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仲間との出会いから学んだ“銭湯の力” 斜陽産業から始まる、小杉湯三代目の挑戦

仲間との出会いから学んだ“銭湯の力” 斜陽産業から始まる、小杉湯三代目の挑戦

2017年12月20日、BETTARA STAND 日本橋にて、「『銭湯ぐらし』が生み出すビジネスの可能性〜銭湯×コミュニティ×まちづくり〜」が開催されました。高円寺の銭湯「小杉湯」のとなりにある、風呂なしアパートから生まれたプロジェクト「銭湯ぐらし」。銭湯と風呂なしアパートを拠点にしたオープンイノベーションプラットフォームとして様々な取り組みを行ってきた「銭湯ぐらし」のメンバーたちが、約1年弱の軌跡と銭湯にかける熱い想いを語ります。

シリーズ
「銭湯ぐらし」が生み出すビジネスの可能性〜銭湯×コミュニティ×まちづくり〜
2017年12月20日のログ
スピーカー
小杉湯 三代目 平松佑介 氏

「銭湯に救われた」というキーワード

平松佑介氏 この後の質疑応答も含めて、みなさんといろんな話をしていきたいと思っています。その前に、最後に僕からちょっとだけお話をしたいと思っています。 IMG_1679 copy 本当、銭湯ぐらしのメンバーから、僕はすごく教えられていて。言ってみれば、僕は今37なので、1つ下か2つぐらい下の世代のメンバーから、いろんなことを教えられてるなと思うんですけど。けっこう衝撃的で、「なるほど!」って思わされたキーワードが2つあって。 1つ目は、いろんな人に「小杉湯でなにかやりたいって思ってる人がいるよ」とかって紹介されて会ったりする中で、けっこう言われたのが、「銭湯に救われた」って言われるわけですよ。「そんなふうに言ってくれるんだ」と思って。なんか、「『銭湯に救われた』ってどういうことなんだろう?」と思って。 僕は生まれながらにして銭湯で育っているので、人を救ってる感覚はなかったんですけど、今日のプレゼンテ―ター、みんな共通して、1つ「銭湯に救われた」みたいなキーワードを言われたところが、なんか僕が思い描いていた銭湯よりも、銭湯というのは力があるんだなと思いました。 あとは、「余白」ですね。これはこれからの銭湯ぐらしのキーワードになってくるんですけど、アーティストがつくらない時間をつくるためのプロデュースをするとか、デザイナーにとって余白、つくらない、クリエイティブをしない時間をあえてつくるみたいな。 その余白をつくるところを意図的にやっていくことが、これからの時代にすごく必要なことなんじゃないか、それが銭湯と相性がいいんじゃないかなと気付かされました。 そういう意味で、銭湯ぐらしによって、僕自身が銭湯の価値を教えられたところがあります。というのも、最初に説明したように、僕が生まれた時にはもう、斜陽産業としての銭湯が始まっていたので、僕自身そうは思っていなかったけれども、「銭湯は斜陽産業なんだ」と潜在意識に刷り込まれていたことに気がつきました。 小さい頃から「家が銭湯だよ」って言うと、けっこういろんな人から「大変だね」っていう目で見られるんですよ。「減ってきているし、お客さんも少なくなってきているし、大変だね」って。その後必ず言われるのが、「でも、土地があるから、壊したらマンションを建てて、一生遊んで暮らせるじゃん」って言われるんですよ。 (会場笑)

