風は高気圧から低気圧に移動する空気の流れ

ある時は頬になびく気持ちのいい風、またある時は時速400キロのハリケーンか台風となって私たちを脅かす。

時に心地よく、時に恐ろしいこの「風」は一体どうやって生まれるのでしょう?

一文でまとめるとすれば、風とはつまり高気圧のエリアから低気圧のエリアに移動する空気の流れです。

もうちょっと長く言うと、実はいろんな要素が関わってくるんです。風の発生過程やスピード、吹く方角などは太陽の位置と地球の自転が大きく影響しています。

まず、空気圧の話をしましょう。空気圧とは決められたエリア内にかかる大気中の圧のこと。その気圧の働きで膨大な量の空気が温まり、上昇することによって、地表にかかる圧は軽いものになります。そして、上昇した、とくに湿った空気は、空中でとっても不安定な状況になるわけです。

そしてこの不安定な空気が曇り、雨または大嵐といった天候を作り出すのです。だから多くの人は低気圧と聞くと悪天候を思い浮かべますよね。

天気予報でよく見るマークの意味

でも天気予報でよく見る「低」マークのエリアのすべてで雨が降っているわけではありません。あの天気予報図の「低」マークの本当の意味は、「そのエリアにはすぐに横から流れ込んでくるような高気圧が周りにいない」ということを言っているのです。

マップの上にはどこかに必ず北極から流れ込む大量の冷たくて乾燥した空気が漂っている場所があって、今か今かと近くの「低」マークのエリアに流れ込むのを待っています。そしてその「低」マークを押しのけてエリア全域を占領するのです!

それが高気圧のシステムというわけです。そしてそれがもたらすのは、晴れ渡った青空です。

ここで風を高気圧システムと低気圧システムの狭間に存在する、バランスを取ることが難しい空間だとしましょう。

高気圧のエリアと低気圧のエリアが交わるとき、空気は高気圧の地域から低気圧の地域へと移動します。そのふたつのエリアが混ざり合おうとする時です。

その時の空気の流れが風になるのです。

高気圧のエリアと低気圧のエリアが近くに近づけば近づくほど強い風が生まれます。そしてここで太陽が風の生成にとっての重要な役割を果たします。そう、地表を温めるのです。

もっとも強かった風は時速400キロ

地球に到達する太陽エネルギーの内の約2パーセントは風エネルギーに変換されると言われています。そのわずかなエネルギーを私たちは風力発電などに利用していますよね。

また、地球の自転も風の生成に一役買っています。でも地球が風を動かしてるわけではありません。地球上の風はもともとはただまっすぐに北極からの冷たい風を含みながら、そして赤道を横切りながら徐々に温まり、一周してまた戻ってくるんです。

でも地球が回る動きっていうのはとてもパワフルで、地球の近くでフワフワしてる気団なんかは全部その回転に巻き込まれてしまうんです。この現象はコリオリ効果と呼ばれます。

コリオリ効果によって地球の自転が風の動きを北半球の右側から南半球の左側へと屈折させます。そしてこの一連の動きは、時に驚くほどの現象を引き起こします。

過去に記録された地上風の最高速度は、ニューハンプシャー州にあるワシントン山のてっぺんで計測された突風です。この計測が行われたのは1934年のそれはそれは物凄い嵐の真っただ中だったそうで、その記録は時速372キロだったそうです。

でも、1996年にさらにその上をいく突風が計測されたんです。地表から10メートルほど上に設置された風力測定器から、時速408キロにも及ぶ突風が計測されました。

そしてこの計測が行われたのはオーストラリア沖で発生したサイクロン「オリビア」が大暴れしている時だったそうです。

まあ、みなさんにとっては風なんてどれも同じものなんでしょうけどね、僕はただこの心地よいそよ風を楽しむことにしますね。