2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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20年間「休み方」について研究している片野秀樹氏の著書『休養学』の刊行記念イベントが透明書店で開催されました。科学的に正しい休養法について、本書の内容に沿ってポイントを紹介しました。本記事では、休んだつもりなのに疲労が取れない人におすすめな“効果的な休養のコツ”を解説します。
片野秀樹氏(以下、片野):疲労感はマスキング(masking:覆い隠す)できるんですね。例えば、栄養ドリンクを飲んで「今日、がんばろう」という方もいらっしゃるかもしれません。あるいは何かモチベーションを持って、「自分が使命感を持ってやらなければならない」となると、一時は疲労感をマスキングできるんです。
その時の活動能力は下がっているんですが、マスキングしながら活動してしまう。がんばらなければならない時もあると思うので、これは一時的には必要だと思うんですが、ずっと続けると乖離が広がって、もう近づかなくなるんですよ。そうすると慢性疲労の状態、あるいはメンタルの障害になってしまうんですね。
ですから、「疲労は病気になる前のシグナルですよ」と冒頭で申し上げたように、自分自身で疲労を感じたなら素直に受け止めて、「休まなければならない」と思っていただかねばならないということです。
長野弘樹氏(以下、長野):なるほど。まず、「疲労」と「疲労感」は違う。そこに差が出てくるから、何かしら病気を患ったり、状態がよくなかったりする。
片野:そうですね。それも1つあります。
長野:休養を学ぶには、まずは疲労から知らないといけないということですね。
片野:そうですね。じゃあ、何のために私たちは休まなければならないのか。私たちが疲労を考える時に、ふだんはこういったサイクルで回していませんか? ということで、三角形(日内サイクル)を書かせていただきました。
まず、活動します。日常で何かしらの活動をされていると思うんですが、疲労の定義にあったように、活動をすると活動能力が落ちます。それが疲労の状態です。「疲労の状態の時には休養の願望が出ます」というのが、先ほどの疲労の定義だったと思います。
みなさんは「休養しました」と言って、翌日また活動に戻ったり、そのあと少し休んでから活動に戻ったりしていないですか? ほとんどの人が、この3つのサイクルで回されているんじゃないのかなと思います。
長野:はい。
片野:その時に“電池”を考えていただきたいんです。仮に自分の体の中に電池があるとすれば、休養によって100パーセント、あるいは充電がたくさん増えた状態で活動に戻っていますか?
冒頭で(紹介した調査結果では)、8割の方が「疲れている」と答えたじゃないですか。疲れていることの裏返しなんですが、電池がまだ充電されていない状態で次の活動をしている。そんな日々を送っていらっしゃるんじゃないのかなと思います。そういう方が非常に多くなって、将来的に8割を超えてしまうんじゃないかという不安を持っているんですね。
ここで、みなさんにぜひ考えていただきたいのは対義語です。「活動」の対義語は何でしょう?
長野:「活動」の対義語……それこそ「休養」ですよね。
片野:「休養」の対義語は「活動」ですよね。一方で、「疲労」の対義語は何でしょう?
長野:私は知ってしまっているので(笑)。
片野:そうですよね。「疲労」の対義語は「休養」と言う方がいらっしゃるんですが、「休養」の対義語は「活動」ですよね。
長野:あれ?
片野:この3つのサイクルだと、「疲労」の対義語がないんですね。そのポイントは何かというと、活動能力を減退しているのが疲労であるならば、活動能力を上昇しているものが疲労の対義語でなければならない。ということで、本来は「活力」がなければならない。
活力が加わることによって、減少して増えて、減少して増えて……というサステナブルなサイクル、エコシステムみたいなものが出来上がるんですが、この「活力」を見落としがちなんですよね。
長野:そうですね。
長野:「『休養』は休むことなんだろうな。『活動』は実際にアクションすることなんだろうな。そこで疲れが溜まることが『疲労』なんだろうな」と、この三角形はみなさんもけっこうイメージしやすいのかなと思いました。ただ、私は初めてこの本を読んだ時に、「『活力』とは何ぞや?」と思いました。
片野:まさにいいポイントなんですが、「なんでこのサイクルで回しちゃっているのか?」ということです。若い時は、寝れば翌朝には元気になって、また活動に戻れるという経験をほとんどの方がお持ちだと思うんです。
長野:はい。
片野:その時のサイクルがこのサイクルなんですね。休んで寝れば、もとに戻る。ですから、何も考えずに、電池がいつも充電されているんです。でも、人は年齢を重ねていくと、だんだんと若い時とは違った体になってくるんですね。もちろん電池もだんだん劣化してきます。
