価格のミスマッチで損する人をゼロに

松村大貴氏(以下、松村):こんにちは、MagicPriceの松村といいます。私たちは、世界中から価格のミスマッチで損をしてしまう人たちをゼロにするということをミッションに、今このMagicPriceという料金戦略A.I.を開発しています。

まずはホテル、エアラインといった旅行の料金設定の最適化に取り組んでいます。なぜこれを始めたかといいますと、私は前職のヤフージャパンで、アドテクノロジーの担当をしていました。そして1年前に子供の頃からの夢だった飛行機、旅行といった業界で仲間と会社を立ち上げました。試行錯誤しながらいろんなサービスにトライするなかで、気付いたことがあります。それは価格にだけテクノロジーがほとんど入っていないということです。

先ほどのハードウェアスタートアップのミートアップでも話がありましたが、プロダクトとか広告とか販路に関してはけっこうテクノロジーが進んできています。そういったサービスもすごく増えてきています。

でも価格決定や、サービスを何円で売るかというところに関しては、まだまだ経験と勘に大きく依存しているということを発見しました。それはホテルや旅行業界といったところで顕著な状況です。

MagicPrice3つの強み

みなさんニュースを見たことあるかもしれないですが、東京や大阪で突然の需要の乱高下で、ホテルが取れないといった事態が起きています。これ、実はホテルもそうなんですけど、旅行者も損をしている状態です。適切な価格より高すぎても安過ぎても両者に損が生じてしまっている。なので我々は、その課題を最新のテクノロジーで解決することにしました。それがMagicPriceです。

強みは3つありまして、自分でどんどん賢くなって算出精度を上げていく「機械学習」の技術。2つ目は、誰でもわかりやすくて勉強しなくても使い始められる「デザイン」。そして3つ目は、ホテルマンの方は兼業が多くてとても忙しいので、彼らの仕事を煩わせない「自動化」の技術です。これらはすべてアドテクノロジーからヒントをもらって着想しているものになります。

我々はこのMagicPriceという料金最適化ソリューションを、APIのかたちでホテルに提供していきます。それによって、彼らは宿泊者に対して最適料金を常に出すことができて、売り上げを高めていくことが可能になります。

TECH LAB PAAKで仲間ができた

最後に、TECH LAB PAAKでの6ヶ月を振り返ってみますと、すごく有意義な時間でした。エントリーしたときはまだすごくふわっとした着想段階のアイデアから、ニーズの確認や開発を進めるところまでできています。

僕、1人でスタートした事業だったんですが、今は4人の仲間が入ってチームもできました。開発段階なので売り上げはまだですが、4社から導入の検討をいただいております。1番よかったのは、この場所のコミュニティがすごく成長してきているというか、深まってきているということになります。

1番最初は顔見知り程度で「何をしてた人だったかな?」というのが、最近は毎日毎日顔を合わせて、一緒にお互いのビジネスプランをブラッシュアップしたりとか、お互いアドバイスしあったりして、すごくよい場所になってきています。

世界中の価格ミスマッチをゼロにすることを目指して、これからも活動していきますので、そのためにぜひ、4月からもPAAKに居たい。これからも使い続けて、このコミュニティに貢献してみんなともっと楽しくやっていきたい。ということでMagicPriceを作っている松村といいます。ぜひ、今後ともよろしくお願いします。

(コロプラ賞・オーディエンス賞を受賞)

「脳×教育」で新しい分野を開拓

青砥瑞人氏:DAncing Einsteinの青砥と申します。時間がないんですけど、強調したいのは(社名の)DAは大文字です。脳とDAで医学会ではドーパミンを表しています。今日は僕が生み出したい世界をご紹介したいです。

What We Do? NeuroEdTechというものです。聞いたことある人、いらっしゃいますか? いたとしたら、僕と話したことある人か、あるいは神の声かのどちらかだと思います。

NeuroEdTechというのがなにかといいますと、EdTechはみなさんご存知だと思います。NeuroはNeuroscienceを表しています。Neuroscienceって日本語にすると、神経科学です。脳というものを扱っている分野です。

ただ、日本では脳科学って言われることが多いですが、実は少し違います。神経科学は、脳というものを細胞や分子レベルから深掘る学問です。ぼくらはそれを教育に結び付けられないかなと思っています。なぜなら人間、教育したりなにか学習しているときに、実際に脳みそ使ってますよね。その細胞分子レベルの情報がしっかり教育に反映されたらおもしろいだろうなと、そんな新しい分野をこれから開拓していきたいんです。

3つの“I”をもとにアプローチ

じゃあそのアプローチってどんなのがあるんだろうって話ですが、3つの「I」からなってます。ラブです。

BIと、AIとRIです。BIってなんでしょうか? ビジネスインパクトではありません。Biological Intelligenceです。もう1つがみなさんご存知のArtificial Intelligence、そしてもう1つがRI。Real Intelligenceです。

どんなにAIだったり、Biological Intelligenceで脳のことがわかっていても、現場がわかっていないとダメなので、実際に教室に入って行動観察などを繰り返しながらこの3つのIを結びつけて新たな教育を作っています。

実際に使っているシステムがこれです。これは実際の人間の脳の仕組みです。解剖学の授業で習うと、こんなかたちで人間の脳の仕組みがわかってきます。みなさん注目しなきゃいけないの、どこかわかりますよね。ここですよ! DAです、DA!

