380名以上のエンジニアがリファラルで入社

――今のネオキャリアのエンジニアのチーム構成と特徴を教えてください。

ネオキャリアCTO(以下、CTO):「NEOLAB(ネオラボ)」と言うんですけど、エンジニア要員は今は400名いて、そのうち386名がリファラルです。僕の紹介だけで140人くらい。それもチームラボ、サイバーエージェント、リクルート、DMMと錚々たる会社から来てくれているんです。

――人材系企業にIT大手のエンジニアが集結しているってすごいですね。エンジニアは技術力をリスペクトして入ってくるといった形ですね。

CTO:僕がネオキャリアに入って6年で、400人まで増やしました。日本国内では東京に120名、沖縄に30名の150名、ベトナムのダナンとホーチミンに250名の社員がいます。 日本のエンジニアは、主にAIや勤怠システムの設計と企画とコアな部分のテクノロジーをやっています。最初はフロントの部分やユーザビリティ、あとは勤怠の打刻のエンジンなど。いわゆるインフラ側の分散処理などは日本でやっていますね。

今はオフショアというと、ほとんどの会社が手を動かすだけの工場のようなイメージで使われていることが多いんですが、僕はそれが絶対いやで。ベトナム人も日本人も同じ目線で全員エンジニアとして、わからないものもみんなで勉強して、ちゃんと解決するようにしているんですよ。

あと、NEOLABでは「スタジオ制」を敷いています。要は、HR Techスタジオでは「jinjer」しかやってません。基本的に、スタジオごとにスタジオ長と呼ばれるマネージャーがいて、その下に日本人とベトナム人の混合チームが存在します。

そこでみんなでデイリーミーティングをして、スクラムを組んで、基本的に全部アジャイルで開発しているので、スタジオ長がぐるぐると(プロジェクトを)回しています。

スタジオには縦軸と横軸があって、縦軸ではFinTechやHR TechやSIなどのメディアイノベーション、新企業系のプロダクトを作ったり、AIのコアテクを作るAIスタジオがあります。横軸ではアートスタジオやインフラスタジオがあり、あとはコーポレートスタジオという、いわゆる管理や財務、採用など。みんなを支える裏方として、そういう横軸がある組織にしています。去年の6月から運用し始め、この縦横の枠の中に人を埋めていくだけで回るような仕組みを作りました。

エンジニアは、自分で連れてくるしかない

――CTOがリファラルでエンジニアを140人も連れて来たと聞いたのですが本当ですか(笑)。

CTO:いや、自分で連れてくるしかなかったんですよ。もうFacebookから全員にメッセージしたりとか。本当に人がぜんぜん来なかったので、もうひたすら会おうと思って、僕が入社して半年ぐらいはずっと声かけですよね。まず10人呼んで、その10人の友達を紹介してもらって、またその友達に紹介してもらって。最初に僕が呼んだのは100人ぐらいです。その100人が1人ずつ呼んでくれたら200人になるじゃないですか。

――全員に会ってらっしゃったんですか?

CTO:全員会いました。もうまったく時間が足りなかったので、会食とかして「まとめてしゃべるから、4人呼んでくれ」という。(笑)。ネオキャリアには全社総会というものがありますけど、それとは別に半期と通期でエンジニアだけの総会をやるんですよ。

そのときに、「会食して、イベントするから、リファラルできるようなエンジニアは全員呼んでくれ」って言うんですよ。「もうそこで内定出してもいいから」って。その場で内定出せるので、「金額議論していいですか?」みたいな。フィーリングが合ってモノづくりの精神がマッチングすればすぐ内定を出しますね。他社の状況を聞いて「年収ももちろんあなたに合った年収を提示するし、絶対おもしろいポジションを出すよ」って。

――(笑)。

CTO:そういうことをやりながら、入ってくれたエンジニアがめちゃくちゃ辞めてたらそれは問題なんですけど、今まで6年やってきて、辞めた人は家庭の事情などで6人ぐらいしかいないので。

――6年間で386人中6人。そのエンジニアとの関係値はどんな感じですか?

