logmi・ログミー

世界をログする書き起こしメディア

ニケシュ・アローラ「孫正義は第2の考えは持たない」現代のイノベーターに必要なマインドセット

ニケシュ・アローラ「孫正義は第2の考えは持たない」現代のイノベーターに必要なマインドセット

2016年5月13日、14日に幕張メッセで開催された「SLUSH ASIA」。初日のオープニングセッションでは、ソフトバンクグループ代表取締役副社長のニケシュ・アローラ氏が登壇しました。テクノロジーが急速に発展している現在、私たちはそのこととどのように向き合い、なににチャレンジすべきなのか。

シリーズ
SLUSH ASIA > SLUSH ASIA 2016 > ニケシュ・アローラスピーチ
2016年5月13日のログ
スピーカー
ソフトバンクグループ株式会社 代表取締役副社長 ニケシュ・アローラ 氏

世界がこの10年間で得たものはなにか?

二ケシュ・アローラ氏(以下、ニケシュ) みなさんおはようございます。 会場 おはようございます。 二ケシュ SLUSH ASIAはエネルギー溢れるイベントだと聞いていたのですが? エネルギーが溢れてると感じさせてください。もう一度言いますよ。みなさん、おはようございます! 会場 おはようございます!(大きな声で) 二ケシュ その調子です。まず、イルッカ・パーナネンさん、アンティ・ソンニネンさん、孫泰蔵さんに、ここにこうして立てることへのお礼を申し上げます。エネルギー溢れる空気を感じられてとてもワクワクしています。 400人のボランティアが活躍していることも知っています。彼らに拍手を。 (会場拍手) 二ケシュ 昨夜、福岡へ行きました。福岡へ行ったことのある人は? 私は手を挙げましょう。ソフトバンクがマリーンズに負けて意気消沈した夜でした。チームも私にそんなに早く来てほしくはなかったでしょうね。勝ったらそんなことないでしょうが。まあ、とにかくバスで福岡へ戻ったのですが、バスでは誰もが電話で話したり、メールをチェックしていたり、ビデオを見ていたり、なにか読んでいたり、忙しそうにしていて誰も私と話そうとはしませんでした。電話を触っているほうが好きみたいでしたね。 5~10年前だったら、そんなことはあり得ませんでした。なにもかもが可能な電話は存在しませんでしたし、そんなにたくさんのことをするという選択肢はありませんでした。私は、5年先、10年先はどうだろうかとその時よく考えたものです。 まだ定められていな物ごとについて考えるのは簡単です。人生や科学技術、漸進主義。明日起こるだろうこと。来週起こるだろうこと。次の四半期に起こること。今から5年後、10年後にはどうなっているだろうかと、考えることです。 私は友人や同僚にいつも聞くんです。簡単な質問です。ここ10年間で得たものはなにかって。みなさん、10年で得たもの、思い浮かべることはできますか? カメラがよい例ですね。私はこういうイベントにはカメラを携帯し、写真を撮ります。カメラがアナログカメラからデジタルカメラへと変わった時、劇的な変化が訪れました。かつてとは違い、今ではカメラではなく電話で写真を撮るようになったのですから。 周りを見渡してもわかるように、今までたくさんのものが生み出されました。情熱から生まれたものもあります。本や新聞なんかがそうですね。利便性に特化したものが電子本や配信サービスです。人々がいまだに手で触れる新聞を読むのは、それが慣れ親しんだ習慣だからです。 しかし、嫌な言い方をするようですが、今の子供たちが紙の新聞や本を読むでしょうか。24時間待たないと情報が届かない新聞を読むでしょうか。そんなことはないでしょう。

