フィギュアを作って本人に会おう!

古賀学氏(以下、古賀):でもさっき楽屋で話してた、リアル美少女フィギュアって歴史があって。

宮脇修一氏(以下、宮脇):そうなんですよ。リアル美少女フィギュアって、今でも最近ちょこちょことはきてますが、例えば今さっき話した、ゴールとしては今すごくいい時代になって、『ホットトイズ』とかいうのでアイアンマンの社長とかブラックウィドウはすごいじゃないですか。

でもあそこの会社が作った美少女って、かっこいい外人さんのバタ臭いというか、すごい作りの濃ゆーいものは結構できるけど、日本人的なかわいいものをリアルに、よく言われる不気味の谷ですよね、そこにみんな落ちてしまって、気持ち悪いフィギュアしかなかった。これまでリアル美少女フィギュアと言われるジャンルで、成功した例はあまりなかった。

古賀:歴史自体はアニメフィギュアよりさらに前なんですよね。

宮脇:そうなんです。僕もさっき話してて思い出したっていうのは、1982年にうちのガレージキット創世記の時に、最初にうち円谷プロで版権をとってフィギュア作ってたのが、一ノ谷博士という、ウルトラQに出てくるケンタッキーフライドチキンのおじちゃんみたいなやつとか、あと万城目淳という、ラドンと対峙する、こういうなんかラジオ持って変なポーズする、名前誰でしたっけ、あの役者さん? 万城目淳……佐原健二さんという役者さん、ウルトラQのとか。

あとお約束として、友里アンヌ隊員という、横座りしてペガッサ星人に襲われている感じのところのアンヌ隊員を作って、ひし美ゆり子さんというのを12分の1で、結構リアルに作ったのが、うちの初期の頃の傑作ガレージキットが83年には商品化されたんですけど。その後にリアル女の子フィギュアでは、僕はいっとき狂ってた富田靖子という、今はもう若い人全然知らない、狂ったおばちゃんしか最近やってない性格俳優になってしまって(笑)。ちょっといってる系の役で、でも昔は。

古賀:美少女ですよね。

宮脇:今の能年玲奈ちゃんみたいな。僕にとってはかわいらしい富田靖子で『アイコ16歳』であったり、『さびしんぼう』であったり。大林宣彦さんの『さびしんぼう』見たとき。その前『時かけ』から『転校生』から好きやったんですけど。

古賀:会いたかったんですよね。

宮脇:会いたかった。だからフィギュア作って会いに行ったんですよ。本人に会いに行くためにフィギュアを作るという。

古賀:なんか辻村さんとそっくりじゃないですか。

(会場笑)

宮脇:でも僕は握手だけじゃない。ちゃんと本人とラジオで共演して、あと当時はポラロイドカメラで3面写真も撮らせてもらって、なんと最後に1分の1の等身大フィギュアまで作って、尾道に飾ったという。ちょっと自分の中ではある種、アイドルオタクの上がりをさせてもらった。

アングラ化するリアルフィギュア

古賀:アイドルフィギュアというリアル美少女フィギュアの歴史が海洋堂にもあるし。

宮脇:というか、最初の元祖。そういう意味では。

古賀:リアルフィギュアはその後ですもんね。

宮脇:そうですね。わりと。

古賀:綺麗になるのは90年代からですから。

宮脇:そうですね。その後にB-CLUBあたりが、スケバン刑事・南野陽子さんというのをちょっと漫画っぽく作って。その時同時ぐらいに、原型作ってくれたのがさっきの『さびしんぼう』の富田靖子作った、平岡としえさんという、その後、竹谷さんところでもゼイラムのイリアという、6分の1のフィギュアを作る、すごく美少女の上手い人。

イリアも結構、ゼイラムはちゃんとキャラになって。富田靖子も『さびしんぼう』というキャラクターみたいなものですから、キャラ造形としてのものであったし、それはガレージキットとしてはそれなりに、当時は最高傑作だなと思ってましたけども。

その平岡さんの時代があり、そしてその後に、僕らも原型をお願いした林浩己さんという、横浜の本牧のほうに住んでいるんですよね。うちの当時東京店長の石田龍太郎君というのがホビーロビーの渋谷の店長の家の近くに居て、よく横浜で会ったりとかして、彼にいろんな、20分の1とか12分の1のフィギュアを作らせてもらったりして。レジンキットですから、これと一緒で塗れないんですよね。

