なんでも食べられるとしたら、なにを食べる?
喜多恒介氏(以下喜多):こんにちは。僕、喜多恒介と申します。今回オープニングセッションを務めさせていただく感じになっています。みなさん、なにが起こるんだろうってすごく緊張していると思います。
僕は緊張はしていないんですけど、めっちゃお腹が減ってるんですよ。お腹がすいてるので、ちょっとお腹が満たされるような会話がしたいなと思っていて。
そうだ、あれをやろう。僕が魔法のステッキを持っていて、このステッキを振ると、みなさん今食べたいものがなんでも食べられるとします。さて、なにを食べますか? というところで、ちょっと二人一組になってください。二人か三人で、ペアかトリオを組んでみてください。
それで魔法のステッキがあってなんでも食べられるとしたら、なにを食べますか? ということを1分ぐらいでちょっと話してみてください。理由とかもね。
(会場相談中)
自己紹介プラスで1分ちょっとぐらいいくのかな? 2分ちょっと時間をとりたいと思います。
食べたいものと内容ですね。アバウトなジャンルじゃなくて、店名とか。このラーメン屋のこのメニューが食いたいとか。このホテルのこのスイーツがいいとか。そんなこともぜひ具体的に話をしてもらえたらと思います。なるべく具体的に、理由と一緒に。
(会場相談中)
はい、ありがとうございます。じゃあ、今モーレツに食いたいものがある人いますか? はい、どうぞ!
回答者1:ステーキ。
喜多:ステーキ! どんなステーキですか? 牛のスネとかテールとか、バラとかあるじゃん。どこらへんのステーキ? サーロイン?
回答者1:いや、僕ふつうにロースです。
喜多:ロースのステーキ。はいはいはい。どんなステーキ? どれくらいの大きさ?
回答者1:うーん、200グラムぐらい。
喜多:控えめですね(笑)。
(会場笑)
ありがとうございます、拍手! パチパチ。
(会場拍手)
みなさん、就活はやめましょう
では、もう一個この調子で質問したいと思います。みなさん、今大学生だと思うんですけど、大学生活でこれから一年間なにもしなくていいとします。授業も単位もとらなくていいし、必要なお金は降ってくるし、親からもなにも言われないし、友達からもなにやってもほめられるみたいな。サイコーじゃんみたいな感じで。
そうだとしたら、この一年間でなにをしますか? というのを自己紹介がてらもう一回、2分間ぐらいでお話してもらえたらと思います。どうぞ。
無理してもいいですよ。なにしてもホメられる。なにしても「お前、天才!」って言われる。自由にできるなら。
(会場相談中)
まだいけますよ。無限にいけます。マジでなにやってもOKですよ。
はい、どうですか? これって実は、口に出すと叶うという法則があるんですけど。これ、なにか言ってみたいって人いますか? おっ、じゃあ一番後ろの彼から。
回答者2:シリコンバレーでめっちゃ高いステーキを食べる。
喜多:シリコンバレーで、またステーキか!(笑)。いいすね。でもなんか1枚100万円ぐらいしそうだよね。
回答者2:まあ、60万円ぐらいのやつで。
喜多:人工ミートとか、人工肉とかあるよね。いいすね。ありがとうございます。拍手パチパチ。
(会場拍手)
次の方、どうですか?
回答者3:ギャンブルがしたい。
喜多:いろんなギャンブルがあるよね。どんなギャンブルがしたい?
回答者3:カードゲーム。
喜多:カードゲーム。バカラだったりとか? ほうほうほう。
回答者3:なかなか自分のお金でやるってことはできないので。一気にこれだけの額を賭けるのか! みたいに驚かしたいです。
喜多:おー、いいすねー。アツいすねー。ありがとうございます、拍手パチパチ。
(会場拍手)
ほかに? はい、どうぞ。
回答者4:今クイズをやってるんですけど。
喜多:ほうほう、クイズ。
回答者4:お金の心配がいらないんだったら、世界で一番強いクイズ王になって、そのあと世界のクイズ大会で一番を取りたい。
喜多:おー、アツいっすね。ありがとうございます。クイズの世界チャンプ。
(会場拍手)
はい、どうぞ。
回答者5:僕は無人島で過ごしたいです。
喜多:無人島で過ごしたい。どんな無人島? 太平洋上なのか、それとも日本の無人島とか。
回答者5:いやもう完全に誰も来たことがないような、なにも通らないような秘島で。なにも手に入らない場所で過ごしたい。
喜多:おー、いいすねー。哲学的ですねー。ありがとうございます、拍手パチパチ。
(会場拍手)
ほい、どうぞ。
回答者6:僕は留学したいです。
喜多:留学したい! どこに?