ネットが当たり前な世界のビジネス

次の10年で得られるものはなにかと考えることはとても大切なことなのです。 ここ10年で起こったことを考えてみればわかるでしょう。ありとあらゆる便利なものを生み出したのですから。わかるでしょう? 私たちは便利さに慣れ続けてきています。あらゆる便利なものがなくなってしまったとしたらどうでしょうか。こうして私が話している間になくなってしまったとしたら。なにもなし、です。にっちもさっちもいかないでしょう。私たちは電気や水、飛行機の便利さを当たり前のものとし、交通整備の便利さを当たり前のものにしてきました。 ここ10年で当たり前のものになってしまった便利なものはなんでしょうか。Google? なにか調べたいものがあると電話を使ってインターネットで調べるのが当然だと思っている? いつでも調べられるから覚える必要もない? なぜそう思うのでしょう? それは、インターネットというのものが、気付いた時にはもうすでに存在して、そこから情報が与えられるのが当然だとする概念が存在するからです。便利なネットワークがそこには存在するからです。 私たちは、なにか新しいものが生まれるとみんなでそれを共有することができます。10年前では考えられなかったことです。どこにいようが常に新しいものと繋がりを持てるなんて。どこにいようがありあまるほどの恩恵を受けられます。常に最新のものと向き合えるのです。2年前までは特定の場所でしか可能でなかったことが、今ではどこにいても可能です。 私たちは常に新しいものを生み出していかないといけないのです。ブロードバンド、です。ブロードバンドが拡大すれば、通信速度はさらに速くなります。新しいコンテンツには付加価値をつけないといけません。文字や写真、ビデオを最大限に活用するのです。 どこにいても製作はできます。道具があるのですから。人類がみなネットで繋がっている時代なのですから。その内、ネットワークというものにも終わりが来て、すべてがクラウドで行えるようになるでしょう。クラウドもここ10年で登場したものです。 クラウドベースの新しいビジネスが生まれたことはご存知でしょう。Googleのように。ネットがなければ、Googleの成功はなかったでしょうし、存在すらしなかったでしょう。スターバックスは存在していたでしょうけど。コーヒーは飲みますからね。 小売りももちろん存在していたでしょう。買い物しますからね。ブロードバンドやインターネットと関係ない分野ですから。 新しいビジネスはインターネットベースのビジネスです。Google、Facebook。Facebookはインターネットなくしては語れません。個々が電話を持ち、いつでも繋がれる状態じゃないと成立しませんから。Googleマップ? LINE? WhatsApp? いずれもインターネットがないと、誰かとコミュニケーションを取ることができませんよね。 覚えておいてください。なにか新しいものを生み出すということは、新しいビジネスを生み出すということに繋がるのです。航空路、路線、電子機器、新しいものが生み出されれば、数えきれないほどのビジネスが生まれます。 私たちは今ちょうど、たくさんの新しいものが生み出されようとしている、科学技術の移行期間のど真ん中にいるのです。これからどのように変わって行くのか、といったところでしょうか。

