直前の走り込みは控えめに

司会:なるほど。ここでは念入りに準備の項をお伝えさせていただきました。10ヶ条に戻りましょう。まだ2ヶ条しか進んでおりませんので、このままだと12時をまわってしまう恐れも(笑)。若干巻き目でいきましょう。3つ目、直前の走り込みNG。結構いらっしゃいますよね、直前に走る方。

鈴木莉紗氏(以下、鈴木):マラソンは試験勉強と一緒で、一夜漬けでは走れません。1週間前に25キロ走っちゃう方とか、結構いらっしゃるんです。直前になると不安になるんでやり過ぎちゃうんですけど・・・・・・。レースの3週間より前の練習は、足し算でいいと思います。でも、レース3週間前からは、引き算の練習が必要になります。

司会:じゃあ30キロ、20キロ走るんだったら、3週間前まで。莉紗さんだったらこれから練習を抑えてゆっくりと調整していく時期になるってことですね。わかりました。そして、最初の5キロはゆっくりと。

鈴木:スタートしてから、混雑などでイライラした経験のある方?

司会:あれなんで、肘を当ててくるんですかね。

鈴木:痛いですよね、肘鉄とか。

司会:肘鉄とかする人いますよね。

鈴木:それからすっごいゼーハーして全速力で走っちゃったり。最初の5キロっていうのは、結構混雑するんですよね。後ろの方は特に混雑するんですけど、そこで蛇行運転やハイスピードで走ると脚を使ってしまいまして、グリコーゲン、糖を余分に使ってしまいます。ですので最初の5キロはウォーミングアップだと思ってゆっくり、焦らず走ったほうがいいです。

司会:そうやって抜いていった男性に限って、後のほうでお見かけするケースが結構ありますよね。

(会場笑)

鈴木:そうですよね。特に上り坂とかでこうやって、こうやって。脚つってるんですよね。

司会:ああやって抜いていった方って、たいてい脚つってますよね。あれなんでなんですかね。やっぱり使ってるんですかね。

鈴木:筋肉使いすぎちゃうんでしょうね。

定期的な給水は絶対!

司会:その理由が、次の項目にもあるかもしれませんね。5キロごとに必ず給水。最初のほうって、時間もったいないからってとらない人結構いますよね。

鈴木:実は、実験で明らかになってるんですけれど。給水を好きなリズムで自分の好きなぶんだけとっちゃうと、運動開始してから2時間後にパフォーマンスが下がるんです。逆に、同じリズムですね、5キロごとに給水のリズムをとっていくと、2時間たってもパフォーマンスの下がり具合が低いっていう実験結果が出ています。ですので、のどが渇いてなくても、5キロごとにある給水ポイント。5キロじゃないこともあるんですけど。給水ポイントでは、のどが渇いてなくてもお水をとることをおすすめします。

司会:ポイントですね。のどが渇いてないと、5キロポイントだとレース直前にも飲んでますから。今飲まなくても大丈夫ってなりがちですけど、そこはちょっとでも飲んでおく。

鈴木:ちょっとでも口に含んでおく。

司会:あと僕も悩むんですけど、水とスポーツドリンクがあると思うんですけれど。莉紗さん、普段はスペシャルドリンクだと思うんですけど、あれはどっちとったらいいんですか? それは好き好きでいいんですかね?

鈴木:スポーツドリンクがいいんですが、あんまりのどが渇いてないなっていうとき、あんまり甘いのとりたくないなってときは水でいいんですけれども。それは実験結果が出ていて。とり方のコツなんですが、最初はお水でも大丈夫です。中間地点で、糖質の高いものをとるんです。

15キロから20キロか25キロくらいまでは、甘いモノをとる。後半は電解質の入ったスポーツドリンクをとると、パフォーマンスが落ちないっていう実験結果が出ています。

司会:ということは、さっきのここに潜ませたジェルは、20キロ25キロくらいでちゅるって飲むのがいいってことですね。

鈴木:そうですね。

細かいラップは気にしすぎない

司会:そしてその6。これがちょっとわかんないんですけど、ラップはどんぶり勘定。

鈴木:1キロごとにチェックしている人、いらっしゃいますか? いいですよ、恥ずかしがらずに。

司会:最近のやつは鳴るんですよね、1キロごとにピロピロンとかって。

鈴木:マラソンやハーフマラソンなんですけど、10キロは1キロごとに見たほうがいいんですが、5キロごとに見てください。というのも距離が長いので、やはり1キロで上り坂があったり曲がり角があったりしますよね。なので、5キロごとで帳尻を合わせる。

