外見からあなたの本質を見抜く!
鑑定集団「バンビーズ」が説く、万人に共通する“心の弱さ”とは

How to look at strangers #1/2

アメリカ国内外で活躍するパフォーマンス・アーティスト、The Bumbys(ザ・バンビーズ)。彼らは初対面の人物のイメージを鑑定するという一風変わったパフォーマンスで知られている。そんな彼らが結成から6年間で鑑定してきたのは約2万人。さまざまな人物を鑑定するなかで彼らが知った、人間の共通点とは?(Ted×Teen2014より)

スピーカー

代理人
パフォーマンス・アーティスト The Bumbys(ザ・バンビーズ)

パフォーマンス集団「バンビーズ」とは?

バンビーズ代理人(以下、代理人):「20,193」この数字は、マディソン・スクエア・ガーデンに納まる人数であり、この6年間の奇妙な冒険で、僕たちが関わりを持った見知らぬ人の人数でもあります。この約2万人の見知らぬ人々については、また後ほど触れますが、まずはこの怪しい人たちについて語りましょう。この人たち、一体どうしちゃったんでしょうね?

(会場笑)

彼らは、「バンビーズ」という、パフォーマンス・アート・デュオです。この星条旗模様のバンダナの人物は、ギル・バンビー。赤毛のかつらの人物は、ジル・バンビーです。向こうにいるイケメンのラテン男はホゼです。彼と僕とを含めた3人が、バンビーズの代理人としてコミュニケーションをとる役割を果たします。

バンビーズはしゃべらないのです。さてみなさん。この人たちは、しゃべらないわ、アイデンティティは非公開だわ、怪しい風体だわで、一体何をする連中だろう? と、不思議に思っていることでしょう。

バンビーズは、彼らの前に立つ勇気のある人に対してなら、誰にでも「公正にして率直な、あなたの外見の鑑定書」を書いてくれます。バンビーズの前に立つ、見知らぬ人、誰に対してでも、です。

そしてこの鑑定書は、批判的な、通信簿のようなものではありません。あなたが世の中からどのように見られているかを楽しく描く、おもしろいストーリーなのです。世界中の人々にこのカードを書き続けているうち、僕たちはいろいろな事を学びました。

その話をする前に、なぜこのような事が始まったのか、話しましょう。とても奇妙な物語です。さて、「バンビーズへの道」です。

退屈が苦痛でストリート・パフォーマンスの道へ

ここにいるギル・バンビーは、6年前、やる気が起きず退屈していました。大学在学中の4年間に彼は、非常に有名なバンドの作詞家として活躍していました。しかし20代半ばの若者がアーティストとして成功するのは、特にニューヨークにおいては、とても難しいことです。

何よりその頃、世の中は大不況に陥りました。他の大多数の人と同じく、彼は現実的な仕事に就く必要に迫られました。そして幸運にも、無事就職することができました。彼は自分でもよかったと思っていましたが、その職は彼に全く合っていなかったのです。

ウォールストリートで(ギル氏に向かって)財務の仕事ですよね? 今でも、そういう風に人には説明しているはずです。しかし、その仕事は、彼には不向きでした。何より、彼自身が飽きてしまったのです。

みなさんもご存じだとは思いますが、「退屈」という感覚は大変な苦痛です。彼は、気が狂いそうだと感じました。実際のところ、彼は文字通り、精神に異常をきたし始めていたのです。

しかし、結果としてそれはよい成果につながりました。彼は、常識はずれな行動をとらざるを得なくなったからです。彼がやろうと思ったことへのインスピレーションについては、容易に説明がつきます。彼本人がそもそも、常識はずれなアーティストだからです。

また、彼は人のために働くことが好きです。そこで彼は、覆面とタイプライター、マジックで「『公正にして率直な、あなたの外見の鑑定書』を2ドルで書きます」と書いたボール紙の看板を用意しました。

これがその写真です。初めてのパフォーマンスは、ブルックリンのべッドフォード・アヴェニューでした。そこのブロックの代表として彼は、イメージ・コンサルタントを自認していたようです。後で説明します。こうして彼はストリートでデビューしました。

さて、みなさんもご存じのとおり、ニューヨーカーはストリートにいる変な人に対して、ものすごく免疫があります。

(会場笑)