銭湯は人と街を支える力がある

それは確かにそうなんですけど、そうしている銭湯もいっぱいあるんですけど、僕はそれが悔しかったんですよ。父親と母親が一生懸命楽しそうにやっている銭湯を、なんでこいつは壊すとか言うんだとか思って。 (会場笑) それがすごく悔しくて、それがきっと原動力の1つだったんですね。それでもやっぱり、自分自身は斜陽産業だって思っていたんだなって、銭湯ぐらしを通して気付かされました。 一番最初に話したように、振り返ってみると、関東大震災の後に人と街を支えているわけですよね。そして、第二次世界大戦の後にも、人と街を支えてる。それが銭湯の力だと。 だから、これから本当にみんなが言っているように、新たな時代を感じているメンバーがいろんな話をしてくれていましたけど、時代は大きな転換期を迎えていると思っています。その中で、これからの時代にとって、この銭湯というのが人と街を支える力があるんだと、すごく感じています。 なので、ありきたりな言い方になるんですけれども、銭湯1.0っていうのがあったと。銭湯1.0は、関東大震災後の復興を支えた銭湯です。その銭湯が、次は銭湯2.0というかたちで、今度は第二次世界大戦そして高度経済成長を支えた、銭湯2.0という時代があった。これは、銭湯が人と街をハード、建物として支えた時代です。 そして、これから銭湯3.0がくるんじゃないかなって。要は時代の転換期を迎え、今度はハードではなくてソフト、人の気持ちであったり、精神だったり、感情だったり、こうやって「銭湯に救ってもらえた」と言ってくれる人たちが、これだけいる銭湯の力というのが、これからの時代にすごく必要になるんじゃないかなというのを、この銭湯ぐらしを通してすごく感じました。 なので、僕がすごく思っているのは、銭湯の価値というのはやっぱり公衆浴場から定義を変えて、新たな文化をつくることだと思っています。今、銭湯はちょっとブームなんですよ。こうやって銭湯のイベントをやった時にこれだけの人が集まってくれるのは、この未来は僕にとっては想像できなかった。 2、3年前に、銭湯ぐらしみたいなことができると思っていなかったし、僕は斜陽産業だと思っていたので、どちらかというと孤独な戦いをすると思っていたので。こうやってみなさんが「銭湯」というキーワードで集まってくれること自体が、すごく信じられない現象なんですよ。

いろんなライフスタイルやくらしに銭湯を結びつける

だけど、これはブームなので、いずれにせよ銭湯は減っています。お客さんも減っています。このブームが去ることが僕は怖いんです。だから、このブームというものが去る前にムーブメントに変えて、新たなカルチャーとして文化をつくっていくのが、僕が小杉湯を通してやりたいことだし、銭湯ぐらしを通してみんなが思ってくれている共通のビジョンだなと思っています。 その答えが、1つは銭湯のあるくらしをつくるってことじゃないかと思っていて。いろんなライフスタイルやくらしに、銭湯を紐付けていく。そういうかたちをすることで、「救われた」と言ってくれる人もいるし、いろんな社会課題の解決にもつながるんじゃないかなと思っています。 そういう活動を10ヶ月通してやってきて、何度もお話ししているように、2月にアパートは解体になります(注:現在は解体済み)。これはもう決定事項です。なので、その後どうなるんだというのは、ここまで聞いてきたみなさんも思ってるところだと思うんですね。 それはみんなも思っていたところで。まあ、だいたいこう、半年の折り返しを過ぎて、みんながやりたいことをやり終わった後に、1回メンバーと議論したことがあったんですよ。銭湯ぐらしをこれからどうしよう、というところを。 僕自身は、このメンバーと出会えたことがなによりの価値だったので、このメンバーと、アパートがなくなったとしても、やっぱりなにかをやりたいと思っていて。そういう話をした時に、みんなもそれぞれが「この銭湯とかアパートを通してつながった仲間と、やっぱりもっとなにかやりたい」と。 そして、さっき加藤(優一)くんが言ってくれたように、事業としての可能性も見えてきている。だったら、このメンバーとして、アパートがなくなったとしても続けられることをしていきたい。ただ、みんなやっぱり実感はしているわけです。くらしに紐付けたプロジェクトなので、アパートという場所がなくなることは非常に大きなことだと。

コインランドリーをソーシャルなコミュニティの空間に

じゃあそれに代わる、みんなが、この関係性がこれからも続いていけるような関係性をつくるために、「場所じゃないなにかというのはなんだろう?」というのをみんなで話した時に、僕らが出した結論は「会社をつくる」ということだったんですね。なので今、「株式会社銭湯ぐらし」というのを、法人として会社にしようと思っています。 まあ、なにをやるかというのは、これから本当にみんなと一緒に話していくフェーズにきているんですが。1つ話しているのは、みんなに今度は小杉湯をプロデュースしてもらうと。 これまではアパートというものを無償で提供し、クリエイターたちの価値の等価交換でやってきたんですけど、アパートという場所がなくなるので、関係性が変わってきます。そして法人化した時に、今度は小杉湯側がこの信頼できる仲間たちに発注をするというか、依頼をするみたいなかたちになっていくというのが、1つのフェーズとしてあるな思っています。 そして、アパートの次ですね。2月に壊してなにをするんだという話になるんですけど、これも銭湯ぐらしを通していろんなかたちが見えてきていて。1つはやっぱり、銭湯のあるくらしをつくる。くらしをつくっていくことが、これからの銭湯業界にもすごく大事だなと思っていて。 「じゃあ、くらしをつくっていく建築というのはなんだろう?」というのをみんなで話した時に1つ出たのは、コインランドリーなんですね。銭湯の前後、要は入浴というものを銭湯は押さえているので、「じゃあ、洗濯を押さえよう」と。 0015 銭湯の前後、今もコインランドリーはありますが、そのコインランドリーをソーシャルなコミュニティの空間にして。まあ、カフェだったり、バーの機能を持たせ、銭湯に来る前に洗濯をして、銭湯に入って、またこのコミュニティスペースに戻るとか。銭湯に入りに来た後に、ちょっと隣に寄って1杯飲んで帰るとか。そこでまた新たな出会いをつくるとか。