その時に、何を取り入れなければならないか。しっかり「増進する」ことを考え始めなければならないんですね。疲れを朝に感じて、それから活動しなければならない。「やだな」と思いながら活動しなければならない方が考えなくてはいけないのは、「活力をいかに高めるか」です。
この、活動能力の増進の部分を「攻めの休養」といいます。じゃあ、攻めの休養はどうやったらいいんだろう? というところを、この本(『休養学』)に書かせていただいています。結果的には、みなさんが100パーセントに近い充電で生活を回していくことが理想なのかなと思います。
長野:めちゃくちゃわかりやすいですね。これだけで表せるんだと。
片野:そうなんですよね。ですから、活力をリセットして自分自身が100パーセント充電した状態で仕事に臨んだり、自分の活動の前にしっかり充電されているかを意識したりしていらっしゃらないと思うんですよね。
長野:確かにそうですね。あまり考えていなかったというか。
片野:「朝起きたら、いつも元気なんだ」って思い込んでいる。
長野:そう思いがちだし、この概念のようなものを学んでいない。だから、「なんか疲れているなぁ」みたいなことは、けっこうあったりしますね。
片野:はい。
片野:ぜひ考えていただきたいのですが、朝起きたところがスタートラインだとはあまり思わないでほしいんですね。朝起きたところが「活動」のスタートラインだとすると、そこの時点で自分自身の活力がどのくらい高まっていて、バッテリーが充電されているかを考えずに行動している人は多い。
例えば(バッテリーが)5パーセントしかなくても、今日やらなきゃいけないタスクがたくさんあって、その5パーセントでどうこなすのか? ということなんですね。「5パーセントではこなせないタスクをどうこなしているんですか?」というと、先ほどのようにマスキングを使って、無理くりやり続けているんです。
長野:やり続けているなぁ。
片野:それって本当にいいんですか? 短期間だったらなんとかなるかもしれない、あるいは若い時は無理がきくかもしれない。でも、だんだんそうではなくなりますよね。みなさんに考えていただきたいのは、その前の段階で準備をしなければならないということです。
明日どういったことをやるか、今日はこのあと何をやるのかといった時に、どのくらいの活力が自分の中にあって、その活力でタスクがこなせるかどうかを考えて、準備してから活動に移すことが大切になるということです。
長野:なるほど。そうなると、今度は「活力の正体って何?」ということや、「活力を養うには何をすればいいの?」ということが気になってきますよね。
片野:そうですよね。先ほどお話ししたことと少し重複してしまうのですが、活力を高めるためには、最初のスタートラインを「活力」からにしましょう、活動ではなくて活力を高めるところからしましょうと、本では書いてあります。
片野:最初に長野さんは「(日本人は)働くことが美徳だ」という考え方があるとおっしゃったじゃないですか。逆に言うと、「休むことは罪悪だ」という罪悪感があると思うんですね。
長野:それはあります。
片野:でも、休まないと活力は高まらない。ですから、活力を高めるか・高めないかはとっても大切で、何を目標としているかがポイントになってくるんですね。ちらっとお話ししましたが、「何のために疲労回復したいんですか?」というところを、みなさんは見失っているんです。
長野:目的がないと。
片野:ないんです。「なんか元気がないから嫌だ」と言うんですが、何もやることがなかったら、別に元気がなくてもいいじゃないですか(笑)。
長野:確かにそうですね(笑)。
片野:別に何もやらないんだから、元気がなくてもいいですよね。でも、「自分はこうありたい」「仕事がどのくらいある」という目標があるから、「この疲労状態でそれはこなせない」ということで、疲れている状態が不満だとおっしゃるんだと思います。
長野:なるほど。
片野:そうであるならば、もう一歩突っ込んで、自分自身がこなさなければならないタスクをもう一度整理してみる。そのためにはどのくらいの活力が必要なのかを考えて、準備して、こなす。そうすれば、別にちょっとくらい疲れていても「これだったらこなせるから、それでいいや」「足りないぞ。もっと早めに準備しなければならない」となったりします。
そう考えると、休むことは罪悪ではなくて準備なんですね。結果的に自分たちが何をしたいかというと、生産性を高めたいんですよね。
長野:そうです。
片野:生産性を高めるのであれば、休むことで生産性は高まります。「準備をしっかりすることによって、結果的にパフォーマンスが上がって生産性が高まりますよ」というところにたどり着ければいいわけですよね。
そのためにしっかりと休養しましょうね、みなさんも休養のために取り組まなきゃいけないですよねということで、この本の中に書かせていただいた「休養の7タイプ」というものがありますのでご紹介します。
長野:お願いします。
片野:まずは休養を3つに分けています。「生理的休養」「心理的休養」「社会的休養」です。休養というと、この本の表紙には「休むことではない」と書いたんですが(笑)。
長野:最初に話していたんですが、すごくキャッチーでいいですよね。