少し時間はかかりましたが、恐る恐る、次第に人だかりができて、みんな、彼が自分についてどんなことを書いてくれるのかを知りたがりました。

2~3時間ほどこれをやって、ふとポケットを探ると、うわあ。170ドルもあるじゃないか、と。ダンボ地区のパフォーマンスで得られる金なんて端金かもしれませんが、20代半ばのアーティストにとって、それはとてもクールなことなのです。

彼は、この実験は成功したと踏んで、引き続き、ベッドフォード・アベニューや地下鉄でパフォーマンスしました。僕たちの前のスピーカーがユニオン・スクエアの写真を見せてくれましたが、彼はそこでもパフォーマンスをして、許可をとっていなかったとして、違反切符を切られました。

(会場笑)

現在のバンビーズに至るまで

こうしてギルがニューヨークでとんでもないことをやっている間、僕はロサンゼルスでエンターテインメント業界の会社で働いていました。僕もまた、退屈していました。業界にはいろいろな人脈があるのですが、彼らが僕らをつなげてくれたのです。

ある人物が僕に電話して来て、奇妙なストリートパフォーマンスの経験談をしてくれました。それは、今まで僕が聞いたことも無いような話でした。僕はそれを聞き、この上なくクールだと思いました。そして、もっと大きくて、ワイルドで、常識はずれなことをすべきだと考えました。

彼とパートナーを組んで、お互いの力を補い合おうと考えたのです。彼は書く担当、僕は声とMCを担当しようなどと考えました。最初に言った通り、彼はしゃべりませんからね。そこで、彼にいろいろ聞いたり、彼と契約を結んだりしたいと思ったのですが、ここまでがなかなか大変な作業でした。

さて、みなさんは、この若い女性はどこから登場するのだろうと考えているでしょうね。

ある日、ギルがパフォーマンスで、彼女を鑑定したのです。彼女は超人的な探偵技でギルを特定し、パフォーマンスに参加したいと申し出ました。

ギルは、最初は迷ったのですが、彼女にオーディションを受けさせました。そして見事に合格し、ギル・バンビーの元に、ジル・バンビーがやって来たのです。まあ、いろいろな意味で。

さて、こうして彼ら2人と、オーディションでさらに2人、MCやらスポークスマンやらの役割を果たす、僕やホゼのような人物を加え、この世で最も奇妙なバンドが始まりました。

ジルが参加したことにより、女性の目線が加わって、プロジェクトのバランスがよくなりました。ジルの参加などのプロジェクトの要素は、我々自身がコントロールできるものです。

一方で、幸運もありました。例を1つ挙げましょう。ある日、パフォーマンスをしていたところへ、1人の一風変わった高齢女性が現れました。

ギルが彼女に「あなたは、僕らを内輪の仲良しグループから抜け出す手助けをしてくれる、クールなチャンスをもたらす人に見える。僕を最初のコンサートに導いてくれるだろう」と書きますと、彼女は、これはとてもセンスがいい、と感じました。

実は、彼女は、単なるエキセントリックなおばあちゃんではなかったのです。彼女は、大物のアート・キュレーターでした。こうして彼女は、初めてストリート以外でのパフォーマンスの契約をくれたのです。

彼女は、こんな風にアートギャラリーをセッティングしてくれました。計画的、あるいはラッキーなできごとが次々連鎖して、いつのまにか僕らは、小さなストリートプロジェクトから、国際的なパフォーマンスのブランドにまで成長しました。その道すがら、たくさんの冒険をし、多くを学びました。それもまた、後で話しましょう。

バンビーズの鑑定書

さてここで、僕らがやっていることを、みなさんにライブでお伝えできたらおもしろいですよね。誰か実際にやってみたい方に来てもらいましょう。ホゼ、誰か連れて来てくれる?

はい。そこに立って笑ってください。別に笑わなくてもいいですけど。彼らが、タイプして書いてくれますよ。ほら、簡単でしょ? では、彼らが鑑定書をタイプしている間に、僕が、初めて書いてもらった鑑定書をお見せしましょう。

僕らが初めてジルに会った時、彼女は鑑定書を1枚、書いてくれました。彼女が僕について聞き知っている事はといえば、僕が大きくてファッショナブルな仕事につく手助けをしに、ロサンゼルスからニューヨークに来たということだけでした。

