本物が飛ぶ前に商品化
国産ステルス実証機ATD-Xのフィギュア制作裏話

宮脇修一 #4/9

月刊水中ニーソ2015年7月
に開催

「水中ニーソ」で知られるデザイナー・映像作家の古賀学氏が中野・Bar Zingaroで毎月開催しているトークショー「月刊水中ニーソ」。2015年7月に開催されたイベントでは、古賀氏と関係の深い模型メーカー海洋堂の社長・宮脇修一氏との対談を行ないました。このパートでは海洋堂50周年映像を見ながら、これまでの歴史を振り返ります。また、宮脇氏のプロジェクト「センムの部屋」としてリリースされた国産ステルス実証機ATD-Xのフィギュア制作の裏話も語られました。

プラモ屋かと思ったら宗教だった

古賀学氏(以下、古賀):バカなんですね。

宮脇修一氏(以下、宮脇):バカがテーマです。どこまでバカになれて、それをわかった上での、こういうのはツーとカーのできるというか。

古賀:そこをわかってくれる人っていうのが、やっぱりいないですよね。

宮脇:そうですはい。それで、これですわ去年の。

古賀:去年。

宮脇:はい。50周年の時。

古賀:海洋堂がですね、海洋堂は創業、今年で51年目なんですね。

宮脇:今年51年なんです。

古賀:これはともかく、 50周年の。

(海洋堂50周年記念動画が流れる)

宮脇:これパーティー、古賀さんも来ていただいて。

古賀:そうですね。

宮脇:もうとんでもないですよ。

古賀:海洋堂50周年を記念する映像を作らせていただいて、木刀が揺れてるんですね。

宮脇:この木刀はうちのお父ちゃんが、「プラモ屋やるかうどん屋をやるか」というので、この木刀で切ってですね、「倒れた方に行こう」ということで。で、プラモ屋をやって。まあ要はこれ見てもうたら、いろんなキャッチフレーズとか、スローガンだらけなんです。説教くさいでしょ。

古賀:啓蒙。

宮脇:そうそう。さっきのセンムさんがおった。

古賀:これ、この写真。

宮脇:これが。

古賀:模型のプール。すごい店ですよね。

(会場笑)

宮脇:すごい店でしょ。ほんとにねー、こういう寺子屋みたいなものもやってましたが、小学校4年生の僕がおります。

古賀:この啓蒙、教えていたのはプラモデルなのに、結構宗教だったんですね。

宮脇:そうですね。ものすごい宗教臭いですよ。使う楽しみをすべての人にとか、心頭手を連動させるとかですね、あっ同じポーズをしてます(笑)。

古賀:これ(スロットルレーシング場)すごいですね。

宮脇:僕の父の手作りですからね、これも。

古賀:これ走っていくと見えなくなる。どこを走っていくいるんだろうとか(笑)

宮脇:180メートルありましたからね。みんなこうやって毎晩、暴走していたという時代もありました。

海洋堂50年の歩み

古賀:そしてプラモデル屋だったのが、今度はガレージキットが始まったんですね。

宮脇:川口さんのモスラですね。これが80年にうちに持ち込んできて、82年に海底軍艦で版権をとって、ボーメ君も、美少女フィギアじゃなくてタロスとかサイクロプス作ってましたからね。これに載っている写真は、全部版権取ってないですからね。

(会場笑)

宮脇:ナウシカを最初にうちが商品化したのは80年、うちが最初ですからね。これをツクダにパクられて、コピーされてえらい目にあって事件になったぐらいですから。

古賀:これが指揮をとるセンム。

宮脇:そうですね。自分でも昔から塗ってますし、ゴジラのスーツバリエーションを作ったりとかして。ナウシカですね。これは82年ですね、これも。蟲使いとかクシャナとか。これはアルバトロス版ですね。もう超宮崎ファンでしたから。オートジャイロなんかもこの時、作ってましたからね。これがもう古賀さんが好きやから、レッド・ミラージュだらけ。あっちこっちにもうね。

古賀:このシークエンスが長すぎる(笑)

宮脇:パトレイバーね。これはもういちばん大ベストセラーで。

古賀:田熊(勝夫)さんのイングラムがかっこいい。

宮脇:ときメモね。今でこそコナミなんてもう、この時までは版権の部署がなかったぐらいでしたから、「うちに感謝せい」とか。エヴァに至っても、綾波レイもこれがいちばん第1号なんですよ、ガレージキットの。すべての立体物の。一番乗り一番乗り一番乗りで言えるから強いねって。

1992年、ワンフェスをゼネプロから引き継ぐ形ね、狂った岡田斗司夫からですね。赤井(孝美)さんと岡田さんと、赤井さんも2人で決めたらしいで、その日の朝に。

古賀:センムを呼び出そうと。

宮脇:呼び出して赤井、岡田、そして宮脇で。2人に呼ばれて、武田さんちょっと怖い顔して。チクショウっていう顔してまして。基本的に赤井の逆クーデーターみたいな。相変わらずゴテゴテしてます。