片野:はい。「寝ることは休むことではない」というのは、「寝ることは休むことだけど、寝ることだけじゃない」ということなんですね。
寝ることは、「生理的休養」の中の「休息タイプ」です。休息タイプは「消極的な休養」とも言うんですが、体をなるべく動かさないということです。ですから、休憩や寝ることが休息タイプなんです。
長野:「ハードな活動をしない」みたいなことですね。
片野:そうですね。体をなるべく動かさないということです。「休養=休息タイプ」と、みなさんはステレオタイプ的に思っているんですが、そうではなくて。それ以外にも6つあります。
長野:一般的なイメージは休息タイプですよね。「寝て休んどけ」と。
片野:そうなんですよ。「寝れば回復するよ」とか。もちろんそれもあるんですが、それ以外のタイプも知っていると、自分で上手に休養を取ることができるようになるんですね。
片野:2つ目が「運動タイプ」です。これは「積極的な休養」とも言うんですが、激しい運動のことを言っているわけじゃなくて、軽度な運動、疲れない程度の運動です。ジョギングでもウォーキングでも、あるいは体操やヨガみたいなものでもいいです。
運動タイプとは、血液を循環させることなんです。疲労すると老廃物が溜まりますし、フレッシュな酸素が必要になります。それを運ぶのは血液ですから、血液を循環させないと疲労回復につながらないんですね。
激しい運動をしたあとに、よく「グラウンド一周、アップしてきなさい」と言って、ウォーキングのように歩いたり、軽く走ったりします。あれは、血液を循環させて老廃物を回収して、酸素を届ける活動をしているんですね。
長野:なるほど。血の巡りをよくするということですね。
片野:そうです。ですから、軽微な運動は休養につながるんですね。
長野:へぇ〜。でも、まだこれもイメージがつきますね。「散歩する」みたいなものは、リフレッシュにつながっていそうなイメージです。
片野:そうですよね。ですから生理的休養でも、寝るだけじゃなくて体を動かすことも休養につながることを知っていると、「ちょっとリフレッシュで歩いてこようかな」となる。
長野:言われてみれば、という感じがしますよね。
片野:はい。ただ、みなさんはそれを休養だと思わないので、それも休養なんだと知っていると、散歩も取り入れたりできるようになります。
片野:3つ目の「栄養タイプ」は、「消化器系を休めましょう」ということです。例えば、お正月の三が日はたくさん食べますよね。そのあとに何が来るかというと……。
長野:七草粥。
片野:そうなんです。あれは「消化器を休ませましょう」という、昔の人の知恵ですよね。時にはファスティングのように、あまり食べないという選択肢もあると思います。栄養学では「カロリーをどのくらい摂取するか」が中心になりますが、休ませること・摂取を抑えることも、休養学では栄養タイプになります。この3つが生理的な休養です。
ただ、生理的な休養以外にも「心理的な休養」があります。「親交タイプ」とは、人と接する・人とお話をすることが休養につながるタイプです。立ち話でもいいです。本の中に書いたんですが、うちの奥さんはよく近所の奥さんと外で立ち話をしているんです。別にそれを咎めるつもりはまったくなくて、それが彼女にとっては休養につながっているんですね。
あとは会社の中でも、給湯室で会話するのもいいですし、お昼時間に近くの方と会話する(のもいいです)。それが休養につながる、それがとても大切だとお気づきの方は、ぜひ積極的に取り入れていただければと思います。
人ではなく自然と親交するのであれば、森林浴があります。あとは動物と触れ合うとか。
長野:「アニマルセラピー」と言いますよね。
片野:そうですね。心の安らぎにつながりますので、それも親交タイプになります。
片野:また、「娯楽タイプ」というのは、みなさんが好きなことをやることです。ゲームが好きだったらゲームやればいいと思いますし、カラオケが好きだったらカラオケに行けばいいと思います。
もちろん依存するほどやり続けるのは問題ですが、休養のためだったら一定は必要だと思っています。お子さんでも、ゲームをやっていることは休養だとご理解いただけると、ある程度、腹も立たないかなと思います(笑)。
長野:はい。度を越さないというのがポイントなんですよね。
片野:そうです。度を超すのはよくないです。「これは休養のためだ」と、本人も理解した上でやることが大切だと思います。
「造形・想像タイプ」は、何かを作るということです。例えば、日曜大工をされる時をイメージしていただきたいんですが、その時ってストレスはどこかに置いていると思います。集中していますから、没入していると思うんですね。それは心理的な休養になります。
あとは「想像」と書いてありますが、迷走や妄想でもいいんです。「自分は今、空を飛んでいる」でもいいですし、「きれいなビーチで休んでいる」でもいいです。そうやって目をつぶって想像してみるだけでも、心の安らぎになるということです。
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