回答者6:アメリカ。
喜多:アメリカに。アメリカと言ってもいろいろあるよね? ワシントンとか西海岸とかニューヨークとか。
回答者6:西海岸。
喜多:西海岸でなにしたいの?
回答者6:僕の専攻のスポーツビジネス
喜多:シアトルマリナーズとかね。絶対に楽しそうですね。いいすねー。みなさん、いいすよねー。じゃあ今、魔法のステッキの話の中で、就職活動をしたいって出てきた人いますか? おっ、一人いました。いいすねー。
逆に言えば、一人以外は別にそんなことしたくないんですよね。じゃあ、みなさん、就活はやめましょう。
(会場笑)
今すぐにやめましょう。今回、僕のテーマは「就活の始め方」。辞め方と始め方ですね。辞め方のほうが先に来るんですよ。それってどういうことかお話ししながら、進められたらなと思います。
日本は世界にどう貢献できるか?
僕は喜多恒介と申します。大学院生をやりながら、会社や法人をやってます。ボク自身の人と人とのつながりで、どうやってこの社会を豊かにしていくのか? 日本という国をどうやったらもっと前向きにできるのか? ということをテーマに活動していたりします。
僕、RIZAPをやってるんですよ。この体型なので(実際に)RIZAPをやってるんではなくて、モチベーションのRIZAP(Narrative Career School)というのをやっていて。みなさんの「これがやりたい」というのをどんどん発見して育てて、「オレはこれをやるんだ!」というふうにするためにやってます。
あとRIZAPってアジアでも通用するんですよ。ミャンマーにも行ってます。ミャンマーでもM-Linkという団体をつくって(教育を)やってるんです。今200人くらいに広まってますね。それで今年、タイ、ベトナムにも広げていってます。
そういうことをしていると世界経済フォーラム(ダボス会議)の若者版にも呼ばれたりもして。あのトランプ(大統領)だったり、俳優や皇太子だったり、そういう方々が来るようなカンファレンスの若手メンバーにも選ばれて、世界各国で会議とかをして、日本は社会が豊かになるために世界にどう貢献できるか? なんてことをディスカッションしてます。
いろいろとそういうことをやっていると、「日本の教育ヤベえ」ってことに気づくので、内閣府や文科省の政策提言なんかもしていたりします。
まあ、いろいろとやってるんですけど、秘書が8人ぐらいいて「やって!」と言ったら全部やってくれるんで、仲間も100人ぐらいいて楽しくやっています。
人生でなにもしなくていい4年間
どうしてこういうことをやって来たのかと言うと、僕も就職活動なるものをやっていたんです。かれこれ今から7年ぐらい前ですね。
僕には確かめたいことがあったんですよ。僕は東京大学という大学に行ってたんですけど、東大の仲間はなにか面白くねーなーみたいな。みんな、やる気ないなーみたいな感じで。
前向きじゃないし、「東大に入ったのはどうして?」って聞いたら、「偏差値が一番高かったから」という話で。えー!みたいな。「なんで偏差値が高いところに行きたかったの?」って聞いたら、「知らない」っていう。これ大丈夫かなと思い、いったん学外に出てみようってことで、インターンシップをいろいろとしてきました。
電通、経済省、コンサル、ベンチャーなど、たくさんしてきて、わかったことがあったんですね。日本人って、みんなやる気ねえと。やべえと。みんな、やりたくて就活をやっているわけじゃないし、誰もやりたいことを持ってないし。
そんなんでこの国よくなるの? みたいな。少子高齢化とか叫ばれてて、なにかやべえぞって言われているけど、この人たちと一緒にやっていくってもう耐えられないわと思って、僕は就職活動をやめました。
それで(就職活動を)やめたときに誓ったことがあって。大学生という期間って、高校生と社会人に挟まれているじゃないですか。で、ぶっちゃけ日本の大学生はなにもしなくていいんですよ。単位をとるのも超簡単だし。人生でなにもしなくていい4年間ってやばくないですか?
