ダブル選挙で大阪都構想は掲げるのか

記者:読売新聞のキヨハラです。ダブル選の関係で確認なんですけど、大阪都構想は再び挑戦するということは掲げるんでしょうか。

橋下徹氏(以下、橋下):それは今度、党内プロセス踏んでダブル選、知事市長選挙出すということが固まれば、何を訴えていくかっていうのは、また政策の責任者のほうで考えてもらいます。それは今ここで、大阪都構想を前面に出すのがね、やっぱり大阪維新の会の政策の実績。これが他の政党の、特に自民党の首相になれば全部逆回転になりますよ。

だって、僕がやろうとしてたいろんな改革について、自民党が猛反対かけてるものいっぱいあるんですから。今実験してるものも、公明党が協力してくれて実現したいろんな改革ありますけども、自民党は反対反対言ってるやつたくさんあるんでね。

それこそ、中学校の給食とか、子供たちに配るタブレットの配布とか、ああいうのも全部反対してるしね。塾代助成だって反対しているわけですから。それから、交通局の初乗り料金180円引き下げたことも反対してるんですから、自民党の市長が誕生したら値上げになるかもわかんないですよ。

そういうことをきちっと整理して、今までやってきた大阪市政の改革、天下りの団体のことについてだって、職員の給料の問題にしたって、全部これが元に戻るというような訴えかけをしていくのか、大阪都構想っていうものを前面に出すのか、この辺はまた政策の責任者なんかに協議してもらいたいですけどもね。

記者:そういう意味で、今例示がいろいろありましたけども、現状自民党とは基本政策で一致してる部分は少ないと思うんですけれども。

橋下:大阪市政ではね。

記者:一部で相乗りみたいな話も出てますけども、維新としては独自候補を立てて。

橋下:その方向で行きたいと思っています。ただ、これまだ党内プロセス踏んでないので。松井知事には「こういう方向で行きたい」ということを言って、「党内プロセスの手続きに入ってほしい」ということを言ってますけどもね。

記者:柳本(顯)さんに対する期待の声というのは、戦う相手としてっていうことですか。

橋下:いやあ、もうそりゃあ十分だと思いますよ。自分もテレビなんかで出演させてもらってた中で、ぽーんと大阪府知事になりましたけども、そういう形で外からくる人よりも、大阪都構想について自論をずっと述べられて、あそこまで政策論争できる人が相手になれば、これは有権者のためになると、市民のためになると思いますので。

本当にガチンコで。こういう選挙が僕は理想だと思うんですけどもね。ふわっとした選挙じゃなくて、本当に大阪市政に熟知してるもの同士がきちっと政策論争をやって、有権者が判断するっていうのが理想の選挙だと思ってますね。

松井知事の離党について

記者:国政政党の絡みで、元々松井知事は顧問を辞任するとおっしゃられて、離党まではいきなりという話ではなかったと思うんですけども、昨日から今日にかけてお二人はどういう話があったんですか。

橋下:松井知事は当初から離党っていう話してたんですよ。でもそれは、僕がいろいろ話をする中で、公開討論ということで事情がよくわからないんで。今聞いてもみんなバラバラのこと言ってるわけですよ。

もうさっぱりわからないんで、国会議員だけで解決するっていうのは、それはないだろと。でも、僕ら地方議員みんながわざわざ東京に行って、全部それを傍聴するなんていうこと、それもう無理なんで。

しかも、大阪維新の党や大阪維新の会のメンバーだけじゃなくて、やっぱりメディアにもフルオープンにして、記者の意見だけじゃなくて有権者の状況とか、報道の状況とか、ありとあらゆるものを見て判断するためには公開討論が必要だと思ったんです。

それをやるんだったら、知事は党は離れないと。ただ、役職は辞めさせてもらうよ、というところだったんですけども、それを維新の党にも提案して、公開討論やるだやらないだ、うんちゃらかんちゃらってもうずっときて。

もうこれは国のためにならないと。今もう安保法制が参議院で議論されている真っ最中なんで、それだったらあるべき姿に戻って僕らは地方政治に集中。国政政党のほうは安保法制に集中。

それをやるためには何をやればいいのかってことになれば、役職を辞任するだけじゃなくて、離党したほうがすっきりすると、うまくおさまると。その代わり、離党ってことになると、みんな国会の今までの政治の慣行だと、これで分党なのかどうなのかとか、離党なのか分裂なのかってなってるけど、それは別に目的じゃないんで。

まあ、大阪出身の維新の党の国会議員は「一緒に離党する」とかいう声もあったみたいなんですけど、「それはやめましょう」と。それが目的じゃないんでね。分かれるとかそういうことが。しっかり留まってくださいと、維新の党の国会議員である以上は安保法制とか、野党再編に力を尽くしてもらう。

それは今井(新)さんも浅田(均)さんも、まずは今ここですぐ出るとかじゃなくて、ちゃんと残ってやってください。今回あくまでもダブル選挙に備えることと、安保法制に維新の党で集中する。

それをやろうと思えば、僕と松井知事が、まず二人が離党すると。本当そこまでなんですけどね。それで知事も「了解」と。そのかわり、柿沢(未途)幹事長の辞任を求めるとか、公開討論をやるとかね、そういうことも全部なしにしましょうと。

関西維新の会の設立の狙いと活動内容

記者:関西維新の会、19日付で総務省に届け出があったということで、近畿2府4県で活動していくということなんですけど、これの設立の意味と狙いを教えてもらえますか?

