職掲示板に行くと大体企業ごとにスレッドがあって、その企業の良いところも書かれているけれど、大抵ぼろくそに書かれているじゃないですか。

匿名のクチコミが盛り上がるには情報の質が高くて良いコミュニケーションが取れる設計にする必要があると思うんですけど、その工夫はなんなのかっていうことが1つ。もう1つはそんなリアルなクチコミがたくさん集まったら、たまったもんじゃないという企業からのクレームはないのかなということです。以上、2つについて教えていただけますか?

村上:まずクチコミの質に関して言うと、コンセプトとして2chのように悪口を書く、ダメな企業をチェックするというよりは良い企業を見つけるっていう方に寄せています。なのでクチコミもただの悪口にならないように、質問を出して回答してもらうという形にしています。

津田:じゃあ、いわゆる「スレ主」は転職会議側にあってイニシアチブを運営側が取っているんですね。

村上:そうです。で、「仕事のやりがいを教えてください」とか、「成長できた点を教えてください」というようにポジティブな誘導を可能な限りできるようにしていくと。まあ、現実はネガティブ気味になってしまう企業さんもいらっしゃったりします。書き込みの削除の依頼、というのももちろん来たりはしますが、中立性を保てるかがキーなので基本的に削除はしません。

津田:そこがリブセンスが譲れないポイントであり、こだわっているところなんですね。では、マッチングが非効率になっていることで発生する社会における最大のデメリットはなんですか?

村上:いくつかあると思う。まず、働いている人のパフォーマンスが全然変わるというか、仕事を楽しくないなと思いながらやるのとやりがいを持ってやるのでは全然人のパフォーマンスが違うと思っています。たとえば私が起業家以外のひたすら単純な作業をやっていたとしたらあんまり向かないと思うんですね。

津田:アイディアを考えることみたいなことが好きだいうことですかね?

村上:はい。そういった仕事のマッチングによって、人のパフォーマンスは変わり、パフォーマンスが変わることで、個人だと給料、会社だと収益、国だと税収・GDPといった結果が変わってくる。人生というのは、だいたい3分の1働く、3分の1家庭、3分の1寝る、なんですけれども、働くっていう部分が寝る以外の3分の2に影響を与えてくる。だから、やっぱり人材の領域というか、人と企業のマッチングって楽しいと思います。

やりがい、給料、人間関係…1つも満たされなければ今すぐ辞めろ

津田:僕も若い子と話すときに転職の相談を受けたりするんですけど、今まで転職の市場などを見てきて、村上さんがこういう条件が整ったらこういうところに行けばいいよみたいなアドバイスってありますか?

僕は結局働くときに3つ条件があるという話をしていて、1つめは仕事のおもしろさややりがい、2つめは給料、3つめが職場の人間関係。これらが3つとも満たされたら最高にいいけれど、実際にはそんな職場はなかなか無いですよね。

でも、2つ満たされていたら結構楽しく働けると思っているんです。例えば給料安いけど職場の人間関係がよくて、仕事やりがいあるから別にいいや、仕方ないと思えるかもしれない。1つになると結構厳しい、きついと思う。で、0だったら今すぐやめろ。でも1つだったら転職して2つにすればいいんじゃないっていう話をするんです。

村上さんがマッチングのビジネスをやってきた中で、「マッチングがいいほうがいいに決まってるけど、どうやって探せば良いのか分かんねえんだよ」っていう人が結構いると思うんだよね。

村上:私は、全てやりたいことからの逆算だと思っていて、個別でアドバイスをするとしたら、やっぱ人の価値観によって、お金を重視するのか、人間関係を重視するのか、みたいに軸も変わってきます。自分の価値観が不明確な状態で転職するのが一番不幸だと言いますね。

津田:リブセンスをやっている中でその価値観を上手く考えてもらうきっかけや工夫みたいなことはされてますか?

