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日産は月5回の在宅勤務を推奨 「家事に参加する男性がもっとも多い会社を目指す」

日産は月5回の在宅勤務を推奨 「家事に参加する男性がもっとも多い会社を目指す」

ダイバーシティ経営企業100選シンポジウムにおいて、「働き方改革と男性社員の巻き込み方」をテーマに意見を交わしたトークセッション。本パートでは、ルノーとアライアンスを交わして以降、積極的にダイバーシティを推進してきた、日産自動車の副社長志賀俊之氏がこれまでの取り組みについて語りました。

シリーズ
ダイバーシティ経営企業100選
スピーカー
日産自動車株式会社副社長 志賀俊之 氏
ダイバーシティ経営企業100選運営委員長/中央大学大学院戦略経営研究科教授 佐藤博樹 氏

男性社員の働き方モデルを変えていく必要がある

佐藤博樹氏(以下、佐藤) これから50分ぐらいお時間をいただいておりますので、「働き方改革と男性社員の巻き込み方」これをテーマに、パネラーのお三方と議論を進めていきたいというふうに思います。 最初に少しだけこのシンポジウムの趣旨について説明させていただければと思います。これはダイバーシティ経営企業100選の表彰式でありますけれども、なぜ働き方改革が大事なのか? なぜ男性社員の巻き込みが大事なのか? このことを少しお話したいと思います。 ダイバーシティ企業経営というのは多様な人材が活躍できるように、それでいろいろ説明はあったかと思います。その中でみんな大事なのですが、これまでの男性の働き方というのは例えば、「いつでもフルタイムで、必要なときは残業ができて、身ひとつで転勤できる」。こういう社員を前提としたような働き方を変えないと。 こういう働き方をできない人たちがどんどん増えてきているわけです。できないという意味は、それは当然いろんな理由があるわけでございますけれども。例えばこちらで短時間勤務とか。あと親御さんの介護で、月に1回は半休を取るというような男性管理職がでてきています。 そういう意味で仕事はもちろん大事だけれども、仕事以外にやりたいこと、このやりたいことは子育てだったり勉強だったり、いろいろあると思いますけれども。あるいはやらざるを得ないこと。 こういうことはどんどん増えてきていますので、こういう社員も含めてそれがマイナスではなくて、そういう時間制約があっても、やはりその限られた時間の中で会社に貢献できるような働き方を用意しないと、企業としてもっていかないわけです。ましてこれダイバーシティ企業の1つであります。 そういう意味で働き方改革、その働き方というのは従来の男性の働き方モデルを変えていく、そういう趣旨で今日は議論していきたいというふうに思います。 進め方ですけれども、今日はお三方おいでいただいていますので、まずお三方それぞれ10分程度プレゼンテーションをいただくというふうにしたいと思います。それと皆さんお偉い方でいらっしゃいますけれども、ここではさん付でいきたいと思いますので、ご了解いただければと思います。

「阿吽の呼吸」の見える化で、発揮される個人の能力

佐藤 それでは、日産自動車の志賀さんからプレゼンお願いします。 志賀俊之氏(以下、志賀) ご紹介いただきました日産自動車の志賀でございます。こんにちは。10分という時間でございまして、実はスライドを23枚用意いたしました。さっきアメージャン先生から、「日本の企業は誰かがしゃべると、こんなにいっぱいパワポを用意して!」「こういうことが長時間労働につながっているのだ!」と、このディスカッションが始まる前から怒られておりますけれども。 ということで、手際よくやりたいと思います。パッパといきますけれども。1枚目をめくっていただくと、日産自動車はいろんな賞をいただいております。平成24年度のダイバーシティ100選にも選んでいただきました。それからなでしこ銘柄に関しましても、2年連続でいただいておりまして。 1 このように、ダイバーシティに対していろいろ取り組んでいるスタートというのが、このルノーとのアライアンスでした。それまでの日産自動車は本当に日本人だけ、男性だけの、また似たような会社や似たような大学を出てきた人たちが似たようなスピードで出世するという、極めてモノカルチャーな会社だったわけです。 しかしルノーとアライアンスを結び、そしてカルロス・ゴーンがCEOとして日産にきてから、ドーンと文化が変わったわけですけど。パッパッといきますね。 次は私の体験談をしゃべるところなのですがこれも端折りまして、3枚目にいきます。なぜダイバーシティかということなんですが。 2 これはルノーとアライアンスを結んだあとで、我々が気が付いたことを少しまとめているのですが、本当にそのモノカルチャーの中では、みんながだいたい似たような考え方をしていますし、違ったことを言うと「空気が読めない」と批判されてしまう。 そういう中で、フランス人とか他の会社、他の国の人たちと仕事をするわけですから、異なった意見、違った考え方を受け入れる。そういうことがいかに大事なのか? それを受け入れることによって、個人のそれぞれの能力を発揮できる。これを本当に我々は実体験をしました。 いろんな方々が仕事をすることによって、阿吽の呼吸ではなくていろんなものが見える化され、見える化されることによって個人が能力を発揮できると。私はこれがダイバーシティとしての基本の部分なのかな? というように思います。 その中で特に女性、外国の方を会社の組織の中に入れるのもいいですし、いろんな背景で新入社員だけではなくて、中途採用を採るだとか、いろんなダイバーシティがあると思うのですけれども、最初のステップとして女性の活躍というのがテーマとしていいかなと。

