「ワクワクアプローチ」型と「一周回って問題解決」型?

朝比奈:僕の問題意識は、いま大学生とかを教えていて思うんですけど、「やりたいことがわからない」って言うんですよね。「やりたいことをやれ」って皆言うけれど、それでわかったら苦労しなくて。じゃあ何やりたいのか? 僕自身も正直あんまり無かったんですよ。なんとなく「役所に行くと偉いんだろうな」「留学すると偉いんだろうな」という流れに乗っていっただけだ、と後から見ると思ってて。

さっき僕が天才って表現したんだけど、割と若いうちからボンといける人と、小沼さんを一緒にしちゃって悪いんだけど、生きていくうちに問題意識を無理にでも持って、「それ問題じゃないの?」と考える問題解決型みたいな(タイプがいて)。「ワクワクアプローチ」と「一周回って問題解決」っていうと毛色が違うなと。

:実務者と、デザイン描く人とちょっと違うよねっていう話ですね。

クリエイトに必要な能力は「情熱」

:小沼さんは?

小沼:鍛錬を積む場を大きな組織にいたと。官庁でやっていた朝比奈さんと、私も一回大企業に入って3年間ですけど。そこで鍛錬を積んだという点はちょっと違うのかなと思ったり。

猪子:二人はたまたまベースの基礎的なやつのほうが高いんですよ。だから具体的なスペシャリティが無くても、ベースの知能が高いから活躍するわけですよ。

僕はそういうことを言っているわけじゃなくて、一番初めの質問で言うと、教育によってある程度のスキルがつけば、ベースの人間力とか生まれついた能力とかに関係なく生きていけるし活躍できるんだけど、今の受験とか大学で学ぶことはそういう具体的な社会で必要とされるスキルと乖離してるから。

大学で学んでもあんまり関係ないよっていう。逆にこの二人はいいんですよ、教育受けなくても。教育受けなくても活躍するタイプですよ。だってこの二人なんてさ、大学で習ったことが何かの役に立ってる? お金に変えてないでしょ? おれ変えてるもん。

:ロボット工学だっけ?

猪子:違うよ! 何が言いたかったのか、もはやわからなくなってきたんだけど。最初の質問でいくと、今の若い子たちがかわいそうなのは、比較的勉強しているつもりだったり頑張っているつもりなんだけど、それは本当に社会に役立つこと(なのか)……。たとえば就活とかも、すごい表面的なプレゼンの練習してたり面接の練習してたり。企画の練習してたり……。

:よくありますよね。プレゼンのスタイルを一生懸命練習してたりね。わかるわかる。要は、1×1、2×2っていう演算能力を鍛えて、それがものすごい早いスピードでできるという教育と、全く無のところから1を創りだす、クリエイトするものではちょっと質が異なる。

何も作らなくて演算してれば能力が上がるっていう教育と、何もないところから作る教育、その違いは色々あるのかなって思いますよね。後者の0から何が生み出すっていうのは、今の教育機関の中ではなかなか難しいのかなって思います。

小沼:それはすごくそう思います。やっぱり0から作るときに必要なのって、スキルではなくて「何かやりたい」っていう想いだったりとか。「これをやらなければ自分はやっていけない」っていうくらいの想いだと思うんですけど、それは学校教育では身につくと思えないんですね。

僕が起業したのはどうしてかというと、大学出てからすぐ青年海外協力隊で2年間シリアに行ってたんです。その時の経験がガツンと来て起業したので。さっき猪子さんが言ってましたけど、僕は大学で学んだことで何かをやった感じではなくて、想いをそこで持ったので。

そうすると後で勉強して、大学で本当は習えていたかもしれないこともそこから頑張って英語勉強してみたりとか、ファイナンスとか齧(かじ)ってみて起業するために頑張るので。そういう意味ではスキルではなくてやりたことを見つけるっていう、そういう教育をもっとしたほうがいいんじゃないかって思ってます。

やりたいことなんか見つからない。具体的なスキルが生き甲斐を作る!

猪子:やりたいことなんか見つからないですよ。見つからない、見つからない! 時代とともに必要なスキルってすごい勢いで変わっていくわけです。新しい時代で必要なスキルを学校が若い子に教育してくれたら、古い人たちはその新しいスキルを持ってないから(若い子が)必要がられるんですよ。

そうすると適当な感じでも「やってやって」みたいな感じで仕事がいっぱい貰えるし、就職も受かるし。そのうちに社会に必要とされているから何か嬉しくなってきて、もう少しやろうかっていう感じで「この仕事もいいかな」と思ってくるっていう。何が言いたいかわからなくなってきたけど。