CTO:僕の才能を認めてくれるエンジニアもいますけど、僕は最高のサービスを作りたいのでメンバーには言う時には、言いますね。だから「負けたくねえ」みたいな。あと「こいつに言われるのムカつく」というノリはあると思います(笑)

CTOとしてコミットできるのは「飽きさせないこと」

CTO:なので、僕はいつもスタジオ長たちに「いつでもCTO辞めるから」って言ってるんですよ。僕はスタジオ長になりたい。1つのプロダクトをもっと磨きたいので、やっぱり現場にいたいんですよ。まぁCTOも現場と言えば現場なんですけど。だから本当に「3年に1回、CTOを持ち回りにしないか?」と言ってるくらい。

――それはすごい決断ですね。

CTO:今は僕のカラーだけど、別の人がCTOになって、そのカラーで染めてもらうのも1つだと思うし。みんながCTOレベルになればものすごくいい会社になるから、やっぱり研鑽してほしいし、いろんなことを経験してほしい。僕がコミットできるのはただ1つ、「飽きさせないこと」。おもしろいことをし続けることにはコミットする。それは会社でダメだったとしても、自分の金を使ってでもやってあげる、って。それで徹底的にフォローもします。

CTOより『キングダム』の麃公になりたい

CTO:でも、やっぱり一つの釜の飯を食うじゃないですけど……。『キングダム』って漫画があるじゃないですか。僕、『キングダム』の中で一番好きなのは麃公(ひょうこう)なんです。だから、麃公になりたいんですよ。

現場にずっといたいから、桓騎(かんき)とか信になりたくないんですよ。僕はCTOが表に出るよりも、もっとほかのエンジニアに出てもらいたい。主役になりたいやつがCTOだって言えばいいし、「このプロダクトの責任者は俺です」と言ってもらえればいいのであって、僕だけが表に出ると全部やってる感がある。

全部見てはいるけど、やっぱり現場で本当にやっている人はもっといっぱいいる。400人もいたら、それだけいろんな人がやってくれてるわけじゃないですか。だから、僕はあんまり表には出たくないんですよ。

採用ブランディングでこういうインタビューに出なきゃいけない時もあるかもしれないですけど、もっと現場のメンバーに出てもらったらいいと思うし、そのメンバーが苦労していることをもっとしゃべってもらったらいいと思います。

――だから、みなさんCTOに魅了されちゃうんですね(笑)。CTOは今、どんなエンジニアさんと一緒に働きたいですか?

CTO:歌って踊れるエンジニアが一番いいと思っています。たぶんうちの会社には根暗なエンジニアは合わないと思います。根暗=オタクじゃないですよ。僕もオタク大好きなので、オタクファーストですごく来てほしいんですけど、本当にいわゆるコードを書くことが楽しいとか、なにか1つのことを楽しそうにずっと語ってくれるような人がいいんですよ。

あと、なんでもいいんですけど、夢を持ってる人。「こういう夢を叶えたい」「こういうことをやりたい」、もしくは「俺、べゾスぐらい稼ぎたい」でもいいですよ。それぐらいの夢があるエンジニアのほうがおもしろいと思っているので、そういうマインドを持ってる人を採用したい。

NEOLABの強みは、自社プロダクトと受託のいいところ取り

――スキル面で求めることってありますか?

CTO:スキルは2つありますね。PM領域に関しては、やっぱりある程度、自社プロダクトもしくはなんらかの開発プロダクト系をやったことのある経験者。できれば、2~3年以上の経験を持っている方が最高です。

エンジニアに関しては、今はPHPとRubyが多くて、iOS・AndroidでSwiftと、あとSDKあたりが多いんですけど。サーバはAWSなので、AWSのインフラ向けのエンジニアリングができる人がいいのと、Pythonのエンジニアも探しています。

要は、AIとか新しいことをやっていきたい。AIに関しては新しい事業部署としてAIスタジオを作っているので、そこの採用を進めています。ちょっとPythonに触れて、AIのことをやってみたいという人がいればぜひ、という感じですね。

――いま技術的に注目しているのは、やっぱりAIですか?

