2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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司会:ありがとうございました。それではこちらで5分ほど質疑応答のお時間とさせていただきます。佐藤さまにご質問のある方は挙手にてお知らせください。しっかりファンベースのことを……。
(会場挙手)
お一人、よろしいでしょうか。
質問者1:貴重なお話をありがとうございます。今のファンベースのお話で、基本的には結婚式場に限らず、購買した方でファンを増やしていくような印象のお話だったと思います。他業界も含めて、購入する前のファンを増やす動きに成功しているような、ファンづくりに成功しているような企業や業種はあるのでしょうか?
佐藤尚之氏(以下、佐藤):ありません。基本的には購入しないとファンにならないので、使ってみないとわからない。ただ友人たちが異常にほめていて、自分は使ったり行ったことはないけど、なんとなく好ましく思っていることはあると思います。
ですが、いわゆるファンというものは、「にわか」とよく言うじゃないですか。軽いファンですね。例えばJリーグでも、すごい選手を海外から引っ張ってきて、しかも強かったりすると、急にファンが増えるんですよ。
でも本当のファンは、弱いときもちゃんと支える人たちです。つまりそのチームの背景にある思想とか、創業のときの志とか、そういったものを理解した上でのファンなんですね。そうじゃないと、なんというか薄っぺらいファンなんです。それをファンと呼ぶのは、我々の間違いです。
式場にしてもホテルにしても、「そのイベントがよかったね」という程度のファンだと、みんなすぐに忘れちゃったりしますよね。もっと思想とか、考え方とか、本当は裏側でこんな努力していて「え〜、すごくうれしいわ」と思ってもらったり。
そういったことをちゃんと見せていって、深くファンになってもらう必要がある。そういう深いファンの意味で言うと、使用前でのファンはいないと思います。
質問者1:ありがとうございます。引き続き1つよろしいですか? 今のお話につながるんですけれども。結婚式場だと、よく結婚式以外のイベントで認知度を高めるような取り組みを行っていることが非常によくあるんですけれども、そういったイベントを介してファンを増やすことについてはどう思われますか?
佐藤:僕自身は最初にお伝えした、「情報が多すぎる」ということを(多くの人々が)なめていないか、すごく深刻に思っているんですね。だから、認知を増やすことはずっと広告の金科玉条だったんですけど、僕はそこをあんまり信用していないんです。人はすぐに忘れるだろうと。我々は昨日起こったこともすぐ忘れてしまう。
1ヶ月前に亡くなったこととか、なにか事件があったこともすぐ忘れるんです。もう吹田の拳銃の事件だって、すごく遠く感じるわけですよ。「いつだっけ?」というような感じになるわけですね。
なので、あれだけ情報が多いと、我々の記憶では覚えていられないし、「あ〜、そういうことがあったよな」と思っても、いざ自分が結婚したときに思い出すなんていうことは、ほぼ起こらないと思ったほうがいいぐらいだとは思います。
ただ、実際にイベントをやってみて、リアルにここへ来て、「自分が結婚するとき、もしかしたらいいかも」と思うのであれば、それは体験なので、普通の情報よりは残りますけど、そういうニーズはそんなに多くないですよね。
なので、そういうときにちゃんと深いファンになってもらえるぐらい、忘れられない体験にしていくのが大事です。認知を作っていくぐらいのことではちょっと難しいんじゃないかと。僕が30数年やってきた上での今の結論です。
質問者1:ありがとうございます。そういった意味で、なにか忘れられないような、例えば継続することとか。あとは先ほどおっしゃっていたように、そのイベントを通して機能的な記憶だけじゃなくて、情緒的な記憶が残る……。
佐藤:一番情緒的なのはヒトですからね。モノからコトと言うじゃないですか、でもコトの前にヒトがあります。だからモノ、コト、ヒト。ヒトがすごく出てくると、よりみんなに情緒的に、記憶に残ります。
裏方の人も含めて、もっと前に出てくる。もしくはそういう努力をしているんだということを謙虚に、隠すのではなく、嫌味にならないように言うとか、いろんな文脈を出したほうがいいと思います。
質問者1:ありがとうございます。非常に参考になりました。
司会:そのほかにご質問がある方はいらっしゃいますでしょうか?
(会場挙手)
質問者2:お話ありがとうございます。ホモフィリアのくだりがありましたが、著名な方よりも、シンプルに友人や親族の方が自分にとって価値観が近いという話だったと思います。となれば、シンプルに価値観の近いようなアンバサダーさんや著名人の方を取り込んでいくというのは、シンプルに具体的で効果的な施策であるという考えで大丈夫でしょうか?
佐藤:僕自身は今日、主催のmaricuruさんの回し者ではないので、ざっくり言うと、アンバサダーよりも友人のほうが効くと思います。自分がよく知っている価値観の近い人。
アンバサダーがいろんな自分の情報を開示していく、つまりそのアンバサダーが「この式場いいよ」と言ったとしても、それだけでは信用しないので、自分と近いアンバサダーかどうかというような、ある種のマッチングは必要だと思います。
質問者2:自分にとって親近感があって、価値観がこの人に近いなという納得感があるんですね。
佐藤:そうですね。だから、文脈をもう少し出す必要がある。もう少し……実際に見たわけではありませんが、やっぱり文脈を強く出していったほうが、「この人が言っていることを信用したい」というふうに受け取ってくれると思います。
質問者2:よく理解できました。ありがとうございます。
司会:そのほかにご質問がある方はいらっしゃいますでしょうか?
(会場挙手)
お願いいたします。
質問者3:ありがとうございました。僕も先ほどのファンミーティングの話を、けっこう会場さんからお聞きすることが多いのですが、実は「花嫁会」というかたちで、実際にファンミーティングみたいなものが行われていたりします。
だけど、会場さん側が「触れちゃいけないもの」というような感じで、ちょっとタッチをしていない。そういう話をお聞きすることが多いのですが、積極的に後押ししていくとか、どういうスタンスで接するのがいいのかとか、ご意見があれば。
佐藤:花嫁会は、その会場でやっているんでしょうか?
質問者3:別の会場でやっているケースもあれば、会場さまのレストランをちょっと使ったりしているケースもお聞きします。
佐藤:一般的なファンミーティングの例で言うと、ファンたちが集まっているところに、企業の人や開発者の人、ディレクターとかが来ると、みんな大喜びするんです。そこはあつかましくない程度に入っていったほうがいいと思います。
そこで喜んでいるということ自体は、もちろんファンの集まりになっているんですけど、ちゃんと傾聴しなかったらその喜びが外に出ないので意味がないんです。なので、式場さん、会場のほうが主導権を握って、しっかりと傾聴できる方法をやっていってもいいと思います。
あとは例えば、マツダの車のロードスターは、ロードスターのファンたちだけが集まって超大規模なファンミーティングを軽井沢でやるんですよ。普通は新車発表ってメディアにするじゃないですか。でも、マツダは、そのファンミーティングで発表するんです。そこを利用するって通常はおかしいんですけど、そこでベールを脱ぎます。
要するに、一番喜んでくださる方の前で新商品を発表すると、ファンたちは「マツダはファンを見てくれている会社なんだ」と、より熱狂するんですよ。
なので、せっかくそのファンミーティングにファンが集まっているのであれば、それを活用する……と言うとちょっと失礼ですけど。そこに上手に入っていって、より共感を上げていくようにされたほうがいいと思います。
質問者3:ありがとうございます。
司会:ご質問は大丈夫でしょうか? 大丈夫なようであれば、こちらで第1章を終了させていただきたいと思います。佐藤さま、本日は本当に貴重なお話をありがとうございました。
(会場拍手)
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