教育によって自分が本当にやりたいことを身につけるとか、そんなのはキレイごとで。もっと時代とともに変わっていく最新の必要なスキルを学校が教えてくれていれば、若い子は大人に「えーっ、それできんの!?」みたいな。

:たとえばコンピューターのプログラミングの言語だって、もう2~3年もすればどんどん変わっていくわけですし。

猪子:例えばうちで言うとUnityとか今使っている分野があるんだけど。俺の世代の時は無かったから。俺の時代はJavaとか書いてたから。今でも書いているんだよ。そうするとUnityできる子とかいると「いやー! できるのー!?」みたいな。彼がUnity好きかどうかわからないよ。

でも皆から褒められるし、作ったらスゴイものできるし。なぜなら上の世代にない分野だから。クソでも基準がないからいきなり一番ですよ。周りの世代にないから。そのうちそれが好きになっていって、「より高いスキルを身につけよう」とか、いい循環になっていく。夢を教育によって見つけられるようになるとか……。

:もっと具体的なスキルが、やがてその人の生き甲斐を形作っていくということですね。

猪子:なぜなら、必要とされるから。

:承認欲求も満たされるし。それが次の……。

猪子:本当はもうちょっと学校が、新しくて今必要なんだけど前の世代はできなかったようなスキルを身につけさせてあげれば、若い子はもっと活躍できるはずなのに。そういうことも教わらないまま、今の大学生とか見てると、古い世代のスキルを身につけて古い世代と同じものになろうとしていて。

そうすると結局古い世代の人たち、オッサンに「まだまだだなあ、何だよそのプレゼン、下手だなあ」とか偉そうに言われて。「まだまだです! 頑張ります!」ってまた頑張るみたいな。

:確かに全くそのとおりですよね。

「追い込まれた奴らの方がクリエイティビティを発揮する」

:高木さんそのへんは実感値としてあるんじゃないですか?

高木:いや何の話しているのか全然わからなくて。僕も喋ろうにも何の話してるのかなってなっちゃったんですけど。僕は学生の頃ずっと服作ってて、それでは食えないなと思って一回就職したものの、つまんないなと思って辞めたんですよね。結局必要なことを求めている人たちがいるんですよ。よくわからないことを言ってますけど。

例えば僕、最近政治のクリエイティブに興味があって。いないんですよ、プレイヤーが。ダサイじゃないですか、政治のスピーチとかウェブサイトとか。僕みたいに会社辞めて追い込まれると、「どこだろう、(必要なものを)求めてるの」みたいな感じになるんですよ。で、とりあえず「俺できるよ」とホラ吹いちゃうんです。言った後に案件とれそうになったら必死にそのスキルを勉強して「デザインってこんな感じなんだ」っていう感じで。

僕の集めた追い込まれてるやつらを組織してやるんですよ。最初タダでもいいからとりあえず事例作ったら、皆「えーっ、こんなのやったんだ? やりたい!」みたいに真似をしてくるんですよね。その後に仕事にするみたいな。

そういうのをずっと繰り返してきていて。たとえばネット選挙解禁したいなと思って「ネット選挙解禁キャンペーン」みたいなのを作ったんですよ。One Voice Campaignというのを。最初「公職選挙法を改正する会」みたいのが立ち上がったんですね、僕の周りに。ダサイじゃないですか、名前。よくわからないですし、公職選挙法って。それでちょっとポップにして。

:それでOne Voice。

高木:そう。一人一人の声をすくうっていうことで、アートみたいな軽い感じのポップなデザインのサイトを作って。そしたらけっこう盛り上がって「そういうのやりたい」って皆どんどん皆真似してくる。

このアメリカ大使館のやつも、何かアメリカ大統領選挙を中継したいってなって。その時も「じゃあニコ生でやって、僕がその脚本書きますよ」って言ったんですよ。脚本書いたことなかったんですけど、17時間の放送番組やって。今回もこういう番組やったりとか。

とりあえずホラ吹いてからですね。そういう(競合の)存在がいなかったところにホラ吹いて、やっちゃってから後から頑張る。それでなんとなく仕事になっていくのかなと思ってますね。ただそれって追い込まれていないとできないので。だから大企業にいて安定している人たちは、実際危機がくるまでできないですよね。

今って追い込まれてるやつのほうが、より社会が必要なクリエイティビティを持ち得るチャンスになるというか……。逆説的ですけど、そんなふうには思いますね。

大企業では認められる順番が遅すぎる

:今猪子さんが言ってたキーワードの中でね、「周りから求められる」とか「認められた」っていう実感っていうのは大事なんじゃないか、それが次のクリエイターを生み出す土壌になるんじゃないかって話がありましたけれど。高木さんは大企業にいたとき、そういうのを今と比べて感じにくかったりしましたか?

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