CTO:そうです。やっぱりうちもAIのニーズが強いので、AI系のプロダクトの開発と、あとはFinTech系。「人材×FinTech」ってすごく相性がいいので、FinTech系はけっこう力を入れてやっています。

うちの強みは、自社プロダクトと受託を両方やっているところですかね。自社プロダクトだけをずっとやっていると、新しい技術要素がなかなか入ってこないんですよ。でも、受託をやらせてもらっているので、ほかの会社のすごいテクノロジーも全部やれるんですよね。

例えば、普通は量子コンピュータを使うことなんてなかなかないですけど、クライアントが量子コンピュータを持っているので、それを使わせてもらうこともできる。受託しながら最新技術も勉強してもらいつつ、一方では、自社プロダクトの「jinjer」とかもやっているので、そことうまく情報共有できるんです。

なので、新しい技術を学びたければ、NEOLABに来てもらえれば、間違いなく新しい技術を学べます。自社でプロダクトを作ることもできますし、「やっぱり受託のほうが楽しいな」というエンジニアは受託というふうに両方できるので、けっこう幅広いんですよ。

希望やスキルによって3パターンの働き方が可能

――それは、同時進行しているんですか?

CTO:そうです。プロダクトと受託の両方をやりたい人は、忙しくてもいいけど、その分の給料がほしいという人。そういう人には、本当に給料1.5倍とか出しています。だから、受託のみ・プロダクトのみ・両方やる、という3パターンがあって、3パターン目は月収100万超えますね。

――3パターン目の人って、エンジニア400人のうちの何人ぐらい?

CTO:10人ぐらいいますね。

――それはすごいですね。その方たちは全部責任者の方ですか?

CTO:違います。リーダー層でぜんぜんいますよ。僕はそこはちゃんと対価を払ってやりたいんですよ。

――それは自らがエンジニアだからこそ、ちゃんとそういうふうに評価できることですよね。

CTO:そうだと思います。

――正直、今は弱いなと思うところはあります?

CTO:弱みに関しては、一応縦軸と横軸で組織を作りましたけど、やっぱりまだバラバラなんですよね。みんな個性の塊みたいな感じなので、動物園なんですよ。要は、まだ弱肉強食の世界があるわけ。うちの組織って、弱いだけだと食われちゃうんですけど、その弱い子がけっこういいものを持っていたりもするんですよ。だから、そこをちゃんとキャッチアップしていくことが僕の仕事だと思っています。

採用後のケアの部分は強化していこうと思っています。なので、面接でエンジニアの方に来てもらった時も「最初の2、3ヶ月間はつらいと思います」ということは伝えています。強いやつもいるし、弱いやつもいるし、本当に混沌としているので、そこにポンと来て、「俺、何ができるんだろう?」と不安になる方もいるかもしれないですけど、そこはちゃんと僕やほかのメンバーでケアする体制を作っていきます。

具体的には今2つあって、メンターのようなものと、事前教育機関を作ろうと思っているんです。実はTECH::CAMPさん監修で、ネオキャリアオリジナルの1ヶ月講習のようなものを作ろうと、今いろいろやっているところです。

――そうすると、メンタル面はメンターがついて、技術面は講習が受けられると言うことで、両面からケアできるようになる感じですよね。

CTO:そのとおりです。

個人で取得した特許を使って、顔認証システムを開発

――すごくざっくりした感じでおうかがいしてしまいますが、1年後、3年後、10年後のビジョンみたいなものがあったら、ぜひおうかがいしたいです。

CTO:ネオキャリアだけでいうと、「2023年に1,000億」と言っているので、そのうちの500億をNEOLABで作りたいと思っていて。時価総額ベースで500億作ろうと思うと、今は、自社プロダクトの「jinjer」等と受託があって。そこにAIのプロダクトを入れたいんですよ。今はとくに画像解析系と、いわゆる顔認証のテクノロジーをけっこうがっつり作っていて。

例えばAppleも、Face IDやVR・ARを使って、新規事業的なプラットフォームを作ろうとしています。実は僕は2008年に、顔認証を活用したVR・ARのコミュニケーションツールの技術特許を取っているんですよ。日本とアメリカでですね。『レディ・プレイヤー1』っていう映画があるんですけど、要はその世界を作ろうと考えたんです。

それをNEOLABでやれないかなと思って。例えば「jinjer」で玄関にカメラをつけておいて、顔認識でそのまま出退勤ができたり、食堂の決済ができたり。

――すごいことですね。

CTO:ちょっと本気で、ここ1年でやりたいんです。まず、ネオキャリアのオフィスで実証実験をする予定で、再来月から顔認証で鍵が開くようにして、ICカードをなくそうと。それがうまくできたら、全社に導入しようと思ってるんです。うちでちゃんと使えたら、他社でも余裕で使えると思います。

そういうことを直近2〜3年でやって、たぶんそのプロダクトだけでも時価総額で200億くらいになるかもしれないと思っているんですよ。

10年後の人材市場と求められるプロダクト

CTO:全国で電気を使っていない事業社はないので、電力会社は顧客情報を全部持っている。だから、電力とうちのプロダクトの合わせ技で、電気代を半分にする代わりにこのソリューションを入れてください」と営業してもらうのが一番早いんですよ。

電力自由化になったので、それができるようになったんですね。それを2023年までに実証して、実装して、セールスすると、余裕で1,000億いくと思っていて。やっぱり、2025年・2030年の世界って、間違いなく働き手が外国人になっているはずなんですよ。それまでにこういうプロダクトを作ることで、省人化サービスができる。

顔認証もそうですけど、今後、無人店舗や働き手が外国人になることで、誰でもサービスができるようなプロダクトを作ってあげないとならない。ネオキャリアがそういうプロダクトを作って、ついでに「人の採用どうですか?」というセット売りをしないと、たぶん絶対に売れないと思っています。

2020年以降に絶対に不況が来る。そのときに、うちのプロダクトで100万円かかっていたものが3万円でできます、と。浮いた97万円で人を雇ってもらって、「ちゃんとオーナーさんの利益も出ますよ」という営業モデルを作らないと、プロダクトは絶対成功しないと思ってるんですよ。その合わせ技ができるのは人材のパワーだと思うし、直近5年ではそういうことができるようなプロダクト設計をやっていきたいですね。

――そこまで見越してネオキャリアに入社されたんですか?

CTO:そうです。2030年、2050年までの日本における人の動きを見て彼らは設計しているんですけど。加藤がそういうことをずっとやっているので、そこに僕も共感したところもあって。 社長も「ネオキャリアはテックカンパニーである」という宣言をしましたし、専務はそもそも人材系企業だと思ってないんですよね。

エンジニアとしての市場価値を高められる会社

CTO:2023年に1,000億円になった瞬間に、うちのエンジニアは間違いなく他社がほしがる人材になるはずだし、みんなにも「転職自体はしてもいいけど、うちよりもアツい会社に行け」と言ってるんです。 そうしたら、そこからまた新しいビジネスが生まれるじゃないですか。転職して「さよなら」じゃなくて、そこから一緒にやれることが増えるかもしれない。

――こんな人だったら活躍できるというのがもしあれば、それだけ最後に少しだけお願いします。

CTO:ちゃんと自分を持っている人、芯がある人ですね。そういう人たちが残っているし、そういう人たちが楽しいと思ってるし、自己表現が下手でも、ちゃんと信念を持っている人は残っています。チームラボ、サイバーエージェント、DeNA、グリー、日立、エプソン、パナソニック、DMMなどで、新規事業や開発のトップだった人たちが来てくれて。

上で活躍している人たちの中には、ベンチャーならCTOとしてプロダクトを作れるような人が10人ぐらいいるので、そういうふうになりたいとか、そういう人たちと一緒に何か作りたいと思って入社してもらえるとすごく楽しいし、やっていけるんじゃないかなと思います。

――やはりCTOの話し方はすごく元気を与えますね。エンジニアが付いていきたいという気持ちが分かった気がします。未来が見える方ですね。90年代に人工知能と言ってる人に初めて会いましたし(笑)。あと、タイムマシンをどうやって作るかとかとてもワクワクしました。

CTO:ちょっとやってみたいですけどね。永遠の夢です(笑)。

――ありがとうございました(笑)。

CTO:ありがとうございました。