女性の活躍で「暗黙地」を開拓したい

3 志賀 女性が輝く日本ということで安倍総理もおしゃっていますけれども、これにはいろんな言い方があると思うんですね。 例えば、総理がおっしゃるときには成長戦力の中で、女性が例えばG7と同じぐらいの就業率で社会で仕事をしていただければ、GDPは4パーセント伸びると。北欧並みに女性が活躍していただければ、GDPが8パーセント伸びると。いろんな数字があるわけです。 女性が活躍していることは国家として、国として成長し、伸びますよという視点もございます。我々民間企業でいいますと、お客様の6割、7割は女性の方々が実際に車を決められているという、そういう実態がありますので女性の視点や、あるいは営業の現場でもっともっと女性の能力を活用していただくという視点もございます。 そして今日私が先ほど言いましたように、多様性の中で違った考え方を持っている人たちが同じ職場の中で働くことによって、男性だけの見えない暗黙地の中で仕事をしている。阿吽の呼吸の文化が変わってくると。こういう国家もあるのかなと思います。 そういう意味で日産は2004年からダイバーシティに真剣に取り組みまして、トップ直轄の組織を作り、やってきています。いろんなことをやってきたのですが、次の紙ですね。

日産の女性管理職率は業界全体の約7倍

志賀 まず社内の女性を増やしていこうということで、2004年から技術系ではない職種の女性ですね。これについては50パーセント以上、半数以上は女性にしようと。これはルールとして十数年ずっと採用してきていますし、技術系のところは残念ながら大学の理系の女子の方々が少なくて、実は15パーセント以上というルールです。 本当は20パーセント以上にしたいのですが、なかなか採れないということで、ルールとしては15パーセント以上ということでやってきています。 そして女性管理職も始めた2004年のときは1.6パーセントだったんですけれども、おかげさまで7.1パーセント。7.1パーセントでいろんな賞をもらっていていいのかな? と。その上のほうにルノーのマークが付いて、18.4パーセントありますけれども。 5 特にルノーはフランスの会社ですから、女性が活躍されている国ではあるのですけれども、これぐらい差があると。ただ日産以外は……あんまりどこの会社だとは言いませんけれども、日産以外を除きますと自動車業界平均が1パーセントですから、日産はその7倍です。

女性管理職が増えない理由、50%以上を占めるのは「家庭との両立が困難」

志賀 こういうことをどうやってきたかですが、いろんなことをやってきています。 社内の制度を変えたり託児所を持ったり、いろんなことをやってきたんですが、実は7パーセントまでやってきても、そこからなかなか伸びていかない。管理職になるために、女性のほうにカウンセリングを付けて女性の方々が管理職に挑戦するような、そういう環境も作ってきたんですが、なかなか伸びない。 6 何で伸びないのかな? ということで、社内で調査をいたしました。その50パーセント以上の比率があるのは「仕事と家庭の両立が困難になるため」。 つまりせっかくキャリアがあって能力もあって、やる気もあるのですが、残念ながら管理職になると時間に関係ない仕事になってしまう。そういう中で両立するのは無理だということで、非常に優秀な人材がそこで躊躇してしまう。

