安倍首相が内閣改造について会見

安倍晋三氏(以下、安倍):先の国会では、森友学園への国有地売却の件、加計学園による獣医学部の新設、防衛省の日報問題など、さまざまな問題が指摘され、国民のみなさまから大きな不信を招く結果となりました。

そのことについて冒頭まず、改めて深く反省し、国民のみなさまにお詫び申し上げたいと思います。

国民のみなさまの声に耳をすまし、国民のみなさまとともに政治を前に進めていく。5年前、私たちが政権を奪還したときの、あの原点にもう一度立ち返り、謙虚に丁寧に国民の付託に応えるために全力を尽くす。

一つひとつの政策課題にしっかりと結果を出すことで、国民のみなさんの信頼回復に向けて、一歩一歩努力を重ねていく。その決意のもとに、本日、内閣を改造いたしました。

今回の組閣では、ベテランから若手まで幅広い人材を登用しながら、結果重視、仕事第一、実力本位の布陣を整えることができたと考えています。

最優先すべき仕事は、経済の再生です。安倍内閣はこれからも、経済最優先であります。司令塔は、今まで党の政策責任者であり経済産業大臣の経験もある、茂木(敏充)大臣にお願いしました。

4年間のアベノミクスにより雇用は200万人近く増え、正社員の有効求人倍率も1倍を越えました。

正社員になりたい人がいれば、必ず1つ以上の仕事、正社員の仕事がある。政治の大きな責任を果たす。やっとここまで来ることができました。

しかし、まだまだやるべきことがあります。雇用を増やし、賃金を上げる。この経済の好循環をさらに加速することでデフレ脱却を成し遂げる。茂木大臣には、留任となる麻生(太郎)財務大臣、世耕(弘成)経産大臣と力を合わせ、アベノミクスをさらに加速させてもらいたいと思います。

さらに茂木大臣には今回、新たに設けることとした「人づくり革命」の担当大臣もお願いしました。

子どもたちの誰もが家庭の経済事情にかかわらず、夢に向かってがんばることができる社会。いくつになっても学び直しができ、新しいことにチャレンジできる社会。人生100年時代を見据えた経済社会のあり方を、大胆に構想してもらいたいと思います。

働き方改革の要は加藤大臣

働き方改革の実行は加藤(勝信)大臣です。戦後ずっと続いてきた長時間労働の慣行を断ち切る、同一労働・同一賃金を導入し、正規と非正規の壁を打ち破る。

「働き方改革」はいよいよ実行の段階に移ります。実行計画を取りまとめた加藤大臣に、厚生労働大臣として次の臨時国会で必要な法案の成立を目指してもらいます。

構造改革こそが「アベノミクス」の最大の武器であります。突破力のある人材を積極的に登用し、時代のニーズに応える改革を断行いたします。

農政改革は当選3回の若手ながらこれまで、党の農林部会長、農政副大臣としてTPP交渉や農協改革など攻めの農政を手動してきた斎藤(健)大臣にお願い致します。

中川(雅治)環境大臣も初入閣ですが、かつて環境事務次官も務めた環境政策のプロです。パリ協定の実施に向けた長期戦略の策定など、世界の温暖化対策をリードする、大胆な経済社会の変革に挑戦してもらいたいと思います。

規制改革全体の旗振り役は梶山(弘志)大臣です。地方の個性を活かした地方創生を力強く進めていく。そのために岩盤のように硬い地底にもどんどんチャレンジして参りたいと思います。

国家戦略特区での獣医学部新設では、内閣府と文部科学省との調整過程を巡り当事者間で言った言わないの水掛け論に陥り、疑惑や疑念を招きました。

梶山大臣にはこうした省庁間の調整プロセスも含め、さらなる透明性の向上に向けて、特区制度の運用強化を進めてもらいます。

林(芳正)文部科学大臣はこれまで、さまざまな閣僚を歴任し、霞ヶ関の組織をまとめ上げてきた豊富な経験をお持ちです。文部科学省の職員の心を1つにまとめ、省一岩となって教育の再生、科学技術の振興に邁進してもらいたいと考えてます。

防衛大臣は小野寺氏に

北朝鮮が先週またも国際社会の警告を無視し、ICBMミサイルの発射を強行しました。この重大かつ現実の脅威に対し、国民の安全確保に万全を期すことは、政府の最も重い責任であります。

