社会が体罰擁護派と否定派に分かれる原因
過去に尊敬できる大人がいたかどうかがカギ?

『覚醒コンテンツと麻酔コンテンツの今を追え! 〜HUNTER×HUNTER休載から考える現代と漫画の関係性&サザエさんの未来、他』山田玲司のニコ論壇時評 #2/6

ニコニコ生放送の人気番組「山田玲司のヤングサンデー」。今回は9月16日放送の「『覚醒コンテンツと麻酔コンテンツの今を追え! 〜HUNTER×HUNTER休載から考える現代と漫画の関係性&サザエさんの未来、他』山田玲司のニコ論壇時評 1/2」の内容を書き起こしでお届けします。

中学生は本人の意志で謝りにいってない

乙君氏(以下、乙君):(日野皓正氏の体罰問題について)玲司さんの見解をもっと。

山田玲司氏(以下、山田):いや、俺はね、この中学生けっこう俺は好きだな。世界の日野皓正の前で、「俺やめねぇし」って言った後に、取られた後に「それでも止めねえし」っていう、この根性を讃えたいよな。実になぁ。

でも、これに至るまでの関係があったんだよ。絶対に何かあったんだよ。彼の心の中にさ。その後に親に「謝りにいきなさい!」って言われて、「うわぁ、もうご飯食べさせてもらえなくなる」みたいに絶対にものすごいバイアスが掛かって、本人の意志で謝りにいってないよ。

全部が権威に負けて大人の論理で謝りにいかされているから彼の魂は粉砕されているよ。この段階で。だから俺はこの物語にはもちろん続きがあるなというのがあって、そのドラマを生んだ彼のエネルギーを讃えたいとうのがまず第一。

これはいろんな人がああだこうだ言っているけど、松本派に近いかな。松本人志が言っているのが、本当のことはこの子の心の中にしかねえなという。わからないから僕らは何も言えないですよという意見に一番近い。

それでこういう抵抗運動が若さじゃないなと思っちゃうわけ。だからなんかすげー人が来たんだよなって言って、どうやらよくわからないけどジャズのすごい人って言って。

おとなしくしておくべきってなっちゃうところから、何かが失われていくわけだから、一発伝説つくってでもいいから反抗するのはありだなと思う。それで日野さんが言ってたのは、「アイツと俺との関係が云々」って言ってたじゃん。

だからもしかしたら前にそういうやり取りがあったのかもしれないね。俺やるんですけどと言ったのにそれをまたガーン! といって言うこと聞いてくれなかったから、「この野郎本番で恥かかしてやっからな」って思って、「行くぞ〜!」って思ってたかもしれないじゃん。最高じゃんコイツ(笑)。

乙君:最高?

山田:最高だよ。そこでぶん殴られていろいろあって、今はアレだけど10年間寝かすといい味出してくると思うんだよね。人として。

体罰擁護派・否定派に分かれる理由

それはともかくなんだけど、この問題はなんで割れるかというとさ、ざっくりだけどさ、イラストで書きますけど。

大人なるものがあって、絶対的権力があるときに、子どもがいるじゃん。これ何も言い返せないんだよ。

それでここの間に信頼関係があった場合、尊敬してビンタされた時に、これが愛情だと俺のためだと思う場合と、コイツのことを心底尊敬してなかった場合は、威嚇だし暴力だし、憎悪に変わるよねっていう話しだよね。

これはどっちにいくかわからない生物なのが人間でしょ? これで体罰擁護派というのは基本的に、自分の経験の中でいい人に会っているんだよ。殴って自分のことをわかってもらったというコミュニケーションが一部分あった人なんだよ。

結果として。そして尊敬できる大人がいた人なんだよ。中にはこれ太田光だと思うんだけど、威圧的であるだけで中身がなくて、本当に尊敬させてもらえなかった。俺はアイツに従ってたけど、がっかりさせられることしかなかったというタイプの人間がいるんだよ。

そういうやつが威圧的な態度でやりたいことを一気に暴力で封じたのを見た時に、噴出するのは世界全体に対する憎悪になっちゃうんだよ。

乙君:デカイ話ですね。

山田:デカイ話しなんだよ。なぜかというと中2病というぐらいで、今ある世界が自分の世界の全てだから。それでコイツは大人代表で世界の代表なんだよ。権威の代表なんだよ。

コイツのことが信じられないと言う時に、暴力で威圧的に自分を封じられたら憎悪しか残らないよ。それで太田光というのは絶対にそっち側の人間なんだよ。だからあの映像を見た瞬間に、彼は日野さんのことじゃなく、そういった自分の過去がバッとフラッシュバックしてきて。

あの時自分を威圧してきた中身のないクソ野郎が「だぁー」っと頭に浮かんで、思わず関係ない日野さんに向かって、「あんな人の音楽って大したことないでしょ」って言っちゃったんだと思う。

でもそれは日野さんの音楽じゃなくて、そういうことを代表していることについて言っているんだよなと思うのね。それでこれ一方では、暴力による体罰による関係性みたいなものを大事にしたいという人の中には、これ主に少年漫画系だと思うのね。

少年漫画的な過去の、かつての熱血少年漫画的なコミュニケーションが好きな人っていうのもいるんだよ。やっぱりね。それは主に儒教的であって、体育会系的な乗りでヤンキー的で、しかもコイツらタフなんだよ。だから親にパーン! ってやられてたりして育ってきたんだよ。そうじゃない人が今は圧倒的に多い。

乙君:うんうんうん。

大人と子どもの信頼関係の問題?

