翁長雄志氏が裁判で「法律論」ではなく「沖縄県民の心情」を訴えた理由とは

2015年12月2日 普天間移設の代執行訴訟 #2/3

2015年12月2日、沖縄県の辺野古新基地建設問題に関して、国土交通省が沖縄県知事・翁長雄志氏の「辺野古埋め立て承認取り消し」の執行停止を求める「代執行訴訟」の第1回口頭弁論が開かれました。翁長氏は、政府の代執行への反対を表明する意見陳述を行いました。本パートでは、口頭弁論後の質疑応答の模様をお伝えします。※このログは(沖縄タイムスの記事)を転載したものに、ログミー編集部で見出し等を追加して作成しています。

第1回口頭弁論を終えて

記者:全国的にも注目された裁判。1回目を終えて感想は。

翁長雄志氏(以下、翁長):1回目の口頭弁論ということで、私も冒頭陳述ということで話をすることができて大変よかったと思っている。法律的な準備書面とか、私のもっと詳しい陳述書なども証拠書類という形で出している。

私自身は沖縄の気持ちと言うか、沖縄の県知事としての気持ちを話した方がいいのではないかということで、沖縄の基地の問題と、それから振興策についての誤解、そういったことなどを重点的に話をさせていただいた。

私が終わった後、裁判官の方から大変分かりやすい話でしたという話もあったので、思いは伝えられたかなと思っている。その意味では私自身が冒頭陳述をしたのは、意味のあることだったなと思っている。

裁判官の判断に望むこととは

記者:知事の意見陳述後、国側の代理人が法廷は政治議論の場ではないというような主張をした。そういう態度についてどう思うか。

翁長:向こうがそういうふうに言うのは心証の問題だから、それはそれで考え方として向こうが持つのは勝手だ。だが、私からすると沖縄のそういったもろもろというのは、やはり私がいつも魂の飢餓感と言っているように、その落差を埋めないと、裁判全体の、それが取り入れられる取り入れられないとは別にして、思いを伝えるということが大切。

政治的なものというよりも沖縄県民の心情、心を私は伝えたわけで、それ以外の法的な面はしっかり書面で提出されているから、私はその思いを話をするということで、冒頭のそういうことになった。向こうがそれにどう感じるかなどということは考えたこともない。

記者:裁判官に対してどういう判断を求めるか。

翁長:私もそういう立場でそこに居合わせるのは初めてなので、比較する方がおらず、今の裁判官がどういう感じでいらっしゃるかとか、比較して、これっぽいとかあれっぽいとかいう話は私たちからはできない。 ただ、真摯(しんし)な方だなということだけは感じたので、その辺の中に、私たちもしっかりと私どもの思いを考え方を伝えて、しっかり判断をしていただければありがたい。

国側の主張は想定の範囲内

記者:国側の主張を聞いての感想は。

翁長:予想通りというか、そういう意味ではことしは集中協議もあったし、それ以外にもいろいろ話し合った。それぞれの担当大臣なども強権的な辺野古唯一というですね、そういったものの中で推し進めてきたものが、そういった書面にも表れてきているなと感じている。それについては当然想定内なので、弁護士の先生方と意見交換し、しっかりとやりとりをしていたから、裁判官にもいい形で、それぞれの考え方が伝わったのではないかなと思う。

今回の裁判の争点と国民への訴え

記者:最後の方で、この裁判で問われているのは単に承認取り消しの是非だけではないと言っていたが、この裁判で問われているのは何か。

翁長:当然この裁判は直接的には取り消しの訴訟なので、そういった法律論は確かにメーンであることは間違いないが、やはり今の沖縄が置かれている基地問題とか、今日までの歴史を含めて考えると、ことしの安保法制とかいろんなものを踏まえると、日本の地方自治の問題、民主主義の問題がしっかりと問われている感じがしている。

そういった法律的な判断もさることながら、やはりそういった背景などをどの程度斟酌(しんしゃく)してくれるか分からないが、私が話をすることの意味合いがあるのではないか。そういったことを話をする中に、そういうものを理解しつつの法律的な解釈というものになればいい。沖縄の歴史と沖縄の心情などを話をする中に、これからのいろんな法廷の場でやりとりが出てくるとありがたいなと思う。

記者:最後の部分で、知事は国民の皆さま全てに問い掛けたいと言った。国民全体に呼び掛ける形にした理由は。

翁長:やはり、沖縄の問題は、この基地の問題は第一義的に沖縄の問題が大きいが、それは翻って考えると日本の地方自治、例えば福島だと原発の問題を抱える、あるいは核ごみの問題を抱えるところもあるでしょう。

そういったその地方自治体だけにある意味で全体的なもののしわ寄せがきたときに、本当の意味での地方自治というものをみんなで考えていかないと、なかなか難しいというような思いもあった。沖縄の問題を通じながら日本全体で物事を考えてもらいたいというような意味合いで、特に地方自治と民主主義という意味で、それを国民の皆さま方にも、この裁判に注目してもらいたい。

沖縄と日本の将来のために、判断をいただきたいと裁判官の方に一番最後の1行で訴えた。それ以上は国民も含めて訴える形を、裁判官には見ていただきたいということも最後の1行で入れている。

無味乾燥な法律論だけが裁判ではない

記者:抗告訴訟の見通しは。

翁長:これはシミュレーションの中にあったので、議論はしている。弁護士と相談しながら期限というのがあるはずだから、そういう事を想定しながら、物事を進めていく。きょうの出廷の方に力を入れていたので、事務方の方で弁護士のみなさんと相談しながらやっていると思うが、早速、これも私もきょうどこまで来ているかということも含めて、判断をしたい。私自身の考え方は申し上げてはいる。

ただ今細かい話をすると齟齬(そご)があってはいけないので、気持ちは固まっているが、何日がどうだとかという話をすると、間違った話になってはいけない。あした本会議もあるので、朝参りますので、その時か、あるいはまた、いい形でお伝えできればいいかと思う。

記者:どれくらい斟酌されるか分からないと述べたが、法律論以外のものも含めて主張したときに裁判官とのやりとりを通じて、訴訟の中で何らかの影響を与えると思うか。

翁長:裁判に限らず、お互い人間がやることなので、無味乾燥な法律論争だけではなくて、確かにそれに影響を与えるかどうかというのは、人によって取り方も違うと思うが、やはりお互い分かり合うのは大変重要なこと。

やはりベースを話をして、どの程度ご理解いただけたか、判断するわけにはいかないが、それを私の方で話をするということは大変重要な要素になっていると思う。しかしこれは読める話ではないが、私も政治は長いですから、その意味では人と人との思いの通いは必ず何かのときに、参考になるのではないかと思う。

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