防衛大臣は第二次安倍内閣発足以来、600日以上にわたって安全保障の立て直しに尽力してくれた小野寺(五典)大臣にお願いしました。

強固な日米同盟のもと、防衛体制と能力向上のため具体的な行動を進め、我が国の防衛力の強化に努めてもらいたいと思います。

北朝鮮を巡る情勢が緊迫する中、日米同盟の絆をさらに深めながら、韓国、中国、ロシアとの良好な関係を構築する、地球儀を俯瞰する外交を一層前進させなければなりません。

国際情勢が激動を極める時代にあって、世界の潮流をしっかりと見定める、柔軟でしなやかな外交が求められています。河野(太郎)外務大臣には持ち前の発想力と行動力を大いに発揮してもらいたいと思います。

法務大臣は上川(陽子)大臣です。すでに、安倍内閣では法務大臣を務めていただいた実績があります。これまでの経験を活かし、テロ等準備罪処罰法の適正な運用など、法務行政のかじ取りを担っていただきます。

3年後に控えたオリンピック、パラリンピックの担当は、鈴木(俊一)大臣にお願いしました。政治経験が豊富なことはもとより、東日本大震災の被災地岩手の出身です。

2020年には、東北が復興した姿を世界に向かって発信する。まさに「復興五輪」となるよう準備を進めてもらいます。東北の復興なくして日本の再生なし。これは安倍内閣の基本方針であります。

吉野(正芳)復興大臣には引き続き被災地福島出身の閣僚として、現場主義を徹底し、被災地の声を復興につなげてもらいたいと思います。

先月の九州北部豪雨をはじめ、本年も全国各地で自然災害が相次ぐ中、復旧復興を進めるとともに、全国的な防災減災対策も重要です。

これまでの実績の上に、石井(啓一)国土交通大臣には今後もその任にあたってもらいます。防災担当大臣兼国家公安委員長は小此木(八郎)大臣にお願いしました。今回が初入閣ではありますが、これまで党や国会にあって危機管理対応に手腕を発揮してきた方です。

初入閣は6人

今回は全部で6人の方が初入閣となります。若手、中堅ならではの発想力、突破力を期待しています。企業経営の経験をもつ松山(政司)大臣には、イノベーションやIT、資材戦力など、日本経済の未来を開く戦略を練り上げてもらいたいと考えています。

国会で消費者問題の特別委員長を務めたこともある江崎(鉄磨)さんには、消費者および食品安全の担当大臣をお願いしました。そして現下の最重要課題の一つである沖縄及び北方対策に全力投球してもらいます。

沖縄の基地負担軽減を担当する菅(義偉)官房長官とともに、沖縄のみなさんの気持ちに寄り添いながら、可能性に満ちた沖縄の振興に全力を尽くしてもらいたいと思います。

自民党は人材の宝庫です。老壮青のバランスを取りながら、今回それぞれの分野で専門性と実力を兼ね備えた人材を集めることができたと考えています。

内閣の要である総務大臣兼女性活躍大臣は、野田(聖子)大臣です。私と当選同期であり、自民党が2度下野したとき。苦しいときも共に過ごしてきました。そして常に私にとって耳の痛い話もしっかりと直言してくれます。

私たちが政権を奪還し、与党一丸となって危機突破に向けた体制を整えたときも、野田さんに党三役である総務会長をお願いしました。今度は閣内で政権を支えてもらいたいと思います。

結果本位の「仕事人内閣」である

振り返れば4年前も、我が党を含め、政治全体に対して国民のみなさんの厳しい目が向けられていました。政治不信が高まる中での船出でした。

一つひとつ結果を出すことが政治への信頼を回復する道である。そう信じ、内外の諸課題に自民党・公明党の安定した政治基盤のもとで、全力投球してきました。

あの政権交代のときの強い使命感と高い緊張感を内閣全体として思い出し、あの原点にもう一度立ち返らなければなりません。党内の幅広い人材を集合し、すべては国民のため、しっかりと仕事に専念できる、結果を出せる体制を整えることができたと考えています。

この内閣は、いわば、結果本位の仕事人内閣であります。国民のみなさまの声に耳をすまし、国民のみなさまとともに、政治を前に進めていく。そして、しっかりと結果を出していく。

その決意でございますので、みなさまのご理解とご協力をご支援を、お願い申し上げます。私からは以上であります。