「おや、おや、おや! いかにもLAですね。生まれながらに、ゴルフカートを運転して、ビル・マーレーをセットに案内する感じ。でも、ビッグになって自分のセッションを始めると、ナオミ・キャンベルが電話しても、多忙のあなたを捕まえる事ができなくなり、電話を投げることすらできなくなるでしょう。私はあなたに火をつけられて、すぐにこれを書き上げました」

僕はわくわくしました。これはとてもおもしろい。LAのくだりは、まさに僕はその通りで、屋内でサングラスを掛けたりする、20代半ばだった僕がクールだと思ってやっていたばかな様子をうまく描いています。

何より、このカードは僕の心をわし掴みにしました。僕は「そうだ!僕はうろうろゴルフカートなんて運転している場合ではないんだ。僕はビッグな仕事をするべきなんだ。僕は、自分のセッションを開くべきなんだ。それをやるのは他でもない、この僕なんだ!」と。

なんだか、とても簡単なことのように話していますが、完全に常識はずれのプロセスでした。僕が健康保険制度のあるパラマウント・ピクチャーズ社を辞めて、おかしな覆面の2人組と世界を周るんだ、と言い出した時の親父の顔を見せてあげたいですね。

(会場笑)

ものすごく微妙な表情でしたね。やあ、父さん。さて。僕らは、これからどうしよう? 何をしよう?

バンビーズは人間がもつ2つの欲求に応える

僕らは検討して、これは長い目で見た継続的なプロジェクトにするべきだ、単なる一過性のトレンドに終わらせるべきではない、という結論に達しました。

そして、2つのことが必要だ、ということになりました。1つに、人はフィードバックを求めます。どんなに謙虚でつつましやかな人でも、人は皆、自分が他の人にはどのように映っているのか、知りたがっています。

僕らは人に、友達や家族が与えるより、ずっとよい評価を与えることができるんじゃないかと考えました。なぜなら、僕らは、例えば友情なんかの目に見えない境界線を、越える必要がないからです。

僕の友達の心理学者が、こんなことを言っていました。患者に最初に会った時が、一番プラスの内容の診断を下す事ができる。関係性や絆が生じてしまうと評価が下がる、と。僕はこれを、とても興味深いと思い、自分たちのパフォーマンスにも関連があると思いました。

つまり第1に、人はみな、フィードバックを求める。第2に、人は、自分たちの知らない人からは、よくない扱いを受ける、と思いがちである。ということです。この2番目については、みなさんよくわかっていると思います。

近所の新聞売り場に行って見てください。みなさんのお宅の近所はどうだかはわかりませんが、うちの近くの売り場に行くと、ゴシップ紙やらタブロイド紙やらネガティブな内容に満ちています。

そこで、僕らは、そんな筋書き、思い込みをすっ飛ばして、このプロジェクトでは、みんなの意表を突いてやろうと考えました。そうすることにより、長期的な展望で長続きするプロジェクトになると思ったのです。そして、僕らの読みが正しかったことが証明されました。

伝えたいのはポジティブな肯定

大舞台でのパフォーマンスでは最初からこのようにとんでもない行列ができるのですが、全くもって気違い沙汰です。平均的に、40分待ちの行列ができます。みんな僕らが何を書いてくれるか、知りたがるのです。

しかし、何回パフォーマンスしても、取材を受けても、人は皆、いやなことは書かないの? と僕らに聞きます。みんな何かしら、批判的な評価の、成績表のようなものをつけられるのではないか、と思うようです。

そうじゃないんです。ネガティブじゃないんです。ネガティブなことの方が、簡単なのです。僕らがしたいことは、クールでポジティブな、肯定なのです。

これはジルがクレアという女性に書いた鑑定書です。ここでもジルは、この人と面識はありません。ジーンズメーカーの、ランダムなイベントでした。ジルはクレアに、「あなた絶対モデルでしょ?」と書きました。

それは、当たりでした。少なくとも、見当はずれではありませんでした。クレアは、ゴージャスな美女だったからです。ここで注目すべきなのは、クレアがジルに向かって、「私について、あなたがどう思っているのか書いてほしい」と言って来たことでした。

どうしてこれが興味深いかと言いますと、クレアは実は、今をときめく人気ブロガーだったのです。つまり僕らが知ったのは、見知らぬ人というのは実のところ、そんなに怖くないということです。

セレブだってセンシティブ

社会で人と交わる場面において、緊張することって多いですよね。なぜなら、僕らは皆、自分が良い人か否か、クールか否か、自信がないからです。それは、僕らには全員必要なことです。

