売上目標は立てない

山田岳人氏(以下、山田):売上目標とかっていうのはどうしてますか?

小笠原航氏(以下、小笠原):立ててないです。俺と経理の中では、何となくこれぐらいって、それも対銀行ぐらいの話で立ててない。やることは決めるけど、売上目標はないですね。

山田:っていうことは、メンバーに売上は今月目標いくらとかっていうのをやらないってことですね。

小笠原:やらない。全くやらない。何をやるっていうのは決めるけど。でも、何かずっとやってると、これぐらいのことをやったらこれぐらいいくなっていうのはあるじゃないですか。本能的に。俺ら毎日数字見てるでしょ? だからたぶん、もうそれは染み付いてると思うんだよね。

高木孝氏(以下、高木):感覚として。

小笠原:そう、感覚として。だからわざわざそんな決めなくても。

高木:俺も一切決めないです。

小笠原:何で決めないの?

高木:だって、わからないじゃないですか。特に洋服なので、トレンドがあるし、上振れがあるし。でも達成で言ったら、きっと人は下のほうを達成するじゃないですか。つまり達成することが仕事になっちゃうと、下の目標設定にした方が良くなっちゃうのが怖いなっていう。

もちろん「高くいこうぜ」っていうことを、やられてない会社にも、僕にも問題があるんだけども、達成だけでいっちゃうと、さっきの何するかわからないってのと一緒で、もしかしたら無理をするかもしれないかなって。

東京人は目標を決めなきゃダメ!?

小笠原:でも小森さんのところとか、超大手じゃないですか。それないと戦えないっていうのはないですか?

小森紀昭氏(以下、小森):数字の目標というか、年間で計画経営はするので、やっぱり、何でもいいから数字を置かないと。

高木:置かないと。

小森:その数字に対して何をやっていったらいいかとか、そういうのも含めて、やっぱりなかなか検証もできないじゃないですか。ですので、それはいろんなやり方があるとは思うんですけれども、やっぱり僕らとしては、だいたいこのぐらいの数字はやりたいなという。

高木:なるほどね。

小森:その流れで、こういうことやっていこうっていう。

高木:小森さんが決めるんですか?

小森:いろんな協議をやります。

高木:そうですよね。僕らは社員が決めます。

小森:そうなんですか?

高木:はい、幹部が決めます。自分たちで。

小森:それは先ほどおっしゃってた、15店舗だったら。

高木:1店舗ずつで最後取って、最後うちの常務がいるので、それが決をとって、今期はこう。僕は僕で会計のほうから、今期はこれぐらいっていうのがあるんですけど、そんな差はないですね、いつも。

山田:思ってたより低く出てきたりしないの?

高木:どっちがですか? 計画が?

山田:そうそう。もっといけるやろみたいな。

高木:でも風があるから、いいときはやっぱり強く行ったほうがいいし。特にファッションってそうだから、やっぱり追い風が弱いときに無理くり上方修正する必要もないし。リアルショップもやろうと思ったら、常に同フロアの競合店舗との競争も考えていかなければいけないけど、ネットだからそういうのはあまりないなと思うから。

そのときなりに、やっぱり潰しちゃいけないって思うから、あまり無理はしない。でも無理はしないと、やっぱり学ばないこともあるから、そのバランスですよね。

小森さんのところも、その基本をしっかりっていうところなんですけど、基本ってすごい大変ですよね? かなり大変ですよね? 何かKPIみたいに常に社内では教育してるんですか?

小森:そうですね。いろんな数字。さっきから何か、あまり目標設定せんほうがええんちゃうかっていう。

高木:いや(笑)。そういうことじゃないんですけど。

小森:だからあまり僕は数字の目標を持つと。

小笠原:東京の人は目標決めなきゃダメです。北海道は。

高木:何で?

山田:前から2番目の人が苦笑いしてますよ(笑)。

高木:苦笑いしてます?

山田:爽快ドラッグ3名って書いてあるけど、そこに。

小森:えげつない感じ。

会場:そういうことじゃない(笑)。

数字を追うなかで組織に力がつく

小森:でもやっぱり数字みたいな定量だけのモデルは、もういろんなところが示してくれてるので、置いて行かなかった理由、置いて行った理由っていうのは、必ず何か理由があって。

1つはそのために何やったかっていうのはすごい重要やと思ってまして。そのために大きい目標のために、じゃ、今やってることじゃダメなんで、プラスアルファこういうことやってみようだとか、そうやって考えることで、だんだんと組織に力がついてくると思いますので。それ自体はわかりやすい目標なので、扱ってるかなと。

高木:その数字によって、その収益計画とか販売計画は立てていくんですよね?