科学技術がもたらす変化をどう受け取るべきか

私たちを取り囲むビジネスは頭打ちの時期に入っています。今までと同じやり方でビジネスを続けて行くことはもはや不可能です。 あなたたちはこれまであらゆる便利なものに慣れ親しんできました。インターネットビジネスでも電話関連ビジネスでも、慣れ親しんできたぶん、そういった分野では苦もなく働けるでしょう。GoogleやFacebook、WhatsAppのような仕事を見つけ、働けるでしょう。世界中の、何億人もの人々を相手にしたビジネス。世界を相手に働けるのです。 もしくは、自分自身で端末をつくることもできるでしょう。国によって使われているユーティリティーは違いますから、そのほうがよいかもしれません。もしくは、狙い定めた市場で、まったく新しい設備のビジネスを立ち上げることもできるでしょう。地域に特化した端末や独自の端末をつくり、アジア一、世界一の会社を作るのです。 新たななにかが生まれる時、新しいビジネスが生まれます。Uberを例にとってみましょう。 日本には素晴らしいタクシーシステムがあるので、まだまだ知られてはいないとは思いますが、これまで訪ねた国ではOLA、ディディ・クアイディ、GrabTaxiなどの、客が携帯電話を持っていることに目をつけた配車システムが盛んです。携帯電話がコミュニケーションを容易にしたことで生まれたビジネスです。 そこで、です。今、確立しているシステムを利用しない手はありません。そこから新しいビジネスを立ち上げるのです。Uberというサービスはそんななかから生まれました。中国、アメリカ、インド、ヨーロッパのいくつかの国で行われている配車サービスで、アプリを使うことで簡単に連絡を取り合うことができ、状況を把握できる、タクシーよりもより効率のよいサービスの提供を可能にしたのです。 今確立しているシステムを利用するということは、科学技術革命において、まず最初にすべきことです。しかし、この科学技術革命は私たちにちょっとした疑念を抱かせもするでしょう。 例えば、会議に出席しなければいけないとなった時、あなたはこう思うでしょう。「机に座ってわざわざ誰かと話すのを聞かなくても、携帯でその様子を送ってくれればいいんじゃないか、なんでわざわざ出席しなきゃいけないんだ」と。キャベツのホログラムにでも名前をつけて置いておいてくれればいいんじゃないか、なんて。そんなふうになってしまうでしょう。びっくりですね。でも、そうなるでしょう。 世の中というものを考え直さないといけないのです。科学技術の産物は常に新しいものを生み出す力があります。世界を変えてしまうことができます。すべてが無害であるというわけではありませんよ。科学技術の産物のおかげで、なにかの表現の仕方、食べものの買い方、友達の楽しませ方、すべてが変わってしまうでしょうから。 こういった変化をただ単に両手を上げて喜んではいけません。この10年でなにをしてきたか説明できないといけないのですから。 これからどうなっていくのか、なにが起こるのか。次の5年、10年を見据えないといけないのです。 私たちは、やっとスタート地点に立ったところです。ネットワークやブロードバンドを設立してきましたが、人と人を繋ぐところまでしか来ていません。すべてを繋ぐことができるはずです。テレビのスクリーンとも、チップとも、ここに存在するすべてのものと繋がることができるはずなのです。 じゃあ、なぜそうしないか。繋がりを増やせば、より効率的で、便利な生活が手に入るはずです。クラウドですべての人と繋がることができれば、誰がどこでなにをしているかが一目瞭然です。 車のエンジンに搭載されているチップと繋がることができれば、性能を知ることができますし、情報を手に入れることができます。 次の10年でどう変わっていくのでしょうか。すべてと繋がる次世代です。「インターネット関係の」と人は言うでしょうが、私は進化した科学技術の産物、と言いたいですね。すべてがネットワークで繋がってゆくと、ビジネスや産業もおのずと変わってゆくでしょう。

あらゆるものがネットワークに繋がる

2週間前に、興味深い例に出会いました。 カリフォルニアの会社に行って、会社から出て来たときです。車が「鍵がありません」と言ったのです。テスラに乗っているのですが、「鍵がない」と車が言ったのです。 ドアを開けて欲しいのだけど、どうしたらいいのだろうと思い、テスラに電話しました。ICU(インテグレーテッド・コントロール・ユニット)? ICUが車を開けてくれる? 鍵のログが壊れてキーが開かなくなっているけど、ICUを使えば車は開くというのです。 そこで、ICUのボタンをクリックしたら車が開き、車を動かすことができました。おかげで、無事に家までたどり着けたのです。それもこれも車がネットワークに繋がっていたからです。なんにでも応用できる技術です。ドアですらコントロールできるでしょう。電気やエアコン、洗濯乾燥機にも。テレビにでも、です。なんにでも可能でしょう。しかも、50パーセントほどの電力ですむかもしれません。 これからどれだけのものがネットワークに繋がり、新たな製品となるのか見ようじゃありませんか。それが第1歩です。 あらゆるものがネットワークに繋がると、私たちはふくれあがった膨大なデータを抱えきれなくなるでしょう。データがたくさんあるなら、今あるものを変えましょう。世界にはまだまだインターネットが接続できる環境になく、あらゆる恩恵を受けられていない地域がたくさんあります。 例えば、そうですね、体調管理をデジタルで行っているという人はこのなかに何人いますか? いませんか? 毎日、毎週、毎年、体調というものは変化するのに? 30年、40年で体調が変化したか医者に行けば聞かれるのに? 今あなたたちを医者に見せたら、どう診断してよいかわからないって言われますよ? もしデータを取っていたら、10年後も元気だという証明にもなるのですよ? デジタルデータをとるのはとても簡単なことなんですよ? 健康管理だけでなく、教育にも役立つのですよ? これから、私たちが生きている間に、インターネット技術環境を取り巻く世界は大きく変わっていくでしょう。すべてがネットワークで繋がり、あらゆるデータの利用ができるようになり、企業や個人がより暮らしやすくなる世界がやってくるに違いありません。 私たちはどうすればいいのでしょうか。私たちを取り巻く環境について、今一度話をすることです。私は、そのことについて周りの人たちにメッセージを送り始めています。直接は話しません。あなたもそうでしょうが。 SNSの1つをチェックしている時です。誰かがビデオを貼り付けていました。ハイパーループ・ワンのビデオです。ハイパーループ・ワンのビデオを見たことはありますか? ある地点からある地点まで、時速700マイル(約1,100キロ)ものスピードで移動する方法です。とんでもない話です。しかし、提唱者は60ページにもわたってその実現性を訴えているばかりか、2社がその理論に沿って実現に向けて着手していますし、1社はすでに800億円かそこらを投じています。 先日、ラスベガスでA地点からB地点までの0.5マイル(約800メートル)の距離を走らせる実験を行い、たった5秒足らずでしたが実験を成功させることができました。将来的には実現も可能ということが証明されたのです。そのビデオを見た時、私は誰か犠牲者が出るのではないかと思ったのです。