恐怖も、自己防衛のためには必要なものです。でも、おもしろくて皮肉なことに、僕らは逆に人と繋がっていたいんです。それが人の弱さなんです。僕が「みんな」というのは、本当に文字通り、「みんな」のことです。セレブの人を例に挙げます。

知名度の高いイベントでは、最初僕らはとても緊張しました。有名デザイナーや、俳優、大好きなファッションモデルなどに会うからです。ガチガチになります。それがどのように解決したかと言いますと、こういった人たちに、自分たちと同じレベルに降りて来てもらって、バンビーズの前に立ってもらうんです。

すると、彼らにも僕らと同じように、誰にでもあるナーバスさや、そういうエネルギーがあるということがわかってきました。事実、そういったセレブの人達が僕らに「いやなことを書くんじゃない?」とか、「自分のことは好き?」って聞くのです。

こちらは、「ちょっと、僕らがあなたについてどう思うかとか、そんなことを気にしている場合じゃないでしょ。あなたエミー賞取ってるでしょうよ!」とか、思うわけですね。ここでぶっちゃけますが、アーロン・ポールさんは、ちっとも緊張しませんでした。彼はクールで、僕らは「ブレイキング・バッド」の大ファンです。

つまり、こういうセレブの人達に会っても、似たようなナーバスさを持っています。まぁアーロンさんはそうじゃないんですが。一般的に人は皆そうなんです。おかげで、僕らは自信がつきました。

また、人間の行動について知り、人間の経験を共有することができました。この6年間を振り返ると、僕らは心底、極めて常識はずれな冒険をして来たなあ、と思います。僕は、クールな仕事を手に入れました。

世界を周って、このように本格的なイベントに参加し、おもしろい人達に会う事ができています。ティナ・フェイ(『サタデー・ナイト・ライブ』、コメディバラエティ番組出演)と会えたことは驚きでした。

本物のエンターテインメントに出演する機会を得て、非常に楽しかったです。ちょっと僕のオタクっぽい話をしますが、ここで、こうしてナイル・ロジャースと共演しているのは夢のようです。実は、1年前、僕はパソコンの前に座って、彼の動画にかじりつき、ダフト・パンクとの仕事はなんてクールなんだろうと語っていました。

それぞれの鑑定書

さて、こうして話している間に、ナイルにはスポットライトに戻ってもらって、バンビーズがどんなことを書いたか聞いてみましょう。読んでいただいてもらっていいですか? シェアしてかまいませんか?

ナイル・ロジャース氏:「ちょっと待ちな! 誰かが、あんたについて、ウィキペディアのページを書いて、まだ一緒に仕事をしたことのない人物名のリストを掲載するべきだ。その方が、仕事をした事のある人物名リストよりは、短く済むはずだ。

頂点から見渡した世界が、どのように見えるかなんて、あんたに説明する必要なんてない。でもあんたは、彫刻になるようなオリンピック選手と決勝戦をするのが好きなタイプみたいだからね。

これからどうするつもりだい? 全ての山には登ってしまっただろう? 新しいことにチャレンジしてみないか? どうだろう、学校に戻ってCPAを取ってみないか?

(会場笑)

金が必要だからじゃない。このチャレンジが、あんたには必要だからだよ。今度は、来年あたり世界一の公認会計士になっているんじゃないかな。アースズ・ライトフル・ルーラーが次のヒットを飛ばしたあたりで、電話をかけて、税金払えって言ってやったらどうだい?」

(会場笑)

会場から選ばれた観客:(カードを読み上げる)ちょっと、あなたを見てごらんなさい。もし私がヤング・アダルト小説家なら、喜んであなたを主人公にするでしょう。あなたは、世の中からちょっと浮いているキャラクターです。

あなたは鏡に向かい、スーパーナチュラルなパワーを学ぶでしょう。もしくは、レッド・ツェッペリンのカバーバンドの、黒づくめでゴシックドレスが似合うような、小粋なベーシストも向いているかもしれません。

あなたはちょっと変わり者で、エキセントリックなのかもしれませんが、愛すべき人物です。ユーモアがちょっとこなれていなくて、たまにドライな時もありますが。「ロック・オン・ゴールド・ダスト・ウーマン」のようなすばらしい音楽を奏で、誰かの心を救うかもしれません。

代理人:みなさん、ありがとう!

<続きは近日公開>

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