古賀:これがでかいイベントに今なって。

宮脇:なりました。で、これ(北斗の拳フィギュア)ね。

古賀:これ絡ませて、98年だったですね。

宮脇:98年ですね。7年ぐらいの終わりからやって8年に発売でこれでもう1回。

古賀:これバカフィギュアですよね。かっこいいですね。

宮脇:そうです、はい。1999年、チョコレートのお菓子に動物を入れて。ニホンザルはすべてを駆逐したというのが僕にとっては、まぁ後はこの6年間やりたい放題、大儲けしまくって。

古賀:フィーバーしてるんですね。

高知県を植民地化

宮脇:村上隆までやりましたからね。160万個ぐらい作りましたからね。あれも。現代美術をそんなにまくってどうやって。

古賀:160万個現代美術の作品。

宮脇:村上さん買い支えんのたいへんや。そやから今でも全部転売屋さんでたら、一生懸命押さえて買いまくってはりますよ。

これがその大儲けしてビルを建てる前の瓦礫ですね。この絵がいいでしょ。

古賀:これいい絵ですね。

宮脇:この絵がね。この崩れた、こんだけよくもう。それでこれがバブルビル、いや海洋堂ビルですね。ご本尊の大魔神を入れて、恐竜を置いて。これは全部お父ちゃんの感覚ですから、すごい宗教施設みたいですね。

古賀:宗教施設(笑)。

宮脇:村上さんとボーメさんの。村上さんのおかげでこのボーメ君も何か、まっ赤っかな服着てフェラーリな男になって、でも絶対本人はヴェルサイユもどこもついていけへんのですよ。

古賀:センムが行ってる?

宮脇:僕だけ行って、ボーメさんは照れ屋さんだから、行かないですね。あとはもうアクションフィギュアやりまくって。

古賀:後は美術館とか動物園とか水族館のフィギュアもどんどん増えてますね。

宮脇:そうです。美術館、今はもう海洋堂さんといえば、ちょっとアカデミックなイメージ。下品なキャラじゃないですから。

古賀:海洋堂自体も箱モノを作る。お父さんが箱物が大好き。

宮脇:いきなりここで滋賀県に。「なんで滋賀県やねん!」っていうのがあって、次は高知県で。ラッピング電車まで汽車まで走らせましたからね。もう汽車からバスから、宮脇さんの顔がついているものがどんどんと。「高知県を植民地化」いうたら怒られますけどね。

(会場笑)

宮脇:「見せてやる!」ぐらいの気持ちね。かっぱ館もできて、2号館までできて、次はまた高知で。次はね、来年には、もっと後になるんでしょうけど、グッスマに負けずにファクトリーを作るつもりでおります。

古賀さんは洗脳担当

古賀:グッスマさん、中国工場じゃなくて日本に工場作ったらしいですね。

宮脇:倉吉、鳥取県に作って。鳥取と高知はね、日本でも1番2番の争う人件費の安い、最低時給は650円ですよ。すごいでしょ。アルバイトの最低時給は650円なんですよ、高知県が。鳥取もそれぐらいに近いぐらいで、安いんですね。古賀さんにこれを作ってもらったのは去年の。

古賀:去年。

宮脇:海洋堂との付き合いが長いというか、すごい変なつきあいでしょ。

本橋康治氏(以下、本橋):この映像かっこいいですね。

古賀:ありがとうございます。

宮脇:今でも写真だけでてくる、これ動画じゃなくって、音楽と、こういう。

古賀:めちゃくちゃ頑張ったスライドビデオで洗脳効果が高いという(笑)

宮脇:これほら、もう1個前に村上さんのを見て古賀さんに打ち出しながら。

古賀:去年、この年の文化庁メディア芸術祭・特別シンポジウム(中原浩大+ヤノベケンジ+村上隆)のオープニング映像。

本橋:ものすごいトークイベントです。

古賀:トーク本編は大変だったんですよ。

宮脇:でしょ。あの3人ね。

本橋:現場にいて、いたたまれなくなりました。

古賀:しょんぼりするしかなかったんです。

宮脇:そうですか。その映像を作ったのが。

古賀:オープニングは僕がやってて。

宮脇:それを「これかっこええやん」と、写真と音楽でこんなふうになるんやったらということで。わりとそういうお願いが、依頼がわかりやすいでしょ。それっぽくやってーっと。

古賀:バカじゃなくて洗脳のほうを担当するっていう。

宮脇:洗脳は大事ですよね。

古賀:大事です。

本橋:だと思います!

