Books&Appsの流入経路の半数がSNS

箕作聡氏(以下、箕作):「ユーザーのために」までは、お二方とも一緒だと思います。そうなった時に、集客構造はどのようになっているか。これについては、安達さんからいってみましょうか。集客構造、流入経路のパーセンテージを教えていただいてもいいですか?

安達裕哉氏(以下、安達):実はですね、うちはGoogle八分を食らってる感じです。検索エンジンからの流入は10%しかないですね。この原因について単純に言えば、キーワードをぜんぜん意識して書いてないからっていうのもあるのですが。

その代わり、SNSからの流入が50%あります。あと、ダイレクトがその残りという感じになっています。かなりSNSを意識して集客というか、記事を書くことはよくあります。

箕作:ソーシャルからの流入が多い。それも50%って、相当多いと思うのですが。その場合、どういう観点を意識されますか。

安達:そうですね。ソーシャルでは、基本的には目的を持って記事を読みにきてるわけではないので。「ちょっと読んでみようかな」っていう方がほとんんどです。実際に、うちのメディアはスマートフォンからの流入が7〜8割ですね。

スマートフォンで見ていて「この記事ちょっとおもしろいな」と思っていただけるように。……なんて言うか、高尚な話とか、「大企業だけの話だよな」とか、あるいは「できる人だけの話だよな」という感じではなくて、もう少し現場の話と言うか、普通の人が読んでいておもしろいものを意識しています。

大手のビジネスメディアとか、成功者の話がたくさん書いてあるんです。それはそれでキラキラしていい世界なんです。でも、そうではない方が読まれるなっていう感覚はあります。

箕作:そういえば、最近の記事で「成功するビジネスパーソンの◯つの法則」といったものをすごく否定する記事を上げられてました。

安達:そうですね(笑)。

箕作:最近多いですよね、そういう記事は(笑)。

安達:そうですね。「現場で見ると、あれ、そんなに当てはまるかな」っていうのがちょっと疑問だったので。そんな感じですね(笑)。

箕作:なるほど。ありがとうございます。

オーガニックから入ってきたユーザーの課題を解決

じゃあ飯高さん、お願いします。

飯高悠太氏(以下、飯高):笑いながら安達氏を見て普通にGoogleアナリティクスのパーセンテージ言っちゃうんですね。

(会場笑)

安達:あ、もう、いいんです(笑)。

飯高:うちで言うと、構造というより「どのタッチポイントに触れるか」をすごく意識しています。構造で言うと、やはり僕らは2年半ぐらいやっていて、記事がたぶん7,000本ぐらいある。そうすると、やっぱりオーガニックはどうしても強くなっちゃうんですね。そこに問題意識があるユーザーが多いので、その解決をするとなると50%ぐらいはオーガニックです。

あとは正直、僕が一番大事にしているのがダイレクトなんですよ。あと、主要チャネル。わざわざ「ferretに来たい」って思わせることがすごく重要だと思っているんです。それで言うと、次のチャネルはダイレクトになって、あとは僕らは会員を持ってるので、メルマガ・SNSみたいなところがほぼ同等な構造になってますね。

箕作:ほぼ理想的な構造だなと思っていますが、もともとの存在意義が「中小企業のマーケティングの課題を解決する」にあったと思うんです。やはり、課題を持っているユーザーはまずは検索をする。

飯高:そうですね。

箕作:検索をしていいなと思った方が、また次のファンになってもう1回見にきてくれる。その構造ができていると言っていいですね。

飯高:はい、そうですね。なので、オーガニックから入ってきたユーザーが解決される。そして、次のコンテンツにいく。チャネルごとに、僕らは指標を持っているんですよ。回遊性を上げるとか、読了を上げるとか。その中で重要なのは、いかに会員になってもらうかが1つのゴールです。

もう1つは、ダイレクトに来てもらう。これは、プラットフォームが変わると……例えば、FacebookでもTwitterでも、アルゴリズムが変わると出づらくなるじゃないですか。検索もパンダだったりペンギンが走ると、構造が変わる。でも、ダイレクトは変わらないんですよ。

なので、すべての構造上の頂点は、僕はダイレクトにあると思っています。入ってきたタッチポイントのユーザーを、ダイレクトであったり会員に持っていったりを、構造上で作っているようなイメージですね。

All Aboutの流入の7割が検索エンジン

飯高:逆に、御社の話を聞きたいですね。

箕作:そうですね。All Aboutで言うと今、7割が検索エンジンからの流入になります。

弊社の場合は「ユーザーの課題を解決したり、悩んでいることをちゃんと専門家の知識を通じて伝えたい」という思いがあります。そうなった時に、やはり検索が一番ユーザーの悩みを捉えやすいタッチポイントとして考えていますね。 

ただ昔は、もっと検索比率は高かったんですよね。最近だとソーシャルが普及し始めてから、そちらからの流入も増えてきました。割合で言うと、検索流入が7割、そのほかが3割は分散メディアみたいなかたちで、コンテンツのフィード先からの流入みたいなものになります。

