『ファンベース』著者の佐藤尚之氏が登壇
佐藤尚之氏(以下、佐藤):こんにちは。はじめまして、佐藤と申します。今から30~40分ほどお時間をいただきまして、ファンベースというお話をさせていただきたいと思います。
今ご紹介いただきましたように、『ファンベース』という本を、去年の2月に出しまして。昨日増刷になったのですが、じわじわ売れている感じです。
僕はずっと電通という会社で、いわゆる新規のお客さまを取っていくとか、広告で人を動かそうとすることをやってきたんですね。自分の自己紹介的に言うと、電通という会社に25年以上いました。
今は独立してやっているんですけど、電通ではクリエイティブのところで、いろんな雑誌や新聞、テレビ広告、ネット、ソーシャルメディアなど、ほぼすべての媒体メディアをやったかなと思っています。
それを含めて「コミュニケーションデザイン」という、コミュニケーション全体を構築する仕事をやっております。ですので、新規のお客さんを取るということに関しては、もうずっとやってきたものですから、詳しいというか。そこのプロではあったんですね。
ですが、今は逆にそっちは難しい。ファンもしくは経験をした方からの口コミとかじゃないとほぼ伝わらない時代になっているという思いがあって、今はファンベースという方法をやっているところです。
ちなみに、もうちょっとだけ自己紹介があります。自分のサイトをずっとやっていて、ネットは1995年からやっています。まだYahoo!もGoogleもなかった時代からやっていますので、相当詳しいことは詳しいです。
それでも、今はほとんどネットで伝わるかというと、なかなか難しい。本当に生の声じゃないと伝わっていかない部分があるなと実感をしています。
あとは自分でこういうサービス(ジバラン~自腹覆面レストランガイド~)を立ち上げてやっていたり、本も書いたりしたんですけど、本業では3冊です。今申し上げたとおり、新規のお客さんを取っていくようなことの方法論を書いています。
そういうことを散々やったあげくに、今はファンたちを大事にする、既存のお客さまが大事だという方法になりました。今日はそのお話をしたいと思います。
過去33年間でこれほど新規の集客が難しい時代はない
本当にいろんな観点からお話しできるんですけど、今日はブライダル業界やウエディング業界に近づけてお話をさせていただけたらなと思っています。
ファンベースとは何かと言いますと、ファンを大事にすることだとわかると思います。なんですけど、それをベースにして売上げを上げていきましょう、というやり方です。
これはいろんな消費財や車、飲み物などにもだいたい当てはまる考え方なんですけど、ウエディング業界にも当てはまると思っています。新規のお客さまよりも既存のお客さま。既存のお客さまというのは、結婚された方ですね。そこで式を挙げたり、披露宴をされた方です。
その方々よりも、もう一歩行って、ファンを大事にすべきだろうという考え方ですね。ただ、ご存知のとおりというかモヤっとされるとおり、結婚は一生にほぼ1回ですよね。
なかには何回もされる方もいらっしゃいますけど、同じ式場を使うとか、同じことをやる方はあんまりいないと思います。そういう意味で1回ですね。みなさんはたぶん通り過ぎていくお客さまであろうと。
つまり新規のお客さまを、新規の顧客をつかまえるほうが大事なんです。もちろん今来てくださっているお客さまにもいい体験をしていただきたいけど、そのなかでファンにまでなってもらう必要があるのか、という話だと思います。
ですが、新規のお客さまの集客がこんなに難しい時代はないです。もう25年30年、33年間やっていますけど、こんなに難しい時代ないと思っています。今日のお話としてはとくに、広告とかタイアップ記事とか、そういったものはほとんど効かなくなってきているんじゃないかと。
もちろんそれで見てくれる人はいます。いますけれども、打率はどんどん下がっているし、みなさんそんなに簡単に読んですぐに申し込みをするかというと、なかなかそうもいかないだろうと。
数万年分の情報量をわずか3年で凌駕
そういうのが現状であることを、3つの観点から簡単にお話ししたいと思います。社会性などの部分もあると思いますので、パパッといきたいと思いますが、1つ目は「情報が多すぎる」こと。