店舗の悩みは店舗にしかわからない

高木孝氏(以下、高木):みなさんこんにちは。SILVER BULLET高木と申します。このトークセッションなんですけど、前の新年カンファレンスで全国回らせていただいて、ありがたいことにもう1回やってくれと。

前回は1時間だったんですけど、今回は2時間と。これは多くのアンケートの声で、やっぱり「もうちょっと長く聞きたかった」っていう声をいただいたので、今回は2時間にさせてもらいました。

狙いはすごくシンプルで、僕らはやっぱり毎日、パソコンの前とか会社の中にいるような仕事をしてて、悩みとか、「どうやって勉強してるの?」っていうところって、結構大事なところで。

僕らは仕事が終わってからとか、例えばこういう仲間でご飯食べながら、いろんなことを、「ああでもない、こうでもない」っていうことを言いながら、「あ、そういうことか、それ使えるな」とか、「あ、これってこのままでいいんだ」とか、「なるほどな」っていうことがすごく多くて。

そこが実は次の日の運営に繋がっていて、すごく大事なところで、実際そうやって、飲みながらでも、ご飯食べながらでも何でもいいんですけど、そうやって話してる話を、こういう場でできたら、何か誰かの意見が、明日の誰かのためになる。こういう時間をやりたいなと思って、前回からやらせてもらってるトークセッションです。

店舗のことは、やっぱり店舗しかわからないし、別にECC(店舗担当のECコンサルタント)がどうとかって話じゃなくて、店舗で起こってる現場のことって、やっぱり店舗しかわからないので、そういう100通りあれば100店舗分のストーリーがあるので、そういうことを、ちょっとこの時間で、いろいろお伺いしたいというか、掘り出したいなと思ってます。

自己紹介。SILVER BULLETという、メンズファッションの店舗をやってまして、楽天は今6店舗。もちろんAmazonさんとか、いろんなところでやってるんですけど、結局全部で15店舗をやってます。この15店舗やってる意味っていうのもあるので、もしそのお話がこの中でできればいいなと思ってます。

変わらずやり続けてきたことは何か

高木:ということで、さっそく始めたいと思います。

1問目のテーマ、お願いします。すごく大きなテーマなんだけど「変わらずやり続けてきたことは何ですか」と。もしくは「大事にしてることって何ですか」というのを、まずお1人ずつ、自己紹介を兼ねて、まず簡潔に伺いたいなと。

井手直行氏(以下、井手):はい。みなさんこんにちは。私は、よなよなの里エールビール醸造所というお店なんですけども、よなよなエールっていうビールを作っているメーカーです。よなよなエールを知っている方、手を挙げてください。

(会場挙手)

高木:知ってるな。すごいな。

井手:さすが業界。飲んだことある人。

(会場挙手)

ありがとうございます。我々、実は楽天市場の出店時にすぐ入った、なんと97年の記念すべき1期生なんですね。

会場:おー。

井手:そう。「おー」なんです。5月に楽天市場がオープンして、6月にパッと参入したんですけど、三木谷さんとか、創業メンバーの小林正忠さんとかが営業してくれて、今日正忠さんが、後ろに来てるんですけど(笑)。

高木:光ってる。

井手:せっかく誘ってくれたんですけど、地ビールブームっていうのが当時あって、店頭でものすごく売れたので、インターネットはもうそっちのけだったんですね。

鳴かず飛ばず。あまり売れなくて、8年間ぐらいほとんど放置してて。会社が潰れそうになって、2004年に意を決して僕が1人でインターネットをやり出して、それまで8年連続赤字だったんです。

それから8年連続赤字だったのを、インターネットの楽天市場を中心に、いろんなPRをしていって、今、その後10年連続増収増益で、いろんな店頭にも置かれるようになり、楽天市場でもこういうところに呼ばれるようになったりというのは、つい最近なんですね。

18年の会社の歴史で、10勝8敗なので、まだ2つしか勝ち越してないので、たいしたことないんです。

「知的な変わり者」というカルチャー

井手:そんな自己紹介なんですけど、「変わらないこと」ね。変わらないことはいっぱいあるんですけど、一番あるのは経営理念ですかね。経営理念っていうのも、最初会社になかったんですけど、駄目なときに、理念がないから駄目なんだと思って、1個1個作っていったんです。ミッション、ビジョン、組織文化、価値観。

去年新たに作ったのが、我々の会社ヤッホーブルーイングっていうんですけど、ヤッホーバリューっていう。会社の価値っていう。いろいろ名前が似てるんですけど、これは決め手かな。絶対変えてないですね。「ビールに味を! 人生に幸せを!」というミッションを作ったんです。