なので、どちらかというとコンテンツがいろんなところに出ていくパターンですね。それはダイレクトとはちょっと違う概念になりますね。

飯高:僕のイメージで言うと、御社は9割ぐらいが検索のイメージでいたんですけど。

箕作:意外にそこまではないですね。先ほどもいったとおり7割ぐらいです。

飯高:やっぱそれはプラットフォーマーが多様化したり、デバイスが多様化したりして、触れるポイントが増えたのが1つの理由になるんですかね。

箕作:そうですね。ユーザーサイドを主としたらどうなのか。ユーザー自体の情報に接するチャネルが変わった、とも言えるんじゃないかなとも思ってますね。

飯高:ありがとうございます。

箕作:はい。それがAll Aboutの集客構造です。なので、それぞれの存在意義には沿ってユーザーは集客できていると思います。まあ、これが一番、今日悩まれてる方が多いかなと思います。

コンテンツで重要なのは「議論が起きるかどうか」

箕作:先ほどから、安達さんからは「コンテンツを作る上で」みたいな話で、いろいろお話をうかがいましたけれども。

まず、企業でコンテンツを作る時、生産体制が非常に問題になるケースがあります。あと「良し悪しの基準がわからないよ」みたいな、不安になるパターンですね。

このあたりについてどうされているか。僕、このセッションのための打ち合わせの時には聞かなかったんですけど、安達さんのところの生産体制ってどういう形になるのかなと思って。

安達:そうですね。うちは1日1〜2記事しかあげてないので、全体の半分ぐらいは私が作っています。残りの記事については、7〜8人ぐらいのブロガーさんに頼んでるんですね。

ライターさんとブロガーさんって、別のものだと思っています。ライターさんは、なにかテーマがあって、それに沿って書く方なんです。でも、ブロガーさんは、自分の好きなこと、自分が思った主観的な記事が非常に多い。

そっちのほうがメディアの性格に合ってるということで、うちで書いていただいてる方は全員ブロガーさんです。

箕作:ということは、安達さんと7〜8名のブロガーによって作られている。

安達:そうですね。

箕作:そして1日1〜2本ということですね。ということは、月間60本の記事をあげているということになりますね。

安達:そうですね、最大60本ぐらい。

箕作:最大60本ぐらい。「そこは約束しませんよ」なかたちでやられいてる(笑)。

安達:もう1日1本が限界っていうところもあって、なかなか(笑)。

箕作:なるほど(笑)。確かに、あのレベルを1日2本書くのは相当大変でしょうね。

安達:ちょっと厳しいな、という感じですね。

箕作:でも先ほどのお話で「ブロガーさんとライターさんの違い」があったと思いますけど、たぶんそれが、安達さんにおけるコンテンツの良し悪しの基準なんでしょうね。

安達:そうですね。コンテンツの良し悪しで一番大事と思ってるのは、「議論が起きるかどうか」です。全員が「まあ、そうだよね」と言うのは、あまりおもしろくないんですね。

逆に、「これ、いろんな考え方ありますよね」を差し出さないと、ユーザーさんの反応としてはたぶんどこにでもあるような感じの記事になってしまう。「議論が起きるかどうか」は、品質管理の基準の1つにはしております。

箕作:じゃあ書き上がった時に、「これは本当に議論を及ぼすだろうかどうか」を考えられるってことですか。

安達:そうですね。ブロガーさんだと、だいたい中身が偏ってるので(笑)。「あ、これは、まあ、そうだな」っていう感じで、そのまま載っけちゃうことも多いです。

箕作:つまり、ライターさんよりブロガーさんのほうが合ってるっていうのは、「議論を及ぼす記事になりやすいから」という概念でいいですか?

安達:そうですね。「自分勝手な人が書くとだいたいおもしろくなる」という感じではあります。

Books&Appsのライターは、言いたいことを語る

箕作:打ち合わせの時にも「主観性のない記事はつまらない」みたいな話を安達さんはずっとされてましたね。

安達:そうですね。個人のフィルターがかかってるから記事はおもしろいのであって、「フィルターかかってない記事を見るんだったら、別にニュースサイトへいけばいい」という話になるかなと思うんです。

箕作:なるほど、フィルターですね。

飯高:Books&Appsのライターさんって、読まれることを目的としてないですよね。言いたいことを語るのが主だと、僕は思っています。「自分の鬱憤を言うことによって、それに共感してくれる人がいればいい」みたいなイメージでいますね。

安達:そうですね。逆に言うと、言いたいことばっかり言ってる人も独りよがりでおもしろくないので、バランスのとれたブロガーさんを探すのがけっこう難しい、というのがちょっとあります。

箕作:ふと思ったんですけどね、こんなに「ブロガー、ブロガー」と言うセミナー、今時めずらしいなと思って。

(会場笑)

安達:そうですね(笑)。

箕作:こんなブロガーの話するのって久しくなかったですよね。

飯高:今日、ブロガーサミットですよ(笑)。

(会場笑)

箕作:でも、安達さん実はブロガーが大好きなので。どうしてもこの世の中に埋もれたブロガーを発掘して世に出したいという、裏の使命って言うんですか。

安達:そうですね(笑)。

箕作:そういうものをお持ちですよね。

安達:はい。それはちょっと黙っておこうかな、と(笑)。

(会場笑)

箕作:熱量がやっぱりありますもんね。そういうの、私も大好きなんですけど。

安達:はい。

箕作:ありがとうございます。主観性の話ですね。私と飯高さんは、主観性の話になるとちょっとつらいかなと思っています。