「センムの部屋」

古賀:その洗脳の、バカのほうですね(笑)。

宮脇:最新の仕事。かっこいいでしょう。こんなこと。『徹子の部屋』じゃなくて『センムの部屋』やからね。

古賀:フィギュアを出すんですけど。

宮脇:メインじゃ無いんですよ、今回は……。

古賀:こういう写真です(笑)。こっち、軍事評論家の岡部いさくさん。

宮脇:戦争があったりとか、イラクとか中東とか、イスラム国とか、そういうことがあるとフジテレビに呼ばれて、監禁される人なんです。実は水玉螢之丞のお兄さんです。岡部冬彦の息子さんで、水玉さんも岡部さんもそういう意味では超エリートな、漫画エリートというか、「世界の駄っ作機」という、モデルグラフィックスでも連載されている。

古賀:何年て言っていましたっけ?

宮脇:もう30年近いん違うか。創刊当時からずーっとやってますから。すごいですよね。本物の軍事評論家で、おしゃべりがうまくて、絵が上手くて、素晴らしいおじさんなんですが。

古賀:キャラクターもちゃんとわかってらっしゃる。

宮脇:そうなんです。ちゃんとしゃべらしたらすごいことがさらさらと出てきて、まぁ引き出しがいっぱいあって。この方に1発目の飛行機を、ATD-Xという。かっこいいでしょう。古賀さんに作ってもらったパッケージなんですけど。

古賀:今度から特撮とパッケージを担当することになってまして。パッケージが出来た途端、防衛省から「塗装が違う」と言われて。

(会場笑)

宮脇:尾翼が真っ赤じゃない。最初、後の尾翼が真っ赤やったんですよ。真っ赤やと思ったら、「いや縁だけです」と言われて、「はぁっ?」とね。ちゃんとそこはライセンスというか、協力をお願いして。

古賀:防衛省の許可をちゃんととった飛行機。

宮脇:取ってるんですよ。スケールモデルやけど、ちゃんと完成品なんです。「マルシー防衛省」じゃないですけど、そういうものをちゃんととって、こういうパッケージをかっこよく作ってやった。

古賀:箱の中に「延々岡部さんとセンムがお喋りをしてる」っていう対談が収録されてる、つまり、そのアイテムのコンテクストが入ってるフィギュア。

宮脇:そうですね。こうあるべきだろと、僕はプラモデルも絶対こうでなければいけないんじゃないかということで。まあセンムの趣味シリーズなので。これ、次は準備上がってるのがこの後は。

やりたい放題で啓蒙啓蒙啓蒙

古賀:第二弾は同じでATD-Xですけど。

宮脇:色が違うんですけどね。

古賀:これ実在しない洋上艦載機。

宮脇:だってまだ本物、飛んでないからね。本物はこれから飛ぶんですけど。こういったものの後になんで説教臭いセンムの部屋になるかというと、僕ももう58歳になって、あとは趣味の、本当の真面目な仕事とは別に、自分のやりたいことをちょっとはやっていかなあかんやろと。

某岡田斗司夫先生も、「宮脇さん、宮脇さん」「なんですか?」って言ったら、「宮崎駿さんのポニョかなんか、どう思います? あんな人のことを考えない、ラストのやりたい放題というか、ほったらかしというか。『風立ちぬ』も零戦のリベットの話を普通に説明なしにやるアニメを作るようになってしまうというのはね。宮脇さんもやりたい放題しなければいけないですよ」と洗脳されて、「宮崎駿を見習え!」と言われた。

じゃぁやりたい放題やりましょうということで。いきなりホンマにこれは1番バッターにしたんですが、これはちょっと面白いし、別にセンムさん好きじゃないんですけどねぇ。

古賀:航空機の人じゃないですもんね。

宮脇:これは先にたまたま開発が早くできたんで、他には『怪奇大作戦』のトータス号とか、しんかい6500のアクションフィギュアみたいなやつとか、真っ二つに折れて沈むタイタニックとか。

古賀:リボルテックタイタニック号ですか。

宮脇:はい。『未来少年コナン』のギガントは僕の人生を変えたアニメなので、ラナちゃんをセットにしたやつとかですね。あとはドラゴンも作ろうかなぁとか、ゴリラ欲しいなぁとか、なんやわけのわからん、やりたい放題のシリーズをやっていこうかなと。

『海底2万マイル』もやりたいなぁとか、地底戦車やりたいなぁとか、何からでてくるかわからへんのですけど、そんなシリーズを古賀さんのほうに、かっこいいパッケージに包んで。ただ商品出すだけより、さっきのプラモデルもそうですけど、自分らの主張を持ったもの。

古賀:全国キャラバンをしていた時代に1回戻るんですね。

宮脇:そうですね。もう啓蒙啓蒙啓蒙で。センムの部屋は「お前ら、俺の模型の楽しさを教えてやるぞ」という、まぁ大好きな言葉で。

古賀:普通に考えて、「ATD-X出るんだ、ワーイ」って言う人いないですもん。

(会場笑)

古賀:知らない飛行機だし。

センムの部屋 先進技術実証機 ATD-X テスターカラー 約170mm ABS製 塗装済み完成品フィギュア ROOM-1

センムの部屋 先進技術実証機 ATD-X 洋上迷彩 約170mm ABS製 塗装済み完成品フィギュア ROOM-2

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