これは「ビールに味を!」っていうのは、大手さんの、普通のいわゆるビールの蔓延した、蔓延っていうと怒られちゃうな。普通のビールしかなかった日本のビール市場に、個性的なビールを作っていって、お客さんに幸せになってもらいたいという、そういう理念を明確に作ったんですね。

こういう他にも組織文化とかいろいろあるんですけど、例えば独特の組織文化でいくと、「知的な変わり者」っていうのが我々の組織文化にありまして、ご存知の方もいるかもしれないんですけど、私ショップオフザイヤーの授賞式とか、仮装して行ったり、いろんなところで変な恰好したりして。

高木:今日はしてないんですね。

井手:今日は普通。結構準備するの、大変なんですよ(笑)。気合入れてやるんで。そういう経営理念を1個1個作っていったのは、何があろうと会社が赤字であろうと、スタッフが「それは違う」って言おうが、絶対変えない。それは徹底してますね。そんな感じで。

高木:はい。今日はよろしくお願いします。

北海道のものは北海道の人が売らないとダメ

高木:じゃ、航さん。よろしくお願いします。

小笠原航氏(以下、小笠原):どうも。小笠原です。よろしくお願いします。

北海道は千歳空港で、スカイショップ小笠原という店を、父の時代からやって、50年ほどやってます。私は、今48になるんですけども、30のときに実家に戻りまして、その会社を継ぎ、帰ってから3年後ぐらいに楽天に出店しました。

変わらないことなんですけども、千歳空港ってやっぱりお客さんたくさんいらっしゃって、そこで店をやってるのでちょっと儲かるんですよね。

(会場笑)

小笠原:ちょっとなんですけど(笑)。やっぱり若かったので、ゴルフ行ったりちょっとススキノ行ったりとか。

高木:ちょっとじゃない(笑)。

小笠原:っていう話をしてたんですけど、「何か俺の人生このままでいいのかな」と思って、いろんな取引先が全道にあるので、1年ぐらいかけて北海道中を回ったんですよ。新車買って、ぐるっと回って。

(会場笑)

小笠原:そういう話はいいか。真面目な話してるんで。そのときすごい感じたのは、北海道の商売って、江戸時代から変わってないんじゃないかなと思ったんですよね。

どういうことかっていうと、当時、北前船っていうのがあって、要は本州の商人が、日用雑貨等々を北海道に運んでいき、それを不当なとは言わないですけど、彼らも命がけで来てますからね、江戸時代の話なので。

北海道から安く買い叩いて、向こうで売るっていう。当時情報網がないので、やっぱりそういう情報の差で価格が取れてたと思うんですよ。

今でもやっぱりそれに近いようなことがあって、例えば百貨店の方が北海道に来て、「いや、この商品はいいですね。ぜひうちで扱わせてください」。やっぱりそういうふうに言われると、非常に嬉しいので、北海道の方は「ありがとうございます」っていうことでやると。

ただ、やっぱり彼らも数字を持ったサラリーマンですから担当が変わると、やっぱりその取引がなくなっちゃうことがあったりとか、ちょっとおっとりしてるっていうか、危機感がなくて。何となくそういうところで、やっぱりこのままだと北海道はいつまで経っても自立できないなっていうか、良くならないなと思ったんです。

そのときから、やっぱり北海道のものは北海道の人間が売らないとダメだっていう。そこなんですよね。僕が今でも仕事の基本にしてるのは。

北海道のものを世界一売ろうと決めた

小笠原:それを10年ぐらい前に、北海道のものを世界一売ろうっていうのを決めまして、35ぐらいのときなんですが、やっぱり空港に店があるので、18歳の販売員の子とかいるんですよ。「世界一売ろう」とか言うと、「ウケる」とか言われて(笑)。

(会場笑)

小笠原:そりゃそうですよね。

高木:「世界一ウケる」とか言われる(笑)。

小笠原:いきなり北海道のものを世界一売るとか言われても、わからないんですよね。ただ昨年と今年、ショップオブザイヤーの海外販売とか、あとはいわゆる中国の方が爆買いで来たりとかすると、「何かこのおじさんの言ってること、もしかしたら本当かもしれない」って、変わってくるんですよ。

ちょっと給料も上げてあげたりとかすると、喜ぶじゃないですか。何か言ってると変わるんだなっていうか、そういうのが変わらないところでやってます。

高木:つまり給料を上げ続けるってことですか?(笑)

小笠原:そういうことじゃないんだよね。

高木:そうじゃない。わかります、わかります。

小笠原:そういう軽いことじゃないんだよ。

高木:まず北海道のものを世界一売ろうと。

小笠原:そう。それが大事なの。

高木:わかりました。ありがとうございます。