生活のなかでどう役に立てるか

続いてハブなんですけれども、このハブというのは、まだ商品とかブランドに興味関心を持ち切れてない生活者にアプローチする上で、非常に重要なカテゴリーです。

さっき申し上げました通り、1つのブランドAというものがあったとしても、生活者それぞれの思考によって、それからシチュエーションによっては、感じ方はさまざまですよね。

ここでは例えば若いカップル、ファミリー、それからおひとりさま、例えば同じ商品であっても受け取り方はさまざまです。で、彼らは彼らなりの生活が既にあるんです。

であれば、彼らの生活スタイルのなかで、どう生活のお役に立てるのかというところまでブレークダウンして考えて、メッセージを出してあげると、より関連性が深まるという話ですね。

トルコ航空が自社キャンペーンに各国ユーチューバーを起用した理由

トルコ航空さんはサッカーのリオネル・メッシ選手やバスケットボールのコービー・ブライアント選手を起用してグローバルキャンペーンをやられています。

ただ、1つ課題があったそうです。彼らは当然、エアラインなので、エアラインを使ってイスタンブールに来てもらうということがメインのポイントになります。

いわゆるインバウンド、日本でいうと、中国から観光客がたくさん来られるというインバウンド戦略のなかで、そのターゲットとしている国々の文化、そういったものまでは、トルコ航空さんも理解するのは難しいという課題があったそうです。

そこで起用したのがユーチューバーです。今回は重要視しているトップテンのマーケットで非常に活躍されているユーチューバーさんたちに、イスタンブールに来ていただいて、イスタンブールのよさを描いて自由にYouTubeに投稿してくださいというキャンペーンを行いました。

これのポイントは何かって、さっきの繰り返しです。ユーチューバーさんたちは、その自国で大人気なわけですね。どういうコンテンツが受け入れられるかということをよくご存知の方々です。

その人の視点でイスタンブールの遺跡だったり食だったり、いろんなところを紹介してあげることで、通りいっぺんの観光案内にならない。

コンテンツが非常に細分化された、その国々の方々の興味関心に即したコンテンツを作ることができたというポイントになります。

日本だと、トルコでいうとケバブみたいなイメージがあると思うんですけど、このバイリンガールちかさんも、そういった日本人にウケる動画を制作して、コンテンツとして提供されているという例になります。

ストーリーをいかに持たせるか

あと日本ではやはりネスレさんが、非常にたくさんのチャレンジをされていて、女性向け、商材のメインはチョコレートだったりとか、コーヒーだったりとかいう、低関与商材が多いですよね。数百円で買えるもの。

こういったもので、いかに関連性をつくるかということで、たとえば女性であれは恋愛ドラマ系、レシピ、ヨガ、いろいろあります。男性だったら、ゲーム、ゴルフなど。これを、それぞれのジャンルに関連するコンテンツを作って、そのストーリのなかでコーヒーなりチョコレートなりがどのような役割で展開されていくか、というものを作っています。

これによってブランドリフトしたのか、認知度が上がったのか、興味関心の領域が深まったのか、というものを調査して、PDCAを回しているというやり方をされています。

YouTubeは大きな検索エンジン

次はヘルプコンテンツです。具体的にいうと、YouTubeというのはグーグルに次いで世界で2番目に大きな検索エンジンでもあるんです。YouTubeの動画はグーグル検索結果にも表示されます。

皆さまも無意識のうちに、「動画で見たいな、知りたいな」と思ったものを、何かしら検索した結果、たどり着いたのがYouTubeの動画ということが多分、無意識のうちにほぼ確実に起きているんだと思います。

じゃあ、そのYouTubeで動画で見たいなと思って検索するものって、どういうものなのか。多くのケースがハウツー、ノウハウものです。

先ほどの話でいうと、ハロウィンであれば、衣装、メイク、こういったキーワードがハロウィン直前の2ヶ月間で一気に増えます。クリスマスのコスプレだったり、化粧品のメイクだったり、こういったノウハウ系のものが非常によく検索をされます。