村上:そこがまだ出来てなくて。転職は改めて自分自身の人生を見直すことが一番できるタイミングかなって。

津田:そこが上手くパッケージ化できてサービスになると、そこに大きなブルーオーシャンがあるんじゃないかって感じはしますね。

安部敏樹氏(以下、安部):僕は逆に考えています。村上さんは、すごくやりたいこと重視の人間じゃないですか。僕もそういう人間だから共感するんですけど、本当に地球上の人類がみんなやりたいこと重視に移行するのかって。僕はすごい疑問がある。

津田:確かに。移行するのは1割ぐらいじゃないですかね。

安部:だからその場合、本当に世の中が変わったといえるのかってなるじゃないですか。やりたいことベースで仕事を選ぶことはどれくらい広がっていくんですかね?

村上:やりたいことって言ってしまうと本当に一握りになっちゃうんですよね。だから、家族を超大事にしたい、とかお金だけは絶対譲れないみたいな価値観の明確化っていう風なニュアンスかもしれない。

赤字でもポリタスを続けるワケ

安部:津田さんは「ポリタス」やったりしてるじゃないですか。俺、「ポリタス」は赤字じゃないかなって思ってるんですけど。

津田:ご明察。大赤字ですよ。

安部:でもやってるじゃないですか。なんで続けてるんですか?

津田:僕は最初にジャーナリストとかをやって、2009年以降は本もそこそこ売れるようになってきて、色んなところからお呼びがかかるようになりました。それで自分は食えていたんですけど、「メディアを作りたいな」という気持ちがずっとあったんですよね。

自分の原体験としては、2009年の政権交代があります。政権交代自体はすごい散々な結果になったけれど、僕は固定化されていた政治が動いたという意味では政権交代はすごいよかったと思っていて。その後の事業仕分けへの評価はいろいろとあるんですけど、政治のプロセスが可視化されること自体ははとても大事だなと。それで自分が大好きなネットと政治を組み合わせて、もっと政治を身近なものにするために「ポリタス」を続けているんです。

それで、アメリカでハフィントンポストが3億ドル以上でAOLに売られたとか、TechCrunchがAOLに数千万ドルで売られたと聞いて。メディアが独立性を保ったまま、トライアウトで資金を得て、それを自分たちのやりたいことに使っている。自分がやるとしたらそういうことだなと。

例えば、ハフィントンポストは買収されてから記者を50も60人も雇ってピューリッツァー賞を取ったりもしている。その上で、政治を見たときに、テレビとか新聞の政局中心の報道に僕はうんざりしてたんですね。最近もずっと「うちわ」の話ばっかりで。

安部:なんというか、アホかっていう。

ポリタスをつくるためにメルマガをはじめた

津田:SMバーの話もそもそも何が悪いのかって言うと、やっぱりお金の出所が税金だったのが問題なんですよね。そういう細かいところじゃなくて、政策とか、社会の課題みたいにもっと話さなきゃいけないことをちゃんとメディアが伝えてくれよっていう想いがあったんですよ。ただ、テレビ局の記者や新聞記者にそうやって言うと、「いやー僕もそう思うんスよね」って言うんですよね。

安部:絶対やんねーんだよ、あいつら。

津田:だけど、テレビ局だったら「数字とれないんですよね」とか、新聞だったら「読まれないんですよね」とか「売れないんすよ」とか言ってできないところにブレイクスルーを起こしてくれたのが池上彰さんだと思っていて。

池上彰はそれをやって、しかも数字がとれるようになった。それは安部さんのやっていることに多分通じていて、伝え方とか、気付かせ方みたいなものを変えることで人々が興味を持って結果として数字が出てくるんですよ。例えば、今までの選挙特番みたいに最初の予想通りに決まっていく、ホントにクソつまんないものが、池上彰の選挙特番を観たらとにかくおもしろい。

同じ素材を使っても伝え方でこんなに変わるということを彼は体現している。自分は池上さんの足下にも及ばないけど、何か自分でもそういうことをできないかなって思い始めて、政治メディアをつくろうと思ったんですね。