小森:そうですね。売上高から言っても、あまりそれは当然のものだと思ってまして、ですので結局どこでどのぐらいコスト使って、どういうコントロールをしていくんだっていうところまである程度決めて、その中で置いて行ってあげるというか。

たぶん経営幹部の考えている数字だとか、こういうの目標にしてますよっていうのをしっかり言っておくと、やってくれてる人たちっていうのも、向いてくれるというか。

高木:そうかもしれないですね。

小森:はい。ですので、何かそこでおかしいっていうのは、経営幹部の立ててる目標がおかしかったり、そういう向かせる方向が合ってなかったりすると、おかしくなると思う。

高木:背骨は必要ですよね、やっぱりね。

小森:そうですね。

「理念なき経済は犯罪であり、経済なき理念は寝言である」

高木:ジャック(山田)さんのところは、逆にどうですか? コアバリューさえ守っていれば何してもいいっていう。

ジャックさんのところはコアバリューが繋がってるので、それはそこでなってるんでしょうけど、それってそこに行きついた理由って何ですか?

山田:コアバリューの中に「Enjoy」っていうのが1つあるんですけど、楽しくやりたいなっていうのがあって。コアバリューは、全部言うと「Challenge」、「Enjoy」、「Trust and Respect」、「Learning」と、最後は「Cool」っていうコアバリューがあるんですけど、格好良く言おうっていうのが根本的にあって(笑)。

その中で、今のお話でいくと、夢ばかり語ってても、結局は赤字だって、僕はずっと赤字の経験してて、会社潰れかけましたから。そこではやっぱり、しっかり利益も出さないといけない。でも利益ばかり追いかけてても、何仕入れて、売って、儲かって、何がおもろいねんって話になるじゃないですか。

そこは、二宮尊徳の言葉じゃないですけど、「理念なき経済は犯罪であり、経済なき理念は寝言である」っていう、ええこと言ってばかり言ってても仕方がないし、とは言いながらも、ちゃんと夢持って仕事しないと、儲かって利益出てそれだけで楽しいかっていうことに行きついたわけですよね。

なのでそういう意味では、ミッション、ビジョン、コアバリューっていうのが中心になっていって、その中でそのバランスですよね。そこが小笠原さんのところみたいに、とにかく儲かって毎晩ススキノっていう感じだったらいいんですけど。

高木:そういうイメージになっちゃったの(笑)。

山田:そうもならないですから、僕たちの場合は、ナショナルブランドを、どこでも扱ってる、誰でも売れる商品を販売してるわけですから。だからそこで言うと、小森さんは、さっきおっしゃったみたいに、そういう商材になっていくっていうのは、そこにはやっぱり一定の合理性を持っていかないと、収益って出ませんので。

高木:なるほどね。まず、大きく商材によって違うっていうのも。

山田:そうそう。商材と、そのスタンスによって、戦略は本当に全く変わりますよね。

高木:山ほどありますよね。どれが正しいわけじゃないんですね、結局ね。

数字目標を立てるとおもしろみがなくなる

高木:濱本さんのところは? 逆に言うと、おもろいことだったら何でもいいやみたいな。そんなイメージはもちろんあるんだけど。

濱本廣一氏(以下、濱本):そうそう。それは大前提。「やってておもろいの?」みたいな、「このページ、自分で見たら本当におもろいんか?」っていうのは言いますけど。さっき聞いてて、やっぱり売上目標、僕も立てるんですよね。銀行に対してとか、計画出さなあかんとかあるので。でも、もう来年からやめようと思って。来期から。

高木:逆に?

濱本:目標立てるの。数字を追い求めるようになると、やっぱり売ろうとするから、そのために何をせなあかんじゃなくて、売ろうっていう意識のほうが高くなるから、どうしても焦ってしまったりとか。お店でもそうですよね。その辺がすごい、本来のおもろさを伝えなあかんのに、手薄になって売ろうとしてしまうっていうのがあって。

売上単位でどうしようっていうと、またそこに輪をかけて売ろうという政策をみんな考えるわけで。その修正案を出してきたやつを見てても、僕自身おもろくないですよね。だから「もうやめよう」ってこの間言ったら、「どうするんですか? 売上なくなったら」って、店舗の岡本(店舗の責任者)に怒られるわけなんですよね。

彼は目標志向があって、こういう金額でこうやって、目指してっていうそういう志向。

高木:性格によってもね。

濱本:そういう志向の人は、立ててもらってもいいし、僕自身はそこにおもしろみをあまり感じないっていうか。それやったら「世界一インパクトのあるおもろい壁紙屋」って、言ってもらうためにはどうしたらいい? みたいな話をしたいなっていう。

高木:なるほど。