活性炭ははたして健康にいいのか

マイケル・アランダ氏:活性炭がふだん販売されている様子を見ると、「奇跡の力」を持っていると錯覚してしまうかもしれません。活性炭は、子どもが間違って掃除用品を飲み込んでしまった際の毒素吸着や、水をろ過するものとして知られています。

しかし、活性炭は歯のホワイトニング商品や化粧品、昨夏のインスタグラムで人気だった黒いアイスクリームなど、どんなものにも入っています。

しかし、お伝えするのは心苦しいんですが、活性炭は多くの人が話すような、魔法の健康アイテムではないのです。

炭は、炭素を多く含む石炭やココナッツの皮などを燃やした後に出てくる黒い残留物です。活性炭、もしくは活性木炭を作るには、炭を熱と酸素、酸や土などが必要です。

こういった化学反応は炭素原子を再調整することができ、多くの小さな気孔を形成します。ですから、活性炭の表面積は非常に広いです。実際、たった1gの活性炭は500から1,500平方メートルの表面積です。

ファンデルワールス力がキーポイント

活性炭は「吸着」と呼ばれるプロセスを通して、分子を取り込みます。化学物質が何かの内部に捕まっていく吸着ではありません。

吸着とは、活性炭の中の炭素の並んだ気孔のように、他の化合物の表面に分子がくっつくことです。ファンデルワールス力(注:分子間などに働く引力)により、電気を帯びていない分子の間で弱い引力と分子は結合します。

例えその分子が完全に充電されていなくても、基本的に電子がどこにいるかによって、分子のある部分は他の部分よりも電気を帯びています。分子が活性炭の中の小さな気孔を通るときに、そのとても弱い電荷がファンデルワールス力により炭 素にくっつきます。

それは巨大で、より強いファンデルワールス相互作用を持つのに十分な電子を持っているので、活性炭は炭素を含む分子を集めることに長けています。しかし、それはヨウ素のように他の分子を吸着することができます。活性炭はとても大きな表面積を持っているので、毒素分子と結合する場所はたくさんあります。

体に吸い込まれていく代わりに、炭は消化管を傷つけることなく通過するので、毒は広がることなくめちゃくちゃになることもありません。

間違いなく、このことはメリットと言えるでしょう。それが人体の中の毒素と結びつくことや、水処理施設の中の毒素についての研究はたくさん行われており、きちんと機能があることは間違いありません。

しかし、人々は活性炭が二日酔いに効き、歯を白くし、腸の中のガスを減らし、普通の生活で身体の中にできると思われる不思議な毒素をきれいにするのに役立つと考えられています。確証は、ほぼありません。活性炭の歯磨き粉で歯を白くしたいと考えている人もいますが、結果が出た人は見つかっていません。

硫黄を含む分子と結合することで、腸の中のガスに役立つかどうかについての矛盾する結果も出ています。それがアルコールを吸収し、二日酔いの助けになる証拠はありません。

活性炭は食べてもまったく安全で、おそらくいくつかのことについては素晴らしいものでもあるでしょう。しかし、黒いハンバーガーのパンを食べることで健康が得られるとは、とても真実とは考えられません。