高校生までは受験勉強とか部活とかしなきゃいけないし、社会人になったら働かなきゃいけないし。なにもしない4年間において、自分の人生でやりたいことを決められるような仕組みを作り切るまでは「オレは大学を卒業しない!」ということで、大学10年生をやっております。
日本の大学生は思い込み、幻想を生きている
僕、いろいろやっている中で気づいたことがあるんですよね。日本の大学生って、思い込み、幻想を生きているんです。(これって)やばいと思うんですよ。
例えば、新卒で就職しなきゃいけない。これどうでしょうか? これ思い込みなんですよ。僕、ミャンマーという国に行ったんですけど、(ミャンマーで)新卒で就職する人って7パーセントなんですね。ちなみに日本は98パーセントです。
10パーセントしか就職しないんですよ。アメリカもそんなに高くない。韓国も高くない。中国も高くない。日本だけなんですよね。新卒で就職しなきゃいけないのって、例えばメガバンクとかはそうかも知れないけど。たぶんここに来ている会社さんだと、新卒とか中途の境目って、ほとんどないんですよね。新卒で就職しなきゃいけないっていうのは、そういうふうに言われているだけで、事実だけ見たらそんなことはありません。
大手にいかなきゃいけない、みたいなのもそうですよね。ボクが就職活動をした2013年頃だと、日本の勝ち組の会社は、大手電気メーカー、メガバンク、地方銀行などでした。ここにいったらみんな勝ち組でした。さぁ、どうなりました? はい、お察しのとおりです。要は大手にいかなきゃというのも思い込みです。みなさんの勝手な思い込みなんです。
留年とか休学をしたら、やばいんじゃないか? 就職に不利になるんじゃないか? 僕のお父さん、お母さんもそう言ってました。「あんた、休学なんて。東大までいったのに」みたいな。「人生どうなっちゃうの?」みたいな。
2013年には、休学することは本当に悪でした。このなかで休学したことがある人は、手をあげてください。
(会場挙手)
あっ、3人ぐらいしかいない? では、こちらのみなさんで休学したことのある人いらっしゃいますか? 手をあげてみてください。
(会場挙手)
ちらほらですね。ありがとうございます。最近の東京大学の法学部で、休学・留年をした人の割合って、なんパーセントだと思います? 30パーセントです。同じく東大では、一年生のときに入学してすぐ休学するやつに、なんとお金50万円をあげてるんですよ。
要は世の中が休学することを善としている。とある総合商社に去年入社した人で、22歳だったのって、要はストレートで大学に入って、ストレートで卒業した人の割合は10パーセント。
だいたい海外へ行って、留学して1年遅れたり、休学してインターンをしたり、大学院にいったりする。そういう人が就職してます。
当たり前ですよね。だってさ、4年間経験のある人と、5年間経験した人と、どっちの就活生を採ったほうがいい? 5年ですよね。ぜんぜん不利にならないですよ。むしろ(就活生が)会社に入ってから、留学させるために会社がお金を払ってるみたいな状態で。
その(経費負担)必要もなく、自身で留学したことがあるんだ! 採用! みたいな感じで進んでます。留年・休学したら就活が不利になるっていうのは、これ完全なウソです。みなさんの思い込みです。
先行刺激・行動・結果のABC
ベンチャーにいけば就職できる。これ(こういう考え方)もあるかもしれないですね。ベンチャーにいったら、なんとなく成長できるんじゃないかと。2013年頃に、多くの友達がベンチャーにいけば成長できると言っていきました。
はい、(受け身な人は)ぜんぜん成長できていませんでした。これも思い込みです。大手だろうとベンチャーだろうと、自分自身がどうなりたいのか? どうありたいのか? ってことを判断しないままいく人っていうのは、成長できていません。これも思い込みです。
貨幣も国家も思い込みだと思いませんか? あの紙切れに価値があるって、僕らどうして思えるんでしょう? ジンバブエという国に行ったことある人って、たぶんいないと思うんですけど。
あの国の紙幣ってどうですか? 通用しないんですよね。なんで日本では通用して、ジンバブエでは通用しないの? 思い込みだからです。これ幻想だからですよ。
今のこの国においては、いろんな幻想が崩壊しています。銀行にいけば安全とか、公務員になれば安全だとか(が崩壊している)。ベンチャーにいっても安全じゃない。
じゃあ、どうしたらいいんだと。なにが僕らが一番従うべき幻想なのかと。ちなみに恋愛も幻想だと思っています。僕、25歳まで彼女がいなかったんですけど(その理由は)幻想でした。
男子校だから彼女ができないというのは、僕にとっては本当だったかもしれないですけど。僕はもう一生彼女ができないんじゃないか? と思っていたこともあったんですけど、それも幻想でした。
幻想ってどういうことかというと、人が脳内につくる思い込みなんですよ。それをつくる過程っていうのは、まあ心理学をちょっと勉強すればわかるので紹介します。
ABC分析(エービーシーぶんせき)というものがあります。これけっこう超大事なポイントなので、ぜひメモしていただけますか? ABCです。先行刺激・行動・結果というようなところで、これをわかりやすく説明するとですね。