『君の名は。』でも話題になった“くみひも”の数学をわかりやすく解説

組みひも占い

東京カルチャーカルチャーにて開催された、数学への想いを語り合う女性限定イベント「ロマンティック数学ナイトガールズ」。「くみひも占い」というテーマでプレゼンを行った清水理佳氏は、数学におけるくみひもについて図を使ってわかりやすく説明しました。

スピーカー

くみひもとはなにか?

清水理佳氏(以下、清水):みなさん、こんにちは。「くみひも占い」というタイトルでお話しさせていただきます。清水理佳です。

くみひもという研究対象があるんですけど、今日はみんなでくみひもを作って、それを使って占いをみんなでしましょう、みたいに思っています。

まず占いということなんですけど、みなさん、今、なにか気になっていることとかありますか? 占いたいこと。気になること。

例えば、恋占いとか恋愛運とかでもいいし、あとは明日の天気占いとかでもいいし、あとなにか、夢が叶うかとか、なにかとあると思うんですけど、ちょっと思い浮かべてみてください。

大丈夫でしょうか。そしたらくみひもを作ってみましょう。くみひも作って、あとでラッキーナンバーというのを定義するんですけど、それを使って占いをします。

みなさん、黒い紙、持っていらっしゃいますか? ありますね。ありがとうございます。それでくみひもというものを作っていただくんですけど。

まず、くみひもってどういうものかというと、こんな感じで上と下だけ固定されている絡まったひものことです。

なので、好きに絡ませて……先に固定されているほうが上で、こう絡ませて、一番下、穴が開いてるんですけど、そこに通して、裏側をキュッキュッと結んでとめるみたいな感じで、くみひもをこんな感じで作ってみてください。

今の説明で大丈夫ですかね。上と下が固定されていて、その間を自由に絡ませてOKです。あとでラッキーナンバーを計算するので、ちょっとゆったりめに作っていただくといいと思います。あまりキュッとすると見えづらくなっちゃうので。どうでしょうか。これぐらいゆったりめに交差が見えるように作ってみてください。

くみひもは文字列で表せる

じゃあ作っていただきながら、耳だけこちらに(笑)。くみひもというのはけっこう歴史が長くて、長いというか古いというか昔からあって。どれぐらい昔からあるかというと……(くみひも作りが)盛り上がってますね(笑)。

どれぐらい昔からあるかというと、くみひもは縄文時代からあります。縄文土器って写真とかでご覧になったことあると思うんですけど、縄文土器の模様はくみひもを使ってつけられているものとかもあったりします。あとは、最近でいうと『君の名は。』という映画、あれにも出てきてけっこう話題になったんですけど、日本の伝統工芸でくみひもってやっぱりあって、とても人気です。

いいですかね。できていますかね。作りながら耳だけ(笑)。このくみひもというのは、数学の研究対象にもなっていて。こう絡まってるものなので、絡まり方みたいな感じで幾何的な一面を持っているし、あと、あとで簡単にご紹介するんですけど、くみひも同士の足し算とかもできるので、代数的な一面も持っています。けっこうおもしろいし、大事なものですね。

どうでしょうか。できましたか。大丈夫ですかね。じゃあそんなわけで、くみひもの紹介をちょっとだけしたいと思っています。

まず、くみひもって、たぶんみなさんいろいろできたと思うんですけど、「こんなのできた」って説明するのがけっこう難しいと思います。「ここ1番目をこうやって交差して……」とかやったらけっこう説明するのが難しいと思うんですけど、くみひもって実は文字列で表すことができます。

どんな感じかというと、各交差の情報を上から読んでいくというので、まず左側にある交差のことは「σ1」と呼びましょう。右側にある交差のことは「σ2」と呼ぶ。

さらに各交差の上下の情報を符号で表して付け足します。ちょっとこれ見えにくいかもしれないんですけど、上にあるひもが右上がりになっているとき、プラスとしましょう。上にあるほうが右下がりになっているとき、マイナスとしましょう。

ちょっと注意点があるんですけど、(顔を横に傾けながら)こんなことをして見ると符号が変わってしまうので、まっすぐにしましょう。ここだけでもまっすぐに。

というわけで、プラスの交差のときは「σ」そのままなんですけど、マイナスの交差のときはこのσの右上に「−1」と書きます。各交差を上から読んでいくとσ1、σ2、σ1^(-1)(インバース)となって、このくみひもは「σ1σ2σ1^(-1)」という文字列で表されます。という感じです。