入浴は余白をつくるスペースとしての機能がある

あとは、Wi-Fiをフリーにしたり、電源を使えるようにして、いろんな人たち、クリエイターとか、仕事をしているフリーランスとか、そういう人たちがここに来て仕事をして、煮詰まったら風呂に入るみたいな。そういう関係性を、1つはソーシャルランドリーとしてつくりたいよねと。 そして、仕事と銭湯という、ワークと銭湯の関係性は相性がいいなと感じています。まあ、今回のメンバーはけっこうクリエイターとかアーティスト系なんですけど、今後みんなが言っていたように、AI、IoTの流れがあって、人間が苦痛として感じていたこととか、単純労働は機械がやってくれると。より人間は人間らしい仕事をしていく、人間らしい生き方をしていく。 それは創造だったり、なにかを考えていくことだったり、になっていく中で、入浴というものが余白をつくるスペースとしてすごく機能があるから、コワーキング銭湯をつくろうと。IT×銭湯でサブスクリプション型と言ってくれていましたが、そういう新しいビジネスモデルをつくっていけたらおもしろいなと思っています。 0016 これはもう実際に動いていて、模型ももうつくりあげてきていて。 0017 これからここに対して、企画だったり、ビジネスモデルだったり、ブランディングだったり、Webだったり、そういうものをこれからつくっていきたいなと思っています。 まあ、これだけではなくて、銭湯付きアパートメントの企画だったり、新たなアーティストの掛け算のイベントだったり、銭湯×企業の話であったり、デザインであったり、そういう新たなことにも、これからチャレンジしていきたいと。 いずれにせよ、目指していくのは新たな組織ですね。銭湯ぐらしは、みんなのそれぞれの余白の時間でつくられたチームメンバーであり、組織なんですよね。みんな本業を抱えている中で、銭湯ぐらしというポジションを持つことで、実はすごくそれがいい作用を発揮して、本業に影響を与えてるという関係性があるので。

銭湯の新しい価値をみんなと一緒に作っていきたい

株式会社銭湯ぐらしをしたとしても、全員が副業というか……まあ、副業、兼業、パラレルキャリアですよね。これからどんどん出てくるであろう、そういうパラレルキャリアの集団として株式会社をつくるというところが、銭湯、余白みたいなところを社会に発信していくうえでも、意味があるんじゃないかと思っています。 このあたりは、この後の質疑応答でみなさんとざっくばらんにお話ができればと思っています。いったん、休憩とシェアの時間を取って、その後質疑応答に入りたいと思います。 また5分ほど時間を取りますので、お近くの方と「魅せる銭湯」、「創る銭湯」、そして僕の話を通して感じたこととか、全体を通して今みなさんが抱いてること、感じてることとか、アイデアとかあれば、ぜひお隣の方とシェアをしてください。そして、なにか僕らに対して聞いてみたいこととか、提案してみたいことがそこで生まれたら、ぜひこの後ぶつけてもらえたらすごくうれしいです。 ということで、2時間という長い時間、寒い中で本当にありがとうございます。一方的に話す部分もありましたが、僕らなりにやってきたこと、そして、そのやってきたことで感じたこと、これから考える未来を、みなさんにお伝えさせていただきました。 この後もみなさんと一緒にいろんなことを話して、銭湯の新しい価値をみんなと一緒につくっていきたいなと思っています。まずは2時間という時間、真剣に聞いていただきまして、本当にありがとうございます。ありがとうございました。 (会場拍手)

  
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