ブーメランが弧を描くための2つの速度

ハンク・グリーン氏:人類は少なくとも2万年前からブーメランを使ってきたといわれています。古代ポーランド人はブーメランを使って動物を狩っていましたし、ツタンカーメンはブーメランのコレクションを持っていましたし、オーストラリアの象徴にもなっています。ブーメランには多くの種類があります

そのうちの多くは狩猟に用いられるブーメランのように、投げ手の元に戻るように設計はされておらず、的確な場所に飛んでいくようにできています。戻ってくるように設計されているブーメランも、飛ばすのは非常に難しいですが、正しく投げられるようになれば、空気力を利用してブーメランがちゃんと手元に戻ってくるようになるのです。

どのようにそれが可能になるかというと、投げる際ブーメランに角度を持たせて回転させるほかに、さらに前に向けて投げるため、ブーメランは2つのスピード、回転するスピードと前進するスピードが合わさり、正しい形のブーメランにその合わさったスピードが加わるとき、ブーメランは円を描くように飛ぶことができるのです。

ブーメランの周りの空気の流れはどうなっている?

ブーメランには2つの翼があり、それには角度がついています。それそれの翼がちょうど飛行機の翼のようになっています。ブーメランには、丸くとがりのない「リーディングエッジ」と呼ばれる角と、先の細いとがった「トレイリングエッジ」という角があり、翼のそこは平たく、上側が斜面で縁取られています。

翼に空気が当たるとき、空気がリーディングエッジの上を乗り越え、トレイリングエッジを下向きに押しやるので、空気が下向きに流れます。すべての動きが均等で反対の反応がおこるため、翼が反対方向に押しやられ、ブーメランは持ち上げられます。投げる速度が速くなるほど、空気の中を進む力が上がり、ブーメランはさらに高く上がっていきます。

ブーメランが飛ぶのには条件があり、投げる人の腕が頭上から20度離れた角度から投げられ、手首を振って回転をかけると、空気中をプロペラのように飛ぶことができるのです。

回転のたびに一方の翼が上に、他方が下になります。一方の翼が回転の上位へ来るとき、前進と回転の両方の力が働き、そうすることで、さらに速度が速まり、高く上がりますが、下方の翼はその前進方向とは逆に回転しているため、「トルク」と呼ばれる不均等な力が生み出され、それによりブーメランは傾き、カーブを描いて飛ぶのです。

そのカーブは大きくも小さくもなります。ブーメランがどれくらいの速度と角度で飛ぶかにより変化するのです。ですからブーメランを空中に投げたとしても、フェンスを乗り越えて隣人の庭にではなく、自分の手中に静かにも戻らせるには技術が必要なのです。