リアルだけど、まだ当時は林君もちょっと不気味なところと、イマイチ抑え気味なところもあって。他にもチャーリー伊藤君という、伊藤チアリ君という人もリアルフィギュアの、80年代後半のわりとリアルフィギュアを代表する世界の人がいて。

それが90年代になってくると、寒河江弘君という人であったり。その前に海洋堂が販売代理店をして、アクションフィギュアの北斗の拳とか、90年代終わりぐらいにレッズさんというところが6分の1ぐらいで女子高生シリーズとか、キワモノのソフビの。

古賀:名前が入ってるんですね。なんたら18歳とか。

宮脇:それこそ『岸本かおる18歳』とか。本人の生写真付きで、なんかちょっと恥ずかしい、セーラー服とか、三角ビキニのお姉ちゃんの美少女フィギュアのソフビが出てる。

『キューティーズ』というメーカーのでっかいフィギュアとか、ちょっとキワモノ系で、それがどんどん進化して、大阪のなんとかいう会社、なんやったかなぁ、ガレージキットメーカーで、ひらがな3文字の女の子の原型師が作ってる、三角木馬に乗ったりとか紐で縛ってたりとか、なんか変なことしてる、まぐわってるフィギュアをやってたフィギュアメーカーがあって、ちょっとキワモノに走ったりとか。

古賀:もうサブカルチャーじゃなくてアンダーグラウンドになってるんですよ。

いちばん難しい造形

宮脇:もうどんどんどんどん、サブカルから正統派やと、堂々とうたえるものがちょっと。なんか恥ずかしい。

古賀:富田靖子さんとか南野陽子さんを作った時代は、まだオーバーグラウンドの。

宮脇:そうですね。やっぱりキャラとして堂々と、アイドルというよりは、なんか違う語りとか。その前にピンクレディーとか何かあったけど、ちょっとそれはかわいらしくリアルじゃなくって、商品としてはリカちゃん人形。

古賀:デフォルメして。

宮脇:いうたら顔だけリカちゃんで、服だけピンクレディーという感じのものが、リアルフィギュアみたいなものとしては、ありましたけれど。

後はすごいのは、僕らでも絶対にね、リアルフィギュアで、「やっぱりやったらアカンなぁ」と思っていたのが、バービー人形で。それこそオードリー・ヘップバーンとか、マリリン・モンローのすごいのがね、ものすごいレベルが高い。プロのメーカーが作った。僕らはまだまだ素人に毛の生えたものだし。

80年代に1つだけエピソードがあって、うちの海洋堂の原型師全部が頑張って薬師丸ひろ子を作ろうとした。なんとかフィギュア化、立体化しようとしたことがあったんです。難しくて結局できなくて。江口さんにも描いてもらったりとかして、当時の薬師丸ひろ子好きの。

古賀:江口さんって江口寿史さん?

宮脇:そうです。絵で描いたらできるかと思ったけど、平岡さんからありとあらゆる造形師に発注させたりとか。

古賀:1回2次元に翻訳して。

宮脇:本当に、3次元でいちばん難しい極致みたいなのは、確かにあの当時の薬師丸ひろ子のポワーンとしたかわいいのとバカっぽいのと、何とも言えないホワホワァとしたあの顔が、いちばん作りにくい顔の典型ではないかと思いますよね。だからアレをリアルに、もしあれを今でも3Dスキャンで作って実際に出力しても、それこそ不気味の崖の下からドンガラガッチャンと落ちてですね。いうたらああいうものは、マダム・タッソーの、お台場に前田敦子の蝋人形がありますけど、あれだけキショいんですよ。

古賀:実際の人間をスキャンして出力しても、結構気持ち悪いじゃないですか。

宮脇:それって結局死体みたいなもの、干からびた標本ですからね。気色悪いのは、デスマスクに、まぁいうたらちょっとかわいくしただけで。そこはやっぱりフィギュアとして、リアルに作るというのはできひんかったのは。

古賀:辻村さん突然出てきましたね。

「歪んだ愛の力」が才能を開花させる

宮脇:突然辻村さんが、最近ね。ペイント技術といい、自分の造形力といい、リアルでかわいくて美しく、やっぱり愛情が深いから、それこそやっぱり愛の力は、狂った愛はすごいですよね。