1キロごとだと疲れてしまいますし、精神的な混乱も招きますので、見たいのを我慢して、5キロごとにピッピッピッと押してあげるといいと思います。

司会:そしてその8、20キロ過ぎで必ず補給。これがさっきのお話ですかね。

鈴木:そうですね、グリコーゲン、糖ですね。筋肉や内臓で蓄えた糖がどこで枯渇するのかというと、だいたい30キロ地点っていうデータが出ているので。30キロに来てから補給してもエネルギーに変わるまで時間がかかりますので、その手前で補給することが大切。

エネルギージェルとか、あと大会でアンパンとかバナナが用意されてると思うんですけど、そこでかならず甘いものをとってあげると、後半も走れます。

35キロに魔物が潜む

司会:そして、やっぱりいるんだ35キロの魔物。

鈴木:30キロの壁って聞いたことある方いらっしゃいますか?

司会:いますね、結構いますね。

鈴木:私も初マラソン走る前から、なぜか30キロの壁っていうのは知っていたんです。30キロ怖いな怖いなって思っていたら、練習をしていれば、意外と30キロまでは持つんです。でも、35キロ地点っていうのは、本当の壁だと思います。

そこからがフルマラソンだと思うんですけれども、35キロに来たら、どんなトップ選手でも足が重くなってるなって感じることがあるんですね。と言いますのも、タイムリーな話だと、今回の大阪女子マラソンで福士加代子選手が2時間20分代を出しましたよね。彼女ハイペースで走っていて、元々スピードのあるランナーなので、スピードには余裕があるはずなんです。

彼女のラップタイムを見ると、35キロから落ちてるんですね。瀬古利彦さんも渡辺康幸さんも、35キロから足が重くなるからっていうのを伝えていたみたいなんですね。実際、私も今走っていて、35キロから本当に足が急に重くなって。そっからがメンタルの勝負になるので、本当の敵は35キロ以降だと思って、マラソンに臨まれたほうがいいと思います。

司会:逆にいうと、今まで伝えてきましたけど、そこまで我慢してろってことですね。

鈴木:どんなに行きたくなっても、我慢する。

司会:ボスキャラはそこにいるんだっていうことで、そこまであんまり体力を使い過ぎないように。

鈴木:そうです、35キロ地点からいかに戦うかっていうので、体力を温存しておくほうが大切です。

あれこれ考えすぎないこと

司会:そして最後、いっぱい考えてきましたけれども、あれこれ考え過ぎない。

鈴木:はい。「ラップが落ちた」とか「前の人の“はあはあ、ゼエゼエ”すごい気になる」とか、いろいろあると思うんです。

(会場笑)

鈴木:私も息乱れてる人見たら「あっ」って思うんですけど、あれこれ考えれば考えるほど、脳にあるグリコーゲンが枯渇していくんです。だから本当に細かいことだと、「ピッチがうんぬんかんぬん」とか、気になる人結構いると思うんですね。「心拍数が」とか。そういうのを考えすぎてしまうと、糖分をどんどん使ってしまいますので、リズムで気持よく走っていたら、そのリズムで行ったほうがいいですね。

司会:35キロまでは我慢して、あれこれ考えずに、魔物に挑むと。わかりました、マラソンの10か条ということで。

観客:7番飛ばしましたよ。

司会:お、大変失礼いたしました。大事な、10キロ地点に戻りますよ。10キロ地点にだまされない。

鈴木:これは、10キロで急にふわって足が軽くなる感じがするんです。ふわって。

司会:でも、なにかわかります。軽くなりますよね。

鈴木:なりますよね。それは走り始めて体温が上がり始めて、血液循環がよくなり始めるんですね。体温が上がると運動のパフォーマンスが上がりますので、身体が動くような気がするんですが。そこからペースを上げますと、ハーフマラソン過ぎたあたりからガクッと落ちますので。10キロでも我慢してください。

司会:その9に向けて、その7でだまされてはいけないと。

鈴木:だまされてはいけません。

司会:私もその7の給水を忘れていました。ご指摘ありがとうございました、すいません。