くみひもは演算もできる

ただ、注意点というほどでもないんですけど、この文字列での表し方は一意ではなくて、例えばこんな関係式が知られています。

1つ目、「σ1σ2σ1=σ2σ1σ2」というものなんですけど、どんな感じかというと、例えばここに交差があります。第3のひもがここにあるんですけど、この青いひもはこの交差を通り抜けることができます。こんな感じに通り抜けることができる。なので、この関係式が成り立つ。

あとこれですね。右から見ましょうか。2つひもがあるんですけど、赤いひもをつまんでもう1つのほうに乗せると、上、上というものができるんですけど、これは外したり、重ねたり、自由にできる。つまり文字列でいうと、σ1σ1^(-1)というのを自由につけたり消したり。これは文字式とかにもよく「xx^(-1)で消せる」みたいなのあると思うんですけど、そういうことができます。

あとちょっとだけおまけの話で、くみひも同士の足し算、足し算というか掛け算というか、演算というものができるので、それをちょっとだけお話ししたいと思います。

例えば、ここにこんなくみひもがあります。

「このくみひも+このくみひも」という足し算、掛け算。それはどんなふうに定義されているかというと、これの下にこれをつなげる、こんな感じ、と定義されています。文字列でいうと、これ+……足すかかけるかいつも迷うんですけど(笑)、これとこれをそのままつなげればいいというものです。

またこんなこともあって。くみひもの足し算をすると解けちゃうということもあります。もう少し詳しくいうと、任意のくみひもに対して、足し算すると解けちゃうようなくみひもが必ず存在します、みたいな。

それについてもっと詳しく知りたいという方はぜひ「くみひも群」という言葉で検索してみてください。

くみひもでラッキーナンバーを計算

じゃあ話に戻りましょうか。占いのほうの話に戻っていきたいと思います。まずは交差を思い出しましょう。まず、右上がりが上にあるときプラス、右下がりが上にあるときマイナスという符号を付けてたんですけど、ここでこんな関数を考えます。

右上がりが上にある、つまりプラスの交差は+1。右下がりが上にある交差は−1と与える。するとラッキーナンバーを定義することができて、こちらがラッキーナンバーの定義です。

どういうものかというと、まず、あるくみひもに対して、みなさんがお手元に持っているくみひもに対して、すべての交差におけるその符号、+1とか−1とか、を全部足し合わせたもの、それのことをラッキーナンバーと呼びましょう。本当は実はこれ「ねじれ数」という名前なんですけど、今日はラッキーナンバーと呼びましょう。

じゃあ例を見てみたいと思います。例えばこのくみひものラッキーナンバーを計算してみましょう。

上から見ていきたいんですけど、この交差は右上がりが上にあるので+1、この交差も右上がりが上にあるので+1、これは右下がりなので−1、これは−1、+1、+1となっています。これらを全部足し算すると2となるので、このくみひものラッキーナンバーは2となります。

ところで、みなさんのラッキーナンバーはどんな感じでしょうか? 数えてみてください。もし3つのひもが1箇所で交わったりしてしまってたら、適当にずらして2つ同士の交差だけになるようにして計算してみてください。どうですかね。いい数だといいんですけど(笑)。

できましたか。例えば、ラッキーナンバー0の方?

(会場挙手)

よくも悪くもないということですね(笑)。

(会場笑)

どうしよう(笑)。じゃあ、ラッキーナンバー1の方?

(会場挙手)

なるほど。うん、ちょっといいことがあると思います(笑)。

(会場笑)

清水:そういう感じで、たぶん3とか4とか5の方もいらっしゃれば、マイナスいくつとかの方もいらっしゃるかもしれないんですけど、ちょっとここで重要な事実で、これ重要な性質なんですけど、ラッキーナンバーはくみひもの不変量となっています。

不変量ってどういうことかというと、くみひもって、上と下だけ固定して、その間は自由に動かすことができるんですけど、どんなふうに動かしてもラッキーナンバーは変わりません。

なので、もし−2だった方とかいて「ちょっと増えないかな」って思って「動かしてみようかな」って思っても増えません。でも、大丈夫です。くみひも占い、あんまり当たらないので(笑)。

(会場笑)

最後に縁起がいいものを。ラッキーナンバーが、ちょうどじゃないんですけども、だいたい1000のぐらいのひもを作ったので、これを紹介して終わりたいと思います。

はい、以上になります。

(会場拍手)

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