長時間労働者は、逆に給料を減らすべき!? 「残業の少なさ」を評価軸にする新たな人事制度とは

働き方改革と男性社員の巻き込み方 #3/3

パネルディスカッション
に開催
ダイバーシティ経営企業100選シンポジウムにおいて、「働き方改革と男性社員の巻き込み方」をテーマに意見を交わしたトークセッション。仕事が遅い長時間労働者まで残業代をもらえる今の評価制度に疑問を呈する日産・副社長の志賀俊之氏が、新たな人事評価の仕組みを模索すべき必要性を語りました。

男性社員の働き方を変えるのは、ダイバーシティのためじゃない

佐藤博樹氏(以下、佐藤):それでは、最後になりましたけれども、100選の運営委員のアメージャンさんのほうからお話をよろしくお願いします。

クリスティーナ・アメージャン氏(以下、アメージャン):一橋大学のアメージャンです。よろしくお願いします。男性の仕事のやり方、男性のワーキングスタイルは非常におもしろい概念だと思います。

男性の働き方をなんとかしないと、ダイバーシティは実現性がないということなんですが、やっぱり男性の働き方というのは長時間労働ですよね。その長時間労働を考えたら、それはすごい立派なことみたいにみんなしているんですね。

長時間労働の今、女性がくるとそれできないからなんとかしないと、という考え方みたいなんですが、長時間労働というのは効率が悪い。生産性が低い。成果があまりない。結局ROEが低く、業績も低い。グローバルでは競争することができないのです。直接の繋がりがあるんじゃないかと思います。

だから男性の働き方は、ダイバーシティのためだけではなくて、日本の企業のためになんとかしないとダメだと思います。長時間労働とか効率が悪いとか、そういうことはなんとかしないと本当に競争できないと思います。

だからこれはダイバーシティだけの問題じゃなくて、基本的な日本の会社の根幹の関わる問題じゃないかと思います。ダイバーシティより、もっともっと大きい問題だと思います。

海外から見た、日本のビジネス常識の不思議

アメージャン:私は本当に日本人の男性の働き方についてすごいおもしろいと思っています。なんだかいつも見てしまいます。周りの男性は、何をやっているのかな? と。なんだかすごい不思議に思います。

やっぱり問題の1つは……すみませんが、パワーポイントはなんでこんな細かいのかって。本当におもしろいです。日本はパワーポイントのガラパゴスみたい。中国人に聞いたら、中国人も日本のパワーポイントは本当に大変だと。

日本だけじゃないかな? 韓国もそうかもしれないですが、なんでこのパワーポイントになるのかとちょっと不思議。すみません。立派なパワーポイントなんです。本当にきれいなんですが。

もう1つは報連相。何でみんな一生懸命リポーティングとか報告とか、連絡とか相談の必要あるのかと、本当に不思議だと思います。

「すみません」「がんばります」という言葉もおもしろい。何もわかっていない、専門知識はないけど、一生懸命がんばったらいいんだろうという精神は、ちょっとおもしろいなと思いますね。それも長時間労働に繋がっているんだと思います。毎日一生懸命、24時間働いたらなんとかなるだろうと。

大学のミーティング、特に一橋大学のミーティングはひどいかもしれないんですが、何も結論が出ないミーティング。ミーティングの最初の20分ぐらいは、「前回は何を話したかな?」という話をします。会社でそれはないかもしれないんですが、やっぱり基本的なミーティングスキルがないんじゃないかなと思います。

このアジェンダセッティングとか、ミーティングでのディスカッションとか、コミュニケーションのスキルがない。アカウンタビリティもほとんどないと思います。今何をやるべきかわかっていないから、それもすごい長時間労働になるんじゃないかなと思います。

日本の100パーセント主義は非効率である

アメージャン:なぜこういうシステムになったのか、それも不思議だと思いますが、いくつか理由があるんじゃないかなと思います。

アメリカではよく、例えば社員の20パーセントが80パーセントの成果を出すとか、全部の時間の20パーセントを使って結果の80パーセントがでると言うんです。

日本人の場合は100パーセント主義だと思います。100パーセントやらないとできていないような感じ。100パーセント主義も、もう少し考えたほうがいいんじゃないかなと思います。やっぱりリスクを負いたくない。

例えば私のミーティングでパワーポイントのすごい指摘がありました。「6ページ目の下から3行目の漢字が違うんじゃないか」と。だから漢字を間違えないように、長時間労働するんじゃないかと思います。

そういう基本的な事、それは風土だと思いますが、本当にその仕事のやり方を変えないと、競争できないんじゃないかなと心配しています。

おもしろかったのは、このダイバーシティ100選のアプリケーション、いろんな会社のアプリケーションを読むと、外資系の企業は結構、仕事のやり方やアカウンタビリティ、評価制度とか、そういうことを書いていたんですが、日本の企業はほとんど書かなかったんですね。