橋下:それはこれから大阪で政治やっていくためには、それなりの政治の力を持たなきゃいけないのでね。これは大阪っていう単位だけじゃなくて、関西という中でもきちっと政治勢力として塊ができれば。

やっぱり政治行政やろうと思えば政治の力は必要なんで。今までみたいに、全国の首長はそうですけど、皆ぽこんと役所の上に乗っかってるのか、議会の各会派にね、相乗りで支えられているようなそんな首長だったらそれは改革とかできませんよ。

やっぱり自前でちゃんと戦えるような、そういう首長が誕生しないと改革なんかできません。だからしかるべき政治力を持つためには、大阪の枠を超えて、関西できちっとした地方議員の政治力を結集してね、自前で選挙ができる。そういう首長を、関西の中でどんどん誕生させていきたいですけどね。

それも大阪だけじゃなくて、関西全体もやるべき改革っていうものは進めて行くべきだと思ってます。ただ僕は後3ヵ月かそれくらいの任期しかないので、そういう道筋を作るのが最後の僕の役割だと思ってますから。そういう意味で、自分が最後どういうことを残して辞めていくのかっていうことで、今回は二人の離党っていう選択をしたんですけどね。

記者:それはローカルパーティとしてやっていくということですか?

橋下:そうです。

記者:維新の党の大阪専属の国会議員に入ってもらうとか。

橋下:いや、それはもう維新の党の国会議員は維新の党ですよ。ローカルパーティといっても今は地方議員のグループですから。知事選、市長選挙やるには国会議員じゃなくて地方議員で十分なんですから。

記者:古来的な国政政党化っていうのは見据えてはいるんですか?

橋下:今は全然考えてません。何が原理原則かっていうことを考えただけですから。将来的に国政政党かどうかなんていうのは今ここでは考えていません。

自民党に任せたら大阪は不幸になる

記者:市長選なんですが、これまでの会見では、自民党に1回任せてと、再三おっしゃられてましたけども、それを変えられたのはどういう理由なんでしょうか。

橋下:もう自民党には任せてられないと。大阪会議の状況もそうだし総合区も何にも進まないし。とてもじゃないけど自民党に任せたら大阪は不幸になるなという。これから僕は民間人になったら、すぐそこで法律事務所構えて大阪市に税金払わなきゃいけないんですよ。大阪府にも税金払わなきゃいけないんでね。

とてもじゃないけど納税者の立場で自民党には任せてられません。だから大阪維新の会、自分で作ったんで。そういう意味でちゃんと自民党が大阪会議もちゃんと仕切ってね、僕が提案したように。

「行政のマネジメントやっている経験から、大阪会議の事務局ちゃんと作らなきゃ駄目ですよ」って言ってんのに、しょうもない感情論でね、それを言ったら自民党の議員が「何か、やる気がない」とか、感情的になってるけども。

そういう組織を動かしたことのない自民党の議員が、本当にどうしようもないんですよ。これは大阪不幸になるんで、僕も総合区の話なんてすぐ出て来ると思ったんですよ。総合区。自民党何にもやらないじゃないですか。こんなら大阪もう不幸のどん底になりますから、やっぱりこれは維新の会で出さなきゃいけないなっていうの思いましたね。

先ほど言ったように、仮に知事だけ維新になって、もし市長が維新以外になると、これまた不幸のどん底になるんで。これは維新でしっかりと候補者立てようと。有権者に対して選択肢を示すということもあるんですけれども。

記者:橋下さんご自身も、ダブル選もそこまで私関わりませんみたいな感じでおっしゃってたと思うんですが、今日のお話ですと、積極的に松井知事とやりますと。この変換はなんでしょう?

橋下:だから自民党も共産党も、他の野党が何にもやんないからです。やってくれると思ってたんです。住民投票終わった後に。だって協力しますよって言って、僕らは住民投票の結果を受けて大阪会議の賛成したんですから、提案に対しては。

僕らは民意ってものを尊重して、いくら自分たちの考え方と違っても、まずはそれで民意が出た以上はそれに乗っかるっていうね。ずっと僕が言ってたことだから、それはやったんですよ。

もともと僕らは4年前の大阪府知事選、大阪市長選挙、その前の前の統一地方選挙の時に大阪都構想を掲げて民意を得たんだから、「協力してくださいね」って言ってるのに、自民党も民主党も、当時公明党も共産党もみんな猛反対して、選挙結果を無視して大阪都構想反対反対ってやってきたわけですよ。

でも僕は5月の17日の住民投票の結果を受けて大阪会議には協力しました。総合区だって、提案が来たらちゃんと対応するよっていうことを指示を出してるわけですよ。でも何にもないんだから。この3ヵ月間、4ヵ月間。5月の17日から何ありましたか?

これじゃあもう自民党、その他の政党には任せてられないので、任期中の最後の仕事としてしっかりと維新の候補者誕生に向けて頑張ってやっていきたいと思います。