DV相談が10万件を突破

堀潤氏(以下、堀):さぁ、かやさん、テーマの発表をお願いします。

北条かや氏(以下、北条):こちらです。ドメスティック・バイオレンスは第三者に相談してくださいというお話です。

(テーマ「ドメスティック・バイオレンス 第三者に相談を」について)

脊山麻理子氏(以下、脊山):2014年度中にあった配偶者らからの暴力「DV(ドメスティック・バイオレンス)」の相談件数が10万2963件に上り、初めて10万件を超えたことがわかりました。

:氷山の一角です、10万件は。調査は全国247カ所の配偶者暴力相談支援センターへの相談件数を集計したもので、調査を始めた2002年度の3倍近くに増加しました。これは、「顕在化した率が大きくなったんじゃないか」ということで。つまり、相談窓口の増加などがあげられるんですが。専門家は、やはり「氷山の一角だ」と指摘しています。

DV被害の9割が女性

:さぁ、かやさん。

北条:こちらがそのグラフなんですけれども。確かに、2002年から3倍近くに増えていると。これは、内閣府のデータなんですけれども。警察のデータがまた別にあるんですよね。

:実際に事件化されていったものですよね。

北条:こちらのほうが重要かなと。より危険が高いもので。警察のデータでは、DV被害の相談件数、今、字幕で出していただけるかなと思うんですけども。こちらも、過去最多なんですね。

:どれくらいの数になってますかね。

北条:全体では5万件ですね。

:5万件。

北条:もちろんこちらも警察発表なので、氷山の一角ということには変わりありませんが、警察に駆け込むDV被害が5万件あったと。すみません! 字幕ではなく、フリップでした。

(スタジオ笑)

:いいんです、いいんです!

北条:こちらが、警察のデータですね。

:「配偶者からのDV被害の内訳」検挙されてますからね。6,875件、前年比でおよそ6割の増加ということで。

「殺人」「暴行」「傷害」「脅迫」「器物損壊」

被害者はおよそ9割近くが女性。30代の方……。

北条:おそらくは、平均初婚年齢が上がっているので、30代の被害割合が高まるのだと思うんですけど。

「殺人(未遂を含む)」が102件ということは、3日に1人の、主に女性が、配偶者やパートナーから、殺されかけている、ないし殺されてしまう。これが、先進国の日本で起きている状況なのだということを、まず、皆さんに知っていただきたいなと。

:年間365日の内の、102件ですから。

北条:3日に1人ですね……。

法整備によって家庭内のDVが可視化された

北条:DVの法律の歴史に関して言いますと、2001年にDV防止法ができまして、まだ15年くらいしか経ってないんです。

国際的な危機意識の高まりと、被害者の声を受けて、女性の人権ということで成立したんですが、14年には、パートナー、いわゆる生活拠点をともにしている異性からの暴力もDVとみなされるようになって、定義が拡大したので、相談件数も全体的に増えた、という状況はあります。

:高校生とかも含めて、付き合っている男女間でもDV。デートDVなんて言って。だんだん意識もだいぶ広がってきたことによる。

北条:そうですね。90年代後半以降、これまでは家族や親密な関係性の中で行われてきた暴力、例えば、児童虐待とか、ストーカーも、全て2000年に規制法ができておりますし、これまでだったらドメスティック・バイオレンスは警察に相談しても、「夫婦の痴話喧嘩だ」って処理されてしまっていたものが、法律の整備によって可視化されてきました。

:非介入だったものが可視化された。

北条:そうなんです。それが2000年頃からのことなのですが、家族の中でも暴力はダメ、時には警察が入って止めなければならない。本来なら、当たり前のことですよね。「ダメなことはダメ」っていうことが公になってきたという。ただ、その流れが、まだ15年くらいしか経ってないので、未だに相談できない女性、男性は多いと思います。

その中で、配偶者から殺されそうになっても、精神的な苦痛を受けて、ボロボロになっても離婚しない、できない理由としては、女性に関して言えば経済力のなさですとか、あとは、子どもがいるですとか、これまでは、そうした理由が挙げられてきました。

DVの背景にある共依存関係

北条:ただ、ここ最近、より問題になっているのは、暴力を受けた女性というのは、「相手の男性の心を理解できるのは自分だけだ」と思ってしまうんですよ。「この人は、私がいないとダメになってしまう」と、言う人もいます。共依存関係ということですよね。

:Twitterでもきてますよ。

「ゆきまる@おにぎり」さん、「DVはされる方の共依存もどうにかしてあげないとなぜかDV夫の元に戻っていくからね……」と。

北条:なかなか警察、シェルターが保護しても、結局その男性から常に自己評価を下げられているので、「私には彼しかいない」と思い込まされているようなところが被害者にはあると思います。

:そこは、第三者が入って解いてあげなきゃいけないですよっていう提案ですか。

北条:そうなんです。その前に、若者も問題なんですよ。こちら数字を出して頂いております。NPOの調査データなんですけれども、「恋人なら相手からのキスなどの性的な要求にこたえるべきか?」

男子では、大学生では6割が「そう思う」と。これは、女性の性的な決定権は女性にありますよね。男女ともにあるわけですけれども。

女性では「思う」が34%。男性では6割が「そう思う」と答えている。その、いわゆる「女性の性的な主体性」を、ある意味、認めていない方が若い層でも多いというデータです。

:大学生は61%ですよね。逆に、大学生の10代、ティーンエイジャーくらいのほうが、「おいっ!」とか言って……。

北条:それが、ティーン・エイジャーよりも、むしろ男子大学生の方が「恋人なら性的要求に答えるべきだ」と思っている割合が高い。デートDVにつながる恐れもある結果なんですよね。

第三者に相談することの重要性

北条:最後に言いたいなと思いましたのは、「DVは『共依存』の問題なので、とにかく、パートナー以外の客観的な第三者に相談してほしい」ということです。

:客観的な第三者は、どういうところが担うべきだと思われますか?

北条:今は、全国に247件、無料相談センターがありますので、そうした機関を利用して、自分の状況を説明して、「それは暴力ですよ、気づいて下さい」と言ってもらえれば、少しは、状況から抜け出す助けになるかももしれない。

あ、今Twitterのコメントで、「女性が男性にするDVもある」と。もちろん、そうですね。親密な関係性の中で、自分の心や体が傷ついたと、少しでもおかしいな、傷ついてしまったかもしれない、と思ったら、とにかく第三者、できればお金が絡まない相談機関に行ってみるですとか、電話をかけてみるのがいいかなとは、個人的には思うんですよ。

急に弁護士や、お金のかかるカウンセリングにいかなくてもいい。ハードルが高いと感じる人もいると思いますので、全国の自治体が行っている相談窓口、ネットで「女性 相談」とか「DV 無料相談、○○区、県」などと検索すると出てくるので、各自治体で共通の電話番号はないのですが、そういった所に意見を求めるのがよいと、思います。

:第三者機関的なものと、あとは、周りの友人たちとか、そういう皆さんにも助けを求めるという。

北条:はい。DVは二者間で閉鎖した環境で行われるので、そこでこれが当たり前になっていくんですよ。とにかく、第三者。人によっては、親でもいいです、全然関係ないネットの知人でもいいです。とにかく、第三者に相談しないと、自分が置かれている状況の「異常さ」には、気づけませんから……。

:逆に、「気づいたら話しかける」っていうことも大事ですよね。「大丈夫? 最近、ちょっと様子が」なんて言ってね。

北条:そうなんです。

:はい。かやさん、ありがとうございました。

北条:ありがとうございます。