古賀:もともとあっちにあるように、ミリタリーフィギュアなんですよ。

宮脇:ルントシュッテット元帥とか、ドイツのロンメル将軍とか、そういうのを作る人だったんですけど。

古賀:だったというか、まだ作ってますけど。

宮脇:もう作らなくていいですよ(笑)。そっちはもう、いっぱいいますから。そんなんもう山のようにいるから。それこそできないものを作らないとダメなので。

古賀:それでセンム曰く、ミリタリーでもパッケージだけはかっこいい、キャンペーンガールみたいなパッケージが出てる。

宮脇:モリナガ・ヨウさんというイラストレーターはいつも言うんだけども、 35分の1のタミヤさんのロシア兵って、ソビエト軍というのは結構女性が洗車をやったり旗を振ったりする。

パッケージはすごいかわいい顔をした、スカートをはいたロシア兵のロシア美人が描いてあるんだけど。パッケージを開けると「タミヤさんどうしたんだよ」とかですね。不細工な、どこのおばちゃん、おばちゃんともおっさんともつかないような顔のひっくり返るような女性兵士というのは、未だかつて成功したのは、毛唐さんとういうたらあれですけど外人系の。

古賀:外国人がね。

宮脇:ヨーロッパ系の人でさえもが、うまくいかない。だからそれは本当に美少女というか、美しい女性をプラモデルにするのは無理だったというのが。

古賀:東洋人でよく成功させたなって感じですよね。

宮脇:そうですね。それはやっぱりアイドルから始まり、歪んだ愛の力でしょう。

(会場笑)

古賀:褒めてますよね?

宮脇:褒めてます。これはやっぱり歪んでないと普通では越せない。そこから最近モデルグラフィックス、女子高生の35分の1で。『アーマーモデリング』という雑誌で、「なんで戦車と女子高生やねん」というのがあるんですけど。まぁガルパンの成功のおかげで、そういうリアル女子高生を作って、帳簿だけ見てても結構すごいですよ。

顔とおっぱいとお尻があればいい

古賀:これとか48分の1の体操服の女の子で。

宮脇:バカですよね。

古賀:戦闘機に、整備員のようにブルマの。

宮脇:そうなんですよ。横に付けて。ブルマの女の子が飛行機モデラー。基本的にね、おっちゃんってみんな、第二次世界大戦のノーズアートがそうですけど。メカと美少女は、メカ美は男の大事な大事な憧れのものですから、そういう意味では。「でもブルマはねぇだろう」と思いながらも、別に水着でもいいんだけど、ブルマフェチもおったんでしょうから。

古賀:後はこの右下の。あれはワンフェスで出るんですけど。ワンフェスで辻村さんのディーラーで販売される。

本橋康治氏(以下、本橋):燕尾服じゃなくて?

古賀:お尻付き胸像(笑)、胸像を作りたかったんだけど、どうしてもお尻まで作りたかったんで。

(会場笑)

宮脇:お尻だけ付いてる。

古賀:胸像からお尻まで。

宮脇:お股もないという。おけつはあるという。すごいですね。

古賀:これ10分の1スケールで。

宮脇:ちょっと大きかったね。これぐらいの。

古賀:ガンプラぐらい。

宮脇:そうですね、16センチぐらいですよね。12、10分の1かな、もうちょっと大きかったかな。

古賀:これがいいのでセンムが、10分の1でいきましょうと。

宮脇:このサイズじゃないと、辻村さんの小さすぎて誰も追いつけない。こいつだったら、ひょっとしたらついてこれるかもしれない。

古賀:最終的に出来上がったフィギュアを、写真集でしまりすちゃんと共演させたいと思ったときに、親指サイズだと撮れない(笑)。どうやってしまりすちゃんとフィギュアを両方にピントを合わせんだよみたいな話になるんで。

宮脇:そうなんですね。

古賀:ある程度大きさが必要。

本橋:それで10分の1で聞いてきた。

古賀:10分の1で。

宮脇:次のワンフェスではこれまでの、辻村さんすごいよって。

古賀:辻村さんがこの胸像を出した時は、10分の1のフィギュアになると結構単価が上がるんで、胸像だったらみなさん買えるだろうと。

宮脇:どうせみんなが欲しいのは、顔とおっぱいとお尻だけや。ひどいこと言ってます(笑)。漫画のコマなんか見てても、わりとほとんどバストアップでみんなやっとるのが多いから。みんなそこ見たいし、強いのはそこなので。本当は全部欲しいといえば欲しいですけどね。「でもいちばん欲しいのはここやろ」と。おっぱいと顔とお尻ってね。

古賀:欲しいのがいちばん全部、はい。

宮脇:です。

本橋:素晴らしい割り切り方ですよね。

宮脇:すごいです。