大切なのは信念を曲げないこと

ホースカレッジ出身者というのは一風変わったことをします。メダルを2トラックに置きたがります。馬のことなんて考えてもいません。「なぜそんなことをするのか」ということで溢れています。オートメーションやネットワークをどうやって活用すればいいのか? ハイパーループ・テクノロジーの世界にも同じことを思いました。うまくいくかどうかなんてわからないのです。しかし、10倍速く動くこと、日本の場合は3倍速くでしょうか。速く動くということを真剣に考えている人もいるのです。人はすでに存在する便利なものを、より便利なものにしようとします。サンフランシスコまでどのくらいかかるだろう、と考える人もいるでしょう。飛行機で11時間かかるところが3時間で行けないか、なんて。 私たちは新たに創造しなければいけないのです。よりビジネスをしやすくするために。 今ほどビジネスがやりやすいときはありません。Amazon、Google、Microsoftの持つパワーを最大限に活用することができるのですから。あらゆるデバイスを使って何億もの人を相手に仕事ができるのですから。新たなサービスを、それらの人に向けて新しく提供できるものが作り出せるのですから。 3つ、覚えておいてほしいことがあります。まず、10パーセントだけ考えることを止めること。10パーセントだけを考えて物事を進めたり考えたりしないということです。10パーセントの考えは、6パーセントの結果で満足してしまいます。10パーセント以上のことを考えると、それ以上の結果を求めようとするようになります。 そして、自分の考えに確信を持つことも大切です。自分の考えをとことん突き詰めることです。私の上司、メンター、友人である孫正義さんがそうですが、彼は常に高い信念を持っています。彼は第2の考えは持ちません。2番目の考えは成功しないということを知っているからです。そして常に2,000パーセントの力を出し切ります。 彼は常に自分の信念を曲げません。考え続け、受け入れ続け、情報を集め、少し考えを変えたらまた情報を収集し、また少し考えを変え、それでいて自分の信念を貫くのです。そうすることで、自分の信念を曲げずに新たなアイディアを模索するのです。 信念を持ち続けるということは、同じ考えを持つ誰かが集まるということです。なにかアイデアがある時にそれを実現できる仲間がいるというのはとても大切なことです。そんな仲間とチームを組んだら、一丸となって世界を変えることができるでしょう。アイデアを実現できるでしょう。 世の中を見渡してみてもわかるように、資源には限りがあります。部屋にいる4人は、ガレージにある100万円を誰が取るかという問題を解決しようとしています。大企業はガレージに置いてある100万を誰が取ろうが気にしません。そこから生まれるさらなる飛躍を目指すからです。 アイデアがあるなら、製品に活かすこと。そうじゃないと意味がないということを忘れないでください。 世界を見て、変えたいものを見つけ、志を持ち、できると信じること。反対する人はたくさん出てくるでしょうが、なんだってできるはずです。 資源に限りがあるということは胸に留めておいてください。 ではSLUSHでのすばらしい2日間を。ありがとうございます。

  
この話をシェアしよう!
シェア ツイート はてブ
ニケシュ・アローラ「孫正義は第2の考えは持たない」現代のイノベーターに必要なマインドセット

話題のログ

編集部のオススメ

人気ログランキング

TOPへ戻る