検索って何でしょうかって話です。無意識のうちに、当たり前のように行っていると思うんですが、検索というのはニーズの現れです。

思いついた、感じた、じゃなくて、実際にアクション、タイピングだったりボイスサーチだったり、アクションを行って知りたいと思った、非常にパーソナルな要求が出ているのが検索です。

例えば、メイク、YouTubeでも話題のカテゴリーなんですけど。見ていただくとわかるとおり、ここにユーチューバーさんたちがたくさん上がってくるんです。

メイクって検索しているユーザーは恐らく「かわいいメイクのやり方を知りたい」とか、「アイシャドウの新しいやり方を知りたい」とか、メイクに何かしら課題を持っているので、メイクアップのブランドさんはここをぜひ捉えたいですよね。

なので、まずやるべきことは、こうやってサーチして上に上がってくる方たちの動画の作り方を検証して、まねできることはまねするとか、もしくは彼らとコラボレーションするか。それでも上位に表示されにくい、アクセスされにくいというときにはこれは弊社の広告枠ですが、TrueViewインディスプレイ広告というのがあります。

TrueViewというと動画の前に流れるインストリーム動画広告というイメージが強いと思うんですが、実はこれは検索結果だったり、関連動画枠だったりというところに表示され、クリックされた時点で課金されるものです。

この、検索結果の上に出てくるところは、さきほどのマイクロモーメント、具体的な意図が発生している瞬間を捉えることができるので、もしご存知なかったら、ぜひ使ってみてください。

ユニリーバの成功事例

こういったものをうまく取り入れているのがユニリーバさんです。このAll Things Hairというチャンネルが非常に人気です。

ある一定期間で、YouTubeでビューティーやファッション系のジャンルで見られている動画のうち、どれぐらいのボリュームの動画がブランドから発信された動画なのかというのを、ユニリーバさんは調べたそうです。

そうすると、わずか3パーセントしかブランド発の動画というのは見られてなかった。残り97パーセントはほぼユーチューバーだったり、一般の方が投稿しているビューティー系の動画だったという真実を突き止めました。

それであれば、ここで活躍している皆さんから情報を集めたほうがいいよねということで、そこに出られている、活躍されているユーチューバーを始めとした一般の方々に、「ヘアケアに関連するすべてのことを」ということで、その動画を作って上げてもらうというコンセプトでAll Things Hairというのが出来上がりました。

これで、ローンチして10週間程度で合計5,000万回以上の再生されて、多くの女性に見ていただけたと伺っています。

このヒーロー、ハブ、ヘルプというのが、企業の方々がYouTubeをマーケティングに活用していく上で実践していただきたいストラテジーです。

動画それぞれに役割を持たせることの必要性

最後にKPIの話です。

動画を作った場合で、「バズらせるだけで終わらせちゃいけないですよ」と申し上げているのは、動画それぞれに役割を持たせるべきだということなんです。

先ほどのヒーローコンテンツは圧倒的に認知を取るための動画の作り方ですが、最後にご紹介したヘルプコンテンツというのは、より具体的に何かのやり方を知りたいと思って、よりニーズの濃度の濃い方なので、購入などのコンバージョンに近い方です。

そういった方々には、具体的に購入意向だったりとか、検索上昇率、つまり動画を見て具体的に何か知りたいと思って検索をした数が増えているかどうかをよく見てください。

グーグルでは、TrueViewインストリーム動画を使っていただくと、一定以上のインプレッションでサンプルがたまれば、先ほど申し上げたような広告想起とかブランド認知、比較検討や好意度、購入意向だったり、最後紹介した、実際グーグルやYouTube検索でどれだけ検索ボリュームが増えたかというのがわかるようなツールを無償で提供しています。

ですので、広告を作って出すだけじゃなくて、性別や年齢、興味関心などでターゲティングして関連度の高い方にしっかりお見せして、それを、かつ実際に態度変容に動いているか。ここまでしっかりと見極めていきましょうということです。

この後のパネルディスカッションでまたお話できる機会があればお話しますし、もしお時間あれば、この後でも何でも、ご不明な点があればぜひ、今日はいますのでお声掛けいただければと思います。

では、私からは以上です。ありがとうございました。

制作協力:VoXT