山田:じゃあ、信頼できる大人がつくった社会って今どうなのっていう話しなんだよ。今の大人がつくった社会というのは酷いっていうのを子どもはずっと見ているわけじゃん。どこに信頼関係があるのか。信じたいけど信じられない、尊敬したいけど尊敬できないよっていう人のほうが圧倒的に多いので、このやり方はリスクが高くなってしまう。

なぜならばどうするかというと信じたいけど信じられないクソみたいな大人だと思ってたけど、結局暴力で威圧かよって封じられた時に自分がどうなるかというと心閉ざすよね。この人は。

だけど「来いよ!」っていうのがこの人なんだけど、それはこっちの事情だし、これに合う人の哲学というか、サイドなんだよ。こっちに合う人にはいいよ。「上がってこい!」って言って、「俺を殴れ!」って。

そうじゃない人が圧倒的という所が、けっこうリスクがデカイなと思うわけ。あともう一つ。人格者だったら殴っていいのかという問題だったら、まず問題があったとしても無意識というのがあるじゃん。人間って。あと好き嫌いというのがあるのが人間じゃん。

つまり殴りたいやつが嫌いなやつな場合があるわけだよ。それは教育じゃないでしょ。ストレス発散の場合があるじゃん。ここにまた大きなリスクがある。そうなると信頼関係ができない。教育にならんよ。

さっき言ってた話しで、現場の中で皆の時間をとってやっちゃった。これはプロのステージだったら止めたほうがいい。確かに。殴ってもいいかもしれないね。でも、1個はプロのステージだとしても、それで空気壊しちゃったらショーとしてどうなるかというのがあるから演出家としてはダメだよね。見てたほうがいいと思うよ。だけど、これ教育の現場だったんでしょ。

乙君:まあまあ、まあまあ。

山田:教育委員会が主催してるんだよ。それでゲストとして来ているんだよ。だったら見てるほうがいいよね。そこはね。子どものためなんだよね。だったら一旦抑えたほうがいいよねっていう話しだなというのと、あともう1つなんだけど、往々にしてあり得るのが、威圧的な空気を出して、言ってわからないやつは殴ってやるんだというふうにやった人に対して、俺がもしこの人に対して会ってしまったら、俺は自分の内面の10パーセントもこの人に見せないね。

乙君:この人に見せない?

山田:見せない。

乙君:心を開かないということですね。

山田:心を開かないし、俺はこの人には全面的に演技をすることになると思うね。そうすると限定されたこの人が好みそうな情報だけがこの人に集まってくることになるから、決定的に情報弱者になるわけなんだよね。そうすると関係性がつくれないだけじゃなく、時代がわからないんだよ。もう。ということはこの人は教育できないよ。

乙君:そうですよね。

山田:そう。

「力が信頼関係」に飢えている社会

だからそういった人間が教育の現場にいってどうのというのを褒めてしまうというのはどうかと思うよね。残念ながら。ただし、寂しいのはわかる。

乙君:寂しい?

山田:そうです。だからかつては「うぇーい」ってじゃれられる環境があったんだよ。だんだん、そういうことができなくなって、いろんな人との距離ができるようになってくる。

それこそ演技をしながら遠くになっていくという中で、引っ叩いてでもみたいな、力が人間関係みたいなものにみんな飢えているんじゃないかなと思うわけよ。だから『ファイトクラブ』という映画が俺は大好きなのは、「殴れ!」って言うでしょ。

乙君:うん。

山田:「関係ねぇやつは殴れ」。あれは理不尽だけど、関係性をつくるというの獣としての。それでそれが本来人間の中にあるんじゃねえのっていう話しなので、俺は実はそっちはあるよなって、そしてジャズっていう現場はもともとは喧嘩の場所なんだよね。

乙君:はぁ〜。

山田:だから、日野さんはジャズミュージシャンだから殴っていいです(笑)。

(一同笑)

乙君:日野さんはオッケーなんだ?

山田:チャーリー・パーカーも殴ったし。

乙君:チャーリー・パーカーも殴ったし。

山田:マイルズもそうだったじゃん。だからジャンヌバングの流れ。それからヒップホップの流れというのは肉体言語ですよね。

乙君:なるほどね。

山田:だから最終的に教育の現場ではダメだけど、ジャズじゃん。やっちゃえよというのは、しょうがねぇよな日野さんっていうのはわかる。

乙君:なるほど。

山田:っていうことかな。なげー(笑)。っていう感じでした(笑)。

乙君:わかりました。続いていきましょう。

山田:(『相棒』の杉下)右京さんの話が一番おもしろかったな。右京さんがティーカップで殴るというところを見たい(笑)。

乙君:絶対ないから(笑)

山田:ない? ないか?

乙君:見たことないですね。ない、ない、ない。

山田:右京さんはジャズじゃないんだよ。

乙君:右京回にします? 今日。

山田:いや、いい(笑)。

乙君:相棒観てないのに(笑)。

山田:相棒観たことない(笑)。

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