月5回の在宅勤務を強制!? 在宅勤務によって得られる効果とは

志賀 なんとかこの両立支援を会社としてできないかということで、1つ取り組みを始めてみたのが次の紙なのですけれども、在宅勤務であります。 7 在宅勤務は以前からありました。介護とか育児をされている方々向けの在宅勤務をやっていたんですけれども、これは全従業員を対象に、月5回やっています。実は制度はあったけれども使う人が少ないというのが一般的な形なんですけれども。 これを、できるだけ制度を利用してもらえるよう推奨する、ということをやってきています。こういうことで、この間もテレワーク推進優秀会社ということでいただいたんですが、これを実際にやってみるとどういう効果があるのか? 在宅勤務をやりますと、何に効果があるかというと、通勤に使っている時間のセーブができるという。自宅でちゃんと8時間仕事をしていただきます。しかも、何をするかも事前に決めてあります。それに対してどういう評価をするかを完全に透明性を持ってやっています。 8 そういうことで次の紙なんですが、やってみると実は仕事の質は変わらない。あるいはさらに向上しているという。本人から見ても上司から見ても、そういうようになっている。さらに生活のほうは、当然自宅にいますから生活の資質が上がるというような形になってきています。 9 こういうことで在宅勤務を使いやすいように、例えば前日にお子さんが熱を出したと。どうしても奥様が仕事をされていて、「あなたちょっと、明日は会社にゆっくりいけないの?」と頼まれたときに、「わかった」と言って上司にEメールで、「明日在宅勤務に切り換えます」と言うと、上司がオッケーをする。すると翌日は在宅勤務になると。 10

家でできる仕事は家でやり、少しでも家事育児を手伝う

志賀 実はここまでやっても在宅勤務というのはまだ女性、その働いている育児をされている女性のための制度のように、あんまり男性が興味を示さなかったんですが。 これはみなさまご存知のデータですが、男性と女性の家事に関わる時間差、237分という時間ですね。世界でワースト3位になりますけれども、女性と男性で4時間も違う。 「日本のパパはどこにいるの?」と。日本では6歳未満のお子さんを持つ男性が、家事育児にかける1日当たりの時間は59分です。 奥さんが専業主婦で家におられても59分で、奥さんがワーキングマザーで働いていたから、何でか知らないけど57分で下がってしまうという。とんでもないことだと。子どもがいようがいまいが、家事育児への参加意識がないということで。 日産自動車は在宅勤務を活用して、男性の意識、マインドセットを変えてもらおうということで、男性に在宅勤務を。 12 家でできる仕事は家でやれと。そして少しでも奥さんの家事育児を手伝ってやれというのをやっています。 こういう形で男性が結構在宅勤務をやって、こういうことをやっていますということをこういう場所で宣伝すると、日産自動車に旦那さんが勤められている奥さんは、「あなたの会社、在宅勤務という制度があるんでしょう? 使ってよ!」と言うようになりますので、私はそういうように宣伝をしているわけです。最後の紙です。 14 日産自動車は家事育児に参加している男性が最も多い会社を目指して頑張っています。どうもご清聴ありがとうございました。

キャリア志向の女性ばかりではないことが壁になった

佐藤 どうもありがとうございました。本当にメリハリの効いた報告でありがとうございました。日産自動車は先ほどご説明ありましたように、なでしこ銘柄2回、あと平成24年度の100選も取られているということで。 1つだけ教えていただきたいんですけれども、ここ10年ぐらいダイバーシティ経営、あるいは働き方改革、女性の活躍推進をやられてきて、これからも課題があると思うんですけど、これまで「ここをクリアするのは結構大変だったな」というような課題がもしあれば、それをどうやってクリアしたのか、ということをちょっと伺えればと思います。 志賀 10年ぐらいやっていて、最初のうちはこういうことを始めたので、機会均等のはずがやはり、男性が管理職にプロモーションするときは男性を選んでいたと。こういう形で数値目標を持って、毎年これだけ女性を管理職にしなさいというのを、役員のノルマのように数値目標を持たせたんですね。 最初のうちは結構、力があってやる気もあるのに、管理職にしてもらえなかった女性がたくさん溜まっていましたから、結構スムーズにいくわけですよ。ある程度のところまでいくと、今度は女性のほうが逆に躊躇してしまう。管理職になると大変だと。 つまりキャリア志向の高い人は最初スーッといくんですが、この比率を上げていくということは、日産自動車に入った女性全員がキャリア志向、つまりそういう物にチャレンジしてもらうということにしなきゃいけないので、そこは結構壁でした。 でもせっかく会社に入って、これだけキャリアを積んできて十数年会社にいて、貢献もしてきたし、じゃあ管理職に挑戦しようかということになってきたときに、次のパイプですね。 今10年続けたので、やっと「日産自動車がこういう活動をやっていたから会社に入った」という人が増えてきた。 こういうことが1番大事で、そのためにはやっぱり育成していく、教育はしていくことが大事だと思います。 佐藤 はい。どうもありがとうございました。

  

(制作協力:VoTX

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日産は月5回の在宅勤務を推奨 「家事に参加する男性がもっとも多い会社を目指す」

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