ここがドーパミン出てるところです。ここの仕組みっていうのが、ここヒッポキャンパス、海馬って言われるところなんですが、そこに照射して記憶の定着率を高めたりしてくれます。こんなことを考えながら神経科学を応用しているんです。

NeuroEdTechの可能性は多岐にわたる

こんなことを日々楽しみながらやっているんですが、こちらで6ヶ月間活動している間に、いろんな可能性が見えてきました。今はあまり時間がないので全部説明はしないのですが、まずNeuroEducation、脳のことを知るっていうことは人間を知るっていうことです。もっと脳のことを知ったら違った新たな観点で人間を見れるんじゃないか、だから脳を知る教育を、いろんなところで、企業さんに向けて展開しています。

2つ目の分野はテクノロジー関連です。MPS、Memory Platform Systemっていうのを今、作っています。これは人間の記憶の可視化だったり、人間の記憶の定着効率を高めるような仕組みを作っています。これが今、実際にいくつもの特許になりそうで、日本では一個取り終わって今後海外でも取っていきます。

我々の3つ目の活動は、情操教育っていうやつを扱っています。情操教育って今流行りなんですが、情操教育ってよくわからないです。好奇心って言われても、自信って言われても、「そもそもそれってなんなんですか?」というところを、細胞分子レベルから説明できたら、その仕組みに見合った教育コミュニケーション設計が可能となり、そんなアプローチをしています。

最後にもう1つやっているのがスペースデザインです。人間が記憶効率を高めたり集中力を高められるような空間の設計ってどんなのがあるんだろうかって、神経科学的に考えられませんかっていうのをある大企業さんと今一緒にやらせていただいております。ありがとうございます。

(500Startups賞を受賞)

澤山陽平氏:審査員のなかでも「よくわからない」という声はすごい出てたんですけれど、個人的にもともと僕がバイオ系の人間だったっていうのもあるし、ニューロサイエンスとかバイオとかはあと5年ぐらいするといろいろ盛り上がってくるんじゃないかと期待しているところも含めて、かなり期待のところを込めて、このわけわかんなさに賞を贈らせていただきました。

「必要なときに必要な介護を」現場の経験から

宇井吉美氏(以下、宇井):株式会社abaの宇井と申します。「必要な時に必要な介護を」排泄検知シート、Lifiについてお話させていただきます。

こちらが私たちが開発しているプロダクトです。高齢者・障害者がベッド上で排泄をした際に、においで排泄を検知し、介護者に知らせることができるようになっています。これは介護施設にいた時に、介護者から「おむつを開けずにおむつの中を見たい」と言われたことがきっかけで開発を始めています。

なぜこういったニーズが出るかというと、排泄タイミングがわからないために、例えば随時交換ができません。そのために定時交換をやるんですけれども、だいたい2割ぐらいは空振りしていて、月に50時間以上の時間損失があると。

随時交換も定時交換もままならないのであれば、その人に合わせた排泄パターン表を作っている施設さんもあるんですけれど、ほとんどの施設さんが取り組めていないという現状があります。

高齢者にとってもタイミングがわからないと、特にいちばん下の認知症の方とかは便を投げたりいじったりっていうことをしてます。認知機能が低下して、本人にとってはなにが起きてるかわからないなかで、便を手で直接触ってしまってなんだか汚いからベッドになすりつけるという行為があります。認知症の本人からしたら、便失禁は戸惑いの連続なのです。なので、当事者にとっても非常に問題があるんです。

経営者にとっても、業務遂行状況が正確に掴めないので、今、問題になっている離職率の悪化や、虐待などにつながってしまっています。このためにこのニーズを叶えたいと考えています。

空気清浄機のセンサーを流用

我々の製品には3つポイントがあります。1つは、機器を非装着で排泄検知できること。2つ目がにおいセンサーを使用して便の検知ができるということ。3つ目はデータから排泄検知を可能にするアルゴリズムです。

実はこのにおいセンサーは空気清浄機などで使われている安いセンサーを使っていまして、それを無理やりアルゴリズムで排泄検知に使っているということが一番の特徴になっています。他社さんに比べても、使い勝手と検知精度の両ニーズを満たせるのは我々だけではないかと考えています。

操作方法なんですけれども、タブレットなどでも使えます。左側が単純に「出ましたよ」という通知で、右側が排泄パターン表ですね。先ほどお話しした、自動算出になっています。

あとは下剤投与時間との関係ですね。下剤投与してどれぐらいで出るかっていうのはけっこうわからなくてナースの方とかも困っていらっしゃるので、そのへんもやっていきたいと思っています。

ダイソンアワード、世界トップ20に選出

成果発表ですけれど、1月13日にダイソンアワードの世界トップ20に選んでいただきました。

あとは千葉県の高齢者福祉研究大会で発表をしてNHKニュースで取り上げられたり、経産省のIoTラボセレクションで準グランプリをいただきました。あと、その関係で未踏会議でもプレゼンをしています。

PAAK関係でいうと、PAAKの会員に吉岡さんという方がいらっしゃるんですけど、その方と久しぶりに再会をして、実は介護施設でプロダクションマッピングをやってきました。また4月にもやろうかっていう話をしていて、別の活動にもつながっています。

それから、もう何回もここでミーティングをさせていただいて、千葉に住んでいるものとしては渋谷での新たな拠点は大変助かっています。こういった活動を続けながら、ケアテックを広げていきたいと考えています。よろしくお願いします。

(TechCrunch賞を受賞)

西村賢氏:TechCrunch賞を贈らせていただきます。おめでとうございます。既存の空気清浄機をハックしたというのもすばらしいし、動機として介護の現場を見て心が動かされたっていう話で僕の心も逆に動かされたかなと思って。あと、事業化のスピードがすばらしいなと思いました。おめでとうございます。