で、政治のメディアをつくるには1人じゃ無理。記者とかエンジニアとか少なくとも数人は必要。そこのコストをまかなう必要があったんだけど、当時の自分にはほとんど貯金がなくて、何ができるか考えたらTwitterのフォロワーが10万人くらいいたんですね。じゃあこれを使って堀江さんみたいに有料メルマガをやってマネタイズしてみようと。ポリタスみたいなメディアを作るためにメルマガを始めたんです。

ようやく今、ポリタスの準備が整ってきました。設立当初から関わっていたオンラインエンタメメディアの「ナタリー」をKDDIに買収させることができたので、それをタネ銭にして新しくお金を突っ込んでやってみようかなと。結局、2011年のハフィントンポストの買収が今の自分に繋がっているんですね。

公共性を担うか、個別にキュレーションするか

安部:今の話すごい面白いですよね。メディア関係の人ってよくこういう分け方をするんですね。情報として人々が見たいもの、SMバーですよね。SMバーの記事を見たくてクリックしちゃうわけですよ。僕もついつい「何?」と思っちゃう訳ですね。

津田:SMバーっていう響きがずるいですよね。

安部:とりあえずクリックして貢献しちゃんですよ、私。そういった人々が見たいものと、みんなが共通で知っておかなければいけない公共財的なもの、ジャーナリズムとしての情報みたいなものを新聞記者って分けてるんですね。政治の話って全部後者で、見たいと思うような面白いものではないとみんな思ってたんですよ。でも、それを池上さんがやるとこれが見たいものになる。そこの部分で多くのメディア関係者が努力を怠っていたんじゃないかなって思っています。

最近、「スマートニュース」と「グノシー」っていうニュースアプリがあったじゃないですか。スマートニュースは僕の研究室の先輩が作って、グノシーは僕の同級生がつくったんですよ。どちらも僕と近い人間が作ってライバルとして闘っているのでハラハラしていますが、スマートニュースが一時期グノシーをだいぶ上回った理由のひとつとして、スマートニュースが公共的なみんなが見て議論すべきニュースを配信したという理由がある。グノシーは一方で基本的には人々が見たい情報を個別にキュレーションして送ってあげることに意味があるという方針だと。

津田:2つとも最初はすごく似てたけれども、行く方向は変わりましたね。「グノシー」はアドネットワークの方に行った。

安部:ビジネスモデルとしてはそうですね。

津田:で、スマートニュースは別に広告を入れないし、編集部も作らない。しかし、人々が今なにに興味をもっているのかを可視化することを追求した。

安部:そうです。ただ、分かれ目は個別カスタムにしたかどうかだと思うんですよね。「グノシー」はしちゃって、「スマートニュース」はしなかった。僕はどちらかというとスマートニュースよりの考え方なんですよね。

無いんだったら、自分でつくろう

津田:やっぱり、今日お話を伺って僕たち3人に共通してるのは、こういうものが欲しい、あった方が便利になるだろう、と思った時になんで無いんだよで止まるんじゃなくて、無いんだったらとりあえず自分で作ろうっていうところだと思うんです。

リブセンスはすごく多様な事業を展開されているので何の会社なのか一言でうまく説明出来なくて。その説明できない感じがすごく良いのかなと思ってるんですけど、村上さんの中であえてそうしてる部分ってありますか?

村上:会社名とサービス名を一致させたくないんですよね。ワンプロダクトでやるのではなく、社会の変化と共に提供する価値やサービスを変えていきたいです。ひとつの問題だけではなく、複数の問題を解決していきたいんですよね。

リディラバとは?

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リディラバは、「社会の無関心を打破する」をテーマに、社会問題をスタディツアーにして発信するプラットフォームです。

ひとりひとりがもっと気軽に社会問題の現場を訪れ、理解し、解決の方法まで考えられるようにすることを目指します。

社会をよりよいものにしたいと願う皆さんの“思い”を“カタチ”にするお手伝いをします。

・公式サイト

制作協力:VoXT

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