日本の企業はシステムとか育児休暇とか、それも非常にいいことなんですが、こういう基本的なことは、あんまり考えていないんじゃないのかな? と思います。だからこれからは、そういう仕事のやり方も考えるべきじゃないかと思います。

最後に、これはよくトップのコミットメントとか、トップは大事だと言われているんですが、それもそうなんですが、この仕事のやり方によるとトップだけじゃなくて、課長、部長レベルもそういう改革も必要じゃないかなと思います。以上です。ご清聴ありがとうございました。

佐藤:どうもありがとうございました。日本の長時間労働というのは経営の効率が低いということで、男性の働き方を変えていかなければいけない。なぜ長時間労働かというとそれはいろいろご説明いただいた通り、「やはりがんばっているな」とメッセージを出さないといけないと。

100パーセントでないと、「漢字1個間違えてもダメだ」みたいなね。そういうメッセージを出さないと評価されないんじゃないか? と思っていることがあるから、なんてお話があったと思います。

1つだけ、報連相の話ね。海外でもレポートはあります。その場合は、ボス1人でレポートをすればいい。日本はそうじゃなくて、いろいろなそこの報連相が問題だというところ、ちょっと教えていただけるとありがたいかなと。

アメージャン:そうですね。報連相は、アカウンタビリティとジョブスクリプションがないことに関係があるんじゃないかな? だって本当は、このことをやるべきでこういうコミットメントがあって、やればいいじゃないですか。そんなにワイワイ周りの人に報連相をしなくても、成果で評価できるんじゃないかと。

佐藤:極端に言えば、ボスに報告さえすればいいわけですよね。どうもありがとうございました。

最も変化が要求されるのは管理職

佐藤:それではこのダイバーシティ経営、いろんな意味で時間厳守、会議も長くやるとあれですので、あと15分ということになると思いますけれども。男性の働き方を変えていくというときに1つ大事なのは、先ほど青野さんも古い価値観を変えていく、あるいはアメージャンさんも、例えば評価の仕方を変えていくというようなお話がありました。

そうすると1番のターゲットは管理職で、現状でいうと男性が多いわけですよね? 管理職がほとんど男性という意味では、管理職のマネージメントを変えなければいけない。

旧来の、自分が若い頃入ってがんばってきて、「いい上司だな」と思っていた人と同じようなマネジメントをやればいいわけではなくなってきたので、そういう意味では1番方向転換してもらわなければいけないわけですね。

若い人たちはかなり変わってきているわけですけれども、管理職はある面では1番変化が難しいところにいるわけです。ただこの人たちに変わってもらわないと、働き方改革も作れないし、職場風土もそうですよね。

あるいは会社は、別に成果だけでというか、かけた時間も含めてですね。例えば「6時間勤務でも8時間勤務でも、1時間あたりの成果で評価しろ」と人事が言っていても、現場の管理職は「8時間の人は仕事の成果を出しているから」と、評価しちゃったりということが起きると思いますので、現場の管理職はすごく大事かなと思います。

残業の少なさをインセンティブにする文化に切り替えるべき

佐藤:そのあたり、「こんな取り組みをしている」とかあるいは、「こんなことが課題だ」とか。その管理職の部下マネジメントなり、働き方を変えるのに、「こういうやり方がいいんじゃないか」とか、あるいは「うちはこれをやろうとしている」とか、というようなことをおひと方づつ教えていただけますか? 

アメージャンさんから見て、管理職はどうしたら変えられるか、志賀さんからお願いします。

志賀俊之氏(以下、志賀):本当に最後はここにきちゃうんだろうと思いますね。この間、あるところで話をしていて、ある方が言った話がものすごく目から鱗だったんですけれども。

同じ仕事を、日産自動車ってコミットメント文化といわれますから、年度の最初にコミットメントをして、「年間でこれだけやります」と業績を出すわけですけれども。それを達成した成果を、残業して長時間かけてやった人は仕事が遅いので、本来ならば残業代を払うのではなくて、その評価から給料を下げないといけないのだと。

「なぜ日本は、時間をかけてやった人がたくさん給料をもらえるんだ?」と言われてですね。言われてみるとそうだよなあと。ですから同じ仕事の成果を、残業しないでやった人がたくさんお給料を貰えるという、「残業が少ないこと」をインセンティブにしていくような文化を、そこに切り換えていかないといけないんです。

ですが実は、どういう制度がいいんだろうと。私自身がどういうふうに変えたらいいんだろうとまだいい答えを持っていないんですよ。でも、間違いなくダイバーシティを進めて女性に活躍していただいて、男性も家事育児を手伝っての先に、なにがあるかというと、この仕事と成果のマインドセットを変えるというところに行きつかないといけない。

会社としてはたくさんの時間をかけてやっている人は仕事が遅いので、昇進や昇格、給料が下がるというような制度にどう切り換えるかというところが。管理職も含めて、そういう仕事の仕方に切り換わっていくのが大事なんじゃないかなと気がしますね。

佐藤:まだ答えはないけど、そこに向けてこれから取